終結プログレス 作:カモカモ
◆女心テスト
百が、むっすーとしてたので、丹月は少し考えてチリトマト(純正品)をお供えすることにした。
お供えされた百は、チラッと一瞥して、お前このタイミングでカップラーメンて、という目で丹月を睨めつける。
丹月は思った。
「むっずい」
「何がむずい、言ってみろ」
「女心……?」
不機嫌な百に対して、どのような対応が正解に近いのか。恐らくこれは、丹月にとって永遠の課題だろう。
「その程度では、女心検定4級も危うい」
「なんか怪しい検定増えた……」
就活とかに役立つのだろうか。
「4級は小学生高学年女児レベルだ」
「じゃあ、確かに俺には無理かも」
高学年女児は、どうやらすでに自分の機嫌の取り方の術を身につけているようだ。百調べだから、なにも根拠はないが。
「ちなみに、百さんは何級持ってるの」
「私は、3級だ」
「そんなに変わらねえじゃん」
「実務レベルで必要なのは、3級までだからな。2級以降は、所持していても役立たないどころか、まれに厄介事を振られることにもなる」
思ったよりも、資格感がつよい検定だったらしい。というか。
「同性でも、分からない領域があるんだ、女心って」
「涙の理由を整理しきれるわけではないからな。それは男心でも、同じだろう?」
丹月は、はっきりと首を横に振る。
男心検定2級所持者の丹月に言わせれば。
「合体する巨大ロボットと、変形機構付き武器を見せれば、男はだいたい共感はし合えるから」
「男心検定1級は、女心検定5級レベルなのか……」
「さすがにもうちょっと高いと思うよ!」
◆想定外ヘアー
髪を切りに行く。
そう告げた同居人が、数時間後すっかりかわり果てた姿で帰ってきた。
百は大きく息を吸って。
死ぬほど笑った。涙も出てきた。
「そこまでのことかなあ!?」
百はめちゃくちゃ笑った後。
「明日からの社会生活に支障をきたさないか」
「急に正気を取り戻さないでください……」
草餅は丸刈りだった。
大人の丸刈りは、ある種特殊層と思われるトレードマークでもあった。
「何か、罪を犯したとか、犯罪をしたとか、大きな失敗をしたとか、浮気したとかそういうことか?」
「浮気かなあ」
うるせー口は、顎を掴むに限る。百にためらいはなかった。
「草餅め」
すぐさま、丹月は百の腕をタップ。仕方がないので、離してやることにする。
「冗談はおいておいて」
「冗談か?」
「そんな怖いことをやる勇気が、俺にあると思いますか」
「草餅だし」
「俺をなんだと思ってるんですか」
「浮気男」
「冤罪」
「自白しただろう」
丹月が、何を思ったか、百の顎をつつみ込んで頬に指を当てがてきやがった。百はその手を引っ剥がす。
そのついでに、やたら短髪になった丹月の頭を撫でる。じょりじょりした感触が、手のひらに返ってくる。
「いつもの理髪店だったんですけど、いつもの人じゃなかったんです……」
「美容院ならカルテくらい作るだろう」
「1000円カットって知ってる?」
ようするに、安めの散髪屋に行って、いつも通りの注文をしたら、思ったよりもばっさり切られてしまったらしい。
「金をケチるな」
「ぐう」
ぐうの音くらいは出るようだった。