終結プログレス   作:カモカモ

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大富豪フリータイム/節分アサシネイト

◆大富豪フリータイム

 

「思うんですよ」

「何をだ?」

 

場に出たのは、スペードの8。特殊ルールの適用により、場の札は全て流されていく。手番は依然、百のままである。

ダイヤの3。まごうことなく、最弱のカード。

丹月は、ハートの7を手札から出した。

 

「大富豪って、二人でやる遊びじゃないでしょ」

「そんなことくらい、始める前から分かっていたことだろう。 クローバーの9を出したから、栗拾いだ」

 

百は、山札から迷うことなく、ジョーカーを選ぶ。

 

「ローカルルール特有の謎の強カード……!」

 

大富豪か大貧民か。資本主義社会の権化のようなゲームは、まだまだ終わりが見えないようだ。

 

 

VRゲーム全盛期と呼ばれて久しいが、久佐持丹月個人としては、VR機器は万能などではないと思う。

そもそもとして、いつでもどこでもという簡便性に関して、VRゲームは決して優れているとはいえない。機器を装着してしまえば、現実世界からは意識を失っているのと違いが分からない状態の人間が一人出来上がることになる。故に、ちょっとした隙間時間で、という風なプレイは到底できない。

まあ要するに、VRゲームをプレイするにはそこそこの空間と時間が必要で、さらにはこちらは電気を必要とするゲーム全般に言えることだが通信環境やら電力やら、なにかと環境的に設定しなければならなくなるのだ。

つまり。

丹月と百は今。アナログゲームの方が得意な環境下におり、そして選ばれたのはトランプだったのである。

 

「大体、大富豪をやろうと言い始めたのはお前の方だろう、丹月」

「だってさあ……」

 

神経衰弱──百の圧勝。

スピード──百の圧勝。

ババ抜き──百の圧倒的敗北。

 

「なんで、ジョーカーは絶対百さんの方にいくんだろうね」

「私が知りたい」

「どっちかつうと、キングなのにね」

 

数多の二人で出来るトランプのルールを試みて、勝負は成立するが楽しいか問われると微妙なことが続き、大富豪に至ったのである。

 

「あ」

丹月に運がめぐってくる。口角が自然とつり上がる。

「よっしゃ、革命!」

「草餅め…………革命返しだ」

「つっよ!?」

 

◆節分アサシネイト

 

「草餅……貴様いい度胸だな」

 

そこに、鬼がいた。

 

「冤罪です冤罪」

「ほう……。確信犯ではない、と」

 

鬼の面を手にする百は、豆をひとつつかむ。

 

「いや、だって。この状況なら、鬼側は百さんの方かなって」

 

ピシリと、壁に豆があたった。つうと、丹月の頬に一筋の汗が伝う。

 

「今のは、警告だ。この距離ならば、次は外さんぞ」

「いや、今どうやったの?!」

 

百は、中指と親指で輪を作り、人差し指と薬指で豆を挟む。

 

「暗器だな」

「あんき」

「斎賀流は、実践的だからな」

「どういう方向に実践しようとしてんの」

 

緩やかな弧を描く豆が百から飛んできて、丹月は口で受け止める。

 

「基本は護身なのだが、いざというときに必要になるかもしれないだろう」

「少なくとも、今はいざというときじゃないんじゃないと思うんですけど」

「斎賀流の基本は舐められる前にぶっ飛ばせ、なんだ」

「護身が基本じゃないんですか!?」

「当然、嘘だが」

「嘘かい」

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