終結プログレス   作:カモカモ

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共寝ナイト/目の毒プロテクション

◆共寝ナイト

久佐持丹月は、かなり立派にゲーム廃人をしている。ほんの数年前までは、カフェイン漬け完徹なんてことも余裕でこなしていた。

しかし、それも今は昔。

 

「25歳の壁…………!」

 

分かりやすく、ガタが来る。

二十歳よりも、三十歳のほうがはるかに近くになってしまった今日この頃では徹夜なんてとてもとてもであり、エナジードリンクも最近は摂取するとお腹が緩くなるという代償を伴う危険な飲料になってしまった。

それゆえに、明日は休日ではあるが時計の短針が、2を指し示した頃に本日の業務は終了、ということにした。

 

丹月には、同居人がいる。同じゲームで、同じクランに所属し、なんなら向こうの方が上司の二歳年下の彼女とは紆余曲折あって、それなりの関係に落ち着いた。具体的には、ぼちぼち両家から『役所に早くいけ』とせっつかれている。

そんな彼女──斎賀百であるが、彼女も25歳の壁を通りすぎた。

しかし。

 

「まあ、団長だしな……」

 

丹月は、ヘッドギアを取り外しつつひとりごちる。

斎賀百という人間は、ただただスペックは高い。多分、寝溜めとかできるタイプだ。

おそらく少なくとも丹月よりは長い時間、あっちの世界にログインし続けるのだろう。つらつらと同居人の超人ぶりに想いを馳せていたらいよいよあくびが止まらなくなってきた。本音を言えば、このままベッドにダイブしてしまいたい。

 

もういいか。別にいいや。虫歯になっても自己責任。

 

理論武装(?)を完璧に構築しきった、段階で丹月は目を閉じ、しかしなぜかドアが部屋のドアは開いた。

 

「百さん……?」

「分かりやすく説明すれば──私の寝相は非常に悪い」

「そこは素直になりましょうよ……」

 

ベッドの半分を明け渡す。

 

「素直に、寝相が悪いことをカミングアウトしただろう」

 

丹月のすぐ横に、もうひとつの体温が増える。

 

「おやすみなさい」

 

声が揃って、闇にとけていった。

 

◆目の毒プロテクション

 

「あー、今十時くらいか?」

 

丹月は、ソファから上体を起こしてひとりごちた。掃除を終えて、昼にシャングリラ・フロンティアの世界に潜りはじめて八時間程だろうか。

彼女は、自室のベッドでまだあっちから帰ってきてないのだろう。

 

「しゅうかいがおわらねえ」

 

素材集めが終わらない。それほどレアなアイテムではないのに、どうやら物欲センサーがよく働いたようで、全く必要数が集まらなかった。一緒に狩りをしていたメンバーと相談の結界、一旦時間を置いてから再開しようという話しになったのだった。

 

(なんか、かいにいこ……)

 

気分転換は大事。

財布だけをもって、玄関に向かった。

 

 

「何だ草餅、サボリか?」

「あ、団長お疲れ様です」

 

靴を履いていると、彼女から声をかけられた。

 

「お前達は、ノルマを達成したのか?」

「まだ、半数ですね……。そっちは?」

「あと、少しだ……」

 

どうやら、彼女の方もそれなりに物欲センサーが働いたようだった。その証拠に、丹月のように遠い目をしている。

 

「ちょっと、コンビニに行くけど何かいる?」

「そうだな……私も一緒に行くことにするか」

「そう?なら、ちゃんと上着羽織ってくださいね」

「なぜだ?」

 

高校のジャージを着用する2◯歳の女性は心底不思議そうな表情をした。

丹月も、流石に彼女がジャージで外をうろつくのには、慣れてきたのでまあ服装はどうでも良い。

本当はどうでもよくないのだろうが、それ以上の問題がある。

 

「あんた、ノーブラでしょうが」

「別に問題はないだろう」

「いや、別に俺だけなら、どうでも良いですけどね」

 

お見合いをしてから何度も顔をあわせているどころか同居しているので今さら揺れようが跳ねようが気にしないが、世間の特に野郎共には毒でしかない。いや、体操服ジャージ女(美人)という時点で、劇薬ではあるのだが。

 

「草餅め」

「へいへい」

 

彼女のいうことは無視をして、自分が着ているパーカーを、羽織らせる。

チャックがなかなか閉まらなかったのには、少し焦った。

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