インフィニット・ストラトス 転生者複数物語   作:鳥の羽

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初日終了の第四話

 [4]

 

 sido 一夏

 

「い、意味がわからん……。なんでこんなにややこしいんだ……?」

 

 とにかく専門用語の羅列なのだ。

 

「一夏、それはややこしいんじゃなくて、勉強してなかったお前が悪い」

 

「遼~。ISの事教えてくれよ~」

 

 こうなったらもう一人の男子、風間遼に頼るしかない。

 

「無理だ。俺は一夏みたいなバ……もとい、一夏に教えれるほど頭は良くないから」

 

 何か不本意な事を言われた気がしたけど、気のせいだろう。

 

「ああ、織斑くん。まだ教室にいたんですね。良かったです」

 

「はい?」

 

 呼ばれて顔を上げると、副担任の山田先生が書類を片手に立っていた。

 

「えっとですね、寮の部屋割りが決まりました」

 

 そう言って部屋番号の書かれていた紙とキーをよこす山田先生。

 

「俺の部屋、決まってないんじゃなかったですか?前に聞いた話だと、一週間は自宅から通学してもらうって話でしたけど」

 

「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいです。……織斑くん、そのあたりのことって政府から聞いてます?」

 

 最後は俺にだけ聞こえるように耳打ちしてきた。

 

 ちなみに、政府って言うのはもちろん日本政府。

 

「そう言うわけで、政府特命もあって、とにかく寮に入れるのを最優先したみたいです。相部屋ですが我慢してください」

 

「?。相部屋って遼と違う部屋なんですか?」

 

 男二人の相部屋はそこまでおかしな話でもないと思うのだが。

 

「俺はしばらく家から通学だな……」

 

「え?政府に寮から通学しろって」

 

 遼も男性操縦者なのだから保護や監視が付くはずなのに。

 

「人の話を最後まで聞けって、小学校で習わなかったか?」

 

「わ、悪い」

 

 怒られた。遼って偶にきつい言い方するよな。

 

「俺の所属企業は日本政府と仲が悪い。だから政府も口出ししてこない」

 

「いや、仲が悪いからって口出ししないわけないだろ」

 

「……チッ。一夏なら納得すると思ったが」

 

「え?何だって?」

 

 遼が何かを言っていたが声が小さくて聞こえなかった。

 

「何でもない。本当は口止めされているから言えないだけだ。企業に所属すると色々あるんだよ」

 

「それならそうと最初から言ってくれよ」

 

 内緒にされるより話してくれた方が嬉しいしな。

 

「そろそろ時間だから帰るわ。寮で変な事するなよ」

 

「しねえって、そんな事」

 

 遼は少し笑ってから、千冬姉達にあいさつして帰って行った。

 

 なら、俺もとりあえずは寮の部屋に行こう。

 

 

 

 

「えーと、ここか。1025室だな」

 

 俺は部屋番号を確認して、ドアに鍵を差し込む。あれ?開いてるじゃん。不用心だな。

 

 部屋に入ると、まず目に入ったのは大きめのベッド。それが二つ並んでいる。

 

「誰かいるのか?」

 

 ---何か、すごく、いやな予感が、こう、足下から、ぞわぞわと。

 

「こんな格好でですまないな。シャワーを使っていた。私は篠ノ之---」

 

「---箒」

 

 シャワー室から出てきたのは、今日再会を果たした幼なじみだった。そして相手が女子だと思ってそのままの格好で出てきたのか、箒はその体にバスタオル一枚を巻いただけの姿だった。

 

「い、い、いちか……?」

 

「お、おう……」

 

 俺が頷くと、ボッと顔を真っ赤にする箒。そりゃあ、まあ、シャワーから上がってすぐに異性がいたらそうなるだろう。

 

「な、な、なぜ、お前が、ここに、いる……?」

 

 ギギギ……という音が聞こえてきそうなほど、ぎこちない動きで俺に聞いてくる箒。

 

「いや、俺もこの部屋なんだけど---」

 

 そこからの展開は早かった。箒は即座に壁に立てかけてあった木刀を取ると、一回転して上段打突の構え。そこから一気に間合いを詰めてくる。---って死ぬ!

