終結プログレス   作:カモカモ

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爆食コーピング/不変ネーム

◆爆食コーピング

 

そこに積み重なるは、かつてラーメンが入っていたカップ。

そしてすするはもはや真っ赤と表する他ないスープ。

極めつけのロング缶。

 

「やはり、殺られる前に、殺るべきだと思うんだ。そう思うだろうお前も」

「……………!」

 

丹月は、やべえ気配をビンビンに感じ取ったために逃げた。

 

 

同居人からは逃げられなかった。

手ずからプルトップを開けたストロングなお酒を手元に置かれてしまったため、諦めて丹月は同居人の対面へと腰を下ろす。

 

「最後の晩餐はこれかあ……」

「草餅め。何を訳のわからんことを言ってるんだ」

「これから、殺られるんでしょ?」

「まだ、大丈夫だお前は。今のところ」

「まだってことは、いずれあるの!?」

 

迫りくる命の危機から、思わず立ち上がろうとしたが、割り箸の上部分で腕を押さえられただけでそれもままならなくされてしまった。

 

「まあ、聞け。叩きのめした方がいい人間はこの世に少なからず存在するわけだが」

 

今なお、物騒な発言が続く。

 

「そういう存在は、叩きのめすべきだろう。この手で」

「大事なことを二回繰り返してくれたお陰で、百さんが今殺意に支配されてることはよくわかりました……」

何かあったのだろう。多分、リアル絡みで。

「殺意?違うな。これはもはや──使命だ」

「ソッスカ」

 

今回の百は掘り進めたらダメということだけを、丹月は的確に把握しチビチビとアルコールで喉を湿らせることにする。

 

「ところで、なんですけど」

「あからさまに話題を変えようとしてないか?」

「気のせい気のせい。白いシャツに赤ってめっちゃ映えますね」

 

不思議そうに見つめてくる百。

 

「食べ終わってからでいいんで、ぬるま湯につけとこうねそのシャツ」

 

そこでさすがに気づいたのか、百はチャックの開いたジャージから姿を見せる元体操服な普段着に付着した赤色を確認し。

 

「差し色はアクセントになる」

「染みを差し色呼ばわりはさすがにいろんな人に怒られるよ!」

「草餅め」

 

◆不変ネーム

 

「しまった」

 

帰宅早々の同居人の開口一番がこれだった。

 

「どうしました?」

「つけたままだった……」

 

言われてみれば確かに首もとからだらんとIDケースがぶら下がっている。

丹月はそれを手にとった。

 

「なんだ」

「いや、名字変えてないんだな、と」

 

ああ、と百は得心がいったような相づちを返して。

 

「今までと変えない方が、なにかと便利だからな」

 

決済の印鑑であったり、それこそ社内での呼び名であったりと、混乱が生まれえることは多いらしい。

 

「そういうもんですか」

「そういうもんだ」

 

ピンとIDパスの紐を丹月が引っ張る。百はそれをはたきおとす。わざとらしく丹月は手の甲に息を吹き掛け始めた。百はもう一度軽く手をはたいた。

 

「なんだお前、まさか同じ名字じゃないことが、気に入らないのか?」

「なんで?」

「なるほどなあ」

「……百さんめ」

「なんだそれは」




50話到達しちゃった……
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