で、何だい美人な見知らぬカワイ子ちゃん。こんな夜更けに呼び出したりして……怖い人に襲われても知らないゾ。
問題ない。だって私は――――霧、だから。
な、コレは……!?
霧の巡行潜水艦、イ401号。世界の果てまで連れて行く貴方の船。そして、私自身……
……フュー 前に群像の話だけは聞いてたがマジで政府が拿捕した霧の船を隠してたんだな……ピカピカに光ってまぁ霧の船ってのはなんつうか凄いんだな。
そう、私は凄い。そしてこれから貴方も
ハハハ……俺が霧の艦長ね。成績不足で今年にでも海陽学園から追い出されかけてる俺がね――――
それでも、貴方が艦長に相応しいとそう私が判断した。
嬉しい事言っちゃってまぁ……とりあえず、俺だけじゃ無理だから他のメンバーも巻き込んでいい?
ん? どういう事?
おらぁてめぇーら! 今回の獲物は大物だゾーなんたって大戦艦級なんだからな! フュー控えめに言って地獄ぅー
なぁ兄さん……ホントに奴を、あのヒュウガを沈めるのか?
沈めなきゃ俺らが沈むんで海の藻屑なんだよなぁ……なぁイオナ。
肯定する。今のヒュウガはまるで獲物である猛獣を狩ろうと虱潰しに探す狩人。大戦艦級の探索能力から考えて私達をスルーする事はないだろう。だから今ここで沈めるしか私達には選択権がない。
っだ、そうだ。まぁ過去にチョウカイを沈める事に成功した俺達兄弟だ、今回だって上手くやれるさ。
ハァ……兄さんって変に楽観的なところあるよね。
なぁー千早兄弟や、そろそろ戦術プランを提示してくれないと
ですね、大戦艦ヒュウガは依然として私達へ指向性のソナーを使いながらも探索しているようですが……此処のままだと見つかるのも時間の問題かと。
それにしてもソナーで他の艦を捉える事が出来ないって事は僚艦が居ないって事ですよね……不用心な事。
ハイハイ、敵さんの悪口はそこまでにしといってっと、そんじゃおっぱじめますか。戦術はプラン提示、魚雷は発射管1から4まで通常セット残りは杏平のお任せオーダー。ソナーはいつも道理に感度最大で頼むぞぉ~そんじゃ皆いってみよう!
うわぁ……あのタカオちゃん思いっ切り俺達の事を待ち構えてるよなぁ……怖ッ!
台風の目と一緒に移動してますね……まぁそのおかげで私達の居場所がバレてない訳ですが。
今アクティブデコイの4隻目がやられた。流石はチョウカイと同じ重巡洋艦クラス、手ごわい。
台風の影響でソナーの能力は落ちていると思ってましたがこの記録を見るに影響は少なそうですね……残念です。
だねぇ……あ、二人共遅いゾー どこでホモってたんだヨ。
ホモって……兄さん、言って良い事と悪い子が―――
ヤダ群像、俺とは遊びだったって言うの!
――――杏平ぇ、お前まで乗るなよ……
アハハ、ほんっと艦長と杏平って仲がいいよねぇー
ちーっすいおりちゃぁん今の所エンジンの具合は好調? まぁどんな答えが返ってこようと最大出力三分は保証してくれないと沈むかもしれないんだけどねぇ~アハハハハハ
鬼畜ぅー! 艦長の鬼畜ぅー!!
アハハハハ何とでも言いたまえ!!!
おらぁ! アイツらのせいで豪華な飯を食い損ねたんだ、絶対沈めてやる……ボスラッシュどんと来い!
霧の大戦艦ハルナ及びキリシマを確認。
――――よしイオナ、逃げ舵だ。面舵逃げろぉー! 大戦艦級二隻同時とか聞いてませんぜぇ!
ハイハイ兄さんの何時もの泣き言は聞き飽きましたよぉーっと。イオナ、深海の潮の流れを送る。それを使って潜めるか?