 

「うおおっ!?」

 

 俺はベッドから飛び降りると一目散にドアを目指した。

 

 バタン!

 

 ドアの向こう側へと間一髪の脱出。

 

 顔の真横から木刀の切っ先が突き出していた。おい、このドア木製だぞ。紙の障子とかじゃないんだぞ。それを木刀で貫通するって言うのはどういう技術があれば可能なんだ。

 

 ズドン!

 

「って、本気で殺す気か!今のかわさなかったら死んでるぞ!」

 

 数秒前まで俺の頭があった場所にまた鋭い打突が飛んできた。

 

 俺はすぐさまドアから距離をとる。そのままいたら絶対殺される。

 

「あれ?」

 

 何かおかしい気がする。何だろ。

 

 わかった!人が全然いないんだ。寮でこれだけ騒がしかったのに誰も来ないってのは変だ。

 

 何かあったのか?

 

 ♪~~~♪~~~♪~

 

「ん?なんか歌が聞こえる」

 

 聞いた事のある曲だな。多分、テレビのCMとかで聞いたんだと思うけど。

 

 どこからだろ?どこかの部屋から漏れてきているわけではなさそうだけど。

 

 ワアァァァァァ

 

 割れんばかりの歓声と拍手。

 

 これはエントランスの方からだ。

 

 俺はエントランスに向かう事にした。寮のエントランスはかなり広い。下手すれば百人近く入りそうなスペースだ。

 

 そして、今そのエントランスに数十人集まっている。その中心は……

 

「トレイターさん?」

 

 ギターを奏で歌を歌っていたのは普段ののんびりした女の子じゃなく、凛々しい雰囲気を纏っていた。

 

 そして俺はその姿に見蕩れていた。

 

 

 

 

 

 sido ティア

 

「失礼します。織斑先生、今よろしいですか~?」

 

「ああ、構わん。何の用だ?」

 

 少しお願いしたい事があったので織斑先生を訪ねてみました。

 

織斑先生は寮の寮長だそうなので、寮での事はやはり寮長さんに頼むのがいいですね~。

 

「エントランスや寮の周辺で歌やギターの演奏をしたいのですよ~」

 

「お前がその類いの仕事をしているのは知っているが、ここで金稼ぎは許さんぞ。せめてデザート券程度にしておけ」

 

 いやはや、こちらの目的までお見通しでしたか~、さすがです。ちなみにIS学園は基本的に食事は無料です。ただし、一部のデザートやお菓子はそれに含まれない。

 

「では~」

 

「消灯時間等の刻限、最低限のモラルを守ればな。後は好きにしろ」

 

「ありがとうございます~。早速、今日からやらせていただきますが、織斑先生も聞いていきませんか?」

 

「時間があればな」

 

 私は頭を下げて立ち去りました。許可ももらいましたし、エントランスに行きますか。

 

 

 

 

 エントランスの人はまばら。今から歌を歌うかと思うと私の中のスイッチが切り替わる感じがする。

 

「さて、と。マイクなし、アンプなし、あるのはギターと私の声だけ」

 

 場所は広いし、今私を見ている人はいない。路上ライブを思い出す。

 

 いきますか、IS学園最初のライブ!

 

 ♪~~~♪~~♪♪~

 

「え!?この曲って」

 

 近くにいた生徒がこちらに気付く。

 

「トワイライトの!」

 

「生でティアの歌が聞けるなんて!」

 

 一人、一人と生徒がやって来る。

 

「♪♪~♪~~~♪」

 

 ♪~~♪♪~♪~~

 

 周りの音が聞こえない。自分の声とギターがやけに大きく聞こえる。

 

 まるで自分一人になったような感覚。周りが盛り上がっているのか静かに聞いてくれているのかもわからない。

 

 でも……

 

『楽しい!!』

 

