[3]
sido遼
「ちょっと、よろしくて?」
「へ?」
二時間目の休み時間、一夏と話をしているといきなり声をかけられ、一夏がアホみたいな声をあげた。『へ?』はどうかと思うぞ。
話しかけてきた相手は金髪の無駄に偉そうな女だった。
「聞いてます?お返事は?」
「あ、ああ。聞いてるけど……どういう用件だ?」
一夏の答えに、目の前の女子が甲高い声をわざとらしくあげた。……ウザいな。
「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
それ相応の態度か……。
「ああ、一夏さっきの話の続きだけど、トワイライトってのは世界で活躍するバンドグループで、あのトレイターはそのボーカルなんだよ。しかも、トレイター自身はソロではアイドル活動的な事もしてる。まあ、最近ISの代表候補生になったみたいだからその事はあまり知られていないけど」
「へえ、だから自己紹介の時あんなに盛り上がってたのか。スゲエな」
「ああ。トワイライトでも一番人気だからな、あの反応も仕方ないってもんだ」
ウザイ金髪を無視して一夏との会話を再開した。
「ちょっと!無視しないでいただけます!?」
「なんだよ。相応の態度をとってるだけだろ。お前が言った事じゃねえか」
いきなり来て偉そうにする初対面の女、無視するだろ。良い奴なら駄目な態度に対して注意や説教をするかもしれないが、残念、俺は良い奴じゃない。
「バカにしてますの!」
「最初から人を見下している奴をまともに相手にする必要はない」
バカにしてるのはお前だろ。もう帰ってくれないかな。
キーンコーンカーンコーン。
三時間目開始のチャイムが鳴った。良かった、やっとこの喧しい声から解放される。
「っ……またあとで来ますわ!逃げないことね!よくって!?」
よくない。もう来ないでくれ。
「あんな事言ってよかったのか?」
「いいんだよ。俺はああいう態度の奴はイライラする」
「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
一、二時間目とは違い、山田先生ではなく織斑先生が教壇に立っている。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。クラス代表者は対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」
ざわざわと教室が色めき立つ。
「はいっ。織斑君を推薦します!」
一夏か、あいつなら人柄的にも悪くないか。
「私は風間君を推薦します!」
俺かよ、俺には無理に決まってるだろ。
「ちょっと待て。俺より相応しい人がいるだろ。辞退させてくれ」
「風間。席に着け、これは自薦他薦問わずに拒否権はなしだ」
な!理不尽だろ、それは!
「一夏、お前も何か言ってくれよ」
「お、俺!?」
何、他人事の様に驚いてんだよ。自分が推薦された事わかってなかったのか?意外とバカなのか?
「お前ら、席に着け何度も言わせるな、邪魔だ」
「ですが---」
一夏が頼りにならないので一人で反論を続けようとした俺を、あの甲高い声が遮った。
「待ってください!納得がいきませんわ!」
バンッと机を叩いて立ち上がったのは、あの金髪だ。
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃいるのですか!?」
反対するのは良いが言っている内容はクソだな。
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
まだまだ騒ぎ続ける金髪。俺からしたらそっちの方が猿だ。見た目とかじゃなく、行動が。
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとって耐え難かい苦痛で--―」
プツン。何かがキレる音がした。
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
「キーキー喧しいぞ、騒ぐな猿が。いくら騒いでもバナナは出ねぇぞ」
ここまでムカついたのは久しぶりだ。一夏は思わず言ってしまったって感じだが、あの一夏が口に出してしまうほどだ。かなり頭にきたようだ。
「あっ、あっ、あなた達ねえ!わたくしと祖国を侮辱しますの!?」
自分が先に侮辱した事もわからないのかよ。わからないから猿なんだよな。
「決闘ですわ!」
「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい。遼はどうする?」
「俺も構わない。躾のなってない猿にはお仕置きが必要だ」
「ハンデはどのくらいつける?」
「あら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなーと」
一夏がそんな事を言い出した。おい一夏この時代にそんな事を言うと--―
クラスからドッと爆笑が巻き起こった。
「お、織斑くん、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
「織斑くんは、それは確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」
まあ、こうなるわな。仕方ないといえば仕方ない。
「……じゃあ、ハンデはいい」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。」
何でそんな自信過剰なのか理解できない。
「さて、話は、まとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコット、そして風間はそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」
ぱんっと手を打って織斑先生が話を締める。
俺は大丈夫だが、一夏はどうするつもりだろうか?まあ、先生の弟だし問題ないか。
俺は自分の事に集中して授業を聞く事にした。
今回は男子二人とセシリアの絡み。
作者的に登場時のセシリアは嫌いですね。
変えると話がおかしくなるので変えませんけど。