ゲート 蒼い鋼が何故そこに……   作:サソリス

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お待たせしました! 新刊の23巻が楽しみ過ぎて投降をサボってましたぁぁぁあ!!
ってかロリコンゴウ可愛いい。


雪景色に浮かぶ黒い雷鳴【東京湾防衛戦】
【25】


 雪降る季節の東京。銀色の景色が広がる空の元、突如として海面にて刹那に輝く漆黒の雷鳴がその開戦の合図だった。

 

「敵艦主砲発射」

「イオナ、ダウントリム最大で急速潜航。潜れッ!」

「仰角マイナス三十、キュウソクセンコー」

 

 俺の指示に従って船体を操るイオナ。鉄の軋む音が全体に響き渡ると同時にイオナ自身である船体の仰角が変化、手前に大きく傾き始めた。重力に釣られて体も傾き被っていた帽子がズレ落ちそうにもなるが落ちる前にその鍔を掴み深々と被り直す。同時にまるで地震に遭遇したかのような揺れを体全体で感じとれる。そして彼らしくも無い鋭い目つきで見つめるは自身が置かれた戦場をほぼ全て映し出されているメインモニターだ。

 

「第一射回避成功。先行させていたアクティブデコイからデータに基づきランダム回避運動を開始。同時に5番6番のアクティブデコイ、発射」

「やっぱり外敵である俺達に対して攻撃して来るよなぁ……」

 

 二つほど信号の増えたモニター、そこには味方を表す青の光と敵を表す赤の光が入り乱れ複雑に絡み合っている。その他にも様々な情報が表示され続けるが俺が注目するのは巨大な赤マークで記された一点のみ。

 

「400」

「重力子エンジン安定稼働中、強制波動装甲へ出力伝達良好。クラインフィールド展開可能だ」

「402」

「1から4番通常魚雷装填、残りはアクティブ魚雷を装填済みだ。既にコードは入力済み、何時でも発射が可能」

 

 家族のように過ごしてきたクルーでは無いが腕は確かであるメンタルモデルである二人の姉妹。その二人がサポートに着いてくれるのなら初めて戦うある意味庭しのようなホームグラウンドである横須賀近海での戦いは問題無く行えるだろうが相手をする敵艦の数は自軍よりも多い。だからと言って一隻でも逃せば最終防衛ラインとして出張っている俺達は意味を成さなくなり、遥か後方にある東京湾に入られると周辺に広がる街に確実に被害が出てしまう。だが、そんな劣勢な状況下だってのに俺は何故か胸の奥はワクワクとしていた。

 

「イオナ」

 

 けど、同時に不安も感じている。

 元の世界で最初の扱いはテロリスト紛いや闇で物資を運ぶ配達人。それがいつの間にやら世界の希望なんかを運ぶ羽目になり、最終的には霧の親玉を打ち取って恐らくだが世界を救う事となった俺達……だけども、それはあくまでも元の世界の話だ。この世界において俺達でしか相手する事が叶わない脅威を前に自国を防衛する為正しく脅威を理解出来ていない自衛隊員が出しゃばった真似をしないか心配だからだ。

 

「艦長、大丈夫だ」

 

 だからだろう。そんな様子を見かねか何時もよりニッコリと笑うイオナが声をかけて来たのは。

 

「自衛隊の艦艇や航空機は全てハッキングして動けないよにしてある。私達が負けない限り間違っても彼らに犠牲者が出ることはない。なに、いつも道理の戦闘だいつも道理に勝とう」

「……だな」

 

 確かにいつも道理の状況だ。そう思えて俺は思わず自覚できるぐらいには笑みを浮かべる。でもまさか回り回って別世界とは言えまたも数多くの誰かの命を守る為戦う羽目になるだなんて思っても見なかったぜ。

 

「そんじゃ()()()()()()戦、頑張ってやっていきましょうか」

 

