【完結】魔人族の王   作:羽織の夢

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ようやくミレディさんの登場です。
ただ、話の内容が内容なので、そこまでウザさは出せてないかも。
というか、ウザさって出そうと思うと案外難しい……


第三十話 【ミレディ・ライセン】

──ライセン大迷宮。

 

 解放者のリーダー、ミレディ・ライセンにより作られた、彼女の性格がこれでもかと反映された狡猾な罠がひしめく大迷宮。その多種多様な罠も危険極まりないものばかりだが、要所に配置されたミレディのメッセージは、的確に侵入者の精神を逆撫でるような煽り文句で溢れている。

 更に、一定時間ごとに内部の構造が変化する機構になっているため、マッピングは意味をなさず、ようやく終点かと思われたら入り口だった……となれば、誰しもが冷静でいられないだろう。

 

 一度攻略したアルディアスも内部構造が変化し続ける以上、以前のルートを使うことは不可能だ。最悪、力ずくで壁をぶち抜いて最短ルートを作ってしまおうかと物騒な考えを持っていたアルディアスだったが、すぐにその考えは消えてなくなった。

 

「……矢が飛んでこないな」

 

 ライセン大迷宮の入り口。そこを通った者に挨拶と言わんばかりに放たれる無数の矢。今更その程度を脅威に感じることは無いが、注意するに越したことはないと警戒していたのだが、何も反応がない。

 すると、ガコンッと何かが嵌まるような音がし、ゴゴゴッと至るところで地響きが響き渡る。

 そのことに警戒を緩めずにいると、目の前の岩壁が開き、直通の通路が姿を現す。

 

「……やはり、ミレディも外の異常事態には気付いているか」

 

 普段は迷宮の奥深くで自分達の意志を継ぐ資格のある者を待ち続けている彼女だが、そこからでも迷宮内の至るところの映像が見れる仕組みになっている。侵入した際に、いち早く対応してきたことから、恐らく外の入口付近も何かしらの監視を置いていたのだろう。

 何よりも、彼女程の実力者がこの異常事態を察知していない訳がない。

 一人納得したアルディアスは、時間が惜しいとその通路を進み始めた。

 

 

 ◇

 

 

「やあやあやあ! ひっさしぶりだね〜! 元気してたかい?」

 

「ああ、そちらは変わらず息災のようだな、ミレディ」

 

「そりゃもう、この体は風邪なんかとは無縁だからね! それにしても……でっかくなったねぇ」

 

「あれから八年だ。大きくもなるさ」

 

「いやー、昔はこんなにちっさかったのに。ミレディさんも年を取ったもんだ!」

 

「何だその指の隙間は。俺か?」

 

 目の前に現れた通路を進んでいった先、少し小さな部屋に辿り着くと、入り口が閉まり、部屋全体が下降し始めた。そのまま待つこと一分、扉が開いた先で待っていたのは、アルディアスの記憶のままの、黄色いローブを着た小さなゴーレムだった。

 

「君も八年間一切音沙汰なしなんて薄情者だねぇ。神代魔法を手に入れたら私なんて用無しかい? うう、ミレディさん、弄ばれた。シクシク、もうお嫁にいけない……!」

 

「……相変わらずだな」

 

 わざとらしく手で顔を覆いながら泣き真似をするミレディ。器用にも手で覆われて隠れたゴーレムの表情も泣き顔に変わっている。そんなミレディのかつてと変わらない様子にアルディアスも思わず苦笑する。

 

「なんだよー、君は相変わらず冷めてるねー。もうちょっと反応良くても良いんだよ? 昔みたいにお姉ちゃんって呼んでも良いんだよ?」

 

「勝手に記憶を捏造するな。俺に姉呼びをさせようとしてきたが、あれはアレーティアをからかっていただけだろう」

 

「アハハ、あの子、面白いくらい反応してきたからさ。つい面白くなっちゃって。今でも元気にお姉ちゃんやってるかい?」

 

「……そう言えば、数年前から姉と呼ぶように強制させようとはしてこなくなったな」

 

「そうなの? じゃあ、昔みたいにべったりじゃないんだ。反抗期?」

 

「いや、距離感は昔と変わらない……今思えば、昔よりも積極的な気が……」

 

「………………ほう?」

 

