機動戦士ガンダムこれくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP6 初訓練、頑張ります!

「まずは基本中の基本、移動に関してだ。徒歩での歩くや走る、ジャンプするなどの行動はこの装甲…「装甲服」を纏っていない時とそんなに変わらないから省かせてもらうぞ」

「えっと、それ以外に移動方法があるんですか?」

「うむ、スラスターを使った移動方法だ。スラスターを使えば走る速度よりも更に高速に移動が出来る。まずスラスターを使い方を覚えてもらう」

「は、はい!」

「スラスターを使うには頭で念じる必要がある、勿論止める時もな。スラスターは移動している状態で使うのが望ましいが、スラスターを使う際には少しだけ足を浮かせる必要がある。地面に足を付けたままスラスターを噴かせば、転倒する危険性があるからな。とりあえず試してみるんだ」

「わ、わかりました!よし…」

ヨナはユイが立っている場所から少しだけ離れ、ある程度離れたところで走り始めると少し走った所で右足で床を強く蹴った。

(スラスター噴射ッ!)

そしてヨナが頭で念じた瞬間、バックパック下部の左右にあるスラスターノズルが青白い炎を噴き上げた。その瞬間、先程まで走っていた速度よりも速い速度でヨナは移動していた。

(す、凄い!さっきよりも速い速度で移動できてる!)

そしてそれを見たユイは、良いぞ!と声を上げた。

「そのまま頭で念じて方向転換だ!」

「はい!」

ユイの飛ばした指示に従い、ヨナは右へ左へと方向転換していく。方向を変えるたびにスラスターノズルも右へ左へと激しく動いていた。

「上出来だ、戻って来い!」

しばらくスラスターでの移動を続けたヨナは、ユイの元へと戻ってきた。そしてユイから少しだけ離れたところでヨナは、スラスター停止。と頭で念じ、バックパックのスラスターを止めた。ノズルが火を噴くのを止めると、ヨナはその余波に押されながら地面に着地し、1歩2歩ほど、歩くと見事に着地を決めた。そしてユイの元へと歩いて戻ってきた。

「初めてにしては上出来だったぞ」

「ありがとうございます!」

ユイに褒められ、笑みがこぼれるヨナ。するとユイは手首付近に出現させたスクリーンを操作し、自身の周囲に6本ほどの旗を出現させた。そして操作を止めるとヨナに向かって新しい指示をした。

「次はスラスターを使って今出現した旗を取って来てもらうぞ」

ヨナがそれぞれの旗の位置を見渡すと、一ヵ所だけとてもジャンプでは届きそうにない高い位置に旗が立っていることに気づいた。

「ユ、ユイさん。あんな高い場所にある旗も取りに行くんですか?」

「そうだ。だが安心しろ、スラスターは何も高速移動する為だけにある訳ではない。ジャンプ中にスラスターを使うことでハイジャンプ、継続して使えばブーストジャンプ、そして着地の瞬間にスラスターを噴かせば着地の衝撃を和らげることも出来る。やり方はスラスターを使う時と同じだ。さあやってみろ」

「は、はい!」

そしてヨナは再び走り始めた。そして先程と同じようにスラスターで高速移動し5本の旗を瞬く間に回収し、最後の1本がある高台へ向かっていった。そして高台に近づいた瞬間、ヨナは一瞬だけスラスター噴射を止めると右足で地面を強く蹴ってジャンプした。

(今だ、スラスター噴射!)

その直後にもう1度スラスターを噴射させた。するとヨナの身体はどんどんと高度を上げていった。そして、あっという間にヨナは高台の上へ到達し最後の旗を回収した。

「よし、これが最後の1本。あとは戻るだけ!」

そう言ってヨナは高台から飛び降りた。そして地面が近づいてきた瞬間に再度スラスターを噴射させ自分の身体を浮かせた。5秒ほどスラスターを噴かして落下速度を緩めたヨナはそのまま地面に着地し、ユイの元に戻ってきた。

「ユイさん、全部集め終わりました!」

「うむ、上出来だ。だが、スラスターの使い方は他にも様々ある。緊急回避をする際や、急制動をする時にもスラスターは役に立つ。よく覚えておくように」

「はい!」

「では続けて射撃訓練と格闘訓練を行うぞ。いいな?」

「わかりました!よろしくお願いします!」

良い返事だ。とヨナの元気に感心したユイは、先程と同じように手首付近に出現させたスクリーンを操作した。するとヨナが持っていた旗が消滅したかと思うと、今度は自分たちから離れた位置に無数の円形の的が現れた。

「まずは射撃訓練だ。と言っても、ヨナが装備している射撃武装は頭部の60㎜バルカン砲だけだからな、まずは的に当てられるようにするぞ」

「ユイさんが持っているライフルみたいな射撃武器と、私のバルカン砲はどう違うんですか?」

「当たり前の事ではあるが…手で持つ携行タイプの射撃武器は引き金を引くことでビームを発射する。それに対して、ヨナのバルカン砲のように装甲服に直接内蔵されている固定武装は、スラスターと同じで頭で念じれば使うことが出来る。もっとも、60㎜バルカン砲は射程距離が非常に短い、そこには注意が必要だ」

「ライフルみたいに遠くの的に当てるは難しいってことですね!わかりました!」

そういう事だ、と頷くユイ。

「では射撃訓練を始めよう。あそこにある的に向かって、バルカン砲を撃ってみろ」

「はい!」

ヨナはまたユイから少し離れると、的がある方向に向かって身体を向け少しだけ腰を落とした。

(頑張れ私!)

