インフィニット・ストラトス 転生者複数物語   作:鳥の羽

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最終戦後の第十話

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 sido 一夏

 

 ーーー勝てる!

 

 一撃当てればいい。よく解らなかったけど、白式からそういう何かを感じ取れた。だから遼が隙を見せた時、俺は本気でそう思った。

 

『試合終了。勝者ーーー風間遼』

 

 遼の攻撃も当たって無いのにブザーが鳴って遼の勝利を告げた。

 

 多分、俺は全力で『何で?』って顔をしているだろう。遼は呆れたような顔をしてた。

 

「色々言いたい事もあるし、そっちのピットに行っていいか?」

 

「良いぜ。はぁ、負けちまったな」

 

 俺達はゆっくりピットに戻る。

 

「経験の差だろ」

 

「でも、セシリアに勝てたぞ」

 

 今日戦った三人で一番の経験豊富なセシリアが一番成績悪いって皮肉だよな。

 

「油断と慢心は実力を低下させる。今度戦ったら、俺らがボロ負けするかもしれないぞ」

 

 

 

「織斑君、風間君。お疲れ様」

 

「織斑は結果を見れば一勝一敗だが、内容は無様だ。明日からは訓練に励め。暇があればISを起動しろ。いいな」

 

「……はい」

 

 頷くしか無いよなぁ。

 

「風間はISの性能や能力に頼り過ぎだ。それを崩された時の対応方を身に付けろ」

 

「了解です」

 

「えっと、ISは今待機状態になってますけど、織斑くんが呼び出せばすぐに展開(オープン)できます。ただし、規則があるのでちゃんと読んでおいてくださいね。はい、これ」

 

 どさっ。どさっていったよ、今。すげえ分厚い上に、一枚一枚めちゃくちゃペラ紙なんだけど……何ページあるんだよ、これ……。

 

「何にしても今日はこれでおしまいだ。私はオルコットの所に行く。お前らは帰って休め」

 

 敬う気持ちのない命令だった。半分が優しさで出来ているという錠剤を見習って欲しい。

 

「帰るぞ」

 

 はい、出ました。俺の周りの優しさ欠乏症人物ナンバー2。名前は箒って言うんだけどね。俺の幼なじみなんだけどね。

 

「待てよ、一夏」

 

 帰ろうと思ったら遼に呼び止められた。

 

「話す事あるって言ったのによく帰ろうと思ったな」

 

「わ、悪い」

 

「まあ、いいけど。話は今度にしてやる。約束忘れんなよ」

 

「ああ、分かってるって」

 

 本当にやりたくないんだなぁ、遼のやつ。

 

「織斑君、そう言えば私も約束してたね」

 

「えっと……。勝ったらご褒美ってやつ?」

 

「むっ」

 

 何故か箒が機嫌を悪くする。

 

「そう。何がいい……かし…ら……」

 

 ドサッ。

 

「えっ?」

 

 ティア?何で倒れたんだ?

 

「おい大丈夫か!?トレイター!山田先生、保険室と養護教諭に連絡して下さい」

 

「は、はい!」

 

「一夏、篠ノ之。お前らトレイターを看てろ!下手に動かすなよ。やばそうだったら先生に病院に連絡してもらえ。俺は織斑先生に伝えて来る」

 

「わかった」

 

「了解した」

 

 スゲエな、遼。こんな時でも冷静に指示を出してる。それに比べて俺はクラスメイトが倒れたってのに……くそ!何も出来ないのか!

