カタパルトから飛び出したヨナ。すると、その後方から空中を飛行するベースジャバーがヨナを追いかけてきた。
「なにこれ…乗れってことなのかな?」
そう考えている内にも、自立飛行の出来ないナラティブガンダムのヨナはその高度を落としていた。
「て、高度が落ちてる。これは乗らないと危ないよね…」
そしてそのことに気づいたヨナは慌ててベースジャバーの上に飛び乗った。すると前方にユイとアスカの姿を発見した。急いで2人の元へと向かったヨナは、何とか2人と合流した。
「遅くなりました!」
〈問題ない。許容の範囲内だ〉
〈目標はZK級3機と指揮官機と思われるZW級の撃墜だ。まずは先行してきているZK級1機から倒す。前衛はアスカ、その後方はヨナだ〉
〈私が援護する。存分に暴れて来い〉
〈わかりました!じゃあ行くよ、ヨナ!〉
「う、うん!」
そしてヨナとアスカは敵である黒色機動群の反応がある方へと進んでいった。その後方を付かず離れずの距離を保ちながらユイとシンが続いた。その道すがら、ヨナはアスカに話しかけていた。
「ねえアスカちゃん、黒色機動群ってどんな奴らなの?」
〈基本的には近づいた人間に対して無差別攻撃をしてくる。だから、奴らを見つけたらまずは回避に専念した方が良いと思う。距離が開いてるときは大体、射撃武器で攻撃してくるから〉
「じゃあ、近づいた時は?」
〈近づいたときは相手も近接武器で攻撃してくる。接近戦は一瞬の判断ミスが生死に係わるから、絶対に気を抜いたら駄目だからね〉
「わ、わかったよ!」
〈ユイさんから聞いてるだろうけど、黒色機動群は腹部を貫通攻撃で貫くか、胴体部分を両断しないと撃墜出来ない。戦闘中に忘れて、エネルギーを無駄遣いしないでよね―――っと、目標発見!〉
「!?」
アスカが接近してくるZK級を目視で発見し、すかさずユイに通信を送る。
〈ユイさん、先行しているZK級を発見しました!〉
(あ、あれが黒色機動群!)
そしてヨナもZK級を目視で確認した。曲線的な全身と動力パイプのような物を持ち、右肩には逆L字のシールド、左肩には横1列に並んだ3本のスパイクを備え、半円状の頭部中央には桃色に光る一つ目と前へと伸びた排気ダクトの様な部位が特徴で、その手には上面に円形のドラムマガジンを備えたマシンガンを持ち、左腰には大斧をマウントしたZK級。全長が2mはあるであろうその真っ黒な体を見て、ヨナは少し驚いていた。しかし、ヨナはすぐに驚いた感情を抑え込み、ユイとアスカの通信に耳を傾けた。
〈了解した。5秒後の援護射撃で相手の態勢を崩す、その隙に2人で協力して仕留めろ〉
〈了解!〉「りょ、了解です!」
そして前進を同時に開始した2人の後方から、すぐさま2本の黄色いビームが飛来しあっと言う間に2人を抜き去った。そしてそのビームはZK級の左右の足元に着弾し、ZK級のバランスを大きく崩した。
〈えぇーい!〉
その隙をついてアスカが一気に距離を詰めていった。右手に持った「MA-BAR72 高エネルギービームライフル」をZK級目掛けて撃ちこんでいく。放たれた無数の緑のビームはZK級の周囲と本体に何発か命中し、ZK級の持っていたドラムマガジンのマシンガンがあっという間に破壊された。マシンガンの破壊によって再びバランスを崩したZK級にアスカはビームライフルを腰裏にマウントしてバックパックにマウントされたビームサーベル「MA-M941 ヴァジュラビームサーベル」を抜き放つ。そして一気にスラスターを全開にしてZK級に迫った。
〈はぁー!!〉
すると、突っ込んでいくアスカの上空をヨナが乗るベースジャバーが通り過ぎていった。そして、そのベースジャバーからヨナが飛び降りてきた。頭を地上に向けて自由落下してきたヨナに驚いたアスカは、思わず急制動をかけて止まってしまった。
〈ちょっとヨナ!何やって―――〉
「わあぁー!」
ヨナは右手で腰裏のビームサーベルを抜くと、それを左上段に構えた。そして着地の瞬間―――
バキンッ!!
ヨナはZK級を左肩から右脇下へ向けてビームサーベルで切り裂き、そのまま地面に転がるようにして着地した。ヨナが切り裂いたZK級はその後しばらくして爆発を起こして消滅した。そしてヨナはと言うと何度か地面を転がった後、何とか地面に手をついて立ち上がった。
「いてて……あ、あれ?さっきのZK級は?」
するとそこへアスカが着陸してきた。全身泥だらけのヨナは慌てた様子でアスカにZK級はどうなったのか尋ねようとしたが、アスカは声を荒げて言い放った。
死ぬ気かこのバカ!