「よし、撃ち方始め!」

当たってぇ!

ユイの掛け声に応えるように、ヨナは頭部の「60㎜バルカン」を目の前に現れた的に向かって連射した。側頭部にある2門の砲口から同時に発射された60㎜弾はヨナから1番近くにあった円形の的に横一線の黒い弾痕を作った。ヨナはそのまま次の的へと頭を向け、別の的に命中させた。その後もヨナは次々に的に60㎜弾を命中させていった。そして、最後に残った的に命中させると、ユイが声を上げた。

「撃ち方止め!」

そこでユイのストップが入った。ヨナはハッとしてバルカンを発射するのを止めた。

「固定武装の使い方は問題ない様だな。その調子だ」

「はい!ありがとうございます!」

「ヨナ1つアドバイスだ。動く的に対して薙ぎ払う様に撃てるバルカン砲は有効だが60㎜口径の頭部バルカンは同口径のマシンガンよりも装弾数はそう多くない。無駄撃ちをせずしっかり狙って当てるんだ。いいな?」

「はい!(無駄撃ちは厳禁…覚えておかないと)」

「では次に格闘訓練を行う。ヨナ、ビームサーベルを抜け」

「は、はい!」

そして今度は格闘戦の訓練に入ることになった。ヨナは腰裏に右手を回すとリアアーマー中央にマウントされたホルダーからビームサーベルを抜いた。身体の前に右手を戻したヨナはグリップをまじまじと見つめていた。

「これがビームサーベル…」

するとグリップを握っていた親指がビームサーベルの何処かに触れ、カチッ。という音がした。

「え?なに今のお―――うわっ!」

ヨナが音に気づいた瞬間、グリップの先端から桃色のビームの刀身が勢いよく出力された。その勢いが凄まじかったのか、それとも突拍子もなく出力されたビームの刃に驚いたのか、ヨナは思わず声をあげた。

「驚くのは結構だが、ビームサーベル最大の特徴は凄まじい切れ味だ。よほどの重装甲か、対ビームコーティングでもされていない限り、ありとあらゆる物体を切断できる。辺り構わず振り回す様なことはするなよ?」

「は、はい。気を付けます」

ヨナの返答聞いたユイは、ならよし。と言うと先程までの的を消去し、今度は2m程ある人型の標的を数体出現させた。それを見たヨナは―――

「ひ、人型の標的ってことは……」

驚いた表情でその標的を見ていた。そしてユイが答え合わせをした。

「ああ、黒色機動群を相手にしたイメージの訓練だ。奴らの弱点は覚えているな?」

「はい大丈夫です!」

「なら問題ないな。今回の訓練はそのビームサーベルであの標的を攻撃する訓練だ、接近戦は黒色機動群を倒すうえで非常に効果の高い戦術だ。だがその分危険も伴う。今の標的は動かないが、実際の戦闘ではそうはいかない。相手は動いているし、反撃もしてくる。わかるな?」

「はい」

大きく頷くヨナ。

「その事を頭にしっかりと刻み込んでおくように…では始めるぞ」

「はい!」

ヨナはビームサーベルを顔の前で一度掲げて目を閉じ、集中力を高めていく。そして大きく深呼吸を1回行うと目を大きく開いてビームサーベルを右下に斬り払い、腰を下ろした。

「お願いします!」

「よし、攻撃開始!」

「ッ!!」

ヨナは一歩大きく右足を前へ出して地面を蹴るとバックパックにあるスラスターを噴かした。高速移動で最初の標的に向かって行くヨナは右手のビームサーベルを右上段へ振りかぶり、距離が縮まったタイミングで袈裟斬りを放った。

「えーい!」

ビームサーベルの刃は標的を寸分違わず切り裂き、標的の左肩から右脇腹にかけての部位を両断した。

「よし、次!」

そしてヨナは次の標的を探し、左斜め前の標的に狙いを定めた。ヨナはその場で左に向かって一歩踏み込みもう一度スラスターを点火した。再び標的との距離を一気に縮めたヨナは、今度は左中段に構えたビームサーベルを通り過ぎざまに右へ向かって振り切った。今度の標的も見事に斬り裂いたヨナは、斬り払うと同時に身体を一回転させて方向転換。別の目標へと向かって行った。

「良いぞ、その調子だ!」

「はい!」

それからもヨナは次々に標的を斬り裂いていった。そして、最後の標的を仕留めたヨナはその場に着地して動きを止め、ふぅ。と息を吐いた。

「そこまで!」

そこにユイからの終了の合図が入り、ヨナはビームサーベルの刃を消してユイのいる方へと向き直った。ユイはゆっくりとヨナの元へ飛んでくると、右手に持っていたツインバスターライフルをもう片方の物と合体させてヨナの左肩に手を置いた。

「良い腕前だなヨナ。初めてにしては上出来だ」

「ありがとうございますユイさん!」

「この後も訓練は続く、少し休憩しようか」

「はい、ありがとうございます!」

それから数十分休憩をしたヨナとユイは、その後もしばらくの間訓練を続けたのだった。

 

続く

 

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