ガッテン! 機関停止、重力子フロートブロー。逃げ舵潜航ぉー
自慢の弟が艦長より艦長らしい事してて嫉妬も起きなくてワロスワロス……ワロス。
そう言うなら艦長さんも何か艦長らしい事してくれよ……
OK、デコイ1番から三番まで装填。四から六を音響魚雷、その他おまかせで魚雷管に突っ込め! それといおりちゃん、今回はキツイだろうが1分は保証出来るようにしてくれよぉ~
えぇー! ほんっと艦長は何時も何時もキツイ事を言ってくれるよ!
頑張っていおりちゃんファイトだぞいおりちゃん。後でお礼にプリンでもあげるから――――
高ぶってきたぁー---!!!
……楽しそうでなにより。あ、後静はソナー最大で敵の位置を探りつつ他に艦影が無いか確認してくれ。僧はいつも道理シールドとダメコンの操作頼む。
はい。ソナー最大、がんばっちゃいます!
分かりました艦長。お任せください。
そんじゃ皆、いってみよう!
わぁー久方ぶりに帰って来たよな硫黄島。とっ捕まえてたヒュウガの奴元気に――――
イオナねぇーさまぁー!
ヒュウガ久しぶり、あと痛いから離れて。
――――してるようで何より……ってかメンタルモデルまで会得しちゃってるし……なんか、やべぇな。特に胸元とか
普通にセクハラだと思うぞ兄さん……あと少なくとも兄さんよりはビックリ箱してないと思う。
誰がパンドラの箱じゃあッ!!!
クスクス、艦長が厄災の箱だなんて、クスクス。
言い得て妙ですね。
だな。
うぁーお、俺ちゃん乗組員にそんな事思われてたんだなぁ普通にショックぅー
艦長大丈夫、皆が見捨てても私は何時も貴方の味方だから。
俺ってば見捨てられる事前提かよぉぉぉぉぉ!!!
ちょっと!私の事忘れてないッ!
誰だ! この乙女プラグインしそうな声の人物は!!!
だ、誰が乙女プラグインなのよぉ!!!
あ、タカオ。
イエーイ、絶賛沈没ちゅー
艦長、これからどうする?
……とりま勿体ないから生命維持装置へ回してるエネルギー全カット、無駄な区画はパージして余ったナノマテリアルを重要区画に集中配置。無駄なものを削ぎ落して残ったエネルギーを節約だな。
了解。でも、これじゃ浮上出来ない。
それは元からだろ。最初の一手を受けた時点で俺達は詰んでんだ。なら最低限タカオ達が俺達を発見するまでの時間稼ぎぐらい、やってもいいだろ?
……分かった。区画をパージ、生命維持装置へのエネルギーを全てカットする。
OK。そんじゃ、緊急時の対応道理に保護カプセルにて俺も寝ますかね。正直負傷してて何だか眠いし……って事でイオナ、後よろしくぅー
了解。お休み、艦長。
おう、イオナもなぁ……zZ
――――いい夢を。
ヒャッハー! 復活の蒼き鋼だぜぇ!
レーダー、敵艦多数確認。大艦隊です!
イオナにタカオ!そしていおり、超重力砲よぉーい! ぶちかませぇー!
あいあいさー 超重力砲、ぶちかます。
……なんて言うか、私の考えてた艦長と違う。よくこんなのの指揮であんな戦果上げれてるわね……
まぁこれが内の艦長のスタイルですから。
兄さんは俺達とは違って勘が良いからなぁ。でも俺が考えた戦術プランを無視してフィーリングで動かれるのは正直止めてほしいけど……
こんなのに負けた私って一体……
なぁ、ハルナ。私達ってなんで負けたんだろうな……
不明。恐らく人間の織りなす奇跡。
二人共難しく考えすぎだと思うよぉー
あぁー、その子の言う通り難しく考えない方が良いわよ。その子の言う通りでソイツは私達の演算では予想のつかない変な奴だから。ちなみに私は撃沈されてからその事を1か月間ずっと考えて諦めたわよ。
ハッハハハ! わが軍は圧倒的ではないかぁ!!! ハッハハハ!!
アンノウン確認、メインモニターに出します!