 しばらく考え込んでいたミレディの表情が、徐ろにニヤリと悪どい笑みに変わる。その様子にまた何か良からぬことを思いついたなと察したアルディアスだったが、どうせいつもの悪癖だろうと見なかったことにした。

 軽くため息をついたアルディアスは表情を真剣なものに変えた。懐かしい再会だが、ここにはおしゃべりをしにきた訳ではないのだ。

 

「ミレディ。外の異変については気付いているか?」

 

「もちろん。信じられないことに大迷宮ごと別の場所に転移したみたいだね」

 

「ああ、この場所はちょうど魔国ガーランドの魔城の地下になる」

 

「ふ〜ん、それで上から君に似た気配を感じるんだ……で? それだけの転移魔法。明らかに人の枠を超えてるよね?」

 

──もしかして、あのクソ野郎が来た?

 

 そう告げたミレディからは、先程までのふざけた雰囲気は一切消え、普段はゴーレムの仮面で隠されているドロドロとした憎悪がその小さな身体から溢れ出てくる。

 そんなミレディに対してアルディアスは……

 

「違う」

 

 ハッキリと断言した。

 

「…………え? 違うの?」

 

 アルディアスの言葉にポカンとしながら聞き返した。

 アルディアスが八年間音沙汰が無かったことを薄情者と称したが、実際に自分の元を再度訪れる理由などエヒト関連しかないと思っていた。

 しかし、続く言葉でミレディの頭は真っ白になることとなった。

 

「エヒトは既に俺が殺した」

 

「…………………………」

 

「……おい、聞いているのか?」

 

「え? あ、ああ、ごめんごめん! えーと……あの、エヒトを殺したって聞こえたんだけど……?」

 

「だからそう言った。報告が遅れてすまない。少し立て込んでていてな」

 

「………本当?」

 

「俺がこんなタチの悪い冗談を言うと思うか?」

 

「い、いや、思わないけど……エヒトを? ホントに……?」

 

「ああ」

 

 しっかりと頷くアルディアスを見て、呆然と佇むミレディは、アルディアスの言葉を何度も脳内で繰り返した後、突然ふらっとバランスを崩し、そのまま背中から倒れ込んだ。

 

「ああ……ほんとに、エヒトを? 皆を殺したクソ野郎を………? 無惨にも引き裂いたアイツを……ほんとに? あ、あああ……あぁああ…………」

 

 何千年もこの瞬間を待ち望んだ。エヒトを打倒する為に集った解放者。ミレディにとっては家族とも言える大切な友人達。彼らの力を集結させてもエヒトに届くどころか、対峙することすら叶わなかった。

 だからこそ願った。いつか自分達の意志を継ぐ、次代の解放者の出現を……

 

 百年が経ち……三百年が経ち……千年が経った。最早、あれからどれだけの年月が経ったのかはミレディ本人ですら分からなくなっていた。

 そんな中、唐突に現れたのは、まだ年端も行かぬ幼い子供だった。そばに居た吸血鬼の少女と違い、正真正銘、十に達したばかりの子供。流石のミレディも初めてその姿を確認した瞬間は、このまま試練を受けさせてもいいのかと不安に思ったくらいだ。

 しかし、その不安もすぐに吹き飛んだ。ミレディの眼を持ってしても見通しきれない魔法の才能。十歳にしてその才能に頼り切らない柔軟性。迷宮内の様々なトラップに対しての迅速な状況判断。

 常人からすれば、すでに完成されていると称されてもおかしくないが、それら全てが未だに発展途上。

 

──もしかしたら、この子なら……

 

「皆……終わった……おわっ……たよ……! うう…うわああああああん! うああああああ、ひぐッ……わあああああああああ!!」

 

 恥も外聞も気にせずに泣き叫ぶ。例え、涙を流すことが叶わないゴーレムの身体だろうとも関係ない。年長者としてのプライドも、解放者としての威厳も今はどうでもいい。

 

 何度も折れかけた。挫けそうになった。これ以上待っても、誰も現れないんじゃないかと不安で不安で仕方がなかった。それでも仲間との思い出とエヒトへの憎悪だけを糧に待ち続けた。

 待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って……ようやく実を結び、そして花咲いた。

 私達のやってきたことは……私が待ち続けたのは、決して無駄じゃなかった。ちゃんと、次世代に受け継がれ、その力となってくれた。

 

「…………」

 

