終結プログレス   作:カモカモ

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膝枕リラクゼーション/幸福アセッション

◆膝枕リラクゼーション

 

「なんでこんなことになってんの?」

「体重がかかっている腕の支点を少し崩してやれば、自重に耐えきれなくなり」

「方法じゃないんですよ……」

 

丹月は、真上に視線をやるが絶妙に影になっているが故に婚約者の顔は見られなかった。

 

「セクハラ餅」

「冤罪」

 

ほどよく弾力のある枕の上でもぞもぞと頭の位置を調節して、少しだけ頭を傾けてようやく百の顔を見ることができた。

できたが。

 

「なんも表情からわかる情報がない……」

 

圧倒的なポーカーフェイスであり、さらに百が装着しているARグラスは謎に発光していて目元が一切見えなかった。

 

「その機能、なんですか?」

「プライバシー保護機能だそうだ」

「表情を拝むことすら許されない時代の到来かあ」

 

ブリッジに指を当てて位置を調整するその様は──。

 

「知能派キャラっぽいですね……」

「何を言ってるんだお前は」

 

逆になぜ伝わらないのか。

そして、結局どうしてこんなことを──一説によればこの状態は、膝枕と呼称するそうだ──されているのかが分からなかった。ので、丹月は好き勝手することにした。

 

「百さん、ポテチ取って」

 

すっと、百の手が伸びて丹月の髪の毛に触れた。そして、容赦なく引っ張られる。

 

「あ?」

「っす。 調子乗りました。申し訳ありません」

「草餅め」

◆幸福アセッション

 

「ん」

 

両腕を広げて待てば、怪訝な顔をしながらも同居人は、久佐持丹月の両腕に収まった。

腕を背中に回せば、同じ様に腕が回されて、ぎゅうとその距離が縮まる。

 

「で?」

「はい」

「なんのつもりだ、丹月」

 

丹月の肩に、ぽんと斎賀百の顔が置かれる。

 

「オキシトシン、出るらしいですよ」

「H2O2?」

「それはオキシドール……咄嗟に答えれた俺すごくないですか?」

 

義務教育知識で誇るな、と言われた。

義務教育から離れて何年だと思ってるんですか、と返す。

 

「そうじゃなくて」

 

幸せホルモン?とか呼ばれてるやつです。

 

「ホルモン……ああ、まあ、知ってたが」

「でしょうね」

 

もぞりと、背中に回されてる両手が動いてやがて首もとまでやってくる。心なしか、百との顔の距離が縮まった気がする。

 

「そんなものが、必要か?お前に?」

「俺のこと、なんだと思ってます?」

 

人間なんだから、幸福感味わいたいに決まってるじゃないですか。

しかし、その反論は首をふるふると振って否定される。

 

「常時出てるのだから、出しすぎはよくないだろう」

「どういう意味ですか」

 

でも、まあ。

百がそう言うのなら。

 

「じゃあ、お裾分けってことで。百さんも、今オキシトシン出てるでしょうし」

「草餅め」

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