LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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エリゴール「後は任せたぞ、俺は笛を吹きに行く」


エルザ「これ以上、妖精の尻尾を侮辱してみろ。貴様等の明日は約束できんぞ」


カラッカ「ま..間違いねぇっ!!!コイツぁ妖精の尻尾最強の女、妖精女王ティターニアのエルザだっ!!!」


グレイ「ララバイを放送するつもりなら、エリゴールは拡声装置のある部屋にいるハズじゃねぇかっ!!!」


レイユール「オマエ..勘がよすぎるよ。この計画には邪魔だな」


グレイ「やっぱり何か裏があるって事か?まったく....仕事もしねーでなーにしてんだか.....」


第15話 妖精たちは風の中

クローバーの街の地方ギルドマスター連盟、定例会会場。

 

 

「マカロフちゃん、あんたんトコの魔導士ちゃんは元気があっていいわぁ~♡」

 

 

魔導士ギルド『青い天馬(ブルーペガサス)』のマスターボブ、ちなみに男だ。

 

 

「聞いたわよ、どっかの権力者コテンパンにしちゃったとかぁ」

 

 

飲みすぎて酔っぱらっているのか、うひゃひゃひゃと笑いながらマカロフは答える。

 

 

「お———!!!新入りのルーシィじゃな!!!あいつはいいぞぉっ!!!特に乳がいいっ!!!ムチムチボヨヨ~ンじゃ!!!」

 

「きゃ~エッチ~♡」

 

「笑ってる場合か、マカロフよ」

 

「あぁ?」

 

 

そこで、1人の男が話しかけてくる。

 

 

魔導士ギルド『四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)』のマスターゴールドマイン。

 

 

「元気があるのはいいが、てめぇんトコはちぃとやりすぎなんだよ。評議員の中じゃ、いつか妖精の尻尾が町1コ潰すんじゃねえかって、懸念してる奴もいるらしいぞ」

 

「うひょひょ、潰されてみたいのう!!!ルーシィのボディで~」

 

「もう♡ダメよ!!自分のトコの魔導士ちゃんに手ぇ出しちゃ」

 

 

その時、マカロフに手紙を持った1羽の小鳥が近づいてきた。

 

 

「マスターマカロフ、マスターマカロフ、ミラジェーン様からお手紙が届いてます」

 

「ほい、ご苦労」

 

 

マカロフは手紙を受け取ると、妖精の尻尾のマークが入った封蝋印を、円を描くようになぞった。

 

 

すると、手紙から魔方陣が現れ、ミラの姿が映し出される。

 

 

『マスター、定例会ごくろう様です』

 

「どうじゃ!!!こやつがウチの看板娘じゃ!!!め~ん~こ~い~じゃろぉ!!!」

 

「あらま~」

 

「ミラジェーンちゃんか、すっかり大人っぽくなりやがったな」

 

 

マカロフはその場にいる全員に、ミラを自慢げに見せつける。

 

 

『実は、マスターが留守の間とても素敵な事がありました』

 

「ほう」

 

『なんと!!エルザとナツとグレイ、それにウミとホノカとコトリがチームを組んだんです!!!もちろんルーシィとマキ、ハッピーとリンも』

 

「!!!」

 

 

さっきまで上機嫌に飲んでいたマカロフだったが、ミラの話を聞いて一気に酔いが醒め、表情が一変する。

 

 

『ね?素敵でしょ?私が思うに、これって妖精の尻尾最強チームかと思うんです』

 

 

ミラの話が進むに連れ、マカロフは小刻みに震えだし冷や汗もダラダラと流していく。

 

 

『一応報告しておこうと思って、お手紙をしました♡それでは~』

 

 

ミラの話が終わった途端、マカロフはガクッと全身の力が抜け、ぱたっと倒れた。

 

 

「マカロフ!!!」

 

「きゃー!!!」

 

「ど..どうした!?」

 

 

突然マカロフが倒れた事で、その場が騒然となった。

 