 そんなミレディの様子にアルディアスは黙って眼を瞑る。

 話さなくてはならないことは山程ある。この事実を伝えた時。彼女がどういった反応をするのかは分からない。

 それでも、今この瞬間だけは邪魔してはいけないと……アルディアスはミレディが満足いくまで待ち続けた。

 

 

 ◇

 

 

「グスッ……うぅ〜、ごめんね、情けないところ見せて……」

 

「気にするな、気持ちは分かる……などと安易なことは言えんが、それでも今この時くらいはな」

 

「……うん」

 

 しばらくした後、落ち着きを取り戻したミレディは恥ずかしそうに謝罪を述べた後、改めてアルディアスを見上げる。ゴーレムの表情に変化は無いが、アルディアスにはミレディが微笑んでいるのが伝わってきた。

 

「ありがとう、アルディアス君。私達の悲願を叶えてくれて。私達のこれまでを無駄にしないでくれて」

 

「……礼を言うのは俺の方だ。ミレディ・ライセン。貴方が幾星霜もの時を待ち続けてくれたからこそ、本当の意味で力と信念を受け継ぐことが出来た。貴方達のこれまでの軌跡があったからこそ、奴に届くことが出来た。俺は貴方達を誇りに思う」

 

「な、何だよ〜。そんなこと言われたら照れるじゃないかぁ。言っとくけど、その程度じゃミレディさんは堕ちないぞ? そんなにちょろくなんかないんだぞ! このこの〜」

 

「そうか、それは残念だ」

 

 照れ隠しのつもりか、少しずつ普段の言動が戻り始めたミレディだが、今ばかりはアルディアスもあえてそれに乗ることにした。

 そんなやり取りをしていると、不意に「あれ?」とミレディが首を傾げる。

 

「それなら、迷宮が転移したのは誰の仕業なんだい? もしかして君? それともアレーティアちゃん?」

 

 迷宮ごと転移させるほどの力。そんな事が出来るのは”神”を除けば、目の前の青年か吸血鬼の少女以外は思いつかない。最近二人と同じ様に迷宮を攻略した存在としてハジメとシアも居るが、魔法の適正は前者とは比較にもならない。

 

「俺達ではない……ミレディ、これから話す事実は、貴方の……貴方達のこれまでの認識を大きく変えることになる。心して聞いて欲しい」

 

「え? ちょ、ちょっと待って待って!? なになに!? 急に怖いんだけど!? ミレディさんもう結構お腹いっぱい──」

 

「エヒトは異世界から召喚された元人間だ。奴を召喚し、神に昇華させた元凶の”神”が居る」

 

「─────────は?」

 

 バタバタと手を上下に振っていたミレディがピタリと動きを止めた。

 そんなミレディの様子も仕方がないと割り切り、アルディアスは今までのことを一から説明していく。

 

 

 ◇

 

 

「────と、いうような状況だ」

 

「………………何処に居る……そのクソ野郎は今何処にいる!?」

 

 アルディアスの話を黙って聞いていたミレディは、話が終わったと見るや、アルディアスに掴みかかる。

 

「何が人類の進化の大きな一歩だ! 何が必要な犠牲だ! そんな……そんなことの為に皆は犠牲になったんじゃないんだぞ!! 私は、数千年も待ち続けたわけじゃないんだぞ!!」

 

「ああ」

 

「皆、大切なものを守る為に戦ったんだ! 例え、世界中が敵に回っても、私達の”今”を守る為に必死だったんだ!!」

 

「ああ、分かってる」

 

「そんな……そんな、犠牲になるのが決まっていたような……! どれだけ私達を馬鹿にすれば……!!」

 

「ああ、だからこそ、ここで終わらせる。その為に力を貸して欲しい」

 

「ッ!──うん! こんなふざけた戦い……ここで終わらせてやる!!」

 

 自身の心の内を吐き出したミレディはアルディアスの言葉に強く頷いた。確かにミレディ達解放者はエヒトに敗れた。そして自分達の代ではどうしようもないことを悟った彼女らは、各々で大迷宮を作り出し、自らの力を次代に託すことにした。

 しかし、そこに何も葛藤がなかったわけではない。次代に託す。言葉で表すのは簡単だが、それは今を生きる人々の犠牲を黙認するということ。未来ある若者に大きすぎる責任の一端を背負わせてしまうということ。

