雪奈と春奈が一夏の彼女になるべく互いに正々堂々と戦うことを誓った日から数日が経った。
その数日間、一夏は二人から色々なアピールを受けるようになっていた。
春奈は事あるごとに一夏に抱き着いたりと体を密着させるアピールをし、一夏をドギマギとさせ、雪奈は春奈のように突然抱き着いたりしないが、一夏の服の袖を掴んだり、できるだけ一夏の後ろについて行ったりと小さくも可愛く一夏にアピールをしていた。
二人から様々なアピールを受けるようになり、あの日2人の気持ちを知ってしまった一夏は苦悩の日々を送り続けていた。
学校が終わり家に帰った後2人から様々なアピールを受け続けていた一夏は、二人に気付かれないようにこっそりと家を出て近くの公園へとやってきてベンチに腰かけていた。
そして重い溜息を吐く。
「はぁ。一体、俺はどうしたらいいんだ…」
そう暗い表情を浮かべながら零す一夏。
「どしたどしたぁ? 暗い表情を浮かべちゃってぇ?」
と声が掛けられ、声の主の方に顔を向ける。
「…束さん。どうして此処に?」
「ゆーちゃんからいっくんが家から居なくなった。って慌てて電話してきてね。で、いっくんが悩み事とか考え事をするときって、決まって公園のベンチに座って頭の中を整理したりしてるでしょ? だから恐らく家から近いこの公園だろうなぁと思ってね」
「そう、だったんですか」
そう言い物思いにふける一夏。束はそんな一夏の隣に腰掛ける。
「それで、いっくん。一体どんなことで悩んでいるのかなぁ?」
「もう、知っているんじゃないんですか?」
「いやいや。束さんにだってわからないことや知らないことはこの世には沢山あるよ。だからいっくんの口から聞きたいの」
そう言われ一夏はしばし口を閉ざす。束は無理に聞かずただ一夏の隣に腰掛けたままでいた。
そして暫くして一夏が口を開いた。
「実は、最近知ったんですが、雪奈と春奈お姉ちゃんが俺の事が好きらしいんだ」
「ほぉほぉ。それはlikeの方?」
「ううん。loveの方」
「なるほどね。で、いっくんはどう思ってるの?」
「そりゃあ2人の気持ちはうれしいよ。でも…」
「二人の気持ちに答えるのが怖い?」
「……うん」
小さく頷く一夏にそっかぁ。と返す束。
「自分の選択一つで姉妹の仲を壊す。そう思うと怖くて…」
「そっかぁ。確かにいたたまれない気持ちになるかもねぇ。でもそれが恋愛っていうものじゃないの? まぁ束さんは恋とかしたことが無いからわかんないけどさぁ」
「そうだけど…。自分の気持ちと、姉妹の仲。どちらが大切かと考えると自分の気持ちを告げない方が2人にとっていいんじゃないかと思って…」
そう零す一夏。
(やっぱりいっくんは優しいねぇ。けどいっくん。その選択は二人の気持ちを否定しているのと同じだと思うんだけどねぇ。けど、いっくんはそこまで考えられるほど余裕はないんだろうなぁ。仕方ない、此処は束さんが一肌脱いでやりますかぁ!)
そう思いながら束は悩める一夏、そして振り向いてほしい2人の為に動き始めた。
次の日、束はタブレットを片手にとある部屋に向かっていた。
そして目的の部屋近くに向かうと
「あれ、篠ノ之博士。社長に何か御用ですか?」
部屋前のデスクで仕事をしていた女性が束に声をかけてきた。
「うん。今いるかなぁ?」
「はい。今副社長と一緒におられますが」
「じゃあちょっと話があるから取り次いでくれない?」
「畏まりました。少々お待ちください」
そういい女性は立ち上がると社長室の扉をノックし中に入る。
暫くして女性が出てきて
「今でしたらお会いできるとのことなので、どうぞ中へ。お飲み物はお茶でよろしいですか?」
「うん、それでいいよぉ」
そういい束は扉を開け中へと入る。
「失礼しまぁす」
「やぁ篠ノ之博士」
「博士が此処に来るなんて珍しいわね」
秋江と冬真が笑みを浮かべながら束を出迎えた。冬真は束をソファーに座らせて、その対面に秋江と冬真が座る。そして持ってこられたお茶を啜りながら冬真が口を開く。
「それでどういった御用かな?」
「実はいっくんの事で少し…」
「一夏の事で? 何かあったの?」
「二人ははるちゃんとゆきちゃんがいっくんに振り向いてもらえるよう色々アピールしていることは知ってます?」
「えぇ。春奈が熱烈にアタックして、雪奈が控えめながらもしっかりとアピールしてたわね」
「そうだったな。一夏は困惑していたが」
「実はそのことでいっくん、すごく悩んでいるみたいなんですよぉ」
「それは二人のアピールに?」
「うんん、二人の好意に答えるのが」
「「っ!?」」
束の言葉に二人は驚きのあまり言葉を失う。
「どういうことなの? 一夏が二人の好意に答えるのがって」