 

「あ~らら~♡」

 

「心配が現実になりそうだな、おい」

 

 

事の顛末を見ていたボブは笑い、ゴールドマインは呆れていた。

 

 

——な..なんて事じゃっ!!!奴等なら本当に町一つ潰しかねんっ!!!定例会は今日終わるし明日には帰れるが....それまで何事も起こらずにいてくれぇぇぇっ!!!頼むっ!!!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

「一体中で何が起きてんだ?」

 

「軍隊が突入したけど、まだ戻ってきてねぇぞ」

 

「まさか、テロリスト達にやられちまったのか?」

 

 

オシバナ駅の前には、先程よりも多くの野次馬が集まってざわざわと騒いでいた。

 

 

「それにしても風が強いな..」

 

「見ろ!!誰か出てきた!!」

 

 

その時、野次馬の1人が駅の中からエルザが出てくるのに気づいた。

 

 

「き..君!!さっき強引に中に入った人だね、中の様子はどうなんだね」

 

 

駅員の1人がエルザに質問するが、エルザは質問に答える事無く、駅員から拡声機を奪った。

 

 

『命が惜しい者は、今すぐこの場を離れよ!!!!駅は邪悪なる魔導士どもに占拠されている!!!!そしてその魔導士は、ここにいる人間全てを殺すだけの魔法を放とうとしている!!!!できるだけ遠くへ避難するんだ!!!!』

 

 

シーンと静まる野次馬達だったが、数秒かかってようやく状況を理解する。

 

 

 

 

『わああああああああ』

 

 

 

野次馬達は一目散にと、駅から離れようと逃げ出した。

 

 

「き..君!!!なぜそんなパニックになるような事を!!!」

 

「人が大勢死ぬよりマシだろう」

 

 

慌てる駅員に、エルザは冷静に答えた。

 

 

「君達も早く避難した方が良い、今私が言った事は本当の事だ。もちろん私達は全力でそれを阻止するつもりだが、万が一という可能性もある君達も避難した方がいい」

 

「ひっ」

 

「うああああっ!!」

 

 

エルザの話を聞き終わった駅員達も、野次馬同様逃げ出した。

 

 

——ララバイ....その音色を聴いた者全てを死に至らす禁断の魔法....エリゴールはそれを使い大量殺人を目論んでいる。しかしこれだけ人がいなければララバイを放つ意味があるまい。さて....奴はどう動くか..

 

 

頭の中で考えを纏めるエルザだったが、振り向いた瞬間エルザは我が目を疑った。

 

 

「こ....これは!!?」

 

 

エルザが見たものは、オシバナ駅を包み込むように竜巻が発生していた。

 

 

「こ..こんな事が....駅が風に包まれている!!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

エルザが外で野次馬達を逃がしている間、グレイは放送室でレイユールと戦っていた。

 

 

「計画の邪魔をする奴は、全て殺す」

 

「計画もくそもねぇだろ。ララバイを放送してぇなら、この場所からしかできねぇ。そのララバイを持ったエリゴールがここにいねぇんじゃ、何の為に駅を占拠したのかわかんねぇぞ」

 

「はぁぁぁぁぁ!!!!はぁ!!!!」

 

 

グレイの話も聞かずに、ユリエールは問答無用で攻撃を仕掛ける。

 

 

「おっと」

 

 

グレイはレイユールの攻撃を避けながら、粉々に壊されていく放送機を見る。

 

 

——放送機器を躊躇なく破壊しやがった....!!!!やはりララバイを放送する気はねぇぞこいつ等!!!

