終結プログレス   作:カモカモ

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日傘インベイダー/お得用スイーツ

◆日傘インベイダー

 

 太陽が殺人級に人を焼こうとしてくる季節が迫ってきた。

 丹月はげんなりしつつ、今年になってからは初めての日傘を、ぱっと開く。

 折りたたみ式のそんなに大きくないものではあるが、陽射しを遮るには十分だった。

 

「あのさ」

「なんだ」

「日傘の相合傘は意味ないと思うんですよね」

 

 丹月が日傘を開いた途端に、すすすと近寄ってきてしれっと入り込んできたのは、百であった。

 丹月の日傘は、男性用モデルではあったが、携帯性が優先されているため、サイズはさほどである。

 

「意味は私が決めるものだろう」

「独裁者?」

 

 要するに、おとな二人で入ろうとするのなら、密着せざるを得ないわけで。そうなると。

 

「ひっつくな、暑い」

 

 文句を言われたが、無視する。なんなら、丹月の方が、嫌がらせがてらひっつきに行ってやった。グリグリと、押し返される。

 暑かった。

 

「そもそも、狭いってことはとっくに分かりきってたんだよなあ。百さんも、そろそろ自分のやつを買いましょうよ」

「日傘を持つと、日傘分荷物が嵩張ることになるじゃないか」

「それを、補って余りあるメリットあるじゃないですか」

 

 わざわざ、人の傘に入り込んでくるくらいだから、百も日傘の快適さは、わかっているはずだ。

 

「お前のに入ればいい」

 

 丹月は、盛大にため息を吐いた。

 

 

 

「え〜、百ちゃん日傘持ってないの?それが許されるの、小学生まで…………最近は小学生も持ってるから、園児さんまでだよ!」

「トワ……………やかましい。黙れ」

「やかましくもなるよ。いい歳した社会人女が、今日び標準になりつつある装備すら、保持してないと思わないじゃん」

「必要性を感じない。確かに、日陰が常時作れる涼しさは、認めるところではあるが」 

「持ってはないけど、涼しさは分かるんだ」

「入るあては、あるからな」

「入る、あて」

「私の同居人が「かーーーーー!ぺっっっっっっっ!」

「どういうつもりだ、永遠貴様!」

「のろけるんじゃないよ」

「……………のろけ?」

 

 

◆お得用スイーツ

 

「お徳用訳あり商品の、訳無し製品を見たことがないんですけど、どこにあるんですかね」

 

 ふらっと寄ったコンビニで、値切り品コーナーに並んでいた巨大雑貨ブランドと提携している訳ありバウムが安かったので、複数購入していくつかを同居人に手渡した。

 同居人は、眉をひそめていたが、間もなくして味が決まったらしく、残りを丹月に返してきた。

 

「故意に訳ありにしているから、そんなもんは存在しないんじゃないか」

「故意なんですかね」

「詳しくは知らんが」

 

 丹月は、せっかくなのでと、期間限定味のバウムを手にした。百がじっと丹月の手元を見つめてきたので、彼女の口元にバウムを差し出すとぱくりと咥えた。

 お返しのためか、向こうのバウムも差し出されたので、丹月も一口もらった。

 もきゅもきゅと咀嚼。

 

「これだけの訳あり商品が日本全国で安定的に供給されているなら、その数倍は訳なしが流通していないとおかしくなる」

「まあ、それはそう」

「食品加工には、まったく詳しくないが、これだけの訳あり商品が出るのなら、損失のほうが大きくなるんじゃないか?」

 

 口の水分を随分と吸われてしまった。何か飲み物が欲しくなってきて、丹月は適当に冷蔵庫から牛乳を取り出す。自分分だけ持っていったら、勝手に飲まれた。

 

「欲しいなら、百さんの分は自力で準備してくださいよ!」

「一口でいい」

「百さんめ……………」

 

 

後日。

「売っていたぞ、フルスケールバウムクーヘン」

「ええ……そんなばかな……………本当だ!」

 

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