終結プログレス 作:カモカモ
◆置場ソフト
丹月は頭が重かった。
「百さん」
断じて、疲労とかそういう理由ではない。外部からの物理的な要因だった。
「邪魔」
「私も常日頃から邪魔だから、今こうしている」
「置き場所は他にもあるじゃないですか、間違いなく。机でも何でもいいじゃん」
「その置いてるところを、想像して、何をどうして何のつもりだ」
「つもりもクソもねえわ」
半ば当たりやじみている同居人は、丹月の抗議を受けてなお動こうとしない。頭上のやわらかな重りは、丹月が頭を揺らしたりしたら形を変えるのだろうが。
「というか、こっちが、何をどうして何のつもりなんですかって、聞く側ですよね、状況的に」
「お前に質問の権利はない」
「その置き場所は、俺に所有権が確実にあるんですよ。不法投棄?」
「投棄できればどんなにいいことか。私のもろもろのパフォーマンスが上がることは確実なのに……」
「それなら、百さんは己の所有物を、勝手に俺に乗せてるわけで、じゃあ不法置きじゃないですか」
百は舌打ちをした。丹月としては、舌打ちをされる謂れはない。
「で?」
「あ?」
「どついうつもり?」
「どういうつもりだと思う、草餅め」
翌日は休日だったので、午後まで一緒にベットで過ごした。
◆気まぐれスイート
頬に手をあててみようと丹月が手を伸ばしたら、速攻ではたき落とされる。
「断わるための言葉を持たないタイプかあ」
「断わりのひと言すら持たない無礼者には、実力行使で対抗するのが理だろう」
「ことわり、ことわり…………」
「何を言っている?」
何を言いたいかは、正直丹月もわかっていない。
確かに。
一言もなく触れようとした丹月が悪いのは間違いないことではあるのだが。
2LDKの住まいの。丹月の自室に。わざわざ入ってきたうえで。
「ベッドで寝転んでるのは、どういう心持ち?」
それも、部屋の持ち主たる丹月よりも、ずいぶん早くにだった。止める間もなかった。もとより、止めないだろうけど。
「眠いから、早く電気を消せという気持ちだ」
「少なくとも感情ではないなあ」
百を壁際に転がすと、文句がとんでくる。しかし、丹月は無視した。そもそも、一人用のベットなので狭くなるのは仕方がない。
ぴったりくっつくことへの不満はとんでこなかった。
めちゃくちゃ快眠だった。
◇
ぽけーと携帯端末を触っていたら、ぴったりくっついてきた。そのうえで、丹月の空いていた方の手を弄び始める。
試しに、頬に手を当ててみるかと手を伸ばしたら、こてんと百が首を傾ける。
「ひゅっ」
「その反応は失礼だぞ、普通に」
「百さんのオンオフに心臓がついていかないんですよ。猫ですかあんたは」
「草餅め」