終結プログレス   作:カモカモ

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熱暑クリップ/目覚めクレンジング

◆熱暑クリップ

 

「あっづい…………」

 

蝉が鳴いている。屋内であるから、その音量は大分小さくなっているはずなのだが、それでもやかましい。

 

「あっづい…………」

 

エアコン起動。

まだ午前中だから、なんてことを考えられるのは体温感覚がバグってる奴だけだ。

 

「あっづい………………!」

「やかましいぞ、丹月」

「あ、いたんですね百さん」

 

いたぞ、と同居人はアイスキャンディーの個包装をぺりぺり剥がしながら答える。

 

「あ、いいなー」

「これが、最後の一本だ」

「あらま……」

「一口ならいいぞ」

「どうも」

 

そういって差し出されたキャンディーを、丹月は口に入れる。しゃきしゃきしたソーダの味が、身体のなかまで一気に冷やしてくれるようだ。

 

「ところで、百さん」

「ん?」

 

ぷん、と百の尻尾が揺れる。

夏の暑さを、百は髪型を少し変えるとかそんな工夫で乗り越えようとしているのはわかるのだが。

 

「なんで、目玉クリップで髪の毛をまとめようと思ったのさ」

「丁度、私のペンケースに入っていたからだな」

「それでいいの……?」

 

いいのだろうな、だって百さんだし。

 

「念のために聞くけど、ヘアゴムという製品ご存知? 持ってる?」

「バカにするな。 ちゃんと、一箱三百本入りのものを持っている」

「それ、絶対輪ゴムですよね、似て非なるものだよそこ二つは」

 

 

「草餅め」

「うたがってさーせんした」

 

◆目覚めクレンジング

月曜日の朝の寝起き。

脳の大半は覚醒していない状態だそうだ。なので例えばである。

 

「んー」

「うわあ……」

 

洗面所で久佐持丹月の背中に同居人が頭をグリグリ押し付けていても、それは仕方がないことなのかもしれない。

 

「百さーん」

「……………」

 

ためしに丹月が、歯ブラシと歯磨き粉を彼女に握らせると、完全に自動化された動きでしゃかしゃか磨き出した。

この同居人のすごいところは、完全に目を瞑っているのにしっかり歯を磨いているところかもしれない、と丹月は思いつつ。

 

「おーい」

「ん……?」

 

呼び掛けに、百はピクリと動きを止める。若干、目が醒めてきたのかもしれない。

 

「洗面台空くから、ぼちぼち正気に戻ってください」

 

そして、丹月もここから離れたい。

 

「………………せっぷくぁ!?」

「はい?」

 

なんて?

 

「なんでもない、取り乱した。 恥ずかしいところを見られてしまったから、切腹したいのだが白装束はブラウスでも問題ないと思うか?」

「なんも正気に戻ってないなこの人」

「しょうきだぞわたしは」

「なら、さっさと口をすすいで朝飯食ってください」

「草餅め」

「なんでだよ」

 

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