終結プログレス 作:カモカモ
◆ほっぺたホット
久佐持丹月は困惑していた。
「なにやってんの、百さん」
同居人が帰宅して早々に、丹月の顔を両手で包み込むようにして、静止しているからだ。
「お前は知らないことかもしれないが、冬は寒い」
「知らないわけないでしょ」
「今日外出したか?」
丹月は首を横に振りたかったのだが、頬を挟み込む手によって固定されているからそれも叶わなかった。
「してないです」
「なら、お前の頬は私の手よりも温かいはずだろう?」
「暖をとるなら、もうちょいいい方法あるでしょ……」
百の手の甲を、丹月の掌で覆いかくす。言われてみれば、そこそこ冷たい。
「百さんって、手のひらと手の甲で温度違うヒト……?」
「そんなこと、あるのか……?」
「さあ……?」
ただ、実際に丹月が、頬で感じているのはどちらかといえば温かさで。
「温もってきた?」
「正直なところ……微妙だ。この部屋の方が温かい、しっかりしろ丹月」
そりゃそうだ。
「さっさと、お風呂入って来てください」
「草餅め」
「あ、一緒に入ります?」
「ちっ」
「がちの舌打ち……」
◆突発コールド
斎賀百が玄関で引っ掛かっている。そもそもとしてゲームでなら割りと起きることではあるのだが、リアルでそんなことが起きるのかと言われると、久佐持丹月としては実際目の前で。
「…………」
「百さん?」
同居人が玄関から前に進めていないため、起きると断言せざるを得なかった。
ピュウと冬らしい風が、虎落笛を元気にならしている。
「丹月私のことはいいから、先にいけ。後から必ずに追い付く」
「百さん……!」
こくんと百は頷く。丹月は呆れていることを隠しもせずそれを薄目で睨めつけつつ。
「素直に、思ってたよりも寒かったって、言いましょうよ。そりゃ、真冬にジャージは、いくら近場のコンビニ行くだけとはいえ無謀ですって」
「去年までは、問題なかったんだ」
「じゃあ、今年から無理になったんですね」
玄関でつっかえてる、上着だけはがっつり防寒してる体操服ジャージ女は、こちらは完全防備の男の頬を無言でつねる。数分とはいえ、外気にさらされてる男は、既にいくらか冷たくなった手をまだ温かみが残ってる女の頬に、無言で触れさせた。びくりと百の体が揺れた。
「諦めて、せめてズボン二枚重ねにするとかさあ」
「丹月」
百は大きくため息を吐きながら、首を横にふり肩を竦めた。
「ファッション的にそれはいかがなものか」
「上下体操服ジャージでコンビニ行こうとしてるあんただけには言われたくねえ」
「草餅め」