インフィニット・ストラトス 転生者複数物語   作:鳥の羽

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第八話は一夏VSセシリア

[8]

 

 sido 遼

 

 オルコットとの試合が終わって俺はピットに戻る。

 

 さすがに少し疲れたな。

 

「お疲れ。代表候補生と引き分けるなんて凄いな遼は」

 

「そんなことはない。試合はグダグダだったし、勝てなかったんだ凄くなんかないさ」

 

「そうか?」

 

「そうだ。まあ、数分後にお前とオルコットの試合だ。負けんなよ」

 

「ああ、当然勝ちにいくさ」

 

 一夏とオルコットの試合が終われば、次は俺と一夏の試合か。さすがに素人相手に無様な試合は出来ないな。

 

「織斑、準備をしろ。風間、お前は移動だ。織斑との試合に備えて今のオルコット側のピットに移動だ」

 

「わかりました」

 

「了解です」

 

 移動かめんどくさいが、戦う者同士が同じピットから出るのもおかしいな。

 

 

 

「ねえ、風間君。ちょっといい?」

 

「何だ?どうかしたか」

 

 一夏達から離れ声の届かない位置でトレイターに呼び止められた。

 

「ちょっと聞きたいのだけど。何でさっきの試合本気で戦わなかったの?」

 

「何で今、のんびりモードじゃなくてシリアスモードなんだ?お前」

 

「誤魔化さないで。今質問しているのは私よ」

 

 誤魔化そうとした訳ではないんだが。

 

「貴方が本気なら、あのビットにのレーザーももっとかわせた筈よね?それに武器だって本当は連結刃以外にもあるんでしょ?」

 

「別に本気で戦う必要ないだろ。たかがクラス代表を決める試合で」

 

 しかも、やりたくもない押し付けられる様な形でだ。

 

「オルコットさんも織斑君も怒らない?」

 

「さあな、興味ないな。本気をださせる事も出来ない奴らの戯言なんて」

 

 今のアイツらだと引き分けに持ち込むのが簡単過ぎる。その程度の実力だ。

 

 アイツらは俺が本気を出してないって事にも気付いてないかもしれないな。

 

 まだ言いたい事がありそうなトレイターを無視して俺は移動した。

 

 

 

 sido 一夏

 

「これが……」

 

「はい!織斑くんの専用IS『白式』です」

 

 ついに来た俺専用のIS。

 

「すぐに装着しろ。時間がないからフォーマットとフィッティングは実戦でやれ」

 

「あれ……?」

 

 試験の時に、初めてISに触れた時に感じたあの電撃のような感覚はない。

 

「背中を預けるように、ああそうだ。座る感じでいい。後はシステムが最適化をする」

 

 千冬姉の言葉通り白式に体を任せる。

 

「ISのハイパーセンサーは問題なく動いているな。一夏、気分は悪くないか?」

 

「大丈夫、千冬姉。いける」

 

「そうか」

 

 ほっとしたような声。けれどそれは、ISのハイパーセンサーがなければおそらくわからないほどのブレだった。

 

 それとなく、箒とティアの方に意識を向ける。

 

「箒」

 

「な、なんだ?」

 

「行ってくる」

 

「あ……ああ。勝ってこい」

 

「ティア」

 

「織斑君、頑張ってね。勝ったら師匠として何かご褒美あげるから」

 

「はい。勝って来ます」

 

 

 

 

 sido out

 

「あら、逃げずに来ましたのね」

 

 セシリアがふふんと鼻を鳴らす。

 

 そんなセシリアを見て一夏が思わず尋ねた。

 

「あんた、さっきそうやって話していて遼に一撃もらったのにまた話すんだな?」

 

「な!」

 

 セシリアの顔が赤くなる。

 

 もちろん試合は既に始まっている。

 

 一夏の言葉は純粋な好奇心からくるものだったが、セシリアはそう受け取らなかった。

 

「いいですわ。あなたがそういう態度をとるのであれば。最後のチャンスをあげようと思ってましたけれど、もう容赦しませんわ!」

 

 ーーー警告!敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認。初弾エネルギー装填。

 

 一夏はISから知らされた警告を聞いて反射的に回避行動をとった。

 

 ーーーヒュン。

 

 一夏がいた場所をエネルギー弾が通り過ぎて行く。

 

(危なかった~。ティアとの特訓がなかったら当たってたな)

 

「こっちの装備は……」

 

