終結プログレス   作:カモカモ

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夢現ヒート/あんこライオット

◆夢現ヒート

 

斎賀百の同居人が、

 

「んー……………」

 

グリグリと背中に頭を押し付けてきた。

 

「おい、やめろ丹月」

 

朝の忙しいこの時間に何をしてくるんだこいつは。

 

「んー? うん…………」

 

返事とも呻き声ともつかない反応をしつつ、丹月が百の腰に手を回してくる。

 

「お前まさか、寝ボケてないか?」

 

確かに、昨晩は遅くまであっちの世界にいた。だから、睡眠不足であっても何ら不思議はないが。

 

「おきてるぅ…………だめだよ百さん、ぬいぐるみを邪険に扱っちゃ…………」

「誰がぬいぐるみだ」

 

夢現、といった状態なのだろうおそらく。

「おひさまのにおい」

 

夢見てやがる男が、スンスンと鼻を寄せてくる。

 

「いい加減にしろ。 おい丹月」

「いいにおいする……落ち着く…………」

「嗅ぐな!」

 

限界である。ただでさえ時間がないのに、一体何をのたまってくれやがるのだこいつは。というか、落ち着くというのはどういう意味だ。おひさまのにおいに落ち着いているんだな?私の匂いじゃないだろうなまさか。

百も何か混乱してきて。

 

「このぬいぐるみは俺のもアッイタちょっと待ってください腕の皮膚剥がれちゃう骨むき出しになっちゃう!?!?」

「目覚めたか、草餅」

「起きました…………もろもろありがとうございます…………」

「草餅め」

 

百の顔がなんか熱いのは、セクハラ同居人に対する怒りで決してそれ以外の理由なんてありはしない絶対にマジでガチでだ。

 

◆あんこライオット

 

「くーさーもーちー」

 

地獄の底から響く音は、こんなんなんだろうな、と久佐持丹月は知る。

 

「にーつーきー」

 

斎賀百は笑顔を浮かべている。

しかし、それは獰猛としか形容できないものであった。

丹月は、両手をあげて微笑む。もしここに、第三者がいたら、こちらの方の笑みは「仏のような微笑」と称したであろう。つまるところ、全てを諦めて降参の意を示しているだけである。

そして、両手を挙げたまま丹月は仰向けにごろんと寝っ転がった。完全服従、降伏のポーズであった。

 

「私が冷蔵庫に入れておいたものがなくなっているんだが?」

「なんのことかさっぱりですね」

「そのポーズからまだ反論してくることあるのか」

 

百はめちゃくちゃ呆れながら、盗み食い男の腹のうえに腰かける。

 

「ぐえっ!?」

「あんこはどっちだった?」

「こしあん」

 

こいつ、反論するつもり1ミリも無いな。

 

「自白が早すぎる」

「早い方が罪も軽くなるんじゃないかと」

「なら」

 

百は同居人の上から下りて、代わりに太ももの肉を指で摘まんだ。

そして、ペンチのごとくつねる。

 

「手間をかけさせるな!」

「すみませんでした、補填はなるべく迅速に!」

「当たり前だ」

 

 

 

「草餅」

「なんですか?」

「うん? 私は補填されたものの名前を読んだだけだぞ、草餅」

「ややこしいからやめてほしい」

 

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