終結プログレス   作:カモカモ

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師走プレゼント/炎症マウス

◆師走プレゼント

 エスカレーターで一段下に乗っていた百が、ぼすんと頭を預けてきた。

 

「ん?」

「どうすべきか」

「何が?」

「クリスマスプレゼントを」

「今ですか!?」

 

 

 クリスマスソングはすっかり鳴り止んで、今は荒城の月やら三味線やら、とにかく三が日を告げるBGMがメインになっていた。

 1週間前まで、鐘の音しか響いていなかったスーパーが入っているショッピングモールは、とうに竹やらみかんやら餅やらが飾られている。

 別段、福袋をリアルの方で進んで求めようというつもりはない丹月であったが、アルコールやらを増量しようと出かけたところ、百もなんやかんや一緒に行くことになったのだった。

 

「とっくにタイムオーバーですよね」

「クリスマスが一週間ほど前なのだから、地球誕生から換算すれば、誤差にすぎないだろう」

「そのスケールなら、だいたい全部誤差だよ」

 

 残念ながら、クリスマスとお正月は、日本人のスケールなのだ。

 

「お前がクリスマスを律儀に祝うから、こちらも律儀に返すのがマナーだろう」

「俺が百さんにあげたいものをあげてるだけだから、返さなくてもいいですよ。というか、面倒なら、来年から止めるけど」

「草餅め」

 

 止めてほしくないらしい。

 

「今、面倒くさいと思ったな」

「思いましたけど」

 

 百に、ゴンッと頭を腕にぶつけられた。エスカレーターを乗り継ぐと、再度頭をぶつけられる。

 

「そもそもだな。クリスマスから正月まで期間がなさすぎることに、問題がある」

「それは確かに」

「しかも、平日だからな。クリスマスは」

 

 紳士服売り場の階で、百がエスカレーターを降りる。丹月も引っ張られる形になった。

 

「ということで、何が欲しい」

「今から選ぶ感じなんだ……」

「ちなみに、難易度はクリスマスシーズンに比べると、幾段か上がっているとは思うが」

「お正月ですもんね……」

 

 丹月はため息を吐いた。百も、面倒くさそうに首を横に振った。

 

「プレゼントは、わ た し、してくれてもいいですよ」

 

 丹月は、力いっぱい鼻で笑われた。

 

 

◆炎症マウス

 

 朝っぱらから、丹月がなんか険しい表情をしていた。

 朝食がてら、そんな同居人の顔を観察する羽目になった百は、特段触れることなく出勤することにする。長らく同居している経験則的に、どうせ大したことではないだろうと、判断したからだ。

 ──多分、帰ってきた頃には、なんとかなっているだろう。

 ということで、放置してさっさと玄関に向かった。 

 

 紆余曲折あり、帰宅は12時間後になった。定時といえば定時退勤ではあるが、積極的定時退勤ではなく消極的定時退勤であったが。明日の自分に期待することにしたのである。

 ささっと靴を脱いで、リビングへ向かい。

 結局、朝より険しい表情になった丹月と遭遇。百は大きく息を吸い込み。

 

「大人なら自分の機嫌は自分で取れ!!!!!」

「自己啓発本みたいなワードで怒鳴られた……?!」

 

 

 口内炎ができたらしい。

 予想通りというか、なんというか。 

 

「理由がしょうもない」

「そんなこと言われても、俺の口内環境はコントロール不可能なんですから。あと、口内炎って痛いじゃん」

「骨折よりは痛くないだろう」

「比較が悪いですよ。プロサッカー選手とプロゲーマーを比べるようなもんじゃん」

「市場規模は一緒くらいになったそうだ」

「じゃあ、どっちも痛いか…………あっ!」

 

 またもや顔をしかめる丹月。

 

「喋って……歯が……口内炎に…………あたって…………」

 

 何でも、舌にできているらしい。そのせいで、ちょっとしたことで、追加ダメージをくらうそうだ。

 心底、百にはどうでもよかった。

 

「酢を飲むか、醤油を飲めば治るそうだぞ」

「それ、口内炎気にするどころじゃないからだよね」

「草餅め」

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