エルフの村へと招待された。
一言で表すと割と簡単な事なんだが、実際に体験してみると中々に難しい事でもある。それは何故かって?
「ひぇ〜、ふゅ〜」
「あんちゃん、体力ねぇーのな」
俺が根っからの海男だからだよ! 元から402と探索して体力を削っていたのもあってエルフのおやっさんの案内で歩き出して30分。案の定力尽きましたとも。ってか何故一日開けたりしてなかったんだよ! アレか、偏見とかバリバリ込みで考えるが交渉術のこも知らねぇだろ!
「それと比べて最近の人間の娘っ子は凄いなぁ」
「だな」
「もんだない。艦長は砲弾よりは軽い」
おい待てイオナ。お前いつの間に砲弾を持ち上げるなんて事してたんだ。アレか、前に硫黄島に帰った時に俺が実弾砲撃見てみたいと日向に頼み込んで実験してた時にでも持たされたか。ってか
「ふぅ~、ひゃぁ~……きっつ」
「水、いる?」
「……いる」
イオナから受け取った水を飲み飲み。うぅーん、やっぱりミネラルたっぷりの貴重な天然水は美味いなぁ。……どうせなら群像にも飲ませてみせたかったぜ。
そのままズンズン進み、自然たっぷりの草木茂山道から400と一緒に探索した時にあまり見かけなかった複数の獣などが通って出来上がったと思われる獣道、そして明らかに人の手で手入れされたであろう草木が見え隠れする道へと変化していった。その頃には流石に自分の足で歩かなきゃと思ってイオナから降りて自分で歩いていたが……スゲェな、この森ってここまで広かったんだ。
「前地球環境を考えるにこの場所は信じられないほど完璧に整っている」
「何が信じられなんだ?」
「この環境が、だ」
デイブの質問にイオナは答えるが、言葉足らずだったようでクエスチョンマークを浮かべている。
まぁそりゃそうだろうな。イオナが語っているのは前の世界の環境と比べての話だもん。前の世界の地球は海面上昇によって農地に仕えると土地が減って言ってしまえば人類が着実に迫っていた世界だ。だからこそ一切人の手が入っていない大規模な森が続いるのは信じられない事なんだ。遺伝子改造が施された食用植物だらけになった環境と比べると食用にもならない一切人類に特が無い無用な植物だらけで形成されたこの森はありえないよな。あ、栄養たっぷりのうんこ落ちてる。肥料に加工してぇー
「そろそろだぞ」
先頭を進むエルフのダンナの声(イオナボイス)に反応し、先を見てみると何とビックリ森が広がっていた……ってちげぇ! 何か背の高い木に引っ付いてるぅ!???
「オイ、イオナ。あれってアレだよな!」
「艦長のアレが分からない。中称的な表現ではなくちゃんと個体名で言葉にしてほしい」
「だからツリーハウスだよ! ツリーハ ウ ス ! すげー!」
高さは目測30から40メートルぐらいの高さだろうか、そこには明らかな人工物が設置――と言うより建てられており、ハッキリ言って目を疑う光景だ。だって巨大な木すら滅多に見なくなった世界であんな無駄な建造物、建てるはずないもんなぁ。ってか俺も海陽学園に通っていた頃に書物個で適当に暇潰しとして読んで無ければ名称すら俺、分かんなかっただろうよぉ……
「確かに外では俺も見なかったが、そんなに珍しいか? アレ」
「珍しいも何も初めて見たわ」
「固有名、ツリーハウス……凄い」
こうして、俺とイオナはエルフの暮らす町へと赴いた。
「……なんつうか、拍子抜け?」
「スムーズに交渉が進む事は良い事。ロシアでの二の舞を踏みたくなかったから良かった」
「あぁー、あの4か月戦争か。めんどくさかったよねぇー」
交渉は、エルフのダンナのお陰で想像してもいないほどにスムーズに進んだ。
最初、俺とイオナとで何とか交流を深めようと考えた結果ダンナとの交渉内容でもある外の世界の料理、つまりは俺達の世界の料理を振舞ったりした。え? 何で料理かだって? そりゃ決まってるゾ。俺の準備不足だ。仕方ねぇーだろ。急にこんな事になったんだ、ほとんど準備できなかったのと単純に俺が忘れてたんだよ!