 

 

「俺のウルミンからは、逃げられねぇ!!」

 

 

言葉通り、グレイが避けたレイユールの紐は軌道を変えてグレイに襲い掛かる。

 

 

その状況にグレイは慌てる事無く、魔法を発動させる。

 

 

グレイが左の掌の上に右の拳を置いた途端、グレイから冷気が放出する。

 

 

グレイの前に、水色の魔方陣が展開される。

 

 

「アイスメイク!!(シールド)!!」

 

 

八方に広がる花のような形状の盾を、グレイは氷で造り出した。

 

 

レイユールの紐は、氷を貫通するほど威力が無かった為に全て弾き飛ばされてしまう。

 

 

「氷の魔法かっ!!?」

 

 

攻撃が防がれた事に驚くレイユールに、グレイのとは違う冷気が襲った。

 

 

「離れて!!グレイ君!!」

 

 

突如響いたその声に反応し、グレイは上へ飛んだ。

 

 

レイユールの後ろに、氷結傀儡に乗ったコトリに気づいたからだ。

 

 

耳をつんざく不快な高音と共に、口にあたる部分から、青い光線のようなものを吐き出す。

 

 

その光線が床に当たり、レイユールの足ごと凍らせる。

 

 

「あ、足がっ!!?」

 

「ナイスだ!!コトリ!!」

 

 

着地したグレイは、反撃させる余裕を与えず魔法を発動する。

 

 

「アイスメイク!!(ナックル)!!」

 

 

コトリが作った床の氷の形を変え、グレイは氷で作った拳でレイユールを殴り飛ばす。

 

 

「ぐわぁぁぁぁっ!!!」

 

 

殴り飛ばされたレイユールは、壁を貫通し隣の部屋まで吹っ飛ばされる。

 

 

「てめェ等の本当の目的は何だ?」

 

「スピーカーで、ララバイを放送するつもりじゃなかったの?」

 

 

コトリも放送室の惨状を見て、レイユールを問い詰める。

 

 

「ふっふっふ、そろそろエリゴールさんの魔風壁が発動している頃だ」

 

「魔風壁?」

 

「貴様等をここから逃がさねぇ為の風のバリアさ」

 

「何!!?」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

オシバナ駅が風に包まれているのに驚いているエルザの後ろに、エリゴールが現れる。

 

 

「ん?なぜ妖精(ハエ)が外に1匹..そうか..ヤジ馬どもを逃がしたのはてめぇか女王様よォ」

 

「エリゴール!!!貴様がこれを!?」

 

「てめぇとは一度戦ってみたかったんだがな....残念だ。今は相手をしてるヒマがねぇ」

 

 

そう言うとエリゴールの手が紫色に光ると、エルザに突風が襲った。

 

 

腕を交差して防ぐエルザだったが、後ろに吹っ飛ばされ風の中へと入ってしまう。

 

 

「エリゴール!!!」

 

 

エルザは風に向かって走り、脱出しようとする。

 

 

「あぐっ」

 

 

しかし、中に入れた時とは違い、風に弾かれ腕を痛めてしまう。

 

 

「やめておけ..この魔風壁は外から中への一方通行だ。中から出ようとすれば風が体を切り刻む。鳥籠ならぬ妖精(ハエ)籠ってところか、...にしてはちとデケェがな。ははっ」

 

「これは一体、何のマネだ!!?」

 

「てめぇ等のせいでだいぶ時間を無駄にしちまった。俺はこれで失礼させてもらうよ」

 

「待て!!!どこへ行くつもりだ!!?エリゴール!!!話は終わっていないぞっ!!!」

 

 

エルザは尚も叫び続けるが、もう既にエリゴールの姿は無かった。

 

 

「一体....どうなっているんだ..この駅が標的じゃないのか!?」

 

 

エルザは悔しそうに、血だらけになった拳を握った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

グレイはレイユールの胸倉を掴み、壁に叩きつける。

 

 

「ややこしい話は(キレ)ェなんだ、何がどうなってやがる」

 

「計画に想定外の妖精(ハエ)が飛んで来た、だから閉じ込めたってだけの話さ。本来、この駅を占拠する目的はこの先の終点クローバー駅との交通を遮断する為だ」

 

「何!?」

 

