不自然に揺れる振動に頭を支える柔らかな感触、それに加え妙に硬い感じを背中に感じ、俺の意識は覚醒する。
「……ッハ! ここは何処? 俺は誰?」
「ここは高機動車車内、そして貴方は私の艦長グーゾ―」
「なるほどなぁ……あと俺はグーゾ―じゃなくて虹像だぞ」
俺のボケにノータイムで答えるイオナ。俺は嫌いじゃねぇぜ、そのツッコミ。いつの間にか膝枕していたイオナの若い女子特有の感触と別れを告げると俺は体を何とか起こし、ふと眼前にあった窓の外を見る。地形から見てどうやらまだイタリカから出たばかりらしく遠くにはイタリカの城壁が見て取れた。しっかし状況から見てあの商人とボクシングした後俺は気を失ったのか……流石は俺の貧弱ボディだぁ、一戦ぐらい耐えれないモノかね??? あ、なんだイオナ、そんな事は艦長には無理だって? ……ショボンヌ。
「お、起きましたか」
「……ヌルポ」
「ッガ! ってなにやらすんですか!」
声をした方、つまりは前席の方へ目を向けると運転手に倉田さん、助手席には伊丹で丁度倉田は疲労の為か欠伸をしていた。何となく後ろを見ると目の前にはイオナがキョトンとした顔でこちらを見つめて来たので撫でる。
「おぉースウィート」
更に後方では大天使黒川さん、そしてその向こうにはレレイとロゥリィ、テュカがそろって仲良くお昼寝中だ。まぁあんなトラブルの後の移動時間だし皆気がぬけて眠くなるのも仕方ないよね。
「いやつい」
「ハァ……それにしてもこのネットスラング、そっちの世界でもあったんですね」
「あ、確かに」
のんびりとした雰囲気に車特有の規則正しい振動、そのダブルコンボで割と疲労困憊な俺は思わず眠くなってきてもう一度イオナに膝枕を頼もうとした時突如発生た急激な横G、つまりは急ブレーキによってそれは叶わなかった。
「フォビデゥンッ!!!」
だってバランス崩して足場に倒れちゃったからね! イオナの助けもあり、強く打った事による痛みの続く鼻をさすりながら何事かと倉田へと目を向けると彼は先を見つめているようだった。
「前方に煙が見えます!」
「また煙だぁ?」
伊丹と倉田がその首に下げてある双眼鏡で煙の正体を探る。俺もちょっと興味が湧いたので手持ちにあった双眼鏡を向け、覗き込んだ。
確かにそこにはこちらへと向かう正体不明の部隊らしき人が見て取れた。けれどどのような人物が馬に跨り、こちらへと向かっているかは煙が邪魔でよく見えない。
「ふむ、なんだろ?」
双眼鏡を離し、相手の正体を考え始めてたらハッキリと見えたらしい倉田から耳を疑うような発言が飛び出した。
「ティアラです! 金髪です! 縦巻きロールです!」
「「な、なんだって!?」」
思わず俺も倉田へと近寄る伊丹と共に素早く再度目標へと双眼鏡を構え、そして度肝う抜かれた。
「目標、金髪縦ロール1、男装麗人1、後方に美人多数!」
目を疑う光景とは正にこの事。視界の先には倉田が口にした報告通りのメンバーであり大変テンションの上がる光景だ! やべぇ、まるで同人誌の表紙みてぇ。
「薔薇だな」←伊丹
「薔薇だね」←虹像
「薔薇です!」←倉田
俺が居た日本にも宝塚歌劇団と言う文化は細々と残っていたりする。女性のみで編成されて歌や踊り、そして演劇を楽しませてくれる人達で規模こそ温暖化による飢餓と霧との大海戦の影響で縮小したが大昔から存在する由緒正しい劇団だ。まぁそのせいで敷居が滅茶苦茶高くなり、にわかオタクである俺には入る事の出来なかった世界だがいつかは見に行ってみたいと思っていた。だからこそ、こんな場所で彼女達にある種酷似した騎兵集団を見られるとは思いもしなかったぜ。
「俺、縦巻きロールの実物なんて初めて見ましたよ」
「俺は二度目だな、青髪のポ二-はある意味縦巻きロールだった」
「縦巻きロールのポニーテール……だと!?」
ようやく双眼鏡の必要ない距離まで近づき、よく目を凝らして見てみるが見事に女性ばかりだ。多分男もちゃんと混じってるんだろうけど、少なくとも見える範囲には男装の麗人しか見えない。ってかその中で金髪縦巻きロールって異質過ぎねぇか?