 それら全てを呑み込み、誰しもが苦渋の決断を下した。

 それをシュパースとやらは必要な犠牲と簡単に切り捨てた。そんな奴を認めるわけにはいかない。放っておくわけにはいかない。解放者リーダー、ミレディ・ライセンの名にかけて。

 

「それで、ミレディ。貴方に聞きたいことがある。当時、貴方達解放者はエヒト打倒のために、それこそ、草木を掻き分けてでも奴の情報を集めた筈だ」

 

「? そりゃそうだよ。弱点までとはいかなくても、何か有益な情報が無いか古文書から歴史書、教会に伝わる口伝まで調べられることは隅から隅まで調べたさ。ま、どれもこれもエヒトを崇める内容ばかりで反吐が出そうだったけどね」

 

そう続けるミレディは当時の苦行を思い出したのか、声からもハッキリと苛立ちが感じられる。

 

「その中でシュパースに関する文献などは無かったか?」

 

「え? シュパース? エヒトじゃなくて?」

 

 頭に疑問符を浮かべるミレディにアルディアスは話を続ける。

 

「奴の話が本当なら、シュパースはこれまでにも何度もこの世界に顕現し、人類の前にも姿を現している。今回のような世界に対しての戦争も初めてではないと俺は考えている」

 

 奴が一体いつから存在し、世界の絶対敵として君臨しているのかは不明だが、人類に仕掛ける戦争が初めてと断言するのは安易だろう。奴の戦力が未知数な以上、どんな些細な情報でも今は喉から手が出るほど欲していた。

 人の口に戸は立てられない。人類の前に姿を現しているのなら、口伝だけでも何かしらの形跡が残っている可能性も0ではない。

 それに……と続ける。

 

「奴は去り際にこう言っていた。『人類(君達)に幸せが訪れることを私は願っています』……と」

 

「それがどうかしたの?」

 

「その言葉自体は間違いなく本心なのだろう……だがその時の奴の瞳、その奥底に見えた黒い炎……」

 

 その炎にアルディアスは痛いくらい見覚えがあった。幼い頃より戦場の最前線で戦い続けたアルディアスが何度も人間族から向けられてきた感情。見間違える筈が無い。

 

「憎悪の炎」

 

「は? いやいやいや!? シュパースから憎悪!? そいつ、君のことを恨んでるってこと!?」

 

「……いや、俺というよりも人類全体に対してが正しいだろうな。理由は分からんが、奴は人類(俺達)を存続させようとする一方で、滅亡させたいとも思っている」

 

「ええ? もう訳わかんないんだけど……」

 

「これ以上はどれだけ考えようとも憶測の域を出ない。だからこそ情報は少しでも多いほうが良い」

 

 困惑するミレディにアルディアスも同意するが、情報が足りなすぎて結論を導き出すのは不可能だ。

 どうだ? そう問いかけるアルディアスにミレディはうーんと唸りながら記憶を探る。

 

「……そうは言っても、エヒトが自分だけに信仰を集める為に、それ以外の宗教は徹底的に潰してたからね。ぶっちゃけ、アイツ以外を神と崇めるようなもの、所持してるだけで極刑だよ?」

 

「……ああ、そういえば奴は自分の力で神に至ったと思わされていたんだったな。全く……とことん面倒なことをしてくれる」

 

「人類を駒扱いしてた自分がずっと駒扱いされてたなんて間抜けもいいとこだね。まあ、これっぽっちも同情はしないけど」

 

 そう言って「ハッ…!」と鼻で笑うミレディ。散々苦渋を嘗めさせられてきた身としては、少しはため息が下がったようだ。

 

「……………あっ」

 

 すると、突然ミレディが何かを思い出したかのように声を上げる。

 

「どうした?」

 

「あ、いや、えーと……でもこれいいのかな……?」

 

「どんな些細なことでも良い。元々ダメ元なんだ」

 

「うーん……じゃあ、一応伝えておくけど…………絵本なんだよね」

 

「……絵本?」

 

「うん、子供の時、私の実家の書庫の奥から偶然見つけてさ。何となく見てみたんだけど、それがちょっと変わっててさ」

 

「変わってるとは?」

 

「ところどころ字が掠れてて読めないところもあったんだけど……」

 

 

