LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

12 / 25
LOVE TAIL、前回までは


ナツ「何でエルザみてーなバケモノがオレ達の力を借りてぇんだよ」

 
グレイ「知らねぇよ、つーか〝助け〟ならオレとコトリで十分なんだよ」


マキ「迷惑だからやめなさいっ!!!!」


ナツ「何の用事か知らねぇが今回はついてってやる。条件付きでな」
 

エルザ「条件?」


グレイ「なるほど、鉄の森はそのララバイで何かしようとしている」
 

コトリ「どうせろくでもない事だから食い止めたい、と」


マキ「やだ...噓でしょ!!?ナツがいないんだけどっ!!!」


第12話 呪歌

オニバス駅を出た列車を追いかける為、ウミとリン、ホノカの3人は空を飛んで追いかける。

 

 

「リン!!急いでください!!」

 

「分かってるにゃ!!」

 

 

ウミはリンに抱えてもらい、ホノカは〈灼爛殲鬼〉の力を使い、空を飛んでいる。

 

 

「見えてきたよ!!」

 

 

ホノカ達の前方に、ナツを乗せた列車が見えてくる。

 

 

「私達が乗っていたのは前方の車両です!!早くナツを降ろしましょう!!」

 

「うん!!」

 

「了解にゃ!!」

 

 

ウミの言葉に、リンとホノカが元気よく答える。

 

 

「なっ!!?」

 

 

しかし、ウミの眼に飛び込んできたのは、ナツの顔に足を乗せているカゲヤマの姿だった。

 

 

『ナツ君!!?』

 

 

ナツが襲われている事に、驚くホノカとリン。

 

 

「ナツに何をしてるんですか!!あなたは!!」

 

 

バリーン!!と窓ガラスを突き破り、ナツを襲っていたカゲヤマにウミは拳を繰り出した。

 

 

「ぐはっ」

 

 

カゲヤマはウミに殴られたことにより、ドアの近くまで吹っ飛んだ。

 

 

「何だ...てめぇ...」

 

 

口の中を切ったのか、口の端から血を流しカゲヤマはウミを睨んだ。

 

 

カゲヤマを殴ったウミは、ナツの前にスタッと格好よく着地した。

 

 

「うぷっ...気持ち悪いです...」

 

 

しかし、乗り物酔いのせいで口元を押えて蹲る。

 

 

「大丈夫!?ウミちゃん!!?」

 

 

ホノカは〈灼爛殲鬼〉を構え、3人の前に出て戦闘態勢をとる。

 

 

その時、キィィィィと音を立て列車が急停止する。

 

 

「止まった..」

 

 

列車が止まった事で、動けるようになったナツとウミ。

 

 

「一体何が...」

 

 

急に列車が止まった事に、不審に思うホノカ。

 

 

「恐らく、エルザ達が何かしたのでしょう」

 

 

列車が止まった理由を、ウミが推測する。

 

 

「ん?」

 

 

その時、ナツはカゲヤマが持っていたであろうバックの中から何かが転げ落ちるのを見た。

 

 

それは、髑髏の装飾がついた笛のようなものだった。

 

 

「み...見たな...」

 

 

カゲヤマは、その笛を見られた事に初めて焦りを見せる。

 

 

「やかましい!!!さっきはよくもやってくれたな!!!!」

 

 

ナツは飛び上がり、カゲヤマに鉄拳を繰り出す。

 

 

「ガードシャドウ!!」

 

 

影を幾つも重ね合わせ、カゲヤマはナツの攻撃をガードする。

 

 

「あの魔法は!!?」

 

 

ウミは見覚えのある魔法に、眼を見開く。

 

 

「ハエパンチ!!」

 

 

意味ありげな事を言うナツ。

 

 

「て....てめぇ~..」

 

 

ナツに殴られた事で、カゲヤマは口からだけだなく鼻からも血を流す。

 

 

「ナツ!!あの男もしかして」

 

「ああ、間違いねぇ。この間ハッピーを襲った連中を連れ去った奴だ」

 

「じゃあ...もしかしてこの男が...」

 

 

そこに、カンカンカンと車内放送が流れる。

 

 

『先ほどの急停車は誤報によるものと確認できました。間もなく発車します、大変ご迷惑をおかけしました』

 

「マズ..」

 

 

車内放送が終わると同時に、ジリリリリっと発車の合図であるベルが鳴った。

 

 

「逃げよ!!!」

 

 

ナツは直ぐに降りる為に、荷台に乗っけてた荷物を取る。

 

 

「逃がすかぁっ!!!鉄の森に手ェ出したんだ!!!ただで済むとは思うなよっ!!!妖精(ハエ)がぁっ!!!!」

 

「やはり、鉄の森の魔導士でしたか」

 

