機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP26 空を飛ぶGF級 (後編)

〈はああぁー!!〉

アスカがヴァジュラビームサーベルを右手に握り締めGF級特殊機に向かって一直線に突っ込んで行く。彼女の深紅の瞳が相手を見据え、あっと言う間にGF級特殊機との距離は埋まりアスカは右手のヴァジュラビームサーベルを上段から振り下ろした。GF級特殊機は手にした剣を掲げてアスカの攻撃を受け止め、鍔迫り合いに持ちこむ。ヴァジュラビームサーベルがビームの火花を散らし、アスカとGF級特殊機を照らし出す。そしてGF級特殊機が剣を握った右手をアスカの方へ押し込み、アスカを弾き飛ばした。そして盾を装備した左腕をアスカの方向へ向けると、シールドと腕の間から緑の光弾が撃ち出された。アスカは咄嗟に機動防盾を構えてこれを防いだ。

「アスカちゃん!」

そこへ後続していたヨナがビームライフルを発射してアスカを援護する。ヨナが放ったビームライフルだったが、狙いが甘かったようでGF級特殊機に命中弾を与えることは出来なかった。するとGF級特殊機は右方向へ移動していく。ヨナはそれを追う様にビームライフルを撃ちかけるが、GF級特殊機には命中せず次々に地表へと吸い込まれていく。

「あいつ、早い!」

ビームライフルの引き金を引きながらヨナが呟く。そしてGF級特殊機がそのヨナへ向けて右前腕部から光弾を放ってくる。どうやら、剣を構えたままでも射撃が出来るようだ。ヨナはベースジャバーを左へ傾けて旋回し光弾を回避する。

〈そこよ!〉

ヨナへ照準を向けていたGF級特殊機にルナがオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲*1を放つ。一条の赤い閃光がGF級特殊機に向かって飛ぶが、狙いは逸れてしまい回避されてしまった。オルトロスは威力が高い反面、連射力はビームライフルに比べれば劣るし反動も強烈なビーム砲だ。オルトロスを発射し隙を作ったルナにGF級特殊機が向かっていく。

「ルナちゃん!」

そこへGF級特殊機を追っていたヨナがビームライフルをGF級特殊機の背後から撃ちかける。狙いはほぼ直撃コースと言っていい。だが、GF級特殊機はルナに向かうのを止めて急上昇を掛け、ヨナの射撃を回避した。急上昇をするGF級特殊機に向けてヨナが追撃の銃撃を掛けようとした―――が、途中でビームライフルの銃口から光弾上のビームが途切れ、淡い桃色の光がふわりと浮かび上がった。

「っ!弾切れ!?」

ヨナが慌てた隙に上昇していたGF級特殊機が背面急降下で迫ってきた。右手に握られた剣がヨナの視界に迫ってくる。

やられるもんかぁ!

ヨナが叫びながら左腕を腰裏へ回してビームサーベルを取り出す。ビームサーベルのグリップが脇下を抜けるのと同時にヨナはビーム刃を出力し、迫ってくるGF級特殊機の剣を受け止める態勢に入った。右中段から振り切られたGF級特殊機の剣をヨナはビームサーベルを縦に構えて受け止めた。ヨナの視界一杯にビームサーベルの散らす火花によって照らし出されるGF級特殊機の姿が広がる。

(零距離だったら!)

ヨナはそこで頭部60㎜バルカン砲を発射した。例え威力の低い60㎜口径のバルカン砲でも零距離で浴びればその威力は上がる。60㎜弾が命中する度にGF級特殊機の装甲表面にオレンジ色の小さな花火のような閃光が弾ける。零距離で頭部60㎜バルカン砲を浴びたGF級特殊機はその場から退避しヨナから距離を取った。しかし今度はヨナが退避するGF級特殊機から反撃の光弾を浴びることとなった。

「キャアッ!」

シールドを構えるのが遅れたヨナに無数の緑の光弾が襲い掛かり、装甲服に着弾した箇所には黒い弾痕が浮かび上がってくる。装甲服を伝ってくる衝撃は小さいが、それは連続してヨナに襲い掛かる。何とかシールドを構え、胴体周りのバイタルパートを防御することは出来たが無数に飛び来る光弾の1発が左の太腿に直撃した。

「ヴッ!」

左の太腿が途端に熱くなるのをヨナは感じていた。ヨナは恐る恐る左太腿に目線を向けると、そこには真っ赤な血が溢れ出てくる黒い銃創が出来ていた。

(ちょ、直撃!?嘘!)

ナラティブガンダムはその構造上、両方の上腕部と、両大腿部に装甲が施されていない。つまりその四ヵ所だけはヨナの素肌が露出していて、敵弾が命中すればヨナ本人にそのまま痛みが伝わる。そして左太腿だけだった熱が全身へと回っていく感覚がヨナを襲っていた。

「グゥゥ……でも、ま、まだぁ!」

歯を食い縛り、痛みに耐えるヨナ。すると―――

こんのぉー!

ルナが上空のGF級特殊機へ向けてオルトロスを撃ちかける。動きを止めた隙を狙われたGF級特殊機は咄嗟にシールドを構えてこれを防ごうとした。しかし、高出力のビームを放つオルトロスが直撃したシールドは直後、粉微塵になって砕け散った。そしてオルトロスの直撃を受け止めきれなかったGF級特殊機は大きく仰け反ってバランスを崩してしまった。

もらったッ!

その最大の隙をついてアスカがGF級特殊機に切り込む。最大速度でGF級特殊機に切り込んだアスカは通り過ぎ際に振り向いてきたGF級特殊機の剣が握られていた右前腕部を斬り落とした。

 

ヨナッ!!

 

「ッ!!」

唐突に自分の名前を呼ばれたことに気づいたヨナ。ハッ!とした瞬間、それがアスカの発した言葉だったことに気づいたヨナは、上空に目を向けた。そこにはシールドと右前腕部を失い、背中を見せているGF級特殊機の姿があった。そして全てを察したヨナはベースジャバーを飛ばし、ビームサーベルを構えてGF級特殊機に突撃した。

 

 

ウアアァッー!!!

 

 

痛みを力に変えたような絶叫を上げながら向かって来るヨナに気づいたGF級特殊機が、左後ろを振り向いた時には全てが遅かった。ヨナが右中段から放ったビームサーベルの横一閃はGF級特殊機の腹部を一刀の元に斬り裂いた。ビームの刃によって作り出された斬撃痕は熱を持ったように赤く光を放ち、青白いスパークが走っていた。そして全ての力を失ったGF級特殊機は地上へと墜落していった。

 

続く

 

*1
以後「オルトロス」と表記します

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