──あるところに一柱の神様がいました。

 神様のちからのおかげで、世界が平和で保たれ、そこに住む人たちからは笑顔が絶えませんでした。

 しかし、一人の女の子は知っていました。

 神様は決して完全な存在では無いことを。

 世界を創り出す力を持っていようとも、文明を築き上げる知識を持っていようとも、神様はとっても寂しい(ヒト)なんだと。

 だから女の子は神様の側に付いていてあげることにしました。女の子がいれば神様は寂しくありません。

 時が経っても、女の子と神様は、娘と父親としていつまでも仲良く暮らしました──

 

 

「──とりあえず覚えてるのはそのくらいかな。ね、変わってるでしょ?」

 

「ああ、確かに」

 

 エヒトに限らず、”神”という存在は総じて神聖で全知全能の存在として語り継がれるのが常だ。人知を超えた存在だからこそ、人々は信仰を捧げ、その奇跡を授かろうとする。

 そんな中で、ミレディの語った絵本はまさに異色の内容だ。どれだけの文献を漁ったとしても、”神”を寂しい存在として語っているものはありはしない。そんなものに人は信仰を捧げない。

 

「……その本の作者は?」

 

「あ、それは覚えてるよ。確か、”ロシーダ”って名前だったと思う」

 

「ロシーダ……」

 

「ん? もしかして知ってる名前?」

 

「……いや、初めて聞く名だ」

 

「ふーん……まあ、内容が変わってるってだけで特にこれと言った有益な情報ではないね」

 

「元よりあれば儲けもの位の認識だ。期待はしていない。話を戻すが、当日はミレディにも助力を願いたい」

 

「頼まれるまでもないよ! その巫山戯たクソ野郎二号に目にもの見せてやろうぞ!!」

 

 両手をぐるぐると回してやる気を出し始めるミレディの様子を見るに、完全にいつもの調子を取り戻したようだ。

「見てろよ〜、ボッコボコにしてやんからな〜」と言いながら、ノッシノッシと部屋の奥に歩いていく後ろ姿に頼もしさを感じつつも、アルディアスは先程のミレディから聞いた絵本の内容が頭を過ぎる。

 

(神様はとっても寂しい(ヒト)……か。奴が語った人類への愛好。そして、確かに感じた憎悪。それに……)

 

人類(君達)()にとって子供のようなものです。親が子を想うのは当たり前でしょう? 私はただ君達の幸せを願っているだけです』

 

 三日前のシュパースの言葉が蘇る。

 

「……父親と娘、ね」

 

「ちょっと、アルディアス君!!」

 

 一人呟くアルディアスだったが、耳に飛び込んできた少女の声で我に返る。

 

「時間無いんでしょ!? 最悪、上の階層まで天井ぶち抜いてもいいから、さっさと持ってく物持って地上に出るよ!!」

 

「迷宮の天井までは構わんが、城まで壊してくれるなよ?」

 

 放っておけば、城ごとぶち抜いて行こうとしかねない様子のミレディに、アルディアスは引っ掛かりを覚える疑問を隅に置き、ミレディの後を追って歩き出した。




>ミレディ、感情のジェットコースター
 突然迷宮が転移したかと思ったら、アルディアスが来て、いよいよ奴が現れたかと思いきや、すでに殺ってた。嬉しさ爆発してたら、エヒトの影に潜んでいた”神”の存在を教えられ、ブチギレる。

>ロシーダ
 近日公開。


 * * *


 余談なのですが、先日、読者の方から直接メッセージを頂きました(そもそもユーザー間でメッセージを送れることすら初めて知った作者)
 その一文にオリ主最強タグについての言及があったのですが、簡単にまとめると、シュパースという存在が居て、オリ主最強タグはどうなのか? というものでしたが、言われてみると、まあ確かに……と自分でも思いました。
 ネタバレになるので今後の展開は言えませんが、少なくとも、あっさりワンパンで終わる、ということにはなりません。
 正直、思いつきで書き始めたものでテロップもありません。今でこそ、完結までの道のりは決まっていますが、オリ主最強タグも軽い気持ちで付けただけに過ぎません。
 そこで、オリ主最強タグを残すか消すかを自分では判断出来ないのでアンケートを取ろうかと思います。特にこの結果が結末に影響するとかそういったことは一切ないので気軽にポチッとして頂けたら幸いです。

アルディアスは最強と名乗ってもいいだろうか?

  • 間違いなく人類最強だから良いでしょ
  • 対等以上の敵がいるならちょっと……
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