地球。
みんなもよく知っている世界に似たその惑星には、怪獣やウルトラマンは存在しなかった。
この物語の主人公、
「新一、夢子ちゃんが来たわよ」
(夢子だって?)
「いないって言って!」
扉が開き、醜い顔の女が入ってくる。
「新一くん、照れなくていいのよ」
「照れてなんかいねえわ!」
「またまた」
「言っただろ、もう来んなって!」
「なんでよ?」
「俺はお前には興味ねえんだよ!」
ぐすん、と涙を流し始める夢子。
「そんな。新一くんは私が嫌いなのね」
「あ、いや、そうとは言ってないけど」
「じゃあ好き?」
(気持ち悪いなこいつ)
「あ、あのさ、夢子? 俺はね、何度も言ったけど、女の子と付き合うつもりは、今はないんだ」
「私にはあるわ」
「お前にあっても俺にはねえんだよ!」
「いいわ。いつかあなたが付き合ってくれるまで、毎日来てあげる」
「いや、もう来なくていいよ」
夢子が部屋を出ていく。
入れ替わりに母親がやってくる。
「あんた、夢子ちゃんと付き合ってあげなさいよ」
「なんでだよ?」
「だってあんた、彼女いないんでしょ? 夢子ちゃん、いい子よ」
「母さんには関係ねえだろ」
「関係あるわよ。あんたに子どもができなきゃ、うちの血筋が途絶えるでしょ」
「血筋ってなんだよ?」
「え? 私、そんなこと言ったかしら?」
「言っただろ」
「気にしなくていいわよ」
母親は出て行った。
(なんなんだよ?)
「きゃああああ!」
外から夢子の悲鳴が聞こえてきた。
「どうし……!?」
新一が窓越しに表を見ると、夢子が怪人に襲われていた。
(なんだあれ? 映画の撮影か?)
「助けて!」
(ではなさそうだ)
新一は表に出ると、怪人を蹴り飛ばした。
「お前、正体を見せろ!」
「グギギ……」
(言葉が通じないのか?)
怪人が新一を凝視すると、その目が光った。
「……?」
怪人はその場から逃げ出す。
「新一くん、助かったわ」
「襲われる心当たりは?」
「ないわよ」
「着ぐるみってことは、正体を隠したいのか」
「あれは着ぐるみじゃないわよ」
と、どこからか女性の声が聞こえた。
「え?」
声のした方を見ると、端正な顔立ちをした女性が、電柱の上に立っていた。
女性は電柱を蹴ると、飛び降りて着地した。
「久しぶりね、ディサイド」
「ディサイド?」
「あら? ディサイドリングはどうしたの?」
「結婚はしない主義だ!」
「そもそも私を覚えていないみたいね」
「誰だよあんた?」
「
「その香奈子さんは、俺を知ってるのか?」
「リングを見つけなさい」
夢子が新一に訊ねる。
「誰と話してるの?」
(こいつ、夢子には見えないのか?)
香奈子は夢子を見る。
「これ、あなたの彼女?」
「違うよ」
「ならいいわね」
香奈子が夢子の体に入り込む。
「え?」
力を失った夢子が崩れる。
「夢子?」
夢子が光に包まれ、香奈子の姿になり、起き上がった。
(なんだ?)
「しばらく借りるわよ……って、聞こえないか」
「お前何者なんだ?」
「答える必要はないわ」
「そうかよ」
新一は家に入る。
「母さん!」
「どうしたの?」
「見知らぬ女が指輪知らねえかだって」
「指輪?」
「ディサイドリングって言ってた」
「ディサイドリング!?」
「知ってるのか?」
母親が不思議な形をしたリングを取り出す。
「あなたが産まれた時にはめていたものよ」
「赤ん坊が指輪なんかはめて産まれるかよ」
「あなたはね、特別な使命を持って産まれてきたのよ」
「はあ?」
母親がリングを渡す。
「これをはめれば、あなたは力を取り戻すわ。けど、それは過酷な運命よ」
「力?」
「行くのよ、ディサイド」
「母さんまで。ディサイドってなんだよ?」
「話はまとまったみたいね。行くわよ」
と、香奈子が入ってくる。
「ここ俺の家……」
香奈子は新一の手を掴むと、外へと駆け出した。
「おい、ちょっと!」
二人の前に線路が出現し、列車がやってくる。
「ディシディア。これに乗れば、あらゆる世界に行けるわ。この星に怪人が現れたのも、世界の滅びが始まってるからよ」
「ちょっと待て! 何がなんだかわからない!」
「説明してる暇はないわ」
香奈子が新一を強引に列車へ乗せる。
扉が閉まり、走り出す列車。
列車は異空間へ突入し、別世界へと向かう。
「どこへ向かってるんだ?」
「ウルトラマンレオの世界よ」
「なるほど。レオの撮影現場へ行こうってわけだな」
「撮影? なんの話?」
「ウルトラマンはな、実在しないんだよ」
「そういうこと」
不敵に微笑む香奈子。
「これから向かうのは、ウルトラマンが実在する世界よ」
(そうか。俺は夢を見てるんだな。夢子なだけに)
列車が異空間を出る。
「どうやら着いたみたいね」
列車が止まる。
二人は列車から降りた。
「こ、これは……」
昭和のような街並み。
「おーい、君たち」
遠くから男性が近づいてくる。
男性はMACの制服を着ていた。
「あ、あなたは!」
言わずと知れた、レオの真夏竜だ。
「ま、真夏竜さん!」
「真夏? 何を言ってるんだい。僕はおおとり ゲンだよ」
「ウルトラマンレオのな」
「……!? 君たち、僕を知ってるのか?」
「三鶴城 香奈子。こっちはウルトラマンディサイドよ」
「ウルトラマンディサイド?」
「世界の滅びを阻止しにきたのよ」
「世界の滅び? 一体何を言って……?」
空に、暗雲が集まってくる。
暗雲は雷を轟かせ、星人を呼び出した。
「あいつは?」
と、疑問符を浮かべるゲン。
そこへ、ダンがやってくる。
「この二人なら任せろ」
「私たちなら大丈夫よ」
「いや、しかし……」
新一はディサイドリングを取り出す。
「なんだかわかんねえけど、戦えってことか」
新一はリングをはめると、巨人へと変身した。
ウルトラマンディサイド。