機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP17 海岸線の戦い

海上を進む6人のMS娘たち。周囲の海域では上陸準備を始めた艦船でひしめき合っていた。

(凄い規模…これが上陸作戦なんだ)

その光景を見たヨナは内心、驚きを隠せなかった。そして上陸予定の浜辺周辺に上陸部隊の障害となるZK級、GM級、ZW級、SD級、TER級をユイが発見した。

〈見えたぞ、黒色機動群(奴ら)だ〉

「っ!」

周囲の光景に目を奪われていたヨナだったが、ユイの通信を聞いて我に返った。視線を進行方向である浜辺の方へ向けた。

〈いいか、相手はこちらよりも多勢だ。一人で相手取ろうと思わず、協力して各個撃破しろ!〉

 

了解ッ!

 

シンから通信が入ったタイミングで、浜辺に展開していた黒色機動群が接近してくるMS娘たちの存在に気が付いた。その事を周囲の黒色機動群に知らせるように手を大きく振るSD級。

〈気づかれた!みんな、攻撃が来るよ!〉

そのSD級の動きを察知したコトハが通信で他の全員に警戒を呼び掛けた。そしてその3秒後、浜辺に展開している黒色機動群たちは手に持った火器類でヨナ達に攻撃を開始した。

〈各機、散開しろ!ヨナとアスカは俺とユイに続け!〉

「了解です!」〈わかったよッ〉

〈ミーシャ、コトハ。私は付いて来て!〉

〈了解だコトハ!〉〈チッ、仕方ない!〉

海上で2チームに分かれたヨナ達は、その場で左右に大きく進路を変えて黒色機動群からの集中砲火を避けた。この行動が功を奏し、黒色機動群の攻撃はそれぞれが距離の近いMS娘たちに向けられた。ヨナ達は左側へと転進し、浜辺を目指した。

〈好き勝手させるもんか!〉

(アスカちゃん!)

海面付近を飛行しているアスカはビームライフルを浜辺に向かって射撃を始めた。黒色機動群の弾幕に交じってアスカの放ったビームライフルの緑の光弾が浜辺へ向かって飛んでいく。しかし、距離が離れすぎているせいか命中弾は殆んど無く砂浜に着弾して砂煙を上げていた。

〈クソ、当たれよ!〉

ビームライフルが命中しないことに苛立つアスカ。だがユイがすぐにアスカを諫めた。

〈落ち着けアスカ!この距離では無駄撃ちになる、バッテリーを無駄遣いするな!〉

〈っ…わかったよッ〉

ユイの言葉にアスカはビームライフルを収め、回避と浜辺への接近に集中した。ヨナもアスカに続いてビームライフルを撃とうとしたが、ユイの言葉を聞いてその衝動を抑え込んだ。

〈このまま左方面から攻撃を仕掛ける!行くぞ!〉

ユイはそう言うと、進行速度を上げた。海上で純白の翼を羽ばたかせ、海鳥のように海面すれすれを流れるように飛ぶユイ。それを追うように黒色機動群の弾幕が次々に水面に着水していく。

「急ごうアスカちゃん。遅れるとマズそう!」

〈狙いが自分に集中してる内に上陸しろって事か…やってやるわよ!〉

ユイが進行速度を上げたことの意図を汲んだのか、ヨナとアスカはユイの少し離れた場所で転進、一直線に浜辺へと向かっていった。そして2人の存在に気づいた2機のZK級がヨナ達にマシンガンを向け、発砲してきた。

「来るよアスカちゃん!」

〈左の奴から墜とす。ヨナ、援護して!〉

「了解!」

前に出たアスカは、ビームライフルを撃ちながらZK級のいる浜辺へと向かって行く。その後方からヨナの乗ったベースジャバーが続く。その時、ZK級のマシンガンの弾丸がアスカに数発直撃した。

