数ヶ月前までは旅行でもと思ってましたが、コロナがかなり増えたので、基本は小説書くか、YouTube見るか、サンをブレイクするか、初めて手を出した格ゲーでボコボコにされてる日々でした。
『アルディアス!!』
宙に浮かぶアルディアスにハジメから”念話”が届いた。
「こちらは問題ない。先手は取られたが、作戦に変更はない……やれ」
『ああ! 姫さん!!』
『了解です!!
ハジメの指示を受けたリリアーナの号令により、光学迷彩が解かれ、扇状に戦場を囲い込むように設置されていた巨大な五つの砲塔が姿を現す。
口径900mm、砲身の全長は50mを誇る巨大な砲塔はリリアーナの指示を受けた兵士によって「ゴゴゴッ」と重音を響かせながらその砲門を神の軍勢に向ける。
ハジメにより製造され、特殊なレールを敷くことで各所に設置されたそれは、地球では『列車砲』と呼ばれるものだった。
──魔力充填式稼働砲台 グラン・ドーラ
「砲身安定! 仰角良し! 反動軽減アンカー設置完了! エネルギー充填120%! いけます!!」
司令部にて五つの巨大な砲塔の稼働状況を手元のディスプレイで確認していたアルテナの声が響く。
その声を聞いたリリアーナはすうっと大きく息を吸い込み……
『ッーーー!!!』
その瞬間、リリアーナの号令を掻き消すほどの轟音と共に、五つの砲門から凝縮された魔力の弾丸が撃ち出された。
それも一発だけではない。本来、『列車砲』のような巨大な砲台となると、一発の破壊力に比例して、次弾の装填に多大な時間と人員が必要になるが、魔力というこの世界特有の力を組み込んだ兵器は例外だ。既に戦いが始まる前にこれでもかと溜め込んだ魔力。それを撃ち切るまではこの砲撃が止まることはない。一発が国一つを消し飛ばすほどの威力の弾丸が、まるでマシンガンのように撃ち出されていく。
魔物達はそれぞれ障壁を展開するなどして対処するが、その圧倒的な物量に次々とその体を撃ち抜かれて墜落していく。
「こんなもんじゃねぇぞ?」
その光景を眺めていたハジメは、虚空から取り出したダイヤモンドのような宝珠を掲げてニヤリと笑みを浮かべた。
直後、天より七柱の滅びの光が降り注いだ。
──太陽光収束レーザー パルスヒュベリオン
本来は試作段階の域を出ていなかったそれは、魔人族が保有する魔力技能と錬成技術により改良が重ねられ、ハジメの理想とする完成形へと辿り着いていた。
地上からの攻撃に対処していた者たちは、頭上から降り注ぐレーザーにまたたく間に飲み込まれていく。
上空と地上。
上下から襲いかかる破壊の猛攻に自我の持たない魔物達は次々と消滅していく。
しかし、彼らもただ黙ってやられていくつもりはない。
地上から迫る弾幕は近づくことすら難しいほどの射撃密度だが、上空からのレーザーはいくら強力だろうとも七本のみ。広く展開すれば的は絞られない。
そう判断したシュパースが軍勢を上空に向かわせようとした瞬間、それは目に映った。
鋼の球体。外装に様々な機械が取り付けられているが、一目見ただけではそう判断することしか出来なかった。それが真っ逆さまに落下してきている。
もし、仮にシュパースにハジメ達の世界の知識があったのならば、すぐに気付いただろう。
”爆弾”という、強烈無慈悲な破壊兵器のことを……
「消し飛べ」
ハジメが呟いた瞬間──
ドォオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!
