機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP30 ヨナ隊

翌日、ヨナ達3人はニューヤーク基地の手前3キロの地点に差し掛かっていた。幸いまだ、ニューヤーク基地に展開している黒色機動群には気づかれていない様子で、肌を撫でる風の音と噴射されるスラスターの排気音が周囲を包んでいた。

〈それで、どうするのヨナ?〉

不意にアスカから通信が入った。アスカは長距離を移動する為フォースシルエットを装着して、ヨナの右隣りを並走している。

〈今の部隊長はアンタなんだから、何か作戦とか考えてよね〉

「あ、うん。ありがとう、アスカちゃん」

ヨナは昨日、シンから今回の部隊長をお前に任せると言われた後に発せられた言葉を思い出していた。

―――お前もいずれは、部隊を率いる立場になるかもしれない。今回はその予行だ。

今の自分には過ぎたる立場だ。と思わなくもないヨナだったが、シンの言った事も正しいのである。生きて戦い続け、練度を上げていけば、いずれは誰かを指揮下に加えることにもなる。ヨナは小高い丘の上に築かれているニューヤーク基地に視線を投げた。

(…そうだよね!ここで黙っていても始まらないよね!)

だが、いよいよ覚悟を決めて気合を入れ直すべく、左手の握り拳を強く力を込めた。そして周囲を見回し、偵察が出来そうな場所を探した。小高い丘の上に立つニューヤーク基地よりも高い場所がすぐに見つかるとは思わなかったが、やがてニューヤーク基地の少し離れた場所に小振りの山を見つけた。標高はそれほど高くはなさそうではあるが、ニューヤーク基地のある丘よりは高そうだ。

「アスカちゃん、ルナちゃん。右前方に見える山にいったん降りよう。そこで基地を偵察して作戦を立てるから!」

〈――!了解〉〈了解!〉

ヨナの指示が無線を通してアスカとルナに伝わると、アスカは少し驚いた様子を一瞬見せた。そしてヨナとアスカ、ルナの3人は山を目指して飛び、やがてゆっくりと山頂に着陸した。そして木々の隙間から眼下のニューヤーク基地を見下ろした。ヨナ達は手にしているそれぞれのライフルをニューヤーク基地の方へと向けた。照準センサーとカメラセンサーを連動させての長距離索敵だ。

「……事前偵察の通りだね。敵はSD級3機と、TER級通常型3機。増援は無かったみたい」

「正直この二機種なら、私1人でも片づけられると思うけどさ」

「もうアスカったら、相手の数はこっちの倍よ?無用心に突っ込んだら、痛い目見るのはこっちでしょ?」

「わ、わかってるわよ!」

アスカとルナが、変な掛け合いをしている間もヨナは索敵を続けた。3機のSD級とTER級通常型は、固まって行動しているとは言い難く、基地の敷地内周辺をバラバラに移動している。

(上手くいけば、数の不利を挽回出来るかもしれない…)

ニューヤーク基地の黒色機動群の動きを見たヨナは、そのような感想を抱いた。そしてルナに尋ねるよう口を開いた。

「ルナちゃんの「オルトロス」って、ここからでも狙撃できる?」

「え?…まあ、射程距離的には問題ないと思うけど……私、射撃苦手なのよねぇ」

ルナが少しだけ自信なさげに返答した。

「そこを何とかお願い!アスカちゃんのブラストシルエットだと、精密狙撃は難しいと思うから」

「うっ…ヨナ、よく見てるじゃない」

ヨナの言葉にアスカはぐうの音も出なかった。

「で、どうするの?ルナがここから狙撃するとして、私とヨナでニューヤーク基地に殴り込むわけ?」

「半分正解かな。ニューヤーク基地の黒色機動群はそれぞれバラバラに行動してる。もし最初の一手で3機倒すことが出来れば、数は互角になる。そうすれば、こっちにも勝機があると思うんだ」

「つまりは2人は基地に忍び込むって訳?私はここからの狙撃で。2人は基地に潜入して、それぞれ1機ずつを仕留める。そんな感じ?」

ルナがヨナの考えを察したのか、そのように作戦を纏めた。それを聞いたヨナは、コクリと頷いてみせた。

「うん。だからアスカちゃんには近接戦用のソードシルエットに換装して欲しい。基地に忍び込むのに、フォースシルエットで空を飛んだんじゃ、すぐにバレちゃうからね」

「…その後は?」

「……私とアスカちゃんで1機ずつ仕留めながら、基地の制圧をする。ルナちゃんもその間は狙撃での援護をお願い。ここからの距離だと、手前がSD級3機、奥がTER級3機だから、私とアスカちゃんは最初、出来るだけTER級を撃破するようにしよう」

「あいつら、硬いからなぁ」

アスカは口元に小さく笑みを浮かべながら呟いた。ヨナは、そんなアスカとルナを一弁して、作戦の開始時間を告げた。

「作戦開始は20時。夜だから周囲の見通しが悪いかもしれないけど、3人で力を合わせて頑張ろう!」

「…わかった。私は異論ないけど、ルナはどうなんだ?」

「私も異論はないわ。射撃苦手でも、やんなきゃだし!」

「2人共……ありがとう!」

アスカとルナの2人が、自分の立てた作戦に同調してくれたことに、ヨナは素直に感謝していた。

 

続く

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