ドールズフロントライン ~船上の戦乙女~   作:弱音御前

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温かく、というか暑くて参ってくる今日この頃。みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

大変長らく続いてまいりました今作もこれで本当の最終話。
副官ネゲヴの洋上での戦い、最後までお楽しみください。
それでは、今週もどうぞごゆっくりとどうぞ~


船上の戦乙女 11話

「お! 救助艇みっけた! お~い、みんな~!」

 

 5時の方向。広大な洋上でも目立つ、派手なオレンジ色の箱型を視認する。

 救助艇に避難していた娘達も私達の事に気づき、デッキの上にひしめき合い、元気に手を振り

返してくれている。

 その中には、スプリングフィールドの姿もあるのが遠目にも確認できる。

 あの状況で単独脱出できたその手腕は流石だと、いちおう褒めておこう。

 救助艇の側面にジェットスキーをつけ、まずはイーグルを引き上げてもらう。

 次は指揮官の番。

 

「全員無事に避難できたのかしら?」

 

「ええ、逃げ遅れた娘はいないし、ケガした娘もいないわ」

 

「よかった~。もう、みんなの安否が心配で気が気じゃなかったわよ」

 

 マカロフからの報告を受け、安堵の息をつく指揮官。

 しかし、そのセリフはむしろ、ここにいる戦術人形全員のセリフなのである。

 

「ネゲヴ、皆さん無事で本当に良かったです」

 

「ええ、私は約束は絶対に果たす人形よ、スプリングフィールド」

 

 スプリングフィールドの手を掴み、救命艇に引き上げてもらって、そのままデッキの淵にへたり込む。

 

「流石にお疲れみたいですね。すでに救援要請は送っていますので、それまでしばし休んでいてください」

 

「そうさせてもらうわ。せっかくの休暇だってのに、まったく、ハードな1日になったもんだわ」

 

 周りの娘達にもみくちゃにされ、ヒーローさながらな指揮官。

 対して、私の隣は静かなものだ。イーグルが穏やかな寝息をたてて眠っているくらいなのだから。

 

「私達にとって、指揮官を守ることが一番の幸福。そうよね、親友」

 

 凪の洋上を眺めながら呟く。

 そうして、グリフィンの救援隊が到着するまでの数時間、戦乙女達を乗せた船は、どこまでも

続く蒼の上をユラユラと穏やかに漂うのだ。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・本当に?

 本当に、これで終わりなのだろうか?

 なんだか、とても嫌な予感がする。

 それは所詮は勘に過ぎないが、しかし、ただの思い過ごしだと切り捨てるのはあまりにも愚かな警告。

 この私がスペシャリストたり得るが所以の、研ぎ澄まされた危険予知能力が、今まさに作動しているに他ならないのだ。

 

「っ!!?」

 

 咄嗟に体を横っ飛びに投げ出し、イーグルの身体を抱えて転がる。

 直後、盛大な水しぶきと共に、洋上から巨大な影が飛び出てきた。

 

「な、ななな何!?」

 

「おいおい、なんだコイツは!?」

 

 お祭りムードだった救命艇が、一瞬にして凍り付く。

 まぁ、振り返らなくても何が起こったのかは分かるが・・・一応、現実には目を向けておこうか。

 

「・・・ったく、しつこい奴ね。鉄血も少しはこれを見習ったらどうなのかしら」

 

 言わずもがな、私に奇襲を仕掛けてきたのは本日の宿敵である鮫ロボだった。

 あれだけグルグル巻きにしてやったのに、どうやって抜け出してきたのか、結局、ここまでついてきてしまったようだ。

 

「あっちゃ~、ここまで追いかけてきちゃったか~」

 

「これって、鮫? この辺りに生息しているもの・・・にしては、変っていうか。指揮官、これが何か知ってるの?」

 

「うん。大まかに説明してあげましょうか、ネゲヴ」

 

「そうね。コイツは・・・」

 