「実は―――」
束は秋江の問いに一夏から聞いた事を伝えた。
「―――ということ」
「そう。本当にやさしい子ね」
「あぁ。だが、いささか優しすぎると思うのだが」
「そのことなんだけど、恐らくいっくんの中でまだ自分は桜木家の人間ではないというしこりが残っているんだと思うんだよねぇ」
「でもあの子がうちの子になってから随分経つわよ」
「時間が経っても心の隅っこの方ではまだ残ってたんだと思う。だから…」
「血のつながりのある二人のどちらかを悲しい思いをさせることになる。だから身を引こうとしている訳か」
冬真の言葉に束は恐らくね。と言い頷く。
「けど、一夏がやろうとしていることは…」
「二人の気持ちを拒否するやつだよ。でもいっくんにはそのことに気付けるほど余裕がない状態だね」
「そう…」
「しかしどうしたものか。一夏の願いは2人の幸せ。春奈と雪奈の願いは一夏とお付き合い。答えの無い問題だな」
冬真がそう零すと
「一つだけ解決策はあるよ」
そう言い束は持っていたタブレットを操作してある映像を二人に見せる。
「束さんその解決策って、この映像?」
「これは博士の研究室か?」
「うん、しばらく見てて」
そう言い2人は束がいう解決策とは何か知るべく映像を見続ける。
タブレットの映像には研究室の扉から一夏と雪奈が入ってきたところだった。
「これは一夏と雪奈か?」
「もしかして職場見学の時の映像?」
「うん。で、見てほしいのはこの後」
そう言い続きを見るように促す束。そして2人が映像を見続けると、なんと映像には一夏がISを身に纏う瞬間が映し出されていた。
「えっ!? どういうことなのこれ?」
「一夏が、ISを身に纏っているのかこれは?」
「うん。どう言う訳かいっくんはISを起動させることができるみたい。どうして動かすことができるのかは束さんでも情報不足でさぁ」
「そ、そう。それでこの映像の何処に解決策があるの?」
秋江の問いに束が口を開く前に
「いや十分すぎるほどの解決策が映っていた」
「えっ? っ!? 男性にも係わらずISを動かせた事?」
「そうだ。男性にも係わらずISを動かせた一夏はある意味特別だ。そうだろ博士?」
「うん。今まで現れなかった男にもかかわらずISを動かせたいっくんは本当に特別な存在。だからこれを使うんだよ」
「どういうこと?」
「いっくんがISを動かせるという特別な存在だから、特例として
束の口から出た重婚という言葉。そう日本は一夫一妻と法律で決まっている。
「なるほど。一夏がISを動かせるというのは確かに貴重な存在ね」
「そう。だから政府にちょっとお願いすれば特例として3人の結婚は認められると思うよ」
「確かにな。しかし重婚を認めさせれば他の者や、他国の政府も自分たちの国の者も結婚させろと言ってくるのではないのか?」
「あると思うけど、そこは条件を合格できた者しかできないって決めておけば大丈夫でしょ。なんせ桜木コーポレーションは世界屈指の大企業の一つだよ? 政府だって下手に動けないでしょ」
「そうね。けど「それにこの束さんだっているし、その条件に『束さんも認めないといけない』って入れておけばほぼ不可能に近いでしょ」確かにそうね」
「それならば問題はないな。ならすぐにでも政府に「いや、今言うのは早計だと思うね」どういうことだね?」
「いっくんはまだ中学生。おそらく今政府に言えばいっくんは中学生の身でありながらIS学園に放り込まれる恐れがあるからだよ」
束の口から出たIS学園という言葉。其処はISが登場し暫くして建造されたISについて学ぶために日本政府が運営する国際学園だった。
「確かに今発表すれば一夏一人でIS学園に放り込まれる恐れがあるわね」
「うん。だからまずその下準備をする必要があるんだぁ」
「下準備?」
束の言葉に2人が首をかしげる。そして束はその下準備とは何かを二人に説明すると、二人はなるほどと納得した表情を浮かべる。
「確かにそれは事前に準備しておくのがいいな。しかしこればかりは本人の意思の確認も必要だ」
「そうね。博士、申し訳ないけど今日一緒に我が家まで来てくれるかしら? 貴女の説明もあればあの子達も納得しやすいと思うし」
「いいよぉ。それじゃあ早めに仕事を片付けておくよ」
そう言い束も湯呑に残されたお茶を啜るのであった。
次回予告
夜、家のリビングへと集められた一夏と春奈と雪奈。其処で冬真と秋江、そして束の3人がある提案をする。
そして其処で束の言っていた下準備について語られる。
次回
幸せになるための前準備
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS