「んで、隊長達は何をしてる訳?」
「いけぇぇトウカイテイオー、差しきれぇぇ!!!」
「ビヤハヤヒデお前ならイケるッ、そのまま逃げ切れ!」
ホルマル伯爵邸へと侵入した直後、それを察知して駆け付けたメイドの案内で伊丹達のいる部屋へ辿り着いた栗林達だったのだが……当の本人達は二人揃って携帯でアニメを見ていた。だからこそ、その様子を見た途端呆れた様子で栗林はそう呟く。
「FOOOOOO↑↑↑」
「WOOOOOOOOO!!!」
だけども二人の興奮は相当なモノらしく、突入して来た自衛隊員達の事に気付かずまるで初めてエロ本を見る青年かの如く画面を食い入る様子には思わず助けに駆け付けた富田は二人の趣味嗜好を理解しているが正直引いた。そして親の影響で多少競馬を知っている為に、二人がどんなシーンを見ているか容易に想像出来て胸の中がちょっと熱くなった。奇跡の有馬、アレは……良いモノだ。
「イタミ様、グーゾー様、アレに夢中でカマってくれない……」
「ケンタウロス族の亜種……でしょうか?」
「隊長ォォォォォォ!!!」
そしてその二人を忙しなく世話する髪がヘビなメイドさんとケモミミなメイドさんの姿を見て、倉田は嫉妬の炎を燃やす。何故なら彼は生粋のケモナーだからだ。自分は重い装備を身に着け、眠気の過る体調で暗闇の中コソコソと救出しに来たってのに当の本人は秋葉以上のクウォリティーを誇るメイドに囲まれアニメなんかを見ている。ふざけるな! ふざけるな! ふざけるなバカ野郎! 羨ましい、羨ましい過ぎるぞぉぉ! っと血涙(比喩)を流した。ついでに彼の中にいたランサーは自害した。
「「ナイスなネイチャ、最高過ぎんだろFOOOOO!」」
そんでもってライブシーンに移った画面。賑やかな音楽と共に容姿端麗なキャラクターが躍っている様は美しい。そして彼らは両者共有の推しキャラである子の投げキッスを食らい、そう言い残し興奮のあまり萌え死んだのだった。
「蘇生」
「カラミティ!?」「レイダー!?」「フォビデュン!??」
直後駆け付けたイオナよる蘇生術(拳)は無事成功したのは語るまでもない。
「なんで俺まで拳骨なんですか!?」
「倉田も艦長と伊丹みたいになってたから」
倉田は今猛烈に興奮し今感じている幸せを噛みしめ、この世の春を謳歌していた。
これまで難民エルフ娘やゴスロリ神官、そしてクール無口系の魔法少女やSFから出て来たような兵器系美少女などなど……伊丹の好むタイプばかり現れていた。なので何時も倉田は内心「ふざけるな! ふざけるな! ふざけるなバカ野郎! 羨ましい、羨ましい過ぎるぞぉぉ!」っと先ほどと同じ感想を抱いていたのだが……到頭自身の好みのタイプの女性が現れ、嬉しさのあまり泣きそうになった。
「この腕や過去の治療歴に対しての説明を要求する」
「いやその、これには訳がありまして」
「説明」
「否応なき事情と言いますか何と言いますか」
「
「……シャイ」
フローリングの床に正座して、どう見ても年下の女の子に問い詰められながら浮気がバレた旦那のような雰囲気で涙を流す男もいるが……それは別に無視でいいだろう。触らぬ神に祟りなし、何をしたか分からないが馬に蹴られて死ね。ってな訳で彼は目の前の猫耳美人、ペルシアへと好意の感情を表にしながら楽し気に会話するのだった。
他のメンバーはと言うと武闘派の栗林はヴォーリアバニーであるマーミアと妙に気が合ったようで話が弾み、傍から見ればガールズトークの如く雰囲気を醸し出している。まぁ、その内容は昨晩無双していた栗林をマーミアが褒めたたえるってな感じで何とも血生臭い話ではあったが。
レレイはメデューサ種のアウレアに興味深々なのか観察したり、特徴的なウニョウニョと動くヘビの様な触手にも似た髪を指先で突っついたりとしていた。
ロゥリィは、敬虔なエムロイ信徒らしい舞い上がった老メイドの推しに対してちょっと引いていた。珍しく怯えた表情も見せるほどだから相当なモノなんだろ。
テュカはテュカでヒト種のメイドさんであるモームに身に纏っている日本製の衣服の事を尋ねられて、わかる範囲で衣服の着心地を答えていた。実はこの伸縮性優れる素材で出来た体のラインがくっきり浮き出る衣服のせいで中々体型維持に油断出来なくて困っているのは彼女だけの秘密である。