 

鉄の森という言葉に、ウミは自身の推測が当たっていたことを確信する。

 

 

「こっちもてめぇの(ツラ)覚えたぞっ!!!さんざん妖精の尻尾をバカにしやがって」

 

 

カゲヤマに指を指し、宣言しようとするナツだったが。

 

 

ゴトンガタンと音を立て、列車が動き出した。

 

 

「今度は外で勝負してやばる...うぷ」

 

 

列車が動き出した事によって、ナツとウミはまた乗り物酔いで気持ち悪くなる。

 

 

ナツは残っている最後の力を振り絞り、ウミとホノカとリンを抱え列車から脱出しようとする。

 

 

「お前達も一緒に逃げるぞ!!」

 

「待ってナツ君!!あの男は...」

 

 

ホノカが言い終わる前に、ナツはガシャンと窓を破壊し外に出る。

 

 

「とう!!!」

 

 

外に飛び出たナツ達だったが、その近くを列車と並走するように走る魔道四輪車が走っていた。

 

 

魔道四輪車。

 

 

スピードは出るが、運転手の魔力を消費する。

 

 

「ナツ!!ウミ!!ホノカ!!」

 

 

運転していたエルザが、飛び出してきたナツ達に驚く。

 

 

「何で列車から飛んでくるんだよォ!!!」

 

「どーなってんのよ」

 

 

驚くグレイとマキだったが、魔道四輪車の屋根に乗るグレイにナツ達が迫ってくる。

 

 

ゴチ———————ン!!!

 

 

と大きな音を立て、勢いよく2人は頭をぶつけた。

 

 

『ぎゃあああああ!!!!』

 

 

列車から飛び降りた時に後ろに流された勢いと、魔道四輪車のスピードも相まってぶつかった瞬間、思いっきり悲鳴を上げる二人。

 

 

「ナツ!!!無事だったか!!?」

 

 

ゴシャアっと音を立てて、落ちたナツ達をエルザは心配する。

 

 

「痛————っ!!!何しやがるっ!!!!ナツてめぇっ!!!!」

 

「今のショックで記憶喪失になっちまった!!誰だオメェ、くせぇ」

 

「何ィ!!?」

 

 

頭の痛みに耐えながらナツに文句を言うグレイだったが、ナツは記憶喪失になったと言って誤魔化す。

 

 

ウミとホノカもナツ達程ではないが、落ちた衝撃で打った身体を押える。

 

 

「ナツ―ごめんねー」

 

 

魔道四輪車から降りたハッピー達が、ナツ達に駆け寄る。

 

 

「ハッピー!!エルザ!!ルーシィ!!マキ!!コトリ!!ひでぇぞ!!!オレをおいてくなよっ!!!ウミとホノカは助けに来てくれたのによ!!」

 

「すまない」

 

「ごめん♡」

 

「おい....随分都合のいい記憶喪失だな..」

 

 

記憶喪失と言っておいて、自分以外の者達の名前を覚えてる事に指摘するグレイ。

 

 

「無事でなによりだ、よかった」

 

「硬ぇ!!」

 

 

ナツの無事に安堵したエルザは、ナツを自身の胸に抱きよせる。

 

 

しかし、エルザは鎧を着ている為にナツは鎧に装甲にガシャンと顔をぶつけた。

 

 

「たくよっ!!無事なものか!!汽車で変な奴に絡まれたんだ」

 

「変な奴?」

 

「森でハッピー食おうとした奴等を攫った野郎だ。なぁウミ、ホノカ」

 

「そうでした!!エルザ!!今すぐあの列車を追ってください!!」

 

 

ナツに問いかけられ、思い出したようにウミはエルザに詰め寄る。。

 

 

「そうだ!!あの列車に鉄の森の魔導士が乗ってるんだった!!」

 

 

ホノカも思い出したように、そう告げた。

 

 

「何!!?」

 

「あの列車に乗ってたのね」

 

 

ホノカの言葉に、エルザ達は驚く。

 

 

「お前ら何慌ててんだ?」

 

 

話が見えないナツは、首を傾げる。

 

 

「バカモノぉっ!!!!」

 

 

そんなナツに、バチィンとエルザの強烈な平手打ちが決まった。

 

 

「ごあっ」

 

 

エルザに引っ叩かれた事によって、ナツは数メートル先まで吹っ飛んだ。

 

 

「鉄の森は私達が追っている者だ!!!なぜみすみす見逃した!!!」

 

「そんな話初めて聞いたぞ......」

 

 

ナツは叩かれた頬を押えながら、頭に疑問符を浮かべる。

 

 

「さっき説明したろ!!なぜ私の話をちゃんと聞いていないっ!!!」

 

「それって...あんたが気絶させたからじゃ...色んな意味で凄い人...」

 

