終結プログレス 作:カモカモ
◆思考リーディング
キュートなの?
セクシーなの?
どっちがいいの?
威圧を放ってこないほうがいいなと、丹月は考えて。
「なんだ?」
リアル百からは威圧をされた。自分は何も悪くないはずだ。そう思いながら丹月は平伏した。
「というか、なんで俺の思考読んでるんですか」
「何を言ってるんだお前は」
丹月視点では(一応)キュート(に分類できなくもないがジャンルとしてはクールかストロングの方が確実に正しい)な百は心底からの呆れ顔だった。
「超能力とかそういうのは中学生で卒業しておけ」
「そういうんじゃなくて」
そして、丹月は超能力系の中学生活ではなかった。どちらかというと、自意識高めの厭世観漂い系だった。
「うわ」
「なににうわってなったの」
「想像以上に痛々しくて」
「やっぱりなんか読んでる!」
そして丹月はごろごろ悶えたくなった。主にあの頃の封印すべき記憶がよみがえってしまったので。
「読むも何も、全部口に出てるぞお前は」
丹月はぱっと口を手でふさいだ。というか、そんなことがあるのか。全部口に出すなんて。さすがに、それほど独り言は多くないと自負していたのだが。
「安心しろ、丹月。私は理解がある」
「どこを指して理解されたの!?」
「それで」結局、キュートなのか、セクシーなのか、どっちだ?
「オールマイティ百さんでお願いします」
「草餅め」
◆ハロウィンTrick
「ということで、今お前は私に対するイタズラを画策し、実行に移そうとしているわけだが」
「してないし、欠片も思ってないし、どうせTrickしたら反撃がとんでくるパターンだとは思ってます」
ハッピーハロウィン。
なんかそろそろさすがに、この季節イベントの元の意義を問うとかするほうが、野暮なのではとは思わなくもない状態に、丹月も突入はしている。家業が家業な故に、その辺の知識はそれなりにあるから、違和感は覚え続けてしまっているけど。
とはいえ、別段平日であることには変わりなく、普通に過ごしていたら、帰宅してきた同居人による玄関先の第一声がこれだった。
「紙袋今年は何個突入したんですか?」
「1個以内」
今年は名前も知らない女子高生から声をかけられかけた、とは百の言。あいも変わらず、というべきか丹月は若干あきれつつ、紙袋を受け取る。
ずっしりと重く、これの消費にどれだけ期間がいるのかとか若干遠い目になりつつ。
「持ってった分は」
「普通にはけた」
つい先日、丹月もいわゆるデパートに駆り出されて荷持ちに勤しんだ消え物の類いはちゃんと売り切れたようだった。
「百さんって、変にまめなとこありますよね」
「変には余計だ。それに、ブランドになってるような物を買う方が、考える手間がなくて結局合理的だ」
「まあねえ」
といいつつ、左手で空いた百の手を握って、百は特段疑問を抱くことなく丹月の手を握り返す。そして、すぐさま違和感に気づいて眉をひそめて。
「おい」
「はい?」
Trick(ゴキブリそっくりの人形)が、とんでもない速度で眉間にとんできて、しっかりとした痛みを丹月は感じる。
「草餅め」
「思ったより動じてないかあ……」
「もう一発いくか」