機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP22 野営地の朝

翌朝、ヨナ達は進攻再開に備えて待機していた。昨晩、アスカはしばらく前線に戻ってこないことをシンから聞かされたヨナは、少しだけ気落ちしているようだった。そんなヨナの元に装甲服を纏ったコトハがやって来た。

「あれ?どうしたのヨナちゃん、元気ないように見えるよ?」

「あ、コトハさん。おはようございますっ」

ヨナは気落ちしていることを悟られないようにと無理矢理元気に振舞ったが、コトハには通じなかった。

「……ハハーン。さては、アスカちゃんがしばらく帰ってこれないって知って、落ち込んでるんでしょ?」

「ふえ!?な、なんでわかっちゃうんですか!?」

「だって、ビックリするくらい顔に書いてあるんだもん!アハハ!」

「わ、笑わないでくださいよー!」

コトハに図星を衝かれて慌てるヨナ。だがその時、野営地に設けられていた警報機が、ウウウー!!と周囲一帯にこだました。驚くヨナとコトハは周囲を見渡していると、そこへ背中にシンを乗せたユイが舞い降りてきた。地面に着地するなり、シンはユイの背中から降りて2人の元に駆け寄ってきた。

「司令、これは!?」

「奴らに先手を打たれたようだ。北西方向から黒色機動群が接近してきている」

「そんな!」

「だが幸いにも相手の数は4機だ。こちらから打って出れば被害を抑えられるだろう」

「ヨナは俺たちと来てくれ!コトハは念のため、野営地周辺での警戒に当たるように…進行してきた部隊が北西の1部隊だけとは限らないからな」

「えぇー!また司令と離れ離れー!」

シンからの指示に不服を感じたコトハは、またしても駄々をこねた。だが―――

「ユイと同等のスピードで空を飛べるのはお前だけだ。それにお前の腕なら、黒色機動群が来てもある程度耐えられるだろ?俺はお前のそんな実力を買っている。だからこそ、お前に任せたいんだよコトハ」

そう言ったシンはコトハの肩に手を置いて彼女の目をまっすぐに見つめた。

「…任せたからな、コトハ」

ハイッ!!

シンにそう言われたコトハは、堪らず笑顔になって大きな返事をした。そんな様子をヨナとユイは、単純だなぁ。と思いながら眺めていた。

 

ヨナとユイが、ミーシャとリシェットの元に到着した時、既に地球連合陸軍は戦車を中心とした戦闘車両の展開を始めていた。

「ん?遅いぞ司令!」

「すまない、これより俺たちも出撃する!急ぐぞ!」

到着したシンに向かってミーシャが叫ぶが、シンは謝罪の言葉をサッと述べて出撃の指示を飛ばす。それに従うようにミーシャとリシェット、ヨナは駐機されていたベースジャバーに乗り込み、ユイは背中にシンを乗せるとそのまま翼を羽ばたかせて飛び立った。そして上空に達した所で陸軍中将の声が無線から聞こえてきた。

〈AFV、前進して単横陣で展開!歩兵部隊は前進して黒色機動群を攻撃、MS娘を援護だ!ただし、前に出過ぎないよう注意せよ!〉

〈流石、中将殿だな。素晴らしい展開速度だ〉

〈感心してる場合じゃないぞ司令。私たちが前へ出なければ、彼らは犬死だ……見えたぞ、黒色機動群(奴ら)だ!〉

そうこうしている間にユイが接近する黒色機動群を前方に捉えた。

〈機種の特定できるか?〉

シンの言葉よりも先にユイは黒色機動群の機種特定を始めた。ユイは目を凝らし前方から迫ってくる黒色機動群を観察した。そして黒色機動群の機種を特定した。

〈ZK級が2機、それと「 GF(ジーエフ)」が2機だ!突っ込んでくるぞ!〉

ユイからの報告を聞いたヨナが、GF級?と呟く。ヨナからすれば、初めて見るタイプの黒色機動群だ。するとシンがヨナに警告を飛ばした。

〈気を付けろヨナ!GF級は接近戦を得意とするタイプの黒色機動群だ!むやみに接近戦を挑むなよ!〉

「は、はい!」

そして遂にヨナの目もGF級の姿を捉えた。ZK級とよく似ているが、頭頂部に1本の角を有して両肩には上へ大きく反り返ったスパイクを備え、右手には赤く光る剣、左腕には台形状に丸い穴が開いた盾を装備した黒色機動群。

「あれがGF級!?」

〈奴の装甲はZK級よりも強固だ!気を付けろ!〉

〈ZK級は私が仕留める!ユイはヨナとリシェットを連れて、GF級を頼んだ!〉

ミーシャが声を張り上げながらベースジャバーを前進させていく。それに続くようにユイがを先頭にしてベースジャバーに乗ったヨナとリシェットが続く。

〈タンク、砲撃を開始しろ!〉

中将の指示が無線を通して聞こえてくる。すると、歩兵部隊の後方に単横陣で展開していた連合地球陸軍主力戦車であるリニアガンタンク「MK-331ハリントン」の砲口が一斉に火を噴いた。電磁誘導され高初速を得た砲弾がGF級とZK級に向かって飛んでいく。しかし、放たれた砲弾は前進してくるGF級とZK級の脚部前面装甲に弾かれてしまったが僅かに怯ませる程度の隙を作ることが出来た。その隙にミーシャはベースジャバーから飛び降り、前傾姿勢のまま地上すれすれを自身の大推力を生かして飛びZK級との間合いを一気に詰めた。