 私が主だって、今回の顛末を説明する。

 そうして、この鮫が今回の客船パーティーを台無しにした元凶だと知れ渡るや、デッキの上が

一瞬にして殺気に満ち溢れた。

 そうだ、それでこそ戦闘屋の集まりというものだ。

 

「なるほど~、鉄血に操作されていたとはいえ、いけない鮫さんですね~」

 

 SAT8を筆頭にしたショットの娘達が、ビタンビタンと撥ね回っていた鮫ロボの身体を押さえつける。

 いずれも聞きしに勝る怪力揃いだ。鮫ロボはがっちりとホールドされ、もう身動き一つとれない。

 

「私、せっかくの休みに仕事をさせられるのが大っ嫌いなのよね。オトシマエはちゃんとつけさせてもらうわよ」

 

 マカロフを筆頭に、銃を携行してきていたハンドの娘達が、一斉に銃口を突き付ける。

 

「さぁ、指揮官さんもお疲れの事と思います。下の寝室で先にお休みください」

 

「え? だって、これからお仕置きタイムでしょ? 私も見たい」

 

「いいえ、そんなことよりも指揮官さんのお身体が大事ですから、さぁさぁ」

 

「ちょ、春ちゃん!? なんかいつにも増して強引! でも、そんな春ちゃんもイイ!」

 

 これからの光景を見せまいと、スプリングフィールドが指揮官を船内に連行する。

 そうして、人目が無くなったところでみんなが一斉に行動を開始した。

 罵声と銃声が鳴り響く解体ショーは、ものの数分で幕を下ろす。今や、あれだけの猛威を振るっていた鮫ロボは物言わぬ残骸と成り果て、デッキの隅で山積みにされている。

 いちおう言っておくが、私はこの解体ショーには加わっていない。もう、疲れたのであの鮫ロボには関与したくないのである。

 鬱憤を晴らし、次第に船内へと引き上げていく戦術人形達。私も、傍らのイーグルを抱え上げ、それに続く。

 

「? あれって・・・」

 

 最中、ふと視線を向けたデッキ上で、金色に光る何かが目に付いた。

 どことなく見覚えのある金色の輝き。歩み寄ってみて、そこで、私は予想外の幸運に心から感謝した。

 

「後ろから追ってきてた鮫ロボに引っ掛かってたのか。あれだけ手間かけさせてくれたんだ、これくらいの詫びは当然よね」

 

 金のカンザシを拾い上げ、ポケットへと仕舞う。

 頭が痛い問題が思いがけず解決してくれたことで、私は足取りも軽く、みんなの後ろに続いて

船内へと下りていく。

 グリフィンからの救助隊を待つ間は、中断となっていたパーティーの続きを行う事と相成った。

 ミスコンの続きを行う事こそ出来なかったが、その代わりとして、私とイーグルとスプリングフィールドには、指揮官を救出した異世界3人娘という称号が送られる事に。

 指揮官と行く温泉旅行は、別のレクリエーションの賞品として先送りになってしまったが、指揮官と私達3人で並んで撮った記念写真は、これから先もずっと、私の大切な宝物として君臨する事だろう。

 

「ん~、こうして改めて見ると、思いの外思いの外ね」

 

 あれだけ渋っていた魔法少女ルックも、今となっては、結構キマっていると本気で思える。

 ・・・後日談ではあるが、MDRがこの写真をグリフィン掲示板に載せたところ、他の基地の私が苦情を申し出てきたのだとか。

 この服装の良さが分からないだなんて、どこかの基地には、かなりお間抜けな私も居たものである。

 

 END

 




ちょっとしたパニック系映画をネタとして使ってみた今作でしたが、お楽しみいただけましたでしょうか?
デザートイーグルを活躍させたり、ジェットスキーでの脱出劇をやってみたり、やりたいことできたのはいいとして、見返してみると無駄な部分もやはり多いですね。
その他諸々の反省点はまた次の作品作りに活かすこととします。

改めまして、今作を最後まで読んでいただいてありがとうございます。
またしばらくの間を空けて、次回作の投稿をする予定ですので、気が向いたら足を運んでやって下さいな。
以上、弱音御前でした~
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