「アスカちゃん!?」

目の前でアスカが被弾したことに驚くヨナ。しかし―――

そんなもん(実弾)で…私を殺れると思うなぁ!〉

着弾した弾丸は、アスカの装甲表面で弾かれた。インパルスガンダムの持つヴァリアブルフェイズシフト装甲(以降「VPS装甲)と表記)は、一定の電力を消費し実弾や実体武器を無効化する装甲だ。故にアスカに実弾や実体剣は殆んど効かない。そして狙いを定めたアスカは叫びながらビームライフルの引き金を引いた。放たれた光弾は左側に立っていたZK級の左腕を直撃した。マシンガンのサブグリップを握っていた左腕は直後に爆発し、ZK級を怯ませることに成功した。

「隙が出来た!アスカちゃん合わせて!」

〈任せて!〉

その隙を狙って、後方から続いていたヨナが合図と共にビームライフルの引き金を連続で引く。それに合わせアスカもビームライフルを連射する。2人が放った無数の光弾は、怯んだZK級の腹部に全弾が命中しそのまま装甲を貫通、風穴を開けた。ZK級はその場に仰向けに倒れるとそのまま爆発した。

「よし、まず1機!」

〈ヨナ、次は右の奴!〉

「了解!」

そして今度はヨナが先行していく。ヨナはシールドを正面に構えながらビームライフルを撃つ。

「当たって!」

しかし、その最中にZK級の撃ってきた弾丸を右肩と左膝に命中させられたヨナ。

「うわっ!」

〈真っ直ぐ突っ込んだら的になるぞ!〉

アスカの忠告にハッとするヨナ。幸いにも目立った損傷とはなっていなかったが、いつまでも喰らい続ける訳にもいかない。ヨナはシールドを構えるのを止め、回避行動を取りながらZK級への接近を試みた。身体を左右に傾けてバランスを変え、回避行動を取りながらビームライフルを放つ。

「そこっ!」

ヨナが放ったビームライフルの1発がZK級のマシンガンに直撃した。そしてそれと同時にアスカのビームライフルが同じ個所に命中、マシンガンが爆発した。爆発によってZK級はたじろぎ、隙が出来た。

「今なら上陸出来そうだよアスカちゃん!」

ZK級(あいつ)が態勢を整える前に上陸するよ!急いで!〉

アスカの言葉に合わせ、2人は一気に浜辺への上陸を目指した。アスカはフォースシルエットのスラスターを全開で噴射し、それに続いてヨナも後を追う。そして―――

〈墜ちろぉ!〉

先に浜辺に到着したアスカがヴァジュラビームサーベルを抜き放ち、立ち直っていたZK級の頭部をすれ違いざまに切り落とし―――

「これで終わりだ!」

その直後にヨナがZK級の腹部に左手に握ったビームサーベルを突き立てた。更にそこへビームライフルを撃ちこみ追撃を加える。3発ほどビームライフルを撃ちこんだヨナはベースジャバーから飛び降りて砂浜に着地する。

「よし、上陸できたよ!」

〈浮かれてる場合じゃないよヨナ!ユイさんの援護に行こう!〉

「そうだ!急ごうアスカちゃん!」

 

一方ユイは、たった1人で2機のSD級、3機のZW級、1機のTER級を相手取っていた。だが、宙を舞うユイの下には黒煙を上げる多数のZK級とGM級の残骸が転がっていた。翼を羽ばたかせ、フィギュアスケート選手のように宙を舞うユイは黒色機動群の弾幕を躱し隙あらば手にしたツインバスターライフルで反撃をする。

〈意味のない行動だな。墜ちろ!〉

再び放たれたツインバスターライフルの黄色い光線がZW級の胴体部を消し飛ばす。

〈1機撃墜っ〉

だがその時だった。

「ユイさん!」

地上からはヨナが、空中からはアスカがこちらに向かって来ているのがユイの視界に映り込んだ。

〈ユイさんばっかりに、良いカッコはさせない!〉

空中からアスカがビームライフルを撃ち、ZW級の背中にあるスタビライザーを2つとも撃ち抜く。背後が爆発して吹き飛ばされたZW級に今度はヨナがビームサーベルで斬りかかり、背後から胴体部分を両断した。そして振り返りながら周囲の黒色機動群に対してビームライフルで牽制をする。ある物はSD級の盾に命中し、またある物は砂浜に命中して砂煙を上げる。

