終結プログレス 作:カモカモ
◆ネタ切れバニー
色々あって丹月の同居人がメイド服になった。
どぎつい布激少メイド服なんかではなくて、しっかりスカートに丈があり、露出も少ないという非常に安心仕様だった。
もはや丹月は、この程度で動じなくなりつつある。百も同様だった。慣れとは非常に恐ろしい。
くるっと百が一回転すると、裾がふわっと膨らむ。
「ノリノリじゃないですか」
「ノリノリじゃないが?」
今度は、裾をつかんでしゃなりとカーテシー。
「ノリノリすぎる」
「そんなわけはない」
そんなわけない人が、カーテシーなんてするか。
というか。
「本当に何でもできますね」
「この程度、見様見真似もいいところだ」
「そんなもんですか」
「そんなもんだ」
「そっかあ」
丹月には、残念ながら違いは全くわからなかった。
ところで、と百がようやく切り出した。
「なんのつもりだ、貴様は」
「言わないでください」
「黙っていては通報もできない」
色々あったのだから、当然丹月も色々あったのである。
丹月の頭のカチューシャは、非常にアンバランスだった。
ゆらりと耳が揺れた。
「どういうつもりだ、バニー服なんて着て」
丹月もカーテシーをした。
「目から摂取できる公害」
「目の毒…………!」
◆割引カップル
「どうする丹月。ここで私を口説いてみるか?」
世の中はわりかしお二人様を求めているらしい。ふらっと見かけたカフェで、カップル割なる表記を見かけて、ふらっと立ち寄っていざ注文という段階になったタイミングだった。
「今更?」
「今更と言うには、お前から口説かれた記憶がない」
つまり。
左手小指に揃いのアクセサリーをつける程度の関係性ではあって、けれどもなお、カップルには、足りないらしい。
「お姉さん美人だねお茶しない?」
「なぜ、口説き文句のレパートリーが、今日びでもそうそう見かけないナンパ男風しかないんだ」
「逆に、今風の口説き文句ってどういうやつなのかご教示くださいよ」
おそらく、丹月がどう口説いても今風には到底ならないだろうという確信だけはあった。
「私が知るわけないだろう」
「でも、百さんなら、女の人の5〜6人くらいは口説けたことはあるでしょ」
「お前は私をなんだと思ってる。こちらから望んで口説くと思うか?」
「じゃあ、どうなるのさ」
「どうもなにも」
百が唐突に黙り込んだ。机に頬杖ついて、じっと顔を見つめてくる。
「ん、私の顔に何かついてるかい?」
自分から見つめてきてそれはおかしいだろうと、丹月は心から思う。
「こんな感じのやりとりをしていたら、なんか好意を持たれることになる」
「ひと昔前の少女漫画とかのヒーロー……?」
「草餅め」
「あのー、ご注文はお決まりでしょうか…………」
「あっ、すみません」
「このカップル限定メニューで」