「え?」
アスカの言い放った言葉にヨナは困惑するしかなかった。アスカは更に続ける。
〈落下の衝撃で装甲服の内部フレームが歪んだらどうする気!フレームが歪んだら、内側の身体がミンチになってもおかしくないんだよ!?〉
「そ、それは……」
〈わかったら返事!〉
「は、はい!」
〈まったく……次からしないでよね。今みたいな事〉
「う、うん。ごめん、アスカちゃん」
すると、後方にいたユイが2人の元に降りてきた。
〈2人共、お喋りはそこまでだ。次の目標に向かうぞ〉
「は、はい!」〈了解です〉
そう言ってアスカはその場から飛び上がり、ヨナは再びベースジャバーに搭乗した。続いてユイも飛び上がり、3人はレーダーを確認した。すると、今自分たちがいる地点から北北西の方向に3つの光点が表示された。
「見つけました!北北西の方向です!」
〈よし。仕留めにかかるぞ、前進だ!〉
シンの号令に合わせ、ヨナ、アスカ、ユイの3人は北北西に進路を取った。するとやがて、目の前に後ろに2機のZK級を引き連れたZK級とよく似た曲線状の上半身と平面的な下半身、右肩には上へ向かって伸びている1本の曲がった角、左肩には3本の角が三角形の様に並べられた大盾を備え、両腰横には円筒状の物体を4つ装着した、右手にZK級のマシンガンとよく似た形状をしている小銃を手にし、背中に2つの箱型のバーニアと中央には1本のスタビライザのあるバックパックを背負ったZW級が見えてきた。
〈先手を取る。ユイ、ツインバスターライフルで左のZK級を仕留めてくれ。ヨナはベースジャバーから降りて地上から、アスカは上空からそれぞれ黒色機動群を攻撃。ユイは攻撃の後に敵機に向かって陽動を掛けてくれ。残敵のヘイトを分散させて、各個に撃破する!〉
〈了解。目標を破壊する……ターゲットロックオンッ〉
ユイは両手に持っていたツインバスターライフルを合体させると、それを胸の前で構えた。そして両脚を前方へ向け発射態勢を取った。ユイはものの数秒で左側を進んでいるZK級をロックオンし、そのままツインバスターライフルの引き金を引いた。合体され、2門となった銃口から先程よりも太い黄色いビームが発射された。それを合図にヨナはベースジャバーから飛び降り、アスカはフォースシルエットのスラスターを噴かして敵の元へ向かって行った。そしてユイが放ったツインバスターライフルの一撃はZK級の上半身を呑み込み、下半身だけ残されたZK級はその場に膝から崩れ落ち、やがて爆発した。すると前方を進んでいたZW級がバックパック両端のバインダーを正面へ向け、その上部にあるハッチを解放した。その内側には赤い円筒状の物体が無数に詰め込まれていたが、その円筒状の物はやがて後端部分から煙を上げて飛び上がっていった。
〈ZW級の小型ミサイルだ!ヨナ、気を付けて!〉
「ええ!ミ、ミサイルなんてどうすれば!?」
〈あのミサイルはそこそこに誘導性能があるが、急な方向転換には対応できん!回避に専念するんだ!〉
〈もしも回避が間に合いそうにないなら、バルカンで撃ち落とせ!〉
と、困惑するヨナの後方からシンとユイのアドバイスが飛んできた。
「わ、わかりました!」
地上を進んでいたヨナに向かって飛んでくるZW級のミサイル。
〈この程度でやられるか!〉
上空のアスカは既にミサイルの一群を回避しながら前進を続けていた。細かい姿勢制御でミサイルの間を縫うように回避し、一部を胸部中央にある「MMI-GAU25A 20mmCIWS」で撃ち落としていく。そしてヨナにもミサイルの群れが迫ってきた。
「わ、私だって!」
迫りくるミサイルの中へと突っ込んで行ったヨナ。正面から飛来したミサイルを右へ左へ避けながら、頭部の60㎜バルカン砲を発射する。そして右手に持ったビームサーベルで迫った4発のミサイルを切り払って撃墜し、更に身を捩ってギリギリでミサイルを回避する。ヨナが回避したミサイルは地面に着弾して爆発する物もあり、ヨナの周囲では無数の爆発が巻き起こっていた。そして―――
「よし、抜けれた!」
遂にヨナはミサイルの弾幕を掻い潜った。一方のアスカは既にZK級とZW級への攻撃を始めていた。
〈やらせるもんか!〉
上空からビームライフルを撃ち、更に迫っていくアスカ。それに反撃するように上空へ向かってドラムマガジンのマシンガンを撃つZK級。アスカはその弾幕も回避しながら、反撃にとビームライフルをZK級の周囲に撃って砂埃を舞い上がらせていた。そしてZW級はZK級のマシンガンとよく似た小銃のサブグリップを左手で握って構え、ヨナに向かって撃ってきた。
(慌てちゃダメだ。よく見て避ける!)
緑の光弾がヨナに向かって飛んでくるが、ヨナはその光弾の弾道を見極めながら左右に回避して更に距離を詰めていく。すると―――
〈牽制を掛けるッ〉
後方から突っ込んできたユイが両肩のマシンキャノンをZK級とZW級に向かって薙ぎ払うように撃った。上空からの攻撃を受けたZK級とZW級はユイへと視線を向けると手にしていた銃をユイへと向けてしまった。
〈今だ2人共!〉
その瞬間、ユイが声を上げた。そしてそれを待っていたかのように、アスカはビームライフルの照準をZK級の腹部中央に向けてロックオンし、ヨナは一気にZW級との間合いを詰めた。
〈墜ちろぉ!〉「いっけぇー!!」
アスカはビームライフルの引き金を引き、ヨナは右手のビームサーベル右上段から左下段に向かって振り下ろした。その一瞬を衝いた奇襲は見事に決まり、アスカの射撃はZK級の腹部を貫き、ヨナの斬撃はZW級の左肩口から右脇腹を鋭く切り裂いた。
(確実に仕留める!)
そしてヨナはその切り口に向かって60㎜バルカン砲を撃ち込みながらバックステップでその場から飛び退いた。動きを止めたZK級とZW級はしばらくして爆発し消滅した。
続く