桜木家の養子になってから数日が経った頃、鞄を背負い部屋から出て下の階へと降りてくる一夏。そして両隣の部屋から雪奈と春奈が同じく鞄を背負って出てくるとそのまま一緒に下の階へと降りて行く。
玄関には秋江と冬真が居た。
「それじゃあ3人共気を付けて行くようにね」
「それと雪奈、今日からは一夏と同じクラスになるから間違えないようにな」
「「「はぁい」」」
そう言い3人は2人に行ってきまぁすと言いながら扉を開け外へと出る。外では執事の沢木が車の横にて待機しており、3人が出てきたのを確認すると一礼する。
「おはようございます、雪奈お嬢様、春奈お嬢様、一夏坊ちゃま」
「おはよう沢木」
「おはようございます」
「おはようございます、沢木さん」
「坊ちゃま。私の事は沢木と呼び捨てで構いません」
「でも…」
そう言い一夏は申し訳なさそうな顔を浮かべる。すると玄関に居た秋江と冬真がクスクスと笑みを浮かべる。
「沢木、一夏はまだ慣れていないんですから無茶を言うんじゃありません」
「それは大変失礼致しました。坊ちゃま、どうかお許しを」
「いえ、沢木さんが悪い訳では無いので気になさらないでください」
「畏まりました」
そう言いながら一夏に一礼後、車の後部座席を開け3人を車へと乗せる。そして秋江たちにも一礼後運転席へと乗り込み学校へと向かって走り出した。
学校につくと3人は車から降りて昇降口へと入っていく。
「それじゃあ後でねぇ、雪奈ちゃん、一夏君♪」
「うん、また」
「はぁい」
そう言い春奈は階段を昇って上級生のクラスへと向かう。
「それじゃあ行こっか」
「うん」
そう言い二人は自分達のクラスへと向かって歩き出す。
2人が教室へと向かう途中、雪奈が元々通っていた教室の横を通っていく為、2人はチラ見で教室内を見る。
教室内に居る生徒達はあまり変わった様子も無く友人達と談笑に耽っていた。しかし4つの誰も座っていない席があった。
一つは雪奈の席で、残りは例の3人の席である。
あの事件後、3人は学校には来ていない。その為一夏が復帰するまでの間あの3人に絡まれない生活だった為雪奈は少しほっとした思いでいた。
それから2人は目的の教室に着き、扉を開け中へと入る。
入って来た2人に一斉に顔を向ける。一夏が中へと入ってくると、多くの生徒達から
「おかえりぃ!」
「怪我大丈夫か?」
「どんな傷? 見せて見せて!」
と言った感じで一夏を出迎えた。そうしているとチャイムが鳴り響きそれぞれ席へと付いて行く。
全員が席に着いたと同時に教師が中へと入って来た。
「はぁい皆さん、おはようございます! 今日から桜木君が復帰するので、授業に付いて行けない事などがあると思いますので皆さんその時は教えてあげて下さい。それと先ほど桜木君と言いましたが、ご家庭の事情で名字が織斑君から桜木君になりました。それと最後に1組に在籍されておりました桜木雪奈さんが本日から此処3組に編入されてきました。皆さん仲良くするように」
『はぁい!』
「それじゃあ今日の朝礼は以上です。起立、礼」
そう言い教師は教室から出て行った。出て行ったと同時に談笑を始める生徒達。一夏の元にも数人程友人達が集まり談笑を始める。
雪奈は鞄から本を取り出し読もうとすると
「ねぇねぇ雪奈ちゃん」
と声を掛けられ、顔を向ける。
「な、なに?」
「その本って、もしかして『あの日散った花弁を求めて』ってタイトル?」
「う、うん。そうです」
そう言い雪奈はおずおずと本の表紙を見せる。
「あぁ、やっぱり。その本すごく面白いよね!」
「は、はい」
そう言うと話を聞いていた女子たちも集まって来て雪奈が読んでいる本の事で盛り上がり始めた。雪奈もその輪に入って、オドオドしながらも楽しんでいた。
そして放課後、鞄に教材を入れているとクラスの男子が一夏に話しかける。
「なぁなぁ一夏。校庭でサッカーしねぇか?」
「あぁ~、わりぃ。先に行っててくれないか? お姉ちゃん待たないといけないから」
そう言っていると扉が開き、春奈が中へと入って来た。
「おっまたっせぇ!」
「あ、春奈お姉ちゃん。あのさぁ、今から友達と校庭でサッカーしに行ってきてもいい?」
「サッカー? うぅ~ん、良いんじゃない? 沢木からお母さん達に伝えれば帰りは少し遅くなっても怒られないと思うし」
「それじゃあ僕行って来るね」
そう言い一夏は友人達と一緒に校庭へと向かっていく。その後姿に少し寂しそうな顔で見送る雪奈。その顔を見た春奈は笑みを浮かべながらある提案をする。
「私達もベンチの所で座りながら一夏君のプレイ見ていよっか?」
そう言うと、え?とキョトンとした顔を浮かべた後暫く考えた後にうん。と返事を返し2人は一夏の後を追って校庭へと向かった。
校庭に着くと既に一夏達がサッカーをしていた。春奈と雪奈は近くにあったベンチに座って一夏達のプレイを見ていた。
暫く見ていると春奈が口を開く。
「そうだ、雪奈ちゃん。今日から新しいクラスだけどどうだった?」
「えっと、最初は前と同じクラスみたいに一人ぼっちになるのかなって不安だったんだけど、私が今読んでいる本が好きな子が数人いてその人達と談笑して、凄く楽しかった」
「そっか。それは良かったぁ」
春奈はそう言い安堵した表情を浮かべながら他にはどんなことがあったの?と聞く。雪奈は他にもこんなことがあったよ。と楽しそうに話し始めた。
