ドールズフロントライン ~船上の戦乙女~   作:弱音御前

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花粉が舞い散らかしている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

船上の戦乙女もそろそろ本番・・・と、前回もそんなような事を言っていた気もしますがあまり気にしないこととします。
相変わらずな内容となっていますが、どうかごゆっくりとお楽しみください~


船上の戦乙女 5話

 メインホール

 

 

「みんな、自分の班員と同じところに固まりなさい。班長、班長代理は集まり次第点呼。

パーティーに参加している班員の安否を確認後、私に報告」

 

 メインホールは、まぁ、予想通りの有様だった。

 家具や調度品、自動楽器やなんかもあちこちに散らばってグチャグチャ。特に、テーブルに並べられていた料理の数々なんか、目も当てられない有様だ。

 絢爛豪華だったメインホールは、今や、大乱闘でも繰り広げたような有様になっている。

 そんな中でも幸いだったのは、重傷者が出ていないという事実だ。

 鉄血の何体かがここまでやってきたようだが、95式やK5辺りに軽く叩きのめされたらしい。

 我が基地の中でも、この2人は特に優秀とされているインファイターなのだが、それはまた別のお話として、今は、この惨状を乗り切るのが先決だ。

 

「ネゲヴ、指揮官様の捜索なのですが。早急に始めた方が良いのでは?」

 

「まずは、みんなの安否を確認するのが先よ。鉄血がうろついてる中を行動するんだから、人員を纏めないと」

 

 すっかりと落ち着いたスプリングフィールドの言う通り、指揮官を捜索するというのが、まず私達が取り組まなければいけない行動である。

 現在、指揮官は行方不明。一緒に解説席に居たSAT8の話だと、準備室の様子を見ると言って、居住区画へ行ったようで、船が傾いたのはその後だ。

 私とスプリングフィールドがここに戻ってくる間で、指揮官の姿は見かけなかった。これだけの事態が起こったのだ、まず、ホールに戻ってこようと考えるのが普通。いくら指揮官とて、そう考えて間違いない。

 それが実際に居ないとすると、どこか、違う区画に迷い込んでしまったか、最悪のケースだと、鉄血の手中に落ちている。

 全くもって、とんだレクリエーションになったものである。

 今後の動きを纏めている最中、点呼を終えた娘達が続々と結果を報告に来る。

 ほとんどの娘達はホールに居たし、ミスコンの準備をしていた娘も、ここまで自力で戻ってきている。

 そんな中。

 

「イーグルがいない?」

 

「ええ。あの娘、貴女と同じく居住区画に居たのでしょう? 部屋に取り残されたのではなくて?」

 

「いや、そんなことが無いように、スプリングフィールドと手分けして、準備室をあらかた覗いて戻ってきたのよ。だから、取り残されている事なんてない」

 

「では、もしかしたら鉄血に・・・」

 

「そう簡単にやられるような奴じゃないってのは、アンタも知ってるでしょ? もしかしたら、指揮官と一緒に居て、こっちに戻れないような状況なのかもしれないわ」

 

 今のは、ちょっと達観しすぎな言い方である。でも、仲の良い友達として、彼女の身を案じているタボールを私は安心させてあげたかったのだ。

 

「もう、報告していない班はないわね。では、これより指揮官とデザートイーグルの捜索及び鉄血勢力の排除を目的とした作戦行動に移る。まず、捜索班。これは、銃器を使えないという状況の為、近接格闘術で鉄血の奴らをぶちのめせる者に限定する。自身のあるものは挙手を」

 

 私とスプリングフィールドを含め、パラパラと手が挙がる。全体の3割といったところか。私の予想以上の結果だ。

 

「95式、K5、ウィンチェスター、M16、アナタ達が主導でチームを編成して頂戴。最低でも3人組のチームとすること。あと、このホールを守る者を5人選抜して。私とスプリングフィールドは別で動くから考えなくていいわ。次、捜索に出ない者は、銃器の奪還と制御室を抑えてもらいたい。銃器はセキュリティルームに保管されているようで、たぶん、ハッキングの必要がある。同様に、制御室でも電子機器で私達、捜索班のサポートをお願いすることになるわ。電子デバイスの操作に自信のある者はいるかしら?」