「私が相手だ、かかって来い!」

怯んだGF級の足元を潜り抜け、後方から付いて来ていたZK級にショットガンをそれぞれお見舞いする。まだ距離があった為、装甲表面に浅い弾痕を作る程度にしたダメージは入らなかったが、それでもZK級の注意はミーシャへと向けられた。

〈今だ!ヨナ、リシェット、私に付いて来い!〉

その隙を狙ってユイが低出力に設定したツインバスターライフルで攻撃しGF級を自分たちの方へと釣る。低出力ではあるが素の火力の高いツインバスターライフルはGF級の胸部中央装甲に大きな弾痕を作った。貫通はしなかったもののそのGF級を大きく仰け反らせることに成功した。

「これでどう!」

その隙をついてヨナがその弾痕目掛けてシールドの4連装ミサイルを発射し、続けてビームライフルを発射した。やがて4発のミサイルとビームライフルがユイの作った弾痕に直撃し爆発を起こす。だが、まだ後ろの景色は見えなかった。

〈チッ、まだ倒れないか…なら!〉

その様子を見たリシェットがヨナの隣から飛び出した。左手を後ろに回してハイパーバズーカを取り出して肩に担ぎ、同時にビームライフルとシールドもGF級へと向けた。

〈これで沈め!〉

リシェットがビームライフルとハイパーバズーカ、そしてシールド裏面のミサイルランチャーを一斉発射した。ヨナの攻撃を受けて一瞬だけ怯んでいたGF級にまず黄色のビームが命中し続けて、ハイパーバズーカとミサイルランチャーが胸部中央の弾痕に命中した。黒い爆発の煙が晴れると、GF級の胸部中央装甲の奥に反対側の景色が見えていた。

〈よし、1機撃墜だ〉

そうリシェットが呟いた直後にGF級は仰向けに倒れて爆散した。だが、その直後だった。

「リシェットさん危ない!」

〈なにっ!〉

リシェットに向かって飛び上ってきたもう1機のGF級が右手に握った赤く光る剣を振り下ろしてきた。リシェットは反射的にビームライフルをGF級に向けたが、その甲斐も虚しく赤く光る刃がビームライフルを切り裂いた。咄嗟にリシェットはグリップの部分を投げ捨て後退すると、空中でビームライフルは爆散した。

〈くそ、油断した!〉

「このぉー!」

リシェットの見せた隙をカバーするべく前へ出るヨナ。GF級は既に地上に着地しており、その瞬間を狙ってヨナはビームライフルの引き金を引いた。だがGF級が再び飛び上がって今度はヨナに向かって来た。ヨナは飛び上ってきたGF級に対してビームライフルで応戦する為、GF級にその銃口を向けた。すると、いつの間にか赤く光る剣を手放していたGF級は右腕を自分の真上から振り下ろしながら、左手首から鞭のような物を伸ばしてきた。そしてその鞭はヨナの構えていたビームライフルに絡みついた。その光景に驚くヨナ。

「な、なに!?」

GF級の頭部にある淡い桃色の光球が一瞬大きく光を発すると、手首にある鞭の根元から電撃が走り一瞬にしてビームライフルを巻き込んだ。電撃を浴びたビームライフルは徐々に赤くなっていき、ヨナは慌ててビームライフルを投げ捨てた。そして直後にビームライフルはヨナの目の前で爆発した。

「うわぁ!」

ヨナは咄嗟にシールドを正面に向けて爆発を防いだ。その隙にGF級は再び地上へと着地した。

「な、何今の!?」

ヨナは先程よりも驚きを隠せなかった。あまりに一瞬の出来事だったので当然である。ヨナが地上に着地したGF級に目を向けたその瞬間だった。着地したGF級を緑の一閃が襲ったのだ。その一閃が通り過ぎた後、GF級は動きを止め上半身が分断面に沿って地面へと落ち、その後爆発した。

〈無暗に接近戦を挑むなと警告しただろ、ヨナ!〉

「し、司令官!」

シンの言葉が通信機越しに聞こえてきたかと思うと、目の前にユイが現れた。右手には緑の光を放つビームサーベルが握られていて、今も淡い光を発している。

〈まったく……ヨナ、司令からの忠告は聞いておくものだぞ?〉

「す、すみませんでした」

〈リシェットも油断し過ぎだ。以後気を付けるように〉

〈…ああ、すまない〉

と、ユイに注意を受けるヨナとリシェット。2人は少しだけ俯いてしまったが、その間にミーシャが向かった方向から大きな爆発が2度起こった。すると通信からミーシャの声が聞こえてくる。

〈こっちは片付いたぞ!〉

それに応えるようにユイが応答する。

〈こちらも今片付いた〉

〈わかった…と、どうやら今回は私がMVPのようだな。悪いが後で一杯やらせてもらうぞ〉

と、ミーシャの嬉しそうな声が聞こえてきた時だった。

 

こちらコトハ!至急援護を要請する!

 

通信機からコトハの慌てた声が聞こえてきたのだ。

 

続く

 

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