暫く校庭でサッカーをして遊んだ一夏達はそろそろ帰ろっかと話し始め、帰り支度を始めた。
一夏は自身のカバンを持った春奈と雪奈の元へ駆け寄る。
「あぁ~楽しかったぁ」
「あんまり無茶しちゃ駄目だよ?」
「はぁい」
「一夏、頬に泥汚れがついてるよ」
「え、本当?」
そう言い一夏は袖で泥汚れを拭う。
「あぁ~あ、もう服汚れちゃってるじゃん。帰ったら即お風呂じゃない?」
「そうだね」
そう言いながら沢木が待っている駐車場に向かう。駐車場に着くと沢木が車の横で立って待っており、その手には一夏の替えの服を持っていた。
「お帰りなさいませ。一夏坊ちゃま、こちらは代えの服でございます。車の中でお着換えできるように手配しておりますので、どうぞ中へ」
そう言われ一夏は沢木にありがとうございます。とお礼を言い車の中へと入る。座席にはビニールが敷かれており傍にはビニールの袋も用意されていた。
一夏は汚れた服を脱ぐとその袋の中へと入れ、新しい服に着替えると外へと出る。
「では、中の清掃を致しますのでしばしお待ちください」
そう言うと沢木は慣れた手つきで手早く中にあったビニールなどを片付け3人が乗れるようにした。
そして3人は車へと乗り込み、沢木の運転で家へと帰って行く。
家に着くと3人はそれぞれ自分の部屋へと向かい、一夏は勉強の前にお風呂に入らないとと思い一階へと降りてきた。
すると玄関からスーツ姿の冬真が帰って来た。
「あ、お父さんお帰りなさい」
「あぁ、ただいま一夏。何処に行こうとしているんだ?」
「お風呂に行こうとしてたところ」
「そうか」
そう返すと、一夏は申し訳なさそうな顔を浮かべながらある提案を出す。
「お父さん」
「なんだ?」
「あの、一緒に、その、お風呂に入らない?」
「お風呂にか?」
「うん。その、家族と一緒にお風呂に入った事が無くて、その…」
冬真は一夏の言葉に少し感慨深い顔を浮かべる。
(そうか。誰かと一緒にお風呂に入った事が無かったからな。家族と入ることに憧れがあったのか)
黙る冬真に一夏は落ち込んだ表情を浮かべる。
「や、やっぱり忙しいよね。ごめん、また今度誘うね」
そう言い去ろうとする一夏に冬真は慌てて釈明する。
「あぁ、すまんすまん一夏。少し考えに耽っていてな。良いぞ、一緒にお風呂に入ろうか」
「え? 良いの?」
「当たり前だ。何だったらお父さんの背中を洗ってくれるか?」
「う、うん!」
そう言い笑顔を浮かべる一夏に、冬真も朗らかな笑みを浮かべながら靴を脱いで一夏と共に風呂場へと向かって行った。
一夏達がお風呂に入りに行っている間、勉強を終えた雪奈と春奈は秋江と共に居間で紅茶を飲んでいた。
「そう、クラスメイト達と仲良く出来ているのね」
「うん。まだ初日だから不安な事はあるけど、それでも仲良くしてくれる」
「私も話を聞いてる限り、良いクラスだと思うね」
「そうね。やっぱり前のクラスは問題のある生徒だけが集められていたのかしら?」
そう言いながら秋江はティーカップに入った紅茶を口に含む。
その後は3人は夕食の準備が終わるまで談笑をするのであった。
次回予告
学校に戻って数日後、一夏のクラスに1組の霧島がやって来た。
そして嫌がる雪奈に何度も話しかけてくる。一夏はそれを辞めさせるべく立ち上がった。
次回
家族の為に手を挙げる
次回投稿してほしい小説(詳細は活動報告の「次回作一覧」を見てください)
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①IS×ウォーシップガンナー2
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②IS×メタルギア
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③IS×オリジナルストーリー①
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④IS×オリジナルストーリー②
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⑤IS×クロスアンジュ
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⑥IS×タイムクライシス
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⑦IS×オリジナルストーリー③
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⑧IS×人狼 JIN-ROH
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⑨IS×東方project
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⑩IS×オリストーリー④
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⑪IS×R-type
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⑫俺ガイル×IS