 白式に表示されたのは近接ブレードただ一つ。

 

「素手よりはマシか」

 

 一メートル以上ある片刃のブレード。それが一夏の武器だった。

 

「遠距離射撃型のわたくしに、近距離格闘装備で挑もうだなんて……笑止ですわ!」

 

 すぐさまセシリアの射撃。一夏はそれをかわすが、セシリアとの距離は二十メートル以上。一夏にとってそれは絶望的な距離だった。

 

 

 

「二十七分。もった方ですわね」

 

「そりゃどうも……」

 

 最初はセシリアの射撃を回避していた一夏だが、攻撃にビットが加わるとたちまち追い込まれていった。

 

 ちなみに遼は三十分以上耐えていたがセシリアの頭からはその事が抜けていた。

 

「では、閉幕(フィナーレ)と参りましょう」

 

「くっ!」

 

(このままじゃヤバい。でも読めてきた)

 

 一夏はセシリアの攻撃を掻い潜り、ビットの一つを破壊する。

 

「なんですって!?」

 

「この兵器は毎回お前が命令を送らないと動かない!しかも」

 

 さらにもう一つビットを撃墜する。

 

「その時、お前はそれ以外の攻撃を出来ない。そうだろ?」

 

「……!」

 

 ひくくっとセシリアの右目尻が引きつった。図星だった。

 

(やれる。後は集中するだけだ)

 

 

 

 

「はぁぁ……。すごいですねぇ、織斑くん」

 

 ピットでリアルタイムモニターを見ていた山田摩耶が呟く。

 

「あの馬鹿者。浮かれているな」

 

「えっ?どうしてわかるんですか?」

 

「さっきから左手を閉じたり開いたりしているだろう。あれは、あいつの昔からのクセだ。あれが出るときは、大抵簡単なミスをする」

 

 

 

 

 ーーー獲った。

 

 一夏がビットを四つ全て破壊してセシリアに一撃が入るタイミングだった。

 

「ーーーかかりましたわ」

 

 にやり、と。セシリアが笑った。

 

「おあいにく様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」

 

 レーザー射撃を行うビットではなく弾道型(ミサイル)だった。

 

 赤を越えて白い、その爆発と光に一夏は包まれた。

 

「ーーーふん。機体に救われたな、馬鹿者め」

 

 

 

 

 フォーマットとフィッティングが終了しました。

 

(な、なんだ)

 

 白式が光の粒子に弾けて消え、そしてまた形を成す。

 

「ま、まさか……一次移行(ファースト・シフト)!?あ、あなた、今まで初期設定だけの機体で戦っていたって言うの!?」

 

(これでやっと、この機体は俺専用になった)

 

 最も変わったのは武器。

 

 ーーー近接特化ブレード・『雪片二型(ゆきひらにがた)』。

 

 雪片ーーーそれはかつて世界最強、織斑千冬が振るっていた専用IS装備の名称。

 

「こんなの持たされたら、勝たない訳にはいかないよな」

 

 右手を握りしめる。答えるように、低い機械音を鳴らす雪片。

 

(ティアが言ってたな、ISの戦闘においてイメージは重要。最善の動きをイメージしろって)

 

 最短距離での突撃。セシリアのミサイルによる反撃も最小限の動きで躱す。ミサイルは横を通り抜け、その背後で爆発する。

 

 セシリアの懐に飛び込んだ一夏は、下段から上段への逆袈裟払いを放つ。

 

「これが今の俺の最善だ」

 

 更にもう一撃。

 

 雪片の威力の高さか、たった二度の攻撃でブルー・ティアーズのエネルギーが0になった。

 

 決着を告げるブザーが鳴り響く。

 

『試合終了。勝者ーーー織斑一夏』

 

 

 

 

sido 一夏

 

「勝ったぜ」

 

「ああ。よくやった」

 

 自分の事のように嬉しそうな箒を見て勝ったって実感出来る。

 

「織斑、次は風間との試合だ」

 

 千冬姉の声もどこか優しい。

 

「なかなかだったわよ、織斑君」

 

「ティアのおかげだよ」

 

 ああ、本当に代表候補生に勝ったんだな俺。

 

 




第八話投稿です
今回は一夏対セシリアの戦いです。
原作では一夏は負けてしまいますが本作では勝ちます。
試合前に一夏に教えるのが箒ではなくティア、単純な剣道ではなくISの事を考えた修業内容等の理由で一夏がセシリアに勝てるようにしました。
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