 

 

 

 

 その後は山田先生から連絡を受け取った養護教諭の指示でティアを保険室まで運んだ。

 

 詳しくは聞いてないけれど、ティアの病気は動かしたら悪化するものじゃなかったらしい。

 

 今は保険室で寝ている。何も出来なかったのが悔しくて看病の手伝いを申し出た。

 

「……う、うーん」

 

「ティア!大丈夫か!?」

 

「あれ?……織斑君?」

 

 良かったぁ。目覚ました。

 

「どうしたの~?何か酷い顔してるよ~」

 

「まったく、誰のせいだと思って」

 

 まあ良いや、無事ならそれでいい。

 

「先生を呼んで来ないとな」

 

「呼ばなくていいよ~。もう帰るから~」

 

「ダメだって、無理して悪化したらどうするんだよ」

 

 起き上がろうとしたティアを寝かせる。安静にしてないとダメだろ。

 

「む~。大袈裟だよ~」

 

 それから数分。カチコチと刻む時計の音、爽やかになびかせる風の音。静かだ……ちょっと落ち着かない。

 

 ティアはちゃんと横になっている。寝ているという訳ではみたいだな。

 

「ね~織斑君」

 

「どうした?」

 

「私は退屈だよ。でも何もさせてくれない織斑君は~、私の退屈を紛らわす義務があると思うよ~」

 

「……何すればいいんだ?」

 

 こういう時、女子には逆らわない方がいいと経験が告げている。

 

「とりあえず話し相手になって下さいね~」

 

「わかったよ。……なら、……ティアは倒れた理由に心当たりはあるのか?持病でもあるのか?先生たちは心配ないみたいに言ってたけど」

 

 心配ないって言われたからといって心配しないでいられない。

 

「う~ん、とね。私が倒れたのは別に持病って訳じゃないんだよ。どちらかと言えば体質かな~?」

 

「体質?」

 

「そ~。私はちょっと集中し過ぎるとね、脳が常人以上に働くの。私はそうなるとスイッチが入ったなぁって感じがするの。けどね、それが長く続いたら、脳が耐えれなくてダメージを受けるの」

 

 それって……。

 

「つまり、ティアが倒れたのは俺のせいって事か」

 

 しっかりした、のんびりしてない状態がスイッチが入ったって事なら、たぶん俺の修行の時、ティアはスイッチが入った状態だった。そのせいでティアが……

 

 唇を噛みしめる。自分が情けない。

 

「えいっ!」

 

 コツン、と頭に何かが当たる。

 

 顔を上げるとティアが握りこぶしを俺の頭に当てていた。

 

「ティア?」

 

「間違った事を言う織斑君にはお仕置きです。ここには出席簿がないから拳骨です」

 

 出席簿って千冬姉じゃないんだから。

 

「勘違いしてるみたいだけど、別に織斑君が悪い訳ではないんだよ~。毎日二、三時間程度なら薬を飲んでおけば問題ないの。ただ私が薬を飲むのを忘れてただけで」

 

「でも……」

 

「でもも、すもももないよ。わからず屋の織斑君には私、プンスカだよ~」

 

「はははっ。プンスカって」

 

 笑った。せっかくティアが笑わせてくれたんだ。今は暗くなるのは止めておこう。

 

 

 

 

 

「そ~言えば、織斑君」

 

「どうした?」

 

「結局、ご褒美どうするの~?」

 

 倒れる前に言ってたやつか。

 

「別にいいよ、遼には負けちまったし」

 

「そっちは関係ないかな~、だって約束はオルコットさんとの試合の事だもん」

 

 あんまり納得したくねえけど、引きそうにないな。

 

「じゃあ、一つだけ」

 

「エッチなのは、だめだよ」

 

「いやいや、そんな事は頼まないよ!……俺の事は一夏って呼んでくれよ」

 

 一夏でいいって言ったのに、ずっと織斑君だもんな。何か壁があるみたいじゃんか、仲良くしたいのに。

 

「それで良いの?」

 

「ああ」

 

「……じゃあ、一夏君。……これで良い?」

 

「!」

 

 名前を呼ばれただけなのに、その時の俺は凄くドキドキした。

 

 それだけティアの笑顔は可愛いかった。




第十話投稿です。
この話でとりあえずクラス代表決定戦編は終了です。
次のクラス対抗戦編はある程度書けてから投稿するつもりなのでしばらく後になります。

本作を読んで下っさている皆様ありがとうございます。
感想、アドバイス等ありましたらお願いします。
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