空が紅く爆ぜ、七つの太陽が顕現した。
閃光に遅れて、途轍もない轟音と衝撃が戦場を震わせた。
──臨界エネルギー圧縮専用型宝物庫 ゼラ・ヘリオス
自分の想定よりも早く”パルスヒュベリオン”を完成させたハジメが続いて開発した大型熱量爆弾だ。
元々の計画としては、臨界まで収束させた太陽光を特殊な宝物庫に溜め込み、自壊と共に太陽エネルギーを解放するといったものだったのだが、そこにアルディアスの強化案が飛び込んできた。
太陽エネルギーと同密度、同出力のエネルギーを衝突させれば、威力の更なる向上が見込めるのではないか……と。
その話を聞いたハジメは確かに理屈は通ってるが、そもそも太陽のエネルギーに張り合えるエネルギーに宛などあるのかと問いかけると、アルディアスは黙って自分を指さした。
それを見たハジメの頬が引き攣ったのは言うまでもないだろう。
そのような経緯で開発されたのがこの兵器だ。太陽エネルギーとアルディアスの魔力。二つの異なるエネルギーを圧縮した後、宝物庫に別々で取り込み、それを加速させ、衝突を繰り返すことで生まれる反発力を爆発力に転換する感応式爆弾。
その威力は神の軍勢を容易く呑み込み、危うく連合の兵士までも襲いかかるが、事前に展開した大結界がその衝撃を受け流していく。
とは言え、自分の想定していたよりも莫大な破壊力を見せた新兵器にハジメの背に冷や汗が流れる。
チラリとこの威力の元となった元凶に視線を向けると、「ほぉ」と感心するような表情を浮かべているだけだった。
連合の兵士達ですら、その威力に「ええ?」とドン引きである。
「こ、これこそが我が剣の力! 我らにこそ世界の加護はついています! 今こそ神を驕り、人類を滅ぼさんとする悪神に見せつけてやるのです!! 勝利は我らに約束されている!!」
「「「オ、オオオオオオオオオオオッ!!!」」」
「「「悪神に敗北を!! 我らが女神に勝利を!!」」」
なんとか放心状態から回復した愛子の声に次第に兵士達の士気も高まっていく。
しかし、そんな状況に水を差すようにそれは突然訪れた。
”ゼラ・ヘリオス”による爆炎と黒煙の中から、全方位に向けて魔力の弾丸が飛び出してきた。
それらは適当に放たれたものではなく、正確に地上の”グラン・ドーラ”と上空の”パルスヒュベリオン”を貫いた。
『ッ!?──離れてください!!』
リリアーナの声に砲塔のそばに居た兵士達が慌てて退避を始める。砲門を貫かれ、スパークを起こし始めた『グラン・ドーラ』は一拍の後、大爆発を起こす。
天空に配置された『パルスヒュベリオン』も鉄屑となって地上に落下していく。
「くそったれ、アレはそんなやわじゃねぇぞ!」
当たり前だが、ハジメの開発した両アーティファクトは技術的、魔法的に特別な加工が施されており、ちょっとやそっとじゃ破壊することなんて出来ない。
それこそ、ハジメの持つパイルバンカーですら罅をつけるので精一杯だ。それを遠距離から、それも上空の七門、地上の五門を同時に破壊するなど普通ではない。
「いや、普通じゃないのは最初から分かってたことか……」
ようやく黒煙が晴れ、その姿が顕となる。シュパースを中心に展開された防壁が内部への干渉を一切断ち切っていた。
だが、それを見てもアルディアスは一切動揺した様子を見せない。ハジメには悪いが、あの程度で奴をどうにか出来るとは考えていない。精々、雑兵の頭数を減らせるくらいだろう。肝心なのはここからだ。
「……行きなさい」
シュパースが小さく呟いた瞬間、待ってましたと言わんばかりに魔物達が一斉に地上に向けて突撃を始めた。
それを見て、人間族の指揮官を任されたガハルドが声を張り上げる。
「総員、構え!! 目標上空! 良いか、ここからが正念場だ! ここに居る者一人一人が女神に選ばれた神の子だ! 俺達はこの世界で、女神の元で生き抜く権利がある! それを邪魔する馬鹿共をまとめて討ち滅ぼしてやれ!! 我ら”人”の強さを奴らに見せつけてやれ!!」
「「「ウォオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」」
凄まじい雄叫び共に兵士達が支給されたアーティファクトを構える。
それを横目に魔人族の指揮官フリード。亜人族の指揮官アルフレリック。竜神族の指揮官アドゥルが続く。
「我らも続くぞ!! アルディアス様の覇道を阻む愚か者に教えてやれ! あの御方こそが、この世界を統べるに相応しい存在だと!!」
「今こそ、我ら亜人族を救ってくれたアルディアス殿に報いる時! これ以上同胞が傷つく未来を許してなるものか!!」
「我ら竜人族が迫害を受けた五百年前の屈辱。忘れようはずもない。その元凶たる神が今、目の前にいる。吼えろ同胞よ! 今こそかつての雪辱を果たす時だ!!」
「「「ゆくぞ!!!」」」
「「「オォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」」」
神の軍勢とトータス連合軍が遂に衝突した。
◇
「チッ、キリがねえな」
能面のような表情をした天使を吹き飛ばしたハジメは一向に減る様子を見せない敵の軍勢に辟易していた。
今のところ自分の手に負えないような魔物は現れないが、キリのない状況にウンザリしていた。
(こうなりゃ、ここら一帯ごと吹き飛ばすか? 味方を巻き込まねえように少し離れれば……)
「油断大敵」
一人思考するハジメの耳に幼い少女の声が響いた。その瞬間、背後から気配を消して斬りかかろうとしていた魔物が炎の槍に貫かれて絶命した。
そのことに僅かに目を見開いたハジメのそばに少女──アレーティアが降り立った。
「戦場で考え事は禁物。こいつみたいに隠密に長けた魔物も居る。気をつけて」
「うっ!?……悪い、助かった」
自分よりも幼い少女に助けられ、更に注意が足りないことを指摘されたハジメは、ばつが悪そうに顔を歪めるも、自分の非を認め感謝の言葉を述べる。
そんなハジメの様子に何かを感じ取ったのか、アレーティアはズイッとハジメに近づき、ある事実を告げる。
「私……貴方よりもずっと年上だから。それこそ、フリードとかよりもずっと上」
「……はぁ!?」
衝撃の事実にハジメは驚愕の声を上げる。目の前の少女はどう見ても十代前半の容姿をしている。
それなのに、二十代後半から三十代前半だと思われるフリードよりも年上という事実に、ハジメの脳内に一つのワードが浮かび上がる。
(これが合法ロリ。さすが異世界)
内心で呟いただけのハジメだったが、女の勘が働いたのかアレーティアの目が細まる。そのことにギクリとしたハジメだったが、不幸中の幸いか、アレーティアがそれを追求することは無かった。一体の乱入者によって……
──ズドンッ!!