〈もらった!〉

その瞬間を狙って、SD級の背後からアスカがヴァジュラビームサーベルで斬りかかる。最上段から最下段へ向けて縦斬りを放ち、SD級を頭から両断する。その2人の動きを見て少しだけ口元に笑みを浮かべるユイ。

(私も負けていられないなっ)

ユイはツインバスターライフルを連結させて左手に持ち替えると、副翼にマウントされたビームサーベルを抜いて急降下、盾を構えていたSD級を縦回転しながらすれ違いざまに盾ごと胴体を切り裂いた。そして上空でクルリと方向転換するとツインバスターライフルをZW級へ向けて発射した。

〈沈めッ!〉

発射されたツインバスターライフルが再びZW級の胴体を消し飛ばす。

「目標、あと1つです!」

そうヨナが残ったTER級を見て叫んだ時、海の方から無数の弾丸が止めどなくTER級へ向かって飛来した。自分たちと別れたコトハたちはこの場にはいないし、後に続いてくるMS娘はいない筈。その事に戸惑ったヨナは、弾丸が飛んでくる方向を振り向いた。

 

 

急げッ!MS娘たちを援護しろぉ!

 

 

そこには上陸用舟艇によって上陸を成功させた連合地球陸軍の歩兵部隊が、手にした自動小銃を発砲しながらTER級に向かって行く姿があった。

「うおぉー!隊長に続けー!!」

「撃てー!少しでも敵の注意をこちらに引き付けるんだぁ!」

その光景を目にしたヨナは驚きを隠せなかった。

「あれは陸軍歩兵の人たち!?何でこんな所に!」

そして驚いている間にTER級は右腕に装着された巨砲を向かってくる歩兵部隊に向けた。

「隊長、敵が攻撃しようとしています!」

「散開しろ!回避だぁ!」

「っ!」

それに気づいたヨナは、咄嗟に彼らの前に飛び出した。そして左手に装着したシールドを構えた。それと同時にTER級は発砲、放たれた砲弾はヨナが構えたシールドに直撃しシールドを粉々に砕いてしまった。

「きゃあ!くぅぅ……」

その直撃は重く、ヨナは少し砂浜を削りながら後退してしまったが何とか立っていられる状態を保った。

「お、おい!何をやっているんだお前!」

隊長と思われる人物がヨナに尋ねようとしたが、TER級にビームライフルを向けたヨナは叫んだ。

 

 

貴方たちを、死なせはしない!

 

 

そしてビームライフルの引き金を連続で引き、TER級を攻撃した。2発が命中したものの、ヨナの反撃も虚しく4発目を撃ったタイミングでビームライフルがエネルギー切れを起こしてしまった。ヨナが引き金を引くも、銃口からは小さな桃色の粒子がふわりと浮かび出てくるだけだった。

「え、弾切れ!?」

ヨナが弾切れを起こしたことに驚愕している内に、TER級はヨナと歩兵部隊に向かって歩いてきた。

「クッ、総員応戦!この娘を護るぞ!」

「ハッ!こんな可愛い女の子を護って死ねるなら、本望ってもんだぜ!」

「同感だ兄弟!この子には指一本も触れさせねーぞぉ!」

すると歩兵部隊はヨナを取り巻くように隊列を組み、自動小銃でTER級に攻撃を始めた。

(マズい!このままじゃこの人たちを護れない!)

ヨナは、このままではここにいる歩兵部隊は全員やられてしまうと焦っていた。だがその時だった!

〈ヨナ、歩兵部隊。後は任せろ!〉

上空から金色の光が降り注ぎ、TER級を呑み込んでいった。その光景に呆気取られたヨナだったが、それは何なのか彼女にはすぐにわかった。遥か上空でツインバスターライフルを構えたユイがそこにいたからだ。

〈ヨナ、よく持ち堪えた!歩兵部隊の援護に感謝する!〉

そしてシンから通信が入り、続けて―――

 

 

 

司令ぇー!こっちの黒色機動群も全部撃破したよー!

 

 

 

上機嫌そうなコトハの通信が直後にヨナの耳に届いたのだった。

 

続く

 

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