 

 こちらは、さっきよりも手が挙がってくれる。我が基地はオタクな娘が多いのだ。

 

「よし、RFB、MDR、VP70、コンテンダー、アナタ達がチームを編成して、問題解決にあたって頂戴。今回は無線機が無い状況なので、携帯端末を使用して連絡のやり取りを行う。くれぐれも、着信音を鳴らして気づかれるようなアホな真似はしないように。各班、編成が終了次第私に報告。その後、作戦を開始とする」

 

 一通り指示を出し終えると、みんな、一斉に動き出してくれる。指揮官の日ごろの指導の賜物といったところか。

 

「素晴らしい纏め上げでしたよ、ネゲヴ。まるで、指揮官様のようでした」

 

「当たり前でしょ。こちとら、伊達で副官やってるんじゃないっての」

 

 私とスプリングフィールドは、みんなの作戦開始を見届けた後、2人組で捜索だ。

 私には、さっき彫像から借りた杖があるし、スプリングフィールドは、この場にある材料で弓を作って準備万端。

 ・・・彼女が弓を持っているのを見ていると、頭がちょっと痛い。

 

「ねえ、副官。ちょっといいかしら?」

 

「? どうしたの、マカロフ?」

 

 ホールに残る組みで編成されていたマカロフが、私に歩み寄ってきた。

 周囲の様子を気にして、なにやら、コソコソとしたい感じだ。

 

「さっき、こっそりと制御室に侵入して、警報をオフにしてきたんだけどね」

 

「あれ、アナタの仕業だったのね。おかげで、スプリングフィールドを見つけることができたわ。ありがとうね」

 

「褒めるのは後でいいわ、今はそれどころじゃないの。みんながパニックになるといけないから黙っていたんだけど、これを見てくれるかしら」

 

 言って、マカロフが取り出したのはタブレット端末だ。その画面には、この客船のリアルタイムデータが映し出されている。

 

「これ、どうしたの?」

 

「制御室に行った時、船の制御系統をこの端末と同期させたの。大体の操作はこれを使ってできるようになった」

 

「そのような事が。流石はマカロフさんですね」

 

 普段はパッとしないが、実はキレ者だと噂されていたマカロフ。ここで、その片鱗を目の当たりにできるとは、思ってもみなかった幸運である。

 

「やるじゃない。これ、監視カメラの画像を見ることもできるんでしょ? 鉄血の動きを逐一報告してくれれば、リスクは大分下がるし」

 

「うん、そうなんだけどね。私が見てほしいのはこっちなのよ」

 

 マカロフがディスプレイをスクロールしていく。そうして現れたのは、船の断面画像だ。各エリアのセンサー類を通して、その場の異常を表示している様子。

 

「・・・この、船底が真っ赤になってるのは、一体なに?」

 

 画像では、船の最低部、機関区域が軒並み赤く明滅している。素人目にも明らかなエマージェンシーだという事が伺える。

 

「これ、浸水してるのよ」

 

「浸っ!!?」

 

「ああ~・・・なんということでしょう」

 

 思い出すのは、船が大きく傾いたあの時だ。

 鉄血のアホ共、まさか、この船もろとも私達を沈める気か?

 

「今は、ダメコンでなんとか沈没を免れている状態。でも、いつまで耐えられるかは分からない」

 

 こんな事をみんなに言いふらされたら、大パニック間違い無しだったろう。内緒にしてくれていたマカロフのファインプレイである。

 

「こ、こういう時に備えての何か、緊急手段というものがあるのでは?」

 

「ある。緊急隔壁を降ろせば、当該区域の浸水を防げる」

 

「じゃあ、さっさと降ろしなさいよ。これで操作できるんでしょ?」

 

「できればやってるわよ。この隔壁はマニュアル操作じゃないと受け付けないの。誰かが船底へ行って、直接操作する必要がある」

 

 全てが全て上手くはいかない。これが、現実の辛いところか。

 

「このことを他の娘に話すわけにはいかない、と。では、私達の行動方針は決まりましたね」

 

「そうね。マカロフ、私達には他のチームとは別で連絡を頂戴。くれぐれも、みんなには内緒でね」

 