 ♪~♪~~♪

 

「ふぅ」

 

 何曲か歌い終え、一息つく。今日はこれで終わりね。

 

「皆さん、聞いてくれてありがとう。今回はこれで終わりだけど……」

 

 ええ~。っといった不満の声が聞こえてくる。ありがたいけどさすがにもう無理。

 

「終わりだけど、また今度歌わせてもらいます。よかったら聞いてね」

 

「今日はサービスだったけど、次からは一曲歌ったらその後はリクエスト方式でやります」

 

「何曲やるかはその時次第だけど、トワイライトの曲でもそれ以外の曲でも私の知っている曲ならなんでもやります」

 

「だから私の歌が良いなって思えたらデザート券をください。よろしくお願いします」

 

「ありがとうございました」

 

 私の終了宣言で皆、自分の部屋に帰って行った。

 

「さっきも言ったけど、もう終わりだよ?織斑君」

 

 たった一人だけ、残っている生徒がいた。この学園で唯一の男子生徒。織斑一夏君。

 

「織斑君はあまりこういう事に興味がないと思っていたけど」

 

「昼の君とは随分違うんだな」

 

 無視されちゃった。まあ、いいけど。

 

「なんて言えばいいかな、音楽とかISとかしてる時ってスイッチ入って違う自分になってるみたいな感じ?」

 

「感じ?って疑問系なのか」

 

 だって他人には私の感覚は分からないし。

 

「聞きたいのはそれだけ?」

 

「あ、ああ。うん」

 

 本当はまだあるって返事の仕方。

 

「聞きたい事があるなら聞いていいんだよ?」

 

「トレイターさんって代表候補生なんだよな?」

 

「そうだね。アメリカの代表候補生の一人だよ」

 

「両立って大変?」

 

 予想外の質問。どう答えようかな。

 

「大変……かな?でも辛いとは思わないよ。どっちも楽しいし、好きだから」

 

「凄いな」

 

 何か照れるなあ。

 

「こっちからも質問していいかな?」

 

 私の記憶では織斑君は部屋で篠ノ之さんと一悶着してるはずなんだけど?

 

「おう。何でも聞いてくれ」

 

「織斑君はもう部屋に行った?エントランスであんな事してたから入る邪魔になってなかった?」

 

「あっ!」

 

 何か忘れてたって反応だね。

 

「トレイターさん、お願いがあるんだけど……」

 

 

 

 

 sido 一夏

 

 ほとぼりが冷めるまでトレイターさんの部屋に泊めてもらえる事になったけど……

 

「トレイターさん、その格好は……」

 

「ん~。何か変かな~、でもこれしかないから~」

 

 のんびりした雰囲気に戻ったけど、その寝巻き姿は俺には刺激が強過ぎだ。

 

 確か、ネグリジェって言う寝間着だったと思う。

 

 何がいけないかって?そのネグリジェがかなり薄いというか透けている。

 

「布仏さんはどう思う?私の格好変かな~?」

 

「う~ん。私はセクシーでいいと思うよ~」

 

「ありがと~。布仏さんの着ぐるみパジャマも可愛いよ~。で、さっきも説明したけど」

 

 俺の及ばぬところで話が進んで行く。

 

 女子ってほんと会話のテンポ早いよな。口調はゆっくりなのにな。

 

「そういう訳で~、私達は二人でこっちのベッドで寝るから~。織斑君はそっちのベッドで寝てね」

 

「あ、ああ。ありがとう」

 

 お礼は相手を見てするのが俺の信条だったのにトレイターさんを見る事が出来ない。

 

「それじゃ、おやすみ~」

 

「お、おやすみ」

 

 俺は隣から聞こえてくる、寝息や寝言に悶々として朝までまともに寝る事が出来なかった。




今回は一夏とティアがメイン。
作者的には、原作主人公はないがしろにしたくないんですよね。
デザート券云々はこの作品オリジナルの話……のはずだ。
作者は音楽やバンド等の知識がないので変な事書くかも。
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