終結プログレス 作:カモカモ
◆イタリアの風
「5……6……7………」
丹月は怖かった。
「8……」
向かいに座った女性が、謎にカウントを増やしていくので、非常に怖かった。
「今の間に俺を殺した回数とかカウントしてます……?」
「そんなわけないだろう、草餅め」
たまには外食するか、という感じになって、気取らないイタリアン(ファミレス)に到着。席に通されてなんやかんやしていたら、唐突なカウントが始まってしまったのだ。
「じゃあ、何の回数?」
「お前が私のことをチラチラ見てくる回数だ」
「向かい合って座ってるんだから、そりゃ顔も見るに決まってますよね」
じーと、丹月は百を見つめる。即座に百の眉間にしわが寄った。
丹月は変顔をしてみる。
額を指で弾かれた。
「ひど」
「お前の顔のほうがひどい」
バーコードを読み取って、入力画面を開く。丹月はさっさと数字を入力して、メニューをのぞき込んでいる百をしばし待つ。
結局、数品頼んで、一旦待機時間が生まれた。
「単純な話だが、丹月は私の顔を見つめすぎだと思う」
「そんなことあるかな」
「見惚れてるのか?」
「そうですね」
百は、ちょっと顔を伏せた。
「照れた?」
「そんなはずがないだろう」
店員さんが来て、注文の品を置いていった。百はドリンクバーの飲み物で口を湿らせていた。
「ところで」
「ん?」
スプーンを差し入れると、湯気が上がる。チーズの香りがぶわりと、広がった
「ここはイタリアン風レストランのはずだが。そのメニュー自体は、スペインの伝統料理じゃないのか?」
「気にしたら負けですよ。ここは日本ですし」
「草餅め」
「俺のせいじゃないだろ」
◆初春コールド
ぽかぽかとした陽射しに騙されて外出をしたら、思ったより寒かった。
ので。
百が取るべき手段は一つだった。すなわち、身近な温そうな服を借りればいい。
「強奪された…………!?」
強奪されてしまったため、丹月は非常に肌寒かった。
「理不尽」
「理不尽とは認めるが、それはそれで私が寒すぎた」
「上着取りに帰りましょうよ」
「今の私は、防寒がバッチリだが?」
「俺が犠牲になりすぎてる……!」
冗談は、置いておいて、上着を加味した上での服装だったため、今度は丹月が普通に寒くなってしまった。
太陽が当たるところはぽかぽかしているが、空気はまだ意外と冷たい。
「風邪ひきそう」
「ちっ」
「元はといえば、百さんが薄着外出してることが問題ですからね」
苦言を呈したところで、百が服を返してくれるつもりは無さそうだった。
しょうがない。
丹月はため息をついて。
「……………。なぜ、私に覆いかぶさってきた」
「せめて、暖くらいはとらせてください」
とくん、とくんと、鼓動を感じる。人の温かさ。
「歩きにくい」
「じゃあ、一旦帰りましょうよ」
「めんどうだろう」
「なら、諦めて」
「草餅め」