機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP18 半島進攻前夜

フロリダ半島に上陸したM.G.Fと連合地球軍の将校たちは、浜から少し離れた場所にテントを立て今後の動向を検討していた。テントの中央にはフロリダ半島の地図が乗ったテーブルが置かれ、それを囲む様にシン、ユイ、アミット、陸軍中将、その他将校が立っていた。

「アミット、海軍の偵察機から黒色機動群(奴ら)の部隊が存在する地点の情報はこちらに届いているか?」

「はい。海軍の航空偵察によれば、現在地から南西に位置する半島の先端に1部隊、ここから北進した湖付近に1部隊、その地点から半島の西端に1部隊、さらに北へ向かった海岸沿いに1部隊、その海岸沿いから東の内陸部に1部隊、更にその地点から北東と北西方向に1部隊ずつ、そして半島の付け根部分中央に3部隊からなる防衛部隊が確認されています。恐らくは最後に述べた地点が、黒色機動群(奴ら)の防衛ラインでしょう」

シンに尋ねられたアミットは言葉を続けながら示した地点のそれぞれにポケットにしまっていた赤ペンで印をつけていった。

「規模はわかっているのか?」

と、今度は陸軍中将が敵部隊の規模について尋ねてきた。

「残念ながら、敵戦力把握の為に近づいた偵察機が黒色機動群の攻撃によって撃墜されています。なので、どの程度の規模の部隊が展開しているのかはわかっていません」

「そうか…海軍は今後、どういった動きを取ることになっている?」

「海軍はこの後、揚陸部隊とその護衛艦隊をこの海域に残して艦隊を二分、戦艦スサノオと5隻の戦艦を含む主力戦艦部隊は陸上部隊進軍援護の為、西海岸沿いに北上します。そしてもう一方の防空戦艦2隻と正規空母4隻からなる機動艦隊はメキシコ湾方面へ向かい、我々の進軍援護を行いながら西進、空母部隊は敵進攻を防衛中のM.G.F、陸軍の支援を行うことになっています」

「ならば半島を攻略中は海軍からの援護が受けられるという事だな」

アミットは中将の言葉に、その通りです。と答えた。

「だが、M.G.Fの戦力は二分できるほど揃ってはいない。進攻速度はどうしてもおそくなってしまうでしょう」

シンが少し苦しそうに宣告する。

「元々、MS娘たちあっての攻略作戦だ。こればかりは仕方あるまい。補給が無ければ、どんなに強大な軍隊もいずれは総崩れになるからな」

「……お心遣い感謝します。中将」

中将が放った言葉にシンは深く礼を述べた。

「気にするなシン司令。だが、我々は軍人だ。出来うる限り、最大限の速度で半島を制圧するぞ」

「勿論です!」

すると、アミットがコホンと咳払いをした。

「攻略の初手なのですが、半島攻略中に背後を取られる訳にはいきません。なのでまずは、半島の先端部に展開する黒色機動群への攻撃を第1目標とします。その後、陸軍部隊とM.G.Fは相互支援できる距離を維持しながら半島へ浸透しつつ北への進軍する事を第2目標とし、最終的には半島の敵部隊を撃滅し敵防衛ラインを突破します。何か質問はありますか?」

「陸軍としては問題ない」

「M.G.Fも同様に問題はない」

「わかりました。では明日の朝0900(マルキュウマルマル)時に第1目標への攻撃を開始。攻撃部隊の帰投後、北進を開始します。各部隊は準備をお願いします」

こうして作戦は纏まり、陸軍とM.G.Fは各々に準備を開始した。シンとユイはテントを後にし、M.G.F専用のテントへと歩いていった。 MS娘たち(女性)が多くいる以上、彼女たちのプライバシーを守る為M.G.Fの専用テントはかなり大きい物となっている。だが、1つだけ問題がある。

「司令、私が先に中に入って確認してくる」

「……ああ」

司令官であるシンが男性であることだ。ハルフェース内だと問題はさほどないが、これがテントともなるとそう言う訳にはいかない。なのでユイが先行してテント内部を確認しているのだ。そして1分ほどしてユイがテントから顔を出した。

「問題ない。入って良いぞ」

「わかった」

ユイの了解を得て、シンはテントへと入った。そこには既に6人全員が集まっていた。

「みんな、上陸戦での活躍見事だった。だが、ここで時間を置く訳にはいかん。明日からの進攻作戦の計画を伝える――」

シンが先程決まった作戦計画をヨナ達に話す。その場にいた全員が黙って話を聞いていた。

「まず明日の半島南部への攻撃は、コトハ、ミーシャ、リシェット、アスカの4名で行ってもらう。4人は明日0900時に出撃、部隊指揮はコトハに任せる。いいな?」

「了解です司令!この不死身のコトハにお任せください!」

シンからの指令にコトハは元気よく答えた。

「まあ、普段ふざけていても指揮能力は高いからな。頼むぞコトハ」

「ふ、ふざけてなんかないし!」

そんな会話をするコトハとミーシャを見て小さく笑みがこぼれるテント内部。シンも堪らず、笑みがこぼれる。

「ははは……任せたぞコトハ。残った俺とユイ、ヨナはこの上陸地点を陸軍と共に防衛する。ここを失う訳にはいかないからな」

「私たちが帰って来るまで、ちゃんと持ち堪えてよね。ヨナ」

「う、うん!ユイさんと一緒に頑張るから、アスカちゃんも気を付けてね!」

「ユイの足を引っ張らないよう、せいぜい頑張ることだな。ヨナ」

「は、はい!リシェットさんもお気を付けて!」

「お前の方こそな。リシェット」

「う、うるさいぞユイ!」

「プッ…あははは!」

何気なかった会話から笑いが生まれ、テント内をとても明るい雰囲気が包んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは機械の音が鳴り響く暗い場所だった。何処からともなく声の低そうな女性の落ち着いた口調の声が聞こえてきた。

人類(奴ら)が攻勢に出たらしいな」

その言葉に答えるように声の高いかなり性格の悪そうな口調の女性の声が聞こえてきた。

「そんな奴ら気にすることねぇって!どーせ最後の抵抗なんだ、無様に敗北するざまを見てやろうじゃねぇーか」

その自信に満ちた言葉を聞いた声の低い女性は、まるで思っていないかのような口調で答えた。

「その言葉が我々の足をすくわれない事を願うばかりだよ」

「ハッ!兵器として創られた私らが、神頼みなんて変な話だなぁ」

その言葉に少し苛立ちを感じたような返事をする声の高い女性。

「まあいい。くれぐれも押し返されないようにしてくれ」

「わかっている。攻撃拠点の基地には、この前鹵獲した奴を着かせてある…あの基地まで攻め込めたとしても、陥落なんかしねぇさ」

それを聞いた声の低い女性は、そうか。と一言呟いた。そして声の高い女性に先程とは違う話を始めた。

「ところで、あの娘はまだ抵抗しているのか?」

その話を聞いた声の高い女性は、呆れたように答えた。

「まぁな…ほんと、しぶといったりゃありゃしない」

そう答えた声の高い女性は手元にあったモニターをつけ、画面の映像に視線を落とすと呟いた。

 

 

さっさと堕ちちまえよ。不死鳥モドキが

 

 

モニターの向こう側。そこには巨大なナニかに埋め込まれ無数の細いケーブルによって雁字搦(がんじがら)めにされた、色が剥がれ落ちて黄土色になりかけている装甲服を纏った長くて淡い金髪の少女が口を半開きにして俯いていた。

「……ェ…ィ…アさ……ま……」

 

続く

 

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