オイオイオイ、何だあのクソデカいボールは……
全長約300m以上。どうやってアレだけの質量をあのように空へ浮かばせているのか……霧の技術は何時も驚かせてくれます。
コンゴウの反応を確認……でも艇としての形をしていない。
マヤの固有振動も察知したわ……まさかマヤを取り込んだんじゃないわよね?
どちらかと言うと合体じゃないか?
あぁー、あの記録にあった無駄な機能ね。ところでハルナとキリシマ、なんであんな無駄な機能を追加したの? 明らかに二隻でそれぞれ超重力砲撃った方がよかったじゃない。
アレはキリシマの趣味だ。
わ、悪いか! 合体はカッコいいだろぉ!!!
ハッハハハ――――ハ? なんだアレ?
兄さん、聞いてなかったのか?
さぁー総員準備は良いか? 今回の相手は霧の生徒会なるパチモン集団だ! 学校モドキをやってるアホぅどもをイッチョ〆に行くぞオラぁー!
艦長、私達に指示を。
今の私達は損傷によりアドミラリティ・コードを失っている状態、だから提示してほしい。
私達は兵器。だから存在する限りその意味が欲しい。
なぁ群像群像、ホントにこの二人を自由にしてて良いのかな?コソコソ
400と402はイオナがコアのマスターキーを掌握してるから大丈夫って兄さんは言ってたけど……確かに不安だ。コソコソ
……何だか昔のイオナを相手してるみたいだ……ハァ~ とりまイオナの姉ちゃんと妹ちゃん、今回はイオナを手伝ってくれないか? ちょっと今回の戦闘では1人じゃ多分キツイだろうから。
400、402、演算処理のバックアップを頼む。相手は恐らくこれまでの戦闘データを元に対潜戦闘を主眼に置いた戦術を打ち出してくるはずだ。だから今回は艦長流の戦法で行こうと思う。具体的に言うとどんな戦法を取られても臨機応変に対応し、ヒエイを撃沈させる。
分かった。
了解した。
っげ、とうとうイオナが艦長に汚染された!!!
誰が汚染物質じゃあオラぁ!!!
まぁまぁ兄さん、杏平の言う事だから……
そうですよ。艦長はただでさえパンドラなんですから、その中身が例え汚染物質だとしても驚きません。
ますます禁断の箱に近づいてきましたね、艦長。
静ちゃんは何でそんなにも嬉しそうにしてるんですかね……酷いぃ。
艦長ザマぁ~
……いおり、今夜のプリン取り上げな。
っゲッ!
――――本艦はこれより霧の総旗艦であるムサシとの戦闘に入る。現在、知っての通りイオナが不調でクラインフィールドやその他の機能は400と402のバックアップで辛うじて動いている状態だ。だが、これから俺達の戦場は恐らくこれまで経験した以上に激しさを増した戦闘になるだろう……それでも多分これが最後の戦いだ。気張って行くぞ。
おうさ艦長。でもあんまり心配するなって、劣勢な戦いなんてこれまで何度もやって来ただろ? 大丈夫さ、きっと今回も乗り越えて行けるって。
そうですよ。艦長は毎度の如くその持ち前の勘で乗り越えて来たんですから問題ないですよ。
たった良くて10パーセントほどのスペックしか発揮できない現状、操舵すら手動……うんぅー過去にやった縛りプレイようで久々に燃えて来ますね。
僧はこういう劣勢な状況での逆転劇を狙った作戦での操舵が昔から好きだったもんなぁ。何つうか、ギャンブル気質?
クラインフィールドの操作は任せてほしい。私達は同型艦、だから人間で言う所操作は朝飯前。
フィールドは最大出力で10%、これに注意して動いてほしい。
……ありがとう。
人間達のデータベースに記載されている記録によると血のつながった姉妹のピンチをカバーするのは姉と――――
――――妹の役割。だから気にするな401。果たしてその理屈が血液の循環していないメンタルモデルたる私達にも適応されるのか疑問ではあるがな。
……兄さん、そんなこれは新手のツンデレか? なんて顔でアピールしなくてもいいからさっさと目の前の戦闘に集中してくれないか?