まぁそんな訳でダンナが呼び出してくれた何人かのエルフに持参した……ってか遭難時に食べる用の食糧を加工して食事を振舞ったんだけど、当然最初は見た事も無い料理を前に全員が全員難色を示した。まぁ、納得ではある。急に訳も分からない外の人間が出した料理なんて食べれるもんじゃねぇーからな。だけども、此処で鶴の一声。この人達を呼んでくれたエルフのダンナが交渉に参加した。
その結果がもう、何と凄い。どうやらダンナはエルフの中でもかなり偉い人だったようで彼が最初に口を付け、そして美味いと絶賛してくれると他のエルフ達も続きそして同様の反応を示してくれた。その反応はそれはもう凄くてな、食べ終わらぬうちに外に待機してたと思われる匂いに釣られた数多くの奥様方が俺とイオナに駆け寄って来てその作り方を聞きに来たぐらいだ。いやーエルフの女性って皆容姿端麗ですね、ボイスがイオナでなければ誰かに恋の一つや二つしてたところだぜ。
まぁその後はトントン拍子で事が進み、俺は数日かけてエルフの皆と交流を深めていったのさ。
最初は料理。
美味しい料理、笑顔を生む料理。美味い料理を求めるのは万国、それどころか多種多様な種族共有だったようでその効果は前項の通り絶大。まさかそのおかげでたった三日ほどで身内判定されるまで馴染むとは思わなかったぜ。何だよ美味い人って、もう少しまともなニックネームが欲しかったぜ。
お次は情報。
どうやらエルフと言う種族は俺の考えていた通りに長い寿命を持つ種族なようで結果誰もが普通の人間と比べると博識。
割と身内と認めた人物には甘いらしく素直に疑問点を聞くと気分よく色々と様々な情報を教えてくれた。例えばこの村に名が無いって点だったりこの村にいるエルフは希少な、まぁ俺の知ってる単語から言うにハイ・エルフが数多く住んでいる珍しい場所との事。まぁその希少って点も普段物事に執着する事を良しとしない普通のエルフと比べたら知識に貪欲だったり、料理に拘ったりとするのが理由だとか。そんな彼らに俺はトランプゲームやマージャンなんかを教えた事は後悔していない。今では一部のエルフと毎日トランプする仲です。あぁーイセちゃん元気してるかなぁ。またヒュウガがどこが可愛いかと語り合いながらポーカーとかしてぇ。
そんで最後にまさかまさかの永住権。
彼らが俺達を完全に認めるのは本当に早くて次の週には家族判定だった事にはマジで驚いた。んで、冗談半分でこの町に船体を持って来て良いかと聞くと特に質問とかも無く皆が了承。船体の移送の際も手伝ってくれてホントに助かった。いやー、魔法ってすごいんですね。一部の重力を無視して持ち上げるとか。その光景を見たイオナが珍しく目を見開いて驚いてたには笑わせられたけど。
後から聞いた話だとダンナが俺の話した身の上の事を皆に話してたらしく、船=家と認識してくれてやっぱりここに住むにはその家を持って来たいってのを察してたらしい。エルフって意外と身内限定のお人好し集団なのかな?
「なんつうか、ホント早かったよなぁ」
「ん? 虹像どうしたの?」
「いやな、この紅茶うめーなぁーって考えてた」
そんなこんな出来事があって滞在が許され既に1週間。色々と面白いトラブルから命の危機に瀕して村全体でてんやわんやと成ったりと色々な事がありながら暮らし現在、エルフのダンナ事ホドリューさんの娘テュカさんと二人でティータイムを楽しんでます。
「あ、そういば最近村の中でいいものを見つけてね」
「また毒性植物? この前死にかけたばかりなのに懲りないね……」
「今度は大丈夫。前に402と探索した時に発見した植物と同じものだから」
そうやって俺が取り出すは一つのデザート。全体的に三角の多段構造、上部には煌びやかな装飾が施されたクリームが乗っており断層の一部から見える綺麗な赤色は作った俺でも綺麗だと思うほどだ。
「わぁ、綺麗」
「だろぉー 一応女の子受けするように作ったからな」
まぁ、つまりこれが何かと言うと――――異世界版ケーキだ。
「タップルの実を煮詰めて作ったジャムを使ったケーキと呼ばれるデザートだ」
ってか異世界の植物ってホントに凄いよな。
サトウキビとは比べものにもならないほど細い若竹に似た植物を数分間煮詰め、作った砂糖とヤギに似たダンゴムシのようにクルクルと転がる動物の乳、そして明らかにこの世に存在しちゃいけないであろう見た目をした生き物? の卵で作ったクリームはまるで粘土のように自由自在に超加工しやすくてびっくりしたわ。でも面白半分でイオナの船体作んなきゃよかったなぁ……まさか対抗意識が燃えて普段欲を言わない400と402があそこまで強請るなんて、さ。
「でざーと?」
「四の五の言わずに食ってみやがれ」
俺のススメでまるで割れ物を扱うかのようにフォークにてパクリと可愛く食べる。変化はハッキリ七変化。疑う顔は一変、その未知なる甘さと美味しさに甲高い声を上げながら喜び出す。その間、俺達の間に特は言葉は無い。
俺は学んだんだ。エルフが本気で美味し過ぎて喜んでる時は言葉を話す事は無いってさ。
そんなテュカの喜ぶ顔を御菓子に茶を楽しんでいるとピピピと翻訳機から呼び出し音。俺は一言喜びに震えるテュカに言い残すと席を外し、通信に出た。
「こちら虹像。状況知らせ」
【こちらイオナ。予定通りフルメンテナンスに入る】
今回珍しくイオナと行動してない理由がコレだ。この世界に転移して以来イオナ達に不具合事態などは今の所まだ見つかってはいない。
けれど彼女達は人間の姿形、近しい性格をしていても機械なんだ。この言わば次元移動にてどんな影響があったか予測できない。だから心配した俺は一度検査の為にコアも含めて全てをメンテナンスしようって提案し、それが了承されて今に至る訳だ。
「了解。ゆっくり姉妹そろってメンテしておいで」
一週間過ごして分かったがこの村は幸い俺が不注意で死にかける事態に陥る以外は平穏そのモノだ。だから問題ないと判断したイオナ達は短時間で終わらせる為、三人一気にメンテするとになったのだ。ま、だからこそ三人の要望でメンテの間は俺と仲が良く、村一番で腕が良いホドリューさん家でティータイムを楽しんでるんだけど。それにしてもホドリューさん、遅いなぁ……あの人の性格を考えてどうせどっかで女性でも引っかけて遊んでるんだろうなぁ。
【わかった、ゆっくりしてくる。―――通信終了】
ブチっと通信が切れて翻訳機の機能に切り替わりそれから聞こえるはテュカの喜ぶ声だ。イオナボイスじゃないってのがミソだな。翻訳機がアップデートされてよかったぁ。なぁーんて考えながら俺は席に戻り、お茶を再度啜るのだった。にしてもう美味い茶だぜ。
え? 今回ご都合主義が過ぎるって? 良いんじゃないかなぁー別にこんなのでも。