 指揮官とイーグルの捜索及び、船の浸水を食い止める事。それが私達2人、特捜班の目標と

相成った。

 他の娘達の編成も順調に進み、みんな作戦に取り掛かったところで、私達も作戦開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 居住区画~機関区画接続プラットフォーム

 

 

「2時の方向、よろしく!」

 

「はい!」

 

 私の指示通り、的確な射撃でスプリングフィールドが敵を射抜く。

 制御コアを一撃。手製の弓矢だというのに、相変わらずトンデモナイ命中精度だ。

 

「お次はこっち!」

 

「はいは~い」

 

 杖の先を引っ掛け、放り投げた鉄血兵を速射で仕留めてもらい、このエリアは一丁あがり。

 死屍累々の廊下を、私達2人で突き進む。

 

『廊下の突き当りにメンテナンス通用口があるでしょ? その先に機関区域へ直行のエレベーターがあるから、それで降りて』

 

「了解」

 

 マカロフの誘導に従い、メンテナンス通用口に足を踏み入れる。

 今までの豪華な装いとは正反対の暗く無機質なエリアだ。

 なんだか、こういう場所の方が気分が落ち着くあたり、私はつくづく庶民派な人形なんだな~、とか思ってしまう。

 敵の存在を警戒しつつ、マカロフの言うエレベーターを探してみる。

 

「ネゲヴ、あちらの壁際。たぶん、エレベーターです」

 

 スプリングフィールドが示す先に、それらしきものを視認する。

 

「引き続き、警戒しながら進むわよ」

 

 結局、ここに鉄血兵は配置されていなかったようで、何事もなくエレベーターまでたどり着いた。

 操作パネルをタッチすると、すぐに横開き式のシャッターが開く。

 3人くらい乗るのがやっとの小型カーゴに乗り込み、下層のボタンを押す。

 ヴぅー、と耳障りな駆動音をあげながら、カーゴがゆっくりと降下を開始した。

 

「マカロフ、他の娘達の様子はどう? 指揮官の行方は掴めたのかしら?」

 

『6つの捜索班で居住区の上から下まで、全部しらみ潰しに探してるけど、まだ発見の報告は無いわ。これから、共有施設の区画を捜索するように指示を送る』

 

「賢明な指揮官様のことです。隠れるなら、きっと占有面積の広い共有施設を選ぶでしょうね」

 

 レストラン、スポーツグラウンド、カジノ等々。この船の娯楽設備は非常に広大で隠れるモノには困らない。スプリングフィールドが言う通り、鉄血の襲撃に気づいた指揮官が逃げ込むには打ってつけの場所だろう。

 本当は、私が一番に迎えに行ってあげたいところだが、今はこちらの方が重要だ。

 せっかく指揮官に会えたって、船が沈んでしまったら元も子もないのである。

 

『それと、浸水の件なんだけど。たぶん、勘の良い娘の何人かは、それとなく気づいてるみたい。隠しておくのも限界があるから、最悪、こっちの判断で説明する可能性もあるっていうのは理解しておいてね』

 

「ええ、それで構わないわ。アナタなら上手くやってくれるだろうし、任せる」

 

 言葉を終えたのとタイミングを合わせたようにエレベーターが停止する。

 ブザーの音と共に二重構造のシャッターが開いて・・・

 

「っとぉ!?」

 

「水? もう、こんな所にまで」

 

 カーゴ内に流れてきた水に、2人揃って驚いてしまう。

 

『ウソ! そこまで浸水しちゃってるの!?』

 

「ええ。でも、ちょっとした水溜りくらいの深さだから、進むのに問題ないわ」

 

 今回は洋上に繰り出すという事で、私達はウォータープルーフを施している。一日泳ぎっぱなしでもへっちゃらなので、こんな、足元までの海水は気にするまでもない。

 

「ここから先は、どう進めばいいのかしら?」

 

『えっと・・・左手に伸びてる廊下の先。突き当りを右よ。C区画っていう案内表示があったら、それに従って進んで』

 

「了解」

 