突如現れたまるで宝塚かの如き騎兵師団。それに対して無線から警戒の命令が飛ぶが、そこは部隊である隊長こと伊丹の鶴の一声でそれを解除。むしろ刺激しないように敵対行動を避ける命令まで出す始末……ナイスだ伊丹さん、後で飴ちゃんあげる。
そんでもって最初に接触したのは車列の前方を走っていた車両に乗り込む富田さんであった。
「────!」
「──―、────」
仮称白薔薇と話す富田さん。何を話しているかは分からないけど何とか無事に接触が果せそうだ。なぁーんて考えながらせっかくの宝塚、近くで見なきゃ損と考えた俺はイオナを残して車両から降りるであろう伊丹に続き俺も降りた。だけども俺の考えは甘かったらしい。その直後、後方より声を荒げる白薔薇の声が聞こえた。あ、コレはあれですか? やらかした奴ですか?
直後素早く騎馬の列が整えられ、それぞれの武器を構えられる。そして俺もいつの間にか回り込まれた兵士さん(多分女性)の剣が首筋に添えられていた。
「えっと、俺らに敵対の意思はないんですけど……」
「黙れ!」
後方より割とヒステリックに聞こえる女性の声。首筋に凶器を添えられ身動き取れず、交渉も不可能そうっと……うん、コレはヤバイですね!
【グーゾ―、ピンチ?】
おっと通信機越しにうちの問題児のエンジンが俺のピンチによって繋りかかってるのが分かるぞぉ。多分彼女に任せれば三秒とかからずにこの宝塚騎士団を制圧できると思うけど、俺の名が刻まれたピニャコラーダさんとの約束もあるし……どんな状況であれこちらから手を出すのは流石に不味いっピ!
【大丈夫、イオナは一先ず待機で】
【了解、待機する】
一先ずのピンチに思わず額に浮いたであろう汗を拭いたかったが、首筋に添えられた刀身がそれを許してはくれない。さぁーって一体どうしたものか。
「えっと、失礼。部下が何かいたしましたかね?」
なぁーんて考えてるとのんびりとした雰囲気で伊丹さん登場! やったぜコレで勝てるな、風呂入って来る。
彼は俺と同じオタクだが一部隊の隊長を任されているって事は難しい交渉も熟す事が出来る実力があるはずだ! 例え白薔薇から剣を向けられようとも。金髪縦巻きロールから睨まれ、再度白薔薇より降伏勧告されようとも────
「お黙りなさい!」
……ダメみたいですね。
金髪縦巻きロールが伊丹へ放ったスナップの効いた強烈なビンタ。コレが引き金となり、殺気立った自衛官およびうちの問題児。その直後、経験と直感的に今動かないとやべーっと判断した俺は勝手な行動をする前に俺は無線機越しに再度イオナへ命令を飛ばす。
【待機だイオナ、待機だぞ】
【……了解した】
うっすらと見え始めていた縦巻き金髪ロールの首元にチョーカー的なものが消失、俺は直感を信じてよかったと心から安堵した。まぁそんな事この薔薇の騎士団的な人達が知る由も無いんだけど……ま、死人が増えなかっただけ俺的にはOKです!
「逃げろぉ! とにかく、今は逃げろ!」
その後伊丹必死に逃げろと叫ぶように命じ、結果三台の車両はエンジンの怒号を響かせ土煙を上げながらはるかかなたへと走り去って行った。置いて行かれたある種不幸な男が二人。そして俺は同じ立場となった伊丹へ一言。
「やったぜ伊丹、コレでハーレムだぜ!」
「ちょ! 何で千早も車両から降りてんの!??」
まぁその伊丹からは心底驚かれたがね!
一番印象強いキャラは?
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コンゴウ
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ヒエイ
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ハルナ
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キリシマ
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タカオ
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アタゴ
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マヤ
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チョウカイ