「あの町は大渓谷の向こうにあり、この路線以外の交通手段はない。エリゴールさんのように、空でも飛べれば別だがな」

 

「ララバイはそっちねっ!!?」

 

 

 

そこでようやく、コトリにもエリゴール達の目的が分かった。

 

 

「クローバーには何があるか、よーく思い出してみるんだなっ!!!」

 

 

そう言うと、レイユールは袖の下に隠していた紐でグレイを攻撃する。

 

 

「隙あり!!」

 

 

至近距離で攻撃を食らったグレイは、まともに攻撃を食らってしまった。

 

 

「グレイ君!!?」

 

 

グレイが油断して攻撃を受けた事に、コトリは動揺する。

 

 

「ま....まさか..!!そんな..!!!クローバー.........あの町は......じーさんどもが定例会をしてる町だ!!!!本当の狙いはギルドマスターかぁっ!!!!」

 

 

「ははははははっ!!!ようやく気付いたか!!!もう手遅れだけどな!!!」

 

 

グレイ達が気づいた事に、レイユールは笑い声をあげる。

 

 

「強力な魔法を持ったじーさんども相手に、思い切った事するじゃねーの」

 

「何も知らねぇじじい相手に、笛を聴かせるなんて造作もねぇさ。エリゴールさんならきっとやってくれる」

 

「ぐおっ」

 

 

レイユールはグレイを紐で拘束し、身動きを取れなくさせる。

 

 

「そして、邪魔するてめぇ等はこの駅から出られない。もう誰にも止められないって事だ!!今まで虐げられてきた報復をするのだっ!!!すべて消えてなくなるぞォ!!!!」

 

「グレイ君!!」

 

 

グレイを助けようとコトリが動こうとした、その時だった。

 

 

「うぅぅぅおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

グレイの体から、尋常じゃない程の冷気が放出された。

 

 

「えっ!?」

 

 

その冷気はたちまち、レイユールの紐を凍てつかせる。

 

 

自身を拘束する全ての紐が凍り付かされ、破壊することで脱出するグレイ。

 

 

「止めてやるよ」

 

「え!?へあっ!!?」

 

 

そしてその冷気は、徐々にレイユールの身体をも凍らせる。

 

 

「そして、オレ達の〝(マスター)〟を狙った事を後悔しやがれ。あんな爺さん共でも、俺達の親みたいなもんだ!!!」

 

「うっ...」

 

 

恐怖するレイユールの顔を、グレイが鷲掴みにする。

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞコトリ」

 

「うん」

 

 

そう言って、グレイ達は放送室を後にする。

 

 

「闇ギルドよりおっかねぇギルドがあるって事を、思い知らせてやる!!!!」

 

 

グレイ達が出ていく放送室には、完全に氷漬けにされたレイユールだけが残されていた。

 




ルーシィ「格好良かったな~エルザの鎧姿!!」


マキ「妖精女王と呼ばれるだけはあるわね」


ミラ「他にも、100種類以上あるらしいわよ」


ルーシィ「私も正義のヒーローみたいな格好いい鎧が欲しいな~はぁ~」


マキ「あんたには似合わなそうだけどね」


ミラ「でも...ルーシィ達にはもっと似合う服があるじゃない」


ルーシィ「え?」


マキ「何ですか?」


次回!!カゲヤマを捕まえろ!!


ミラ「皆が一度は憧れるアレよ」


マキ「制服か何かですか?」


ミラ「そうそう!!この間のメイド服とか...」


『そのネタはもういいです!!』



どうもナツ・ドラグニルです!!


20日に投稿するのを忘れてしまい、申し訳ございません!!


楽しみにしていただいた読者の皆様、申し訳ございません!!


リアルが忙しく、パソコンを起動するが出来ませんでした...


なので、本来なら1話だけ投稿していますが本日だけ2話投稿させていただきます。


まぁ、LOVE TAILを2話ではなく、他の作品と合わせての2話ですが...


これからも応援の程、宜しくお願いいたします。

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