そしてイオナの拷問の如き聴取により再度精魂尽き果て、真っ白に燃え尽きた虹像と同じく精神分析(拳)を受けた伊丹は富田達から状況の説明を受け、これからの対応を相談していたが……この和んだ空気に笑みが零れていた。
「なんだか和んじまったな」
「急いで脱出する必要も無さそうです」
「夜が明けたら残りのメンバー呼んで普通に正面から出ますか」
のほほぉーんっとした空気(一人だけ精魂共に燃え尽きてます)。深夜だと言うのにお茶まで出るリラックス空間(一人だけ自分の今後に頭抱えてます)。
「ま、今夜は文化交流ってことで」
まぁそんな雰囲気だったので誰も部屋に入って来たネグリジェ姿のボーゼス嬢の存在に気付くことが出来なかった。
「……」
誰も彼女の存在に気付いていない。
「……」
無視である。
「……」
シカトである。
「……」
ハッキリ言って現在真っ白に燃え尽きた虹像同様空気な扱いであった。
「……っく!」
ピニャの命により、自身の犯した失敗の責任を取る為涙を落しながら覚悟を完了させて伊丹が寝ている寝室へと赴いた……が、無反応。帝国内にて有力貴族とされるパレスティー伯爵家の次女を無視である。この扱いはどうか? 良い度胸である。ボーゼス・コ・パレスティーという存在は、雑巾にすら劣ると言うのか?
別に誰もそのような事は言っていないのだが、ヒステリーとかピニャからの重圧やらストレスやらで内心追い詰められていた彼女の中ではこの状況をそう解釈してしまった。もちろん人それぞれだと思うがボーゼスは無視される事をその高いプライド故に絶対に許さない。腹の底から湧いて出るドロドロとした怒りに彼女は両手を震わせ、そしてそれは行動になって表れてしまった。
「え、ボーゼスさ──―!? 「復ァ────フリーダムッ!?」──―なッ、虹像ぉぉお!?」
そしてその割を食ったのは白い灰から奇跡の復活した直後のバカだった。
※※※
「で、その傷は?」
「私がやりました……」
「ぁ"わぁー」
あ、ピニャ様が声にならない声で嘆きながら頭を抱えていてらしゃる。ま、自分の部下の不祥事だしそうもなるか。
ボーゼスに打たれた後、俺達はピニャ様の命により謁見の間と化した広間にて集められていた。
「大丈夫? グーゾ―」
「大丈夫だ、問題ない」
ぶっ壊れた義足はスーツと同じくイオナにナノってもらい修復してもらったので一応普通に歩けるようになったが、紛失した義手は見つからなかったらしいので俺の右腕は未だに袖がぷらーんだ。流石に右腕そのモノを修復するナノマテリアルの残りはなかったよ。
そんでもって今の状況だが、額に大きな紅葉を作った俺を見てピニャ様が見ての通り嘆いてるって感じだな。
「この始末、どうつけよう……」
「いや、俺自身こんな事しょっちゅう遭ってるから別に大丈夫なんだけどなぁ」
「謝罪は既に受けている、気にする必要はない」
「本人もこう言っている訳ですし我々としては隊長達を連れて帰りますので。それについてはどうぞそちらで決めて下さい」
「勝手に決めてよいっと」
「それは困る!」
レレイが通訳した内容をピニャ殿下へ伝えると彼女はまるで何かに弾かれたかの如く目を見開いた。な、なにが困るんすか? そちらで勝手に決めて良いと言ってるんだから何も困る事は無いと思うんだけど……ってか腹減ったなぁ。
「あぁそうだ! もうすぐ夜明けだ、どうせなら朝食なんかを一緒にどうだ?」
焦る様子のピニャ様が朝食のお誘いをしたタイミングでどうやら俺の体はこれから飯の時間だと勘違いしたらしく胃袋がぐぅ~っと悲鳴をあげた。
「「「……」」」
「……ごめん、昨日から何も食べて無くって」
広間に広がる何とも言えない空気。目線は揃って俺へと向けられ、正直恥ずかしい。けれど、その中でまるで希望を見出したかの如くピニャ様のお目目はキラキラと輝き出した。いや、俺も食べたいのはやまやまなんだけど正直アルヌスへと帰りたいってのが本音かなぁ。
「申し出は嬉しいのですが」
お、倉田くんよ。気の利いた断わり文句でも思い付いたのかな?