 

理不尽に怒られるナツを見ながら、マキはボソッと呟いて指摘する。

 

 

「だろ?」

 

「それがエルザです」

 

 

マキの呟きに、グレイとリンも同意する。

 

 

「さっきの列車に乗っているのだな、今すぐ追うぞ!!!どんな特徴していた?」

 

 

エルザの質問に、ナツはカゲヤマの事を思い出しながら答える。

 

 

「あんまり特徴なかったなぁ、なんかドクロっぽい笛持ってた。三つ目があるドクロだ」

 

「何だそりゃ、趣味悪い奴だな」

 

 

その話を聞いたルーシィは、体を震わせる。

 

 

「三つ目のドクロの笛..」

 

「どうしたのよルーシィ」

 

 

ルーシィの様子が可笑しい事に気付いたマキは、ルーシィに話しかける。

 

 

「ううん..まさかね.....あんなの作り話よ......でも....もしもその笛が呪歌だとしたら..子守歌(ララバイ)..眠り....死....!!!」

 

 

色々と推測していたルーシィだったが、そこである事に気付いた。

 

 

「その笛がララバイだ!!!!呪歌(ララバイ)....〝死〟の魔法!!!!」

 

「何!?」

 

「呪いの歌?」

 

呪歌(じゅか)の事だね?」

 

「どういうこと?ルーシィ」

 

 

ルーシィの言葉に驚くエルザ達と、何の話をしているか分からずナツとホノカは頭をこんがらがらせる。

 

 

「あたしも本で読んだ事しかないんだけど....禁止されてる魔法の一つに、呪殺ってあるでしょ?」

 

「ああ...その名の通り、対象者を呪い〝死〟を与える黒魔法だ」

 

 

ルーシィの問い掛けに、エルザが答える。

 

 

呪歌(ララバイ)はもっと恐ろしいの」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

クヌギ駅。

 

 

「客も荷物も運転手も全部降ろせ~い、この列車は鉄の森が頂く。逆らう奴は命がねぇ~ぞ」

 

 

列車を襲撃し、荷物と客を降ろす魔導士達。

 

 

「エリゴールさん」

 

「カゲヤマ」

 

 

逃げる客たちに混じって、カゲヤマが列車から降りてくる。

 

 

「この列車で戻るとは聞いていたがこの破壊の跡...何かあったのか?」

 

「その話は後で...まずはこれを」

 

 

そう言って、カゲヤマは懐から呪歌(ララバイ)を取り出した。

 

 

「へへ、何とか封印を解きましたよ」

 

「ホウ...これが..これがあの禁断の魔法、呪歌(ララバイ)か..」

 

『おおっ!!!』

 

「さすがカゲちゃん!!!」

 

「これで計画は完璧になった訳だな!!!!」

 

 

一緒に行動していたカゲヤマの仲間が、大手を叩いて喜ぶ。

 

 

「この笛は元々、〝呪殺〟の為の道具にすぎなかった。しかし、偉大なる黒魔導士ゼレフがさらなる魔笛へと進化させた」

 

 

そう説明するエリゴールは口角を上げ、怪しげな笑みを浮かべる。

 

 

「まったく...恐ろしい物を作ったものだ。この笛の音を聴いた者全てを呪殺する....〝集団呪殺魔法〟呪歌(ララバイ)!!!!始めよう!!!作戦開始だ!!!」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

険しい山道を、猛スピードで駆ける魔道四輪車。

 

 

「飛ばし過ぎだエルザ!!いくらお前でも魔力の消費が半端ねぇぞ!!!」

 

「そんな悠長な事は言っておられん!!!」

 

 

グレイの忠告を聞かず、スピードを落とす事のしないエルザ。

 

 

中のルーシィ達は、吹き飛ばされないように椅子にしがみ付き、乗り物に弱いナツとウミは胸を押え背もたれにもたれかかっていた。

 

 

「集団呪殺魔法だと!!?そんなものがエリゴールの手に渡ったら.....あいつめ、何をするか分からん!!!おのれ!!!奴等の目的は何なんだ!!?」

 

 

エルザはエリゴール達の目的を考察しながら、目的地であるクヌギ駅を目指す。

 




ルーシィ「ミラさん...エルザって怖い人?」


ミラ「ううん、全然そんな事ないわよ」


ルーシィ「本当ですか?良かった~」


ミラ「怒らせると10メートル位吹っ飛ばされたり、首まで地面にめり込まされたりはするけどね」


マキ「それって...充分怖いんですけど!!」


次回!!『死神は二度笑う』


ミラ「大丈夫!!ルーシィもマキもそのうち慣れるわ。昔はナツとかグレイもよく怒られてたし」


『私も怒られる前提!!?』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。