インフィニット・ストラトス 転生者複数物語   作:鳥の羽

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第九話は代表決定最終戦

[9]

 

 sido 遼

 

 一夏とオルコットの試合が終わったみたいだな。一夏の勝ちってのは正直予想外だった。いくら修業したと言っても代表候補生に勝てるとは思ってなかったな。

 

 オルコットがピットに戻って来た。

 

「負けたみたいだな、オルコット。油断でもしてたのか?」

 

「ですがそれは言い訳にもなりませんわ」

 

 これまた予想外だ。てっきり『なんですって!今日は調子が悪かっただけですわ!』みたいに突っ掛かってくると思ってたんだが。

 

「そうだな。少なくとも素人と侮っていたら勝てない位には一夏は強かったって事か」

 

「そうですわね……本当に強かったですわ」

 

 何だこの反応?今までと全然違う。まさか一夏に惚れたのか?アイツモテるな~。はぁ。

 

 まあいいや。一夏の休憩の時間を挟んでからだから数分後に試合開始だな。

 

 

 

 

 

 sido out

 

 試合後の数分間の休憩時間が終わり、遼と一夏がピットから飛び出し開始位置に着く。

 

「代表候補生に勝つなんてやるな、一夏」

 

「サンキュー。自分でも代表候補生に勝てるなんて少しビックリだけどな」

 

 一夏は照れくさがっていたが、どこか誇らしげだった。

 

「一夏、戦う前に少し話しをしないか?」

 

「いいぜ。なんだよ?」

 

「俺さ。本気でクラス代表なんてやりたくないんだよ」

 

 遼の雰囲気が本当に嫌そうで、それは思わず一夏が口を挟むのを躊躇うほどだった。

 

「クラス代表なんて目立つ事したくない。興味無い。めんどくさい。疲れる。つまらない。受け入れたくない。やる気無い。やる意味がない。下らないんだよ、俺にとってな」

 

「お、俺だってやりたくないさ」

 

「だから提案だ。この試合で負けた方は勝った方をクラス代表にしないようにする。自分が代表になってでもだ」

 

「いいぜ、その提案乗ってやる」

 

「よし。なら一夏、もう試合開始されてるし、お前が武器を展開したらスタートってことで」

 

「わかった。じゃあいくぞ」

 

 一夏が近接ブレード雪片二型を展開する。その瞬間遼が動き出す。

 

 遼は一夏が近接ブレードを展開したのを見て距離を取り、近接武器しかない一夏は距離を詰めようとする。

 

 結果は一夏がIS操作に慣れていない事と、遼のISイリーガル・ナイトがスピードタイプであるため、距離が開いた。

 

 つまり……

 

「悪いな一夏。その武器なら離れた位置からやらせてもらう」

 

 一夏の武器が届く距離ではない。

 

 遼が連結刃を構える。一夏にはその剣は見えてはいない。

 

「やらせるか!」

 

 一夏は白式の出力を上げ、接近しようとする。

 

 そこに遼の連結刃が襲いかかる。……がその一撃を一夏は回避した。

 

「へぇ。やるな一夏」

 

「遼とセシリアの試合はちゃんと見てたからな」

 

 話しながらも、連結刃を一夏は回避し続ける。

 

「そういえば、一夏は遠距離武器を使わないのか?」

 

「使わないんじゃなくて、使えないんだよ。白式にはこれしか武器がないからな」

 

 はぁ。と遼の口から思わずといった形でため息が漏れる。

 

「一夏って素直だよな。わざわざ自分の武装について対戦相手に話すなんて。黙っていれば別の武器についても警戒しなきゃいけなかったってのに」

 

「あ!い、良いんだよ。この武器で勝てれば」

 

「勝てないだろ、今のままじゃ。つか、そろそろ当たってくれ、疲れる」

 

 遼の数十回以上の攻撃を一夏はギリギリではあるが全て回避している。

 

「遼のISはIS自体のスピードは速いけど、攻撃のスピードはそんなに速くない。それに腕の振る方向でどっちから来るかだいたいわかるのさ」

 

「なるほどな、よく見てる。けどな一夏、お前さ相手()の動きを信じ過ぎだぞ」

 

 言葉と共に振るわれる連結刃。一夏は遼の腕が右から左に動くのを見て上に回避する。

 

 連結刃は一夏の正面から現れ直撃した。

 

「何でだ!?」

 

「相手を信じ過ぎだって言っただろ。そんなんじゃ今みたいにちょっとしたフェイントに引っ掛かる」

 

 神の特典によって見えなかったというのが大きいが、今のは遼のIS武器の力のおかげである。

 

 それは、ISイリーガル・ナイトの第三世代型特殊武器であり、初期武装である。

 

 その構想は、連結刃の刃が分離した後、IS搭乗者のイメージにより操作する。セシリアとの戦いでは見せていない能力だ。

 

 遼の武器隠しは、一定範囲までしか隠せず、複雑な動きに対応しきれない。

 

 よって今回は先ほどよりも早く連結刃が姿を見せたが、フェイントに騙された一夏は見切れずに攻撃が当たった。

 

「少なくとも意識を相手から離し過ぎだって事だな。さてどうする一夏、ギブアップするか?」

 

「誰が!」

 

 一夏が近付く、遼が離れる。その繰り返しだった。

 

 一方的だ。誰もがそう思った。一夏は近接ブレードしか武器がないく、その長さ一・六メートルに対して、遼の連結刃は二十メートル以上伸びる。そして互いの距離は十五メートルを超える。

 

 そしてフェイントを織り交ぜた攻撃に一夏は対応しきれていない。

 

「はあぁぁぁ!」

 

「まだ遅い。全然追いつけないぞ」

 

 一メートル近づけば、二メートル離れる。アリーナの隅に追い込まれても遼は巧みな動きで一夏と位置を入れ替える。

 

「行くぞ」

 

「うわぁぁぁ!」

 

 白式の装甲がない場所、絶対防御が発動する位置に直撃し、シールドエレルギーが大きく減少する。

 

「くっそぉぉっ!」

 

 一夏が自棄になってブレードを振る。

 

 パシュッ

 

 それは偶然だった。何も無いように見えた空間を雪片二型が通った瞬間、連結刃を見えなくしていた遼の能力消え、その周辺という僅かな空間だが連結刃が姿を現した。

 

「な!」

 

 そこからの一夏の動きは素早かった。

 

 返す刀で連結刃の刃と刃を繋ぐワイヤーを切り裂く。

 

 遼の対応は一瞬遅れた。それは時間にして一秒も無いけれど、大きな隙だった。

 

 その隙をついて一夏は間合いを詰め、袈裟斬りを……

 

 ブーーー

 

『試合終了。勝者ーーー風間遼』

 

 一夏の攻撃が届く事はなく、試合終了のブザーが鳴り、遼の勝利を告げた。




第九話投稿です。
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