終結プログレス 作:カモカモ
◆秋焼けサーチング
同居人と公園を歩いていたら、松ぼっくりが落ちていた。
丹月は、その松ぼっくりを、サッカーでドリブルするかのように蹴りつつ。
「こういうのが小さい秋だとして」
適当な木めがけてシュート。少し右にそれて、ころころとあらぬ方向に転がっていった。
「大きい秋って、何を指すんですかね」
「…………冬眠にはいる前のヒグマ?」
「大きくはありますけど」
そういうのでは、ないだろう、さすがに。
松ぼっくりを失った丹月は、がさごそと落ち葉を足でかき分けて、どんぐりを見つける。帽子がトゲトゲしていて、胴体はずんぐりしているタイプのやつだった。
「……おい」
「はい?」
百が、なにやら重々しくため息を吐いた。
「私には、残念なことに、お前の奇行を止めるか、あるいは通報する義務が発生してしまうのだが」
「そこまでのことかなあ!?」
首をゆっくり横に振る同居人。
「客観視ししろ。いい歳をした成人男性が、どんぐり拾いなんてするか?」
「してもいいでしょ、別に」
この世の中はそれほどまでには、男性に厳しくないはずだ。
「ましてや、その前は松ぼっくりだ。なんだ、その、お前、なんかストレスとか、あるのか?」
「ストレス…………」
丹月はじっと百の目を見つめる。いつのまに拾っていたのかわからないやたらと巨大な落ち葉で、丹月の視界が遮られた。丹月は、指で少し違ってのぞき穴を作る。
「ストレッサー…………?」
「誰がストレス源だ、草餅め」
◆※衣服を着用しています
丹月が目覚まし時計代わりにしている端末からアラームが聴こえた。そして、端末の持ち主は。
「ぐえ……」
上からのしかかられて変な声を出していた。アラームはすぐに鳴り止む。丹月にのしかかっている人物が消したらしい。
「せっかくの休日に、アラームなんぞならして、睡眠を妨害して、どうするつもりだ草餅め」
「ぐえ……………」
のしかかられている状況では碌な反論もできやしない。つまり、言論を封じ込められていた。
「そもそも、この時間になってかけるアラームに意味はあるのか?」
カーテンから差し込んでくる光は、とても朝方とは思えない眩しさ。ほぼ正午に近かった。さすがに、ぼちぼち発言権を取り戻したかった丹月は、自身の胸を圧迫してくる人物の両肩を抱えて、ぐるりと横回転した。
案外簡単に態勢は入れ替えられた。
「せっかくの休みだから、ぎりぎりでも、午前中にはなんとか活動したいじゃないですか」百は、ふんっと鼻をならす。
「それならば、こんな正午近くに時間を設定するな」
「寝たいじゃん」
「活動するなら、ちゃんと朝からにするほうが効率的だろう、どう考えても」
「百さんはわかってないですね。そもそも、朝にアラームを鳴らしたところで、ちゃんと目を覚ませると思いますか」
「活動云々言ってるのはお前だろうが」
丹月は端末をいじって、スヌーズ設定を取り消した。百はうろんげなまなざしで、そんな丹月を見つめる。
「そもそも、この時間に起きて何をするつもりだったんだ?」
「SNS巡回」
「活動じゃなさすぎるだろう……」