上空より新たな天使が二人の前に現れた。他の天使と同じように銀髪にドレス甲冑を身に着けた少女の見た目をした天使は何の感情も感じ取れない能面のような表情を二人に向けた。
すぐさまドンナーを向けたハジメだったが──
「私の名はノイント」
「ッ! 驚いたな。どいつもこいつも自我なんてないのかと思ってたが……」
「コレだけ特別仕様?」
既に何体もの天使を屠ったハジメとアレーティアだったが、言葉を発する個体は初めて見た。
まぁ、だからと言って殺すことに変わりはないのだが……
「私の名はノイント……」
「? 今聞いたが……」
「……私達も名乗れってこと?」
「私の名はノイント……ワタシの名はノイント、ワタシのナはノイント、ノイントノインとのいんとのインとのいんとノイントノイントのいンとノイント!! コロスコロスコロスコロス、カミのテキヲコロス!!」
「……なるほど、確かに特別仕様だ。イカれてやがる」
「でも、ちょっと手強そう」
壊れた神の使徒がハジメとアレーティアに襲いかかった。
◇
「おりゃああああ!!」
フルスイングで振られたドリュッケンが巨大なサイクロプスの頭を粉砕する。
「まだまだぁ!!」
そのまま頭を砕かれたサイクロプスを敵の集団に蹴り飛ばす。サイクロプスの巨体に押しつぶされた魔物が動くことが出来ずにいると、その魔物を影が覆った。
「セイッ!!」
高く飛び上がったシアは振り上げたドリュッケンを全力で叩きつけた。魔物だけでなく周囲の地面ごと陥没させるほどの威力に下敷きになっていた魔物は一瞬でその命を刈り取られた。
「ふう、ハジメさんは大丈夫でしょうか?」
軽く一息ついたシアは今はここに居ないハジメのことを想う。言うまでも無いがハジメやシアは普通の兵士に比べ、頭一つどころか二つも三つも飛び抜けている。だからこそ、一箇所に固めるのは得策ではなく、ハジメと別行動を取ることにしていた。
「いえ、ハジメさんは私なんかよりもずっと強いんですからきっと大丈夫です。私は私のやるべきことをやらなくては……」
気合を入れ直し、再び”天啓視”を発動させた。こういった敵味方入り乱れる乱戦では思いもよらない奇襲というものが起こることがある、そのため、可能ならば”天啓視”を発動させておくように言われていたシアは再度それを発動させた。
自分に命の危機が迫った場合は”未来視”が自動で発動するが、”天啓視”と比べれば魔力消費がずっと多い。
しかし、いくら魔力消費が少ないと言っても魔力は決して無限ではない。常時使い続ければ必ずガス欠してしまう。回復手段が無いわけではないが、いざという時のために、抑えられるものは抑えたほうが良い。そのため合間合間に上手く切り替えているのだ。
そして、シアの脳裏に映った光景。それは、自分が圧死する光景だった。
「ッ!?──くっ!」
半ば無意識で全力でその場から離脱する。その瞬間、先程までシアが立っていた地面が突然途轍もない衝撃と共に深く陥没した。それはシアの全力よりも遥かに強力な一撃がもたらしたものだった。
体勢を立て直したシアは全身に神経を張り巡らせつつ、目線をキョロキョロと彷徨わせる。
(居ない?……いや、間違いなくそこに居ます)
シアが睨みつける先には何も居ない。だが、シアは間違いなくそこに何か居ると確信する。
(見えないですし、聞こえないですし、感じられないです……勘弁してくださいよぉ)
見えない脅威がシアに迫る。
>魔力充填式稼働砲台 グラン・ドーラ
原作とは全く違う兵器を出したいと考えた時に、真っ先に思いついたのが『列車砲』でした。魔力を充填することで連射可能な列車砲。正直、そういった類に詳しいわけではないので、細かくツッコまれたら全部魔法で何とかなったって答えます。
>臨界エネルギー圧縮専用型宝物庫 ゼラ・ヘリオス
”太陽光収束専用型宝物庫 ロゼ・ヘリオス”の改良型。ぶっちゃけアルディアスの魔力を混ぜ込んだだけ。でも威力は爆上がり。参考にしたのは今年の劇場版名探偵コ●ンに出てきたカラフルな赤と青の液体を混ぜると爆発する爆弾。
>ノイント
最早ノイントって名の別人と思ってください。
>一般兵の強化
こちらに関しては主に原作通りと思って頂いて大丈夫です。魔人族の手が入ってることで若干の強化が入ってる程度です。