終結プログレス   作:カモカモ

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大混乱プロポーズアフター

爽やかな昼だった。午前中もなんとか乗りきり、午後に向けて英気を養うべく貴重な昼休みである。

 

『そろそろ、籍入れませんか?』

 

斎賀百の頭は痛かった。

 

昨夜突然、こんなことをほざいた男に頭突きを入れたから、という理由も多少なくは無いが、決して主因ではなかった。外傷というよりは、確実に別の。具体的には。

 

「プロポーズというやつで、間違いないだろう、残念ながら」

 

あれはそう、多分プロポーズだ。つまるところ、結婚しましょう、というやつである。結婚とは言われてないし、実際の言葉は『籍入れませんか?』だったけれど、一般的に籍を入れるということは結婚とイコールで結んでしまっても問題はないはずだ。多分。細かい法学的な根拠とかは、さすがに百もしらないけれど。

そう、昨夜のプロポーズ。あれこそが頭痛のタネである。

イヤ、ということではない。イヤ、ならあのときにこんなものを。

 

「指輪を揃えようとは言わないはずだ、私ならば」

 

そもそも、あのときに、なんでそんなことを言ってしまったのか。きっかけは、あのときの少し前に、あれと身体的に結ばれたことで。けど、あくまでもそれはきっかけに過ぎなかったということもまた、百はよく分かってしまっている。

 

だから、ゆえに、あれが、久佐持丹月という男(婚約関係にある)が、あんなことを突然言い出したのも──突然というにはそれなりに積み重ねはあったけれど──分からなくはない、心外なのだが。

 

「草餅め……」

 

その答えは、多分きっと、百と同じなのだろうとも思う。

 

覚悟、というには大袈裟だけれど、行き着くところまで行ってしまっても良いか、という気持ちは確かにあった。

 

それで、一緒に暮らして。

 

指輪まで揃いでつけて。

多分。ほとんどの人はそんな百と丹月を見て、お互いに準備はできていた、と思うだろう。

実際そうだった。

 

だからまあ、昨夜のことは、あくまで、単純に。

 

「タイミングだったの、だろう」

 

そう、結論とも言えぬ結論を、考えをまとめるためにあくまでも小声で、自分の内側から外界に排出して、その時に昼休みの終了を告げるチャイムがなってしまった。

 

なんか、あんまり休めた気がしない。

 

「草餅め………………!」

 

貴重な休憩時間を奪いやがって。

 

 

 

「おい見ろよ、斎賀さんのあの鋭い目付き」

「あ、あれは!?」

「知ってるんですか部長」

「年に数度訪れるという伝説の斎賀君だ。この日の彼女は、この世のあらゆるものを見通し、その鋭い眼差しは未来をも予測するという! 今日の斎賀君は次世代の流行すらも答えてくれるだろう!」

「な、なんだってー!!!!」

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