 俺はモニターに映る謎の巨大戦艦を前にそう何時ものように言い放った。

 何故このような事態になったのか、何故別世界の海にて戦闘を行う事になったか……今更ではあるがそれを語るには別世界であるこの世界に降り立った日である5日前まで遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達……っというよりは俺を含めた現イ401クルーは国会への招集に従いテュカやレレイ、ロォリィの特地で知り合った三人組や何故か謝罪したいと同行して来た帝国第三皇女ピニャコラーダ殿下と騎士ボーゼスさんの二名と一緒に気が知れた第三偵察隊の同行の元、門を潜った先にある日本へと訪れていた。

 そんで門を潜った俺達だったんだけど……その先には俺も見たことも無い、まるで夢幻かのような光景が広がっていた。

 一面雪による銀世界。前の世界では温暖化によって滅多に見られなくなったそれは右を見ても左を見ても立ち並ぶ俺達にとってかなり古い作りのビル群を覆いつくし、俺の世界では既に海中へと姿を隠していた銀座の街を幻想のような風景へと変化させていた。

 そんな光景を眼前に唖然として呆然と立ち尽くす特地出身の五人とそんな風景をお手製のナノったカメラにて記録している400と402。そしてそれとは別に俺は歴史の教科書の中に入ったかのような錯覚に陥っていた。そして脳裏に浮かんだ感想はと言うと────

 

「あ、フランクフルト食べたい」

 

 ────何となくフランクフルトが食べたかったのだ。

 

「いや虹像どんな感想だよ、ソレ」

 

 そんな俺の様子を横で警備所で手続きを行っている伊丹があきれ顔を浮かべながら突っ込んできやがった。いやぁー今日は朝食を抜いてるので思わず、な? 

 

「グーゾ―。今はカロリーバーしかないが、食べて」

「ありがとイオナ……ってストロベリーか、美味いけどイマイチなんだよなぁ。まぁもらえるだけありがたいから別にいいが……ってかトレンチコート着てるのに割と寒いな」

 

 温暖化育ちの俺にはこの寒さは答えるぜ、何て考えながら手続きを終えイオナから受け取ったカロリーバーをもそもそと食べていると俺達へ話しかける者がいた。

 

「ッフ……伊丹二尉、ですね」

 

 まぁ俺達ってよりは伊丹へだったけども。それはともかく、彼らの見た目は俺の経験から言うに"いかにも"って感じの黒服集団。どうやら俺達へ話しかけた来た人物はそのちょっと怪しげな仕事をしていそうな男達の代表者らしき人物のようで、一見するに彼の姿は何処にでもいそうな中年のおじさんのようだった。まぁその身から滲み出る怪しさは隠せれ手無いけどね……夜中に出会ったら俺は悲鳴をあげる自信があるぞ。

 

「えっと何方様で?」

「情報本部から来ました駒門です。皆さまのエスコートを仰せつかっております」

 

 情報部……うん、名前からそのまま読み取るに日本版CIA(アメリカ中央情報局)とかMI6(イギリス秘密情報部)SVR(ロシア対外情報庁)みたいな組織かな? そんな彼の浮かべる笑みは確かに愛想の良い笑みではあるがその目はオレがロシアで相手した工作員と似たり寄ったりな感じで鋭く、全く笑っていない。それほどの切れ味を持った雰囲気を醸し出せるって事は相当な修羅場を潜ってるって証拠だろうし、相当の手練れだね。

 

「おたく……ホントに自衛隊員? どちらかと言えば公安の人じゃない?」

「フフフフッ、やはりわかりますか?」

「アンタほどこわぁーい雰囲気な人は生粋の自衛隊員で生まれる訳ないしね」

 

 二人の会話に付いて行けず俺はストロベリー味のバーをもそもそと頬張る。すると駒門と名乗った人物は先ほど浮かべた笑みとはまたジャンルの違う笑みを二ヤリと浮かべ俺とイオナを空気に話を続ける。

 

「流石は二重橋の英雄……ただモノじゃないね」

 

 伊丹はその返しが気に入らなかったのか偶々とぶっきらぼうに答えるけれど、二ヤリと浮かべる彼はそれすらもお見通しかのようにコートの内ポケットから黒革の手帳を取り出す。

 

「アンタの経歴、調べさせてもらったよ」

「何も無かったでしょ?」

「そうでもないね、結構楽しませてもらったよ」

 

