司令官室は床一面に赤い絨毯が轢かれていて、奥には広い窓が4枚あってそこから陽が差し込んでいた。そして部屋の中央には小さな机がL字にくっ付いた大きな机があった。そしてその大きな机には右目に少し前髪が覆われた真っ白な長い髪を毛先で纏めた青い目をした黒いコートの下に右胸を中心にした銀色の十字線が入った黒い服を着て、黒いジーンズの様なズボンの身長160㎝くらいの男の人と、その隣に綺麗に整えられた羽根毛とアホ毛がある濃い茶色のロングヘアーに青い瞳、白い襟元に赤い十字線の入った少し青みがかった白い長袖を羽織ってその下に真白なワンピースを着た首から碧いネックレスを掛けた隣の男の人と同じくらいの身長の女の人が立っていた。
「よく来たなナラティブガンダム、歓迎するよ。私はM.G.Fの総司令を任されている「シン・クロサキ」だ」
そう言った男の人。シン・クロサキ司令官、は私の敬礼に対して答礼をした。そして隣に立っていた女の人も答礼し、私に話しかけてきた。
「ようこそナラティブガンダム。私は司令官の秘書をやっているウイングガンダムゼロ(EW版)だ。コードネームは「ユイ」しっかり覚えるんだ。いいな?」
「はい!よろしくお願いします司令官!ウイングガンダムゼロさん!」
「私の事はユイでいい。いちいち、ウイングガンダムゼロと呼ぶのは面倒くさいだろ?」
そう言ったウイングガンダムゼロさんは、司令官が答礼を止めたのを確認して自身も手を下ろした。私は2人が答礼を止めたのを確認して敬礼を止め、気をつけの姿勢に戻った。
「はい!よろしくお願いしますユイさん!」
「何かあればユイに相談することだ。彼女はM.G.Fで1番腕が立つし、最初期メンバーの1人でもあるからな」
「そ、そうなのでありますか!?」
私は今、目の前に立つユイさんがこのM.G.Fで最強であることに驚いた。予想なんて出来るはずない。何十人といるMS娘の中から、1番最初に言葉を交わしたのがまさか部隊内最強の人物だったなんて―――
「確かに私はM.G.Fの中で練度が1番高い。だが、だからと言ってそんなに畏まらないでほしいな。先輩後輩の関係はあるだろうが、私にも出来ないことはあるんだ」
「は、はい!」
そして、私はユイさんが自己紹介した時に発した言葉「コードネーム」が気になった。
「司令官。ご質問してもよろしいでしょうか」
「なんだ?」
「ありがとうございます。先程、ユイさんは名前の事をコードネームと言っていましたが、これは私にもあるのでしょうか?」
「ああ、あるぞ。と言っても、連合地球軍の特殊作戦部隊のコードネームの様な堅苦しい物ではない。言ってみれば、愛称のような物だ」
「愛称、ですか?」
コードネームと聞いて、私は軍隊の様な物なのかと思っていたが、司令官の話を聞いてそれは間違いだと思った。更に司令官は説明を続けた。
「ああ。作戦行動中や非番の日、フルネームで呼び合っていては伝達が遅れるし、ユイも言っていたが、面倒くさいだろ?」
「それは確かにそうですね。では、私の愛称は……」
お前の心が知っている
「……え?」
突然の司令官の言葉に、私は戸惑った。「お前の心が知っている」まるで、ニュータイプを相手に話しているような言葉だ。私は意味が分からず、司令官に尋ねた。
「あ、あの…私の心が知っている。とはどういう意味でしょう?」
「自分の胸に手を当てて意識を集中させてみろ。そうしたら見えてくる筈だ」
「自分の、胸に……」
私は戸惑いながらも、司令官の言った通りに胸に手を当てて目を閉じ、意識を集中させていった。目の前が真っ暗になったが、そんなことは気にせず更に意識を集中させていく。自身の深い所へ、意識を集中させていった。すると、そこに見慣れない2文字の言葉が思い込んできた。
ヨナ
「ヨナ……」
私は思わずその文字を超えに出して読んでしまった。すると司令官はパチパチパチと拍手を私に送ってきた。
「よくやったな、ヨナ。上出来だ」
「嘘…本当に分かるなんて……」
「恐らくは、
と、ユイさんが何処か遠い目をしたような気がした。自分にとっても凄く不思議な経験だった。意識を集中させることで、自分の愛称がわかるなんて今までの人生の中で経験できないから尚更だ。すると、さっき私が入ってきた扉がコンコンコンと音をたてた。私は思わず振り向いてしまった。
「入れ」
そして扉が開き、そこには少し癖毛が目立つ真っ黒なショートヘアーの髪に、とても薄く青色が混じった大きな襟が目立つ長袖の上着に、濃い藍色のシャツ、そしてグレーのジーンズを履いた深紅の瞳を持つ少女が立っていた。その少女は入ってくるなり敬礼をすると司令官に尋ねた。
「司令、私に何か用でありますか?」
「今日は時間通りだな、アスカ」
「…ありがとうございます」
(う、ちょっと怖そうな人だなぁ…)
その少女、愛称はアスカ。というらしいが、何処か暗そうな性格をしてそうな気がした。私は、ちょっと身構えていたのに気づかなかったみたいで―――
「ハハハ、そんな身構えなくていいぞヨナ。彼女はアスカ。インパルスガンダムのMS娘だ」
「は、はい…」
「あんたが司令の言ってた新しいMS娘?」
「は、はひ!」
アスカさんの少しだけ低い声を聞いて私は思わずテンパって、はひ!と噛んでしまった。思わず口を押えて悶絶する。
「ううう…いったぁ…」
「だ、大丈夫?」
と、そんな私を気遣ってか、アスカさんは私を覗き込んできた。それを見て、司令官は私の代わりに私の自己紹介をしてくれた。
「アスカの言う通り、彼女が新しいMS娘だ。名前はヨナ、ナラティブガンダムのMS娘だ」
「よ、ヨナですぅ…よ、よろしくお願いしましゅ、アスカしゃん」
「舌噛んでるんだから、無理するなよ。私はアスカ、インパルスガンダムのMS娘。名前は呼び捨てで良いよ。私も二ヵ月前に入ったばっかりだから」
「は、はひぃ……」
どうやら、ただ暗い人じゃないことが分かった。暗い中に、とても強い優しさを持っている。私はアスカちゃんからそんなものを感じた。そしてアスカは司令官にもう一度同じことを尋ねた。
「司令、私を呼び出した訳は何でありますか?」
「ああ、すまないなアスカ。今日呼んだのは他でもない、ヨナに基地内を案内してやってくれ」
「そんな仕事を私に、でありますか?」
「そうだ。ヨナは寮でのお前のルームメイトだからな」
「今の間に仲良くなっておくことが先決だアスカ。これもMS娘としての重要な任務だ」
「……わかりました。ほら行くよ、ヨナ」
するとアスカちゃんは二つ返事で司令官の指示を了承し、扉を早々に開けて部屋を後にしていった。
「ま、待ってよアスカちゃん!司令官、失礼します!」
先に出て行ったアスカちゃんの姿を見て、私は司令官に向かって慌てて敬礼をすると急いでアスカちゃんを追った。
続く