 スプリングフィールドとアイコンタクトを交わし、機関区画に足を踏み入れる。

 照明は薄暗く、壁や床は一面の金属張り。所々に、幾本ものパイプが這っているその様子に既視感を覚える。

 任務で殴り込みに行った、鉄血の基地がこんな雰囲気だったか。もう、豪華客船に乗っているという事すら忘れてしまいそうだ。

 どこに鉄血兵が潜んでいるか分からない。できる限り足音は小さく、でも、迅速に廊下を進んでいく。

 マカロフの話の通り、壁には矢印案内でC区画への案内が表示されている。

 こういった施設はどこを見回しても同じ風景で、図らずも迷路と化している。従業員が迷わないよう、見やすい案内表示が置かれているものなのである。

 なので、私達が問題のC区画へ到着するのはそれほど難しいものではなかった。

 道中、鉄血兵に出会わなかったというのも、私の日頃の行いが良かった賜物だといえよう。

 

「これはまた、すごい事になってますね」

 

「まるで噴水ね。マジで、この船ごと私達も巻き込んで沈むつもりなのかしら?」

 

 C区画は冷却機構を置いている場所のようだ。

 この船の動力であるエンジンを冷却するための液体を循環させ、熱を処理する為の配管が立ち並んだ、広大な一室。そこは、私の膝くらいの高さまで浸水してしまっている。

 水の出所は、部屋の東側の壁だ。

 壁に張られた鉄板の継ぎ目のあちこちから、海水が凄い勢いで噴出している。

 

『無事に着いたみたいね。そこの部屋で、緊急バルジの展開操作を行って』

 

「随分と大層なモノみたいだけど、それ、私達が操作できるようなものなの?」

 

『平気よ。ポチってやってグイってやってガコンっ! くらいの簡単な操作だから』

 

 擬音で言われても全くピンとこない。隣で話を聞いているスプリングフィールドなんか、クスクスと上品に笑ってるし。

 

『部屋の西側に白いコンパネが見えるかしら? 壁にくっついてると思うんだけど』

 

「ん~・・・あれかな? 浸水してる中を進んでいかないとだから、ちょっと待ってなさいね。

スプリングフィールド、ここで周囲の警戒を頼むわ」

 

「分かりました。くれぐれも気を付けて」

 

 スプリングフィールドが自慢の弓に矢を番えたのを見て、私はC区画の浸水箇所へと足を踏み入れる。

 

「冷たっ!」

 

 さすがに、膝の所まで水に浸かると、体が震えるほど冷たい。

 温かくなってきた時期とはいえ、海水にはまだまだ冬の名残が残っているのだ。

 ざぶざぶ、と海水を蹴りながら目的地へ突き進む。

 今の私なんて、敵から見れば格好の標的だ。船の沈没を阻止するために私達がここへ来るという事くらい、簡単に予想できるだろうし、そこを狙って待ち伏せしていてもおかしくはない。

 なので、遠距離攻撃ができるスプリングフィールドを監視に置いて、私が自ら飛び込んだというのに・・・ここまで来ても、鉄血兵が襲い掛かってくる気配は微塵も無い。

 無駄に寒いおもいをするくらいなら、スプリングフィールドに来てもらえば良かったよ、ちくしょう。

 

「着いたわよ。で、操作はどうやるの?」

 

『まず、緊急操作モードに切り替える。それから、バルジ機構の電源を入れると。それからそれから・・・』

 

 マカロフの指示に従い、スイッチを押して、ダイヤルを回して、最後にレバーを降ろして操作

終了。

 途端、壁の向こう側から盛大な駆動音が響いてきた。

 このままここにいると、聴覚をおかしくしてしまいそうなので、耳を塞ぎながら撤収する。

 浸水エリアから上がり、スプリングフィールドと合流するころには、すでに壁からの海水は完全に止まってくれていた。

 これでひとまずは目標達成。

 スプリングフィールドと共に、この騒々しい区画から退出する。

 

「お疲れさまでした、ネゲヴ」

 

「ホント、手間をかけさせてくれたものだわ。アイツら、一体たりともこの船から逃がしてやらないんだから」

 

「ふふ、その前に指揮官様を探さなくてはいけませんよ。さぁ、私達も上の区画に戻りましょう」

 

 エレベーターまで戻ろうと、早足で進む私達2人。

 

