終結プログレス   作:カモカモ

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暇潰しちくわトーク

「日本のカブトムシって意外と強いんだ……」

 

端的に言えば、その日の久佐持丹月は暇をもてあましまくっていた。

世間的には、まだまだ暇潰しといわれることもあるゲームに可能な限り時間を使うのがゲーマーと呼ばれる人種であって、丹月もその例に漏れない。その中でも、いわずと知れたシャンフロで廃人クランのサブリーダーを務めるような丹月だから、暇があるのならば可能な限りあっちの世界にいるのが常である。

ようするに、暇を持て余すということが、仕事中ならばともかく自宅では、まあまあにあり得ない事態なのだ。

 

(ハードがやられちゃうとなあ……)

 

まさかの強制ログアウトをくらい、目覚めてみれば焦げ臭かった。なんとか自前で修理を試みたが、ゲーマーとはいえ丹月は機械に強いわけではなく、一縷の望みをかけた同居人も「実家のテレビは叩けば直ったが」との回答。

丹月はあきらめて、メーカーに修理を出したのだ。

こうして、一日フリーな今日という日を、特にやることもなくソファでごろごろして、携帯端末で適当な動画を見て過ごすしかない状態に陥ったのだ。

 

「丹月」

「百さん、お昼?」

「そうだ」

 

同居人が生理現象に負けてこっちに帰ってきた。

 

「なにか作りますね」

「丹月お前、相当暇をもて余しているな」

 

やや呆れ顔。

 

「見ての通り」

 

メーカーから、丹月の自機が戻ってくるのは一週間後らしい。そして、今日が壊れて三日目だ。

初日はそれなりにネットサーフィンをして楽しく過ごし、二日目に大掃除を敢行。そしていよいよやることがなくなった今日である。

もはや、丹月に残されたのは、食事作りしかなかった。

 

 

大層なものを作るわけでもなく、大層なものを作りたいわけでもなく、だから出来上がったのは冷蔵庫に入っていたものが全てぶちこまれた焼きそばだ。

丹月はちくわの欠片を箸でつかむ。

 

「思うんですけど」

「ん?」

「ちくわの本体部分って、輪っかの空洞部分なんじゃないですかね」

「ああ、なるほど。ゲーム廃人の禁断症状はこういう形で表れてくるんだな」

「別に頭おかしくなったわけじゃないんですよ」

 

暇すぎて思考が変なところに飛び交ってるのは否めないが。

 

「だって思いません?」

「少なくとも現代社会が抱える問題に直面している事実には思うところはある」

 

丹月は無視をした。

 

「ちくわって、この形だからちくわってわかりますけど」

 

百が箸でちくわをつかんで、輪っかから丹月の顔を見てくる。

丹月はかまぼこの切れ端をつかんだ。

 

「この状態だったら、ちくわなのか、かまぼこなのか、区別できないと思うんですよ」

「そうか?」

 

ずずずっと麺をすすりながら、

 

「なら、お前は、おでんの具材のごぼう天とちくわを見間違えるか?」

「ありえませんよ」

「そうか、それはおかしいな」

 

丹月がトッピングにかつおぶしを振りかけていたら、物欲しそうな顔がそこにあった。袋を手渡す。

百はチャックをすーと開けながら、

 

「空洞部分が本体というのなら、ごぼうが抜け落ちたゴボ天も、ちくわということになるだろう」

「う……」

 

敗けた。完全に丹月は論破された。

だからなにということも全くないのだが。

 

 

だらだら喋りながら焼きそばを啜ったとしても、コース料理ではあるまいし、そうそう長時間かかることもない。

 

「それで、丹月」

「はい」

「お前、暇なら非VRゲームでもやればどうだ?」

「あ!」

 

なるほど、その手があった。

VRゲームが全盛とはいえ、それはここまで普及したのは最近の出来事であって、丹月が小学生の頃はむしろVRゲームは本流ではなかった。

折よく、丹月が実家からそれらの機器を引き上げてきたばかりでもある。

 

「確かに。 久々にやろうかな」

 

取りあえず引き上げてきたのはパーティーゲームばかりであるが、CPU対戦が出来ないわけではない。少々味気なさもあるが、そこは仕方ないだろう。

 

「コントローラーは何個あるんだ?」

「一応、三個くらいあった、はず」

「じゃあ、私が相手をしてやろう」

「え」

「その、先程から素材のドロップ率に大いな偏りが発生していて……」

「あー、乱数調整」

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