目を開けると、そこは炎に包まれた瓦礫の山が点在する場所だった。朦朧とした意識を何とか呼び戻していく。あちこちから聞こえてくる悲鳴と怒号。そして目の前に転がる無数の人間のなれの果て。
「おとうさん?おかあさん?」
わたしはようやく口を開くことが出来た。そして1番最初に出てきた言葉はわたしの1番大切な人たちの名前。わたしは立ち上がり、1歩踏み出した。
熱い。
炎がわたしの肌を焼くように照り付ける。もう1歩踏み出す。すると、大きな地響きと一緒に黒い人がわたしの目の前に立ちはだかった。身長2mくらいある黒い、人の形をした影だ。
「あ……」
その黒い人型の影の頭に相当する部分が、わたしを向いた。そして、そこに存在する1つの丸い光が、怪しいピンク色に光った。影はわたしへ体をゆっくりと向け、右手に持った巨大な銃のような物をこちらに向けてきた。
「あ、あああ―――」
わたしはその目の前に居る黒い影に怯えて、身体が動かなかった。そして、銃のような物の先端をわたしに向けた黒い影は、もう1度丸い光を発光させた。
うぅぅおおりゃぁぁぁー!!!
でもその直後、わたしの耳に女の人の叫び声を聞こえた。そして叫び声が聞こえた僅か数秒後、目の前に立っていた黒い影の腰に当たる部分に横一直線の光が走った。その光は目にも止まらない速さで左から右へと流れ、そして黒い影の上半身と下半身を分断した。分断された上半身が地面に落ちて、凄い砂煙が上がった。
「わあっ!!」
そして砂煙を巻き起こした風が、大小様々な瓦礫を巻き上げてその内の大きな破片の1つがわたしに向かって来た。
「っ!危ない!」
そしてまたあの声がした。わたしは目を瞑ってしまってその女の人の声が聞こえた後に何が起こったのかわからなかったけど、わたしが次に目を開けた時、そこには――――
「大丈夫!怪我とかしてない!?」
黄金の翼を持った女の人がわたしを見つめながら立っていた。
その人を見た時、わたしは天国から天使さんが迎えに来たと思った。それ程キレイだった。わたしよりも背が高くって黄金の鎧を全身に着て手には大きな銃を、そして背中には黄金色に輝く一対の翼があった。
「う…うわぁぁぁーん!」
わたしは思いのあまり泣いてしまった。とっても大きな声で泣いた。するとその女の人は、ギュッとわたしを抱きしめて頭を撫でてくれた。
「良かったぁ~何処にも怪我は無いね。大丈夫、大丈夫だよ~だから泣かないで!」
「うっ、うう…ヒック…ふぇぇ…」
「ああ~これじゃあ1人では逃げれそうにないなぁ…仕方ない。避難船が出てる港まで送るしかないね」
「お、おねえちゃん……わたし、わたし…ふぇぇ」
「大丈夫だよ。お姉ちゃんがすぐに安全な場所まで連れて行ってあげるからね!ほら、お姉ちゃんにしっかり捕まって!」
わたしはそのおねえちゃんの身体にしっかりしがみ付いた。するとおねえちゃんは大きくジャンプをして、空を凄い速さで飛んだ。
「わあぁ!おねえちゃんって鳥さんなの!?」
「そうだよ!みんなからは不死鳥さんって呼ばれてるんだ!」
「ふしちょうさん?」
「うん!絶対に飛ぶことを止めない、とっても強い鳥さん。って意味だよ!」
「そうなんだ!おねえちゃんってすっごい鳥さんなんだね!」
「そうだよぉ~だから、貴女の事もちゃんと安全なところに送ってあげるからね!」
「うんっ!」
それからしばらく空を飛んだわたしとおねえちゃんは、すぐに船が停まっている港に到着した。そこでおねえちゃんは見張りをしていた男の人に話しかけた。
「この子を避難船にお願いします!」
「了解しました!」
そしてわたしは、その男の人に抱きかかえられた。
「私はまだ逃げ遅れた人がいないかもう1度探してきます!その子のこと、お願いしますね!」
「おねえちゃん!」
わたしは、また飛んでいきそうなおねえちゃんを呼びとめた。それに気づいたおねえちゃんは、ゆっくりとわたしの元へと戻って来てまた頭を撫でてくれた。
「大丈夫だよ。私の代わりに、この人が貴女を安全な場所へ連れていってくれるからね」
「おねえちゃん……うっ…」
「ほら泣かないで?私とはお別れになっちゃうけど、大丈夫だから―――あ、そうだ!」
するとおねえちゃんは、自分の首から下げている銀色の翼の様なネックレスをわたしの首にかけてくれた。そして笑顔を作って言った。
「私のお守り、貴女にあげるね!」
「おねえちゃんの、お守り?」
「そ!そのお守りがあれば、私がいなくても怖くないでしょ?」
「―――うん!」
わたしはおねえちゃんのその言葉を聞いて怖くなくなった。
「いい子だね」
そう言っておねえちゃんはもう1度わたしの頭を撫でてくれた。
「それじゃあ、お願いしますね!」
「はい、お任せください!」
「じゃあまたね!」
そう言ったおねえちゃんは、今度こそ飛んでいってしまった。
おねえちゃんッ!
わたしは飛んでいったおねえちゃんの背中に向かってそう叫んでいた。
そして、時は流れ―――
この日、私は大きな扉の前に立っていた。扉は両開きの木製の扉で、扉の上には「司令官室」と書かれたプレートが掛けられていた。私がこの基地で見てきた扉は大体自動ドアだったから、この部屋だけ木製の扉となっているのが不思議だった。私は、右腕に巻き付けてある腕時計を確認し時間をチェックする。時間は午前10時に丁度なったところだった。私は深く深呼吸をして息を整え、扉をノックした。コンコンコン、と3回ノックをすると、中から男の人の声で「入れ」という返答が帰ってきた。
「失礼します!」
そう言って私は意を決して扉を開けた。室内へ足を踏み入れて5歩ほど歩を進み、両足を揃えて姿勢を正す。そして右手をまっすぐ伸ばして親指と人差し指はぴったり付け、肘を曲げて右腕を上げ、敬礼をした。
RX-9、ナラティブガンダム。着任しました!よろしくお願い致します!!
今日この日、私は
ナラティブガンダムの
続く