群像は頭堅いなぁ~
――――だが兄さんそれじゃ兄さんだけ取り残される事に‥‥‥‥
他に方法が無いんだから仕方ない。俺が残ってイオナを操舵する。他の奴は既に降ろした、お前も早く離艦しろ。
艦長、タイムフィールドの維持が難しくなってきた。あと数分でこの空間は崩壊する。
副長、離艦の意志があるのならば即時に行動する事を推奨する。
っく、絶対に後から助けるからな兄さん―――……
たくぅ、お前もそれは難しい事だと知っているはずだろうに……さて。イオナ、群像が離艦したらわかってるよな?
わかってる。重力子エンジンリミッター解除、ミラーリンクシステムフル稼働。
ワープドライブ起動、座標軸の計算……完了。群像副長の離艦を確認。
重力子エンジン臨界、エネルギー出力を限界値で維持。タイムフィールドシステムを放棄、クラインフィールド最大出力で維持。
全メインシステムの演算をワープドライブへ。これにより操舵を艦長へ譲渡。
譲渡確認。さて3人とも地獄の底まで付き合ってもらうぞッ!
了解、地獄の底だって付き合う。だって私は貴方の、
「――――いっけぇー-ぇイオナッ!!! 撃てぇぇぇぇ!!!」
舞い落ちる純白の巨大戦艦。青色の光を滾らせながら漆黒の黒い戦艦の直上より出現し、その光を斉射する。
「こんのぉー----!!!」
赤い色の幾何学模様のフィールドによってそれは防がれるが……大質量の船体まで受け止める事が出来るはずも無く、フィールドは崩壊。美しき巨大戦艦はまるで自身を剣に見立てたかの如く甲板へその艦首が突き刺し、漆黒の巨大戦艦を真っ二つに割った。重みにより自壊し沈みゆく双方の船体。最後に脱出した乗組員の群像達の目にした姿は、空へと聳え立つその艦首から発射された戦いの終わりを告げる想いの込められた美しい光の柱だったと言う。
こうして人類と霧の戦いは終わった。
……1人の少年と三人のメンタルモデルにより終わった戦争。その最大の功績者達は戦いが終わって数年、時間が経った今であっても安否は分かっていないと言う。
「……ぉーいイオナに姉妹達、三人とも生きてるかぁ?」
「色々と問題はあるがとりあえず生きてる」
「肯定だ艦長」
「とりあえず私達は問題ない」
――――分かっていないと言う。
・千早
本来の主人公である千早 群像の双子の兄として生を受けた転生者。主人公の成り代わり、イオナを受領。色々とゴタゴタがありながらも本来のクルーを揃えて彼女達と共に蒼き鋼として霧と戦い続け、世界を救った。彼の消息は不明で最後の戦いにて戦死したと考えられている。
・イオナ(イ401)
霧の巡行潜水艦イ401のメンタルモデル。
本来の受取人である群像では無く虹像を艦長とした影響か、アニメ版の見た目でありながら漫画版の性格に近い性格に成りつつある。最後はヤマト結合し、轟沈したと考えられている。
・イ400&イ402
主人公が違う事によって生まれたズレにより奇跡的に不完全ながら修復出来た二人。
彼女達の行動理念であるアドミラリティ・コードを忘れて、兵器としての存在意義を見失っていた所に改変版イオナが説得して仲になる。その後に行ったイオナとのデータ共有の影響で性格がソルティーロード版の二人に似て来ている。最後は虹像と同様イオナと共に沈んだと考えられている。
・千早 群像
物語の本来の主人公。主人公の影響でその立場が失われた今では性格が若干変化しており、本来あった挑戦的な性格が成りを潜めて合理的な考えを優先して動いている。
しかし、主人公がその鳴りを潜めた挑戦的な部分を補っている為にそのカバーに大忙しとなった影響でそうなったとも言える。
ムサシ決戦後、母の入った墓に兄と父さんがそちらへ行ったと涙ながらに報告したと言う。