 そして駒門が語るは伊丹の概略。俺も伊丹の横に居るから一緒に聞く填めになるんだけども……正直な感想伊丹はお世辞にも優秀とは言えないように感じられた。けれど何処となく程よく手を抜き優秀な生徒が普通を演じる、そんな杏平にも似た何を感じさせるモノだった。

 

「よく調べてるなぁ……」

 

 そんな彼のリサーチ能力に伊丹はあきれ顔で頭をカリカリと掻き始める。

 

「フフフ、そんなアンタの部隊内評価()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っとコテンパンだね」

 

 そう言ってハハハッっと笑い出すけど、俺は気が気じゃなかった。だって俺も海洋学校に通ってた頃メッキの千早って言われてたからさ。だからそう評価される辛さがわか────あ、なんか別に気にして無さそうな顔してる。伊丹って俺と同じオタクなのにメンタル鋼かな? 

 

「……そんなあんたが、何で()なんぞに」

 

「え、えぇぇぇぇぇ!????」

 

 伊丹が肩を竦めた瞬間、何故か栗林の悲鳴が響き渡った……え、どうしたのさ一体。

 何か何かと栗林の元へイオナと共に駆け付ける。え? 何でさん付けじゃないかだって? ちょっと門を潜る前に彼女とはOTOMODATIになれたからさ。

 ってのは置いといて様子を見てみると彼女はまるで何か見たくも無いモノを見たかのような表情をしながら頭を抱えたかと思うとビクビクと体を震わせブツブツ何かを呟く。呟き終わったかと思うと直後、突如狂った笑いを上げ始めた。え、何この人怖ッ! 

 

「特殊作戦群、通称特戦群。高度な訓練を受けた()()な自衛隊員しか入隊を許されず、任務内も極秘な特殊部隊の事だ」

「えっとつまり?」

「伊丹のキャラとは合っていない。恐らくだが栗林はこれまで自身の中にあった伊丹に対するイメージと現実とでの乖離性を受け止め切れていないのだと思われる。前にもあった事だ、問題無い」

「つまりは伊丹のギャップが栗林には受け止め切れない事だったのか……ってか前にもあったんかい」

 

 へぇーっとイオナの説明に納得と前にもこんな事があったのかっと疑問に思っていた所再度ッフフフっと駒門の笑い声が響く。

 

「へぇ~貴方が噂の謎の美少女Aさんですか」

 

「ほぉ、っとなるとご存じではないようですね」

 

 そして見せられた携帯の画面には確かにイオナの姿があった。ってかこれって倉田がノリで撮った写真じゃね? アイツの性格的に誰かに送る訳も無いだろうし何でそんな写真をこの人が……

 

「……この写真、何処で手に入れた」

 

 シリアスとした雰囲気でイオナが駒門を見つめる。そんな様子に彼は何を感じたのか更に笑みを深め、話を続けた。

 

「いやなに、コレはネットで運営されているある匿名掲示板にアップされたものでね。オリジナルの投稿は日本政府の要請によって既に削除されているが、コピーがそこら中に出回ってて……今では下手な有名人よりも君達は有名じゃないかな?」

 

 直後イオナの周りに幾何学模様が浮かび上がらせる。その様子に駒門や後ろの黒服達は驚いて、腰に手をやっているようだったけれどそんな事はお構いなしと処理を終え、彼女はその光を収めた。

 

「……確認した。確かに私達3人の写真がネットワーク上に無数にコピーが出回ってるようだ」

 

 マジか。こちらを振り返り告げられたイオナの言葉。その事を含め考えるにこれから先銀座での行動が難しくなると直感的に考えた付いた俺は、何かしらの打開策が無いか考え始める……けれど、イオナの報告はそれだけでは終わらない。

 

「更に艦長、困った事になった」

「一体どうしたんだ? 改まって」

「どうやら何者かの手によってネットワーク上に変形中の船体映像がネットに流出したようだ」

 

「……は?」

 

 正直言うにこの時のイオナが何を言っているのか、俺は全くもって理解できなかったのだった。




銀座編、スタートです。

一番印象強いキャラは?

  • コンゴウ
  • ヒエイ
  • ハルナ
  • キリシマ
  • タカオ
  • アタゴ
  • マヤ
  • チョウカイ
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