「実は伊丹隊長は国会から参考人招致がかかってまして」
「え、何。伊丹何かやべぇー事でもやったの?」
思わず伊丹の方を見ると本人に心当たりが無いようで焦った表情でブンブンと左右に首を振っている。っとなると部下がやった事……何かあったかなぁ?
「恐らく炎龍に襲われた難民達の件だ。難民達が襲われ、犠牲者が多数出た事には門の向こう側にも知られている。だからその事に関して招致がかかったのだろう」
「なるほどなぁ」
ん? でも待てよイオナ……そうなると俺達にも招致がかかるはずじゃ? そう疑問に思った瞬間イオナが俺にしゃがめと合図。ちょっと中腰になった途端耳元で囁くようにイオナは語った。
「日本政府はどうやら私達に関する情報は他国には伏せていたいらしい。恐らくギリギリまで他国には隠して外交におけるすべてをひっくり返すジョーカーとしておきたいのだろう」
「なるほどなぁ」
前の世界でも霧の技術を狙って国ぐるみでイオナを囲おうとした事は何度かあった。まぁその時は運び屋紛いの事をやって資金を調達してた頃だからほとんどが実力行使によるものだけど……今回は外交のカードかぁ。
「俺達、って言うよりイオナ達霧の力を将来的には我が物にする腹積もりかな?」
ま、そんな事は冗談でもさせねーけどな。
日本政府が誠意ある対応をしてくれるならある程度は俺も協力するつもりはあるけど……流石に彼女達は渡せないなぁ。彼女達霧の力は俺達人類にとってはパンドラの箱だ。無機質な物から生物にも変化できるナノマテリアル……これを異質と言わなくて何をいう。確かに彼女らの力が手に入ったら人類にとって大きな進歩には成るだろう、化学式から生物学までありとあらゆる分野に革命が起きるほどに。その証拠に何度か死にかけた俺がいるんだからな。けれど、この技術は人類の進歩と同時に大きな争いの火種にもなりかねない。昔海洋学校に通っていた頃に誰かがこう言っていたのを偶然耳にした。【行き過ぎた科学は人類の滅びを招きかねない】その当時はそんな訳ないって鼻で笑ってたが、実際に彼女達の力を俺の意志で振るえるようになってその言葉がドンピシャで笑えなかったものだ。だからこそ門の向こう側にいる日本政府がどのような手段であれ、彼女達を狙おうものなら……
「げ、元老院ッ!?」
おっと目の前のピニャ様を忘れてた。レレイの通訳、っと言っても彼女のなりの解釈を加えた内容を伝えたところ表情が激変。それはもう、見事過ぎるムンクの叫びだった。あー、携帯のカメラでパシャリといきたいけど流石に失礼だよなぁ。なんて他人事のように考えたからだろう。
「あ、そういえば千早さんも別件で国会に呼び出されてますよ」
追加で言い渡される倉田の発言に俺も同様、ムンクの叫びをあげる事となった。
ヘイヘイ 久しぶりに筆が進むぅー
一番印象強いキャラは?
-
コンゴウ
-
ヒエイ
-
ハルナ
-
キリシマ
-
タカオ
-
アタゴ
-
マヤ
-
チョウカイ