〝ごきげんよう、グリフィンの人形共。今更に言うまでもない事と思うが、この船は私達が占拠させてもらった〟

 

 突如として響く、不穏な館内放送を耳にして、揃って足を止める。

 

「ネゲヴ、この声は確か・・・」

 

「鉄血エリートのスケアクロウ。ヤツが頭ってことね」

 

 まさか、そんな分かりきったことをお知らせするための放送ではないだろう。

 そうなると、私が最も恐れていた事態に陥ってしまった可能性が高くなる。

 

〝お前達の指導者は、今、私達の手中にある。生かすも殺すも、私の気分次第ということだ〟

 

 やっぱり、思った通りだったか。

 私達が先に指揮官を見つけられなかったのは情けない限りだが、不幸中の幸いなのが一点。まだ、指揮官が生きているということだ。

 

〝そちらの態度次第で、無傷で返してやってもいい。貨物ドックで待っているぞ〟

 

 スケアクロウの一方的な話で放送が終わる。

 

「罠の可能性もあるのでは? 鉄血が指揮官様を捕えている、という確証は何もありません」

 

「そうね。でも、私達も指揮官を見つけられていない以上、あれがブラフだとも言い切れない。どちらにしろ、ヤツの言う通りに動くしかないわ」

 

 罠だと分かっていて突っ込んでいかざるを得ないなんて、そんな無茶な真似は任務の中でもゴメンだというのに。つくづく、トンだ休日になったものだ。

 

『ネゲヴ、今の放送聞いてた!? 指揮官が鉄血に捕まったって!』

 

『おい、ネゲヴ! 指揮官の救出は私のとこに任せな! バッチリ救出してきてやるからよ!』

 

『ここは、私達にお任せください。無事、指揮官様を救出してみせますので』

 

『何も、真正面から行くこともないでしょう。密かに後ろから回り込んで、気が付く間もなく仕留めてみせますよ』

 

『いえいえ~、ここは、ショットの娘が沢山いる私達のチームが適任ですよ~。スケアクロウともども、鉄血兵を叩き潰しちゃいます~』

 

 マカロフとの通話に、他の捜索班の奴らがどんどんと割って入り、大混線状態だ。

 みんな、指揮官を助けたいという思いは同じ。

 それと、救出したことによる好感度アップを狙いたい、という思惑も。

 

「あ~も~! うるさいうるさいうるさい! みんな、少し落ち着きなさいよ」

 

 私の一喝で、言いたい放題だった娘達が口を塞ぐ。

 

「まず、真正面から制圧するっていうのは避けたい。船内は狭いし、私達と鉄血がまともにやり合えば、指揮官に被害が出る可能性は高い」

 

『では、闇討ちを得意とする私の出番ですね』

 

 そう息巻いているのはウェルロッド。確かに、彼女の隠密性ならそれも可能かもしれない。

 しかし、この船はもう完全に相手のテリトリー内である。

 

「存在がバレていない状況なら、それも良かったのだけれどね。船を占拠している奴らが、私達の動きをどこまで見ているのか分からない。奇襲を仕掛けようとしているのも把握されてしまっていたらアウトよ」

 

 余計な事はできない。悔しいが、今は奴らを刺激しないよう、言われた通りに動くしかないのである。

「私達で行くわ。少人数なら、鉄血を刺激する可能性も低いだろうし。それに、なによりも」

 

『ネゲヴ達が居る機関区域だったら、貨物ドックまですぐだものね。私は適任だと思うわ。異論のある者はいる?』

 

 私に同意してくれたマカロフの言葉に意を唱える者はいなかった。

 

「もちろん、スケアクロウの言っていた事がブラフという可能性も十分にある。各班、捜索は引き続き行うように」

 

 了解、と返答してくれたみんなの声を聞き届け、私とスプリングフィールドは今いる機関区画よりも船の更に後部、貨物デッキへと突き進んでいく。




なんかの映画みたいな展開になっていますね。
当方、映画好きなところがありますので、あまり意識はしていなかったのですが、きっと何かしらの元ネタがあるのだと思います。
もちろん、意図して組み込んだシーンなんかもあったりしますが、そこは後でのお楽しみということで。

来週の更新時もどうか足を運んでやって下さいな。
以上、弱音御前でした~
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