LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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グレイ「鉄の森の本当の標的はこの先の町だ!!!」


エルザ「そういえば、鉄の森の中にカゲと呼ばれてた奴がいた筈だ!!!奴は確かたった一人で呪歌の封印を解除した!!!」


コトリ「それなら魔風壁も!!!」


ビアード「聞いてただろ?カゲが狙われている、行けよ」


カラッカ「か..かんべんしてくれ!!オレには助太刀なんて無理だっ!!!」


ビアード「もっと簡単な仕事だよ....」


第17話 乙女の魔法

「カゲ!!!しっかりしろ!!!オイ!!!おまえの力が必要なんだ!!!」

 

 

エルザが必死で呼びかけるが、カゲヤマはぐったりと倒れて何の反応もしない。

 

 

「マジかよ!!!くそっ!!!」

 

「あ..うあ..ああ..」

 

 

何もできず悔しがるグレイと、自分で手を掛けたにも拘らず恐怖するカラッカ。

 

 

「魔風壁を解けるのは、おまえしかいないんだ!!!死ぬな!!!」

 

 

必死に、カゲヤマを起こそうとするエルザ。

 

 

「仲間じゃ......ねぇのかよ..同じギルドの仲間じゃねぇのかよ!!!!」

 

 

ナツの怒りの炎に、その場にいる全員が驚きでナツを見る。

 

 

「ひっひいいっ!!!」

 

 

ナツの事が怖くなったのか、カラッカは壁の中へと逃げる。

 

 

「このヤロォオッ!!!」

 

 

ナツはエルザ達の上を飛び越え、カラッカが逃げた壁に思いっきり拳を叩きつける。

 

 

「あぎゃあ!!!」

 

 

壁を破壊したナツの拳は、カラッカへと直撃した。

 

 

「それがお前たちのギルドなのかっ!!!!」

 

 

敵であるにも関わらず、仲間に手を出したカラッカに怒りの鉄拳を喰らわせた。

 

 

「カゲ!!!しっかりしないか!!!」

 

「エルザちゃん.....もうだめだよ......意識がない」

 

 

エルザが尚もカゲヤマを起こそうとするが、コトリがそれを止める。

 

 

「死なすわけにはいかん!!やってもらう!!」

 

「やってもらうたって、こんな状態じゃ魔法は使えねぇぞ!!!」

 

「やってもらわねばならないんだ!!!」

 

 

そんな時、ようやくルーシィ達が合流した。

 

 

「えっと...お...お邪魔だったかしら...」

 

『あい』

 

 

カゲヤマが倒れ、それを起こそうとするエルザとグレイとコトリ。

 

 

壁が崩壊し、その前に立っているナツ。

 

 

そして、その4人から離れて立つウミとホノカ。

 

 

全然状況が掴めず、そう呟いたルーシィ。

 

 

「一体何が起こったの?」

 

 

状況が掴めなかったマキは、近くのウミに近づく。

 

 

「それが...私にも何が何だか...」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

クローバー大峡谷。

 

 

地の底へ繋がっているとされる深い谷。

 

 

それを跨ぐ線路以外、ここを超えていく手段はない。

 

 

「ギルドマスターの集まるクローバーの町......近いな。魔風壁で使った魔力もほぼ回復した事だし、とばすか」

 

 

線路の上で休憩していたエリゴールは、魔法を使って空を飛ぶ。

 

 

「我らの仕事と権利を奪った老いぼれどもめ、待っていやがれ」

 

 

そう言うと、エリゴールは後ろに魔方陣を展開させ、物凄いスピードでクローバーの町を目指す。

 

 

「呪歌の音色で全員殺してやる!!!!死神の粛清だ!!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「え!?エリゴールの狙いは....定例会なの!!?」

 

「なっ!!?じっちゃんが!!?」

 

 

事情を聴かされたルーシィとナツは、驚きで声を上げる。

 

 

「クローバーへの唯一の移動手段は寸断し、エリゴールは空から向かった」

 

「魔道四輪車で追いつけなくもない」

 

「だけど、この魔風壁をどうにかしないと、駅の外には出れないの」

 

「そんな...」

 

 

エルザ、グレイ、コトリの説明に、マキは言葉を失った。

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

ナツが拳に炎を纏わせ、ホノカが灼爛殲鬼を構えて魔風壁に攻撃をする。

 

 

少し均衡する2人だったが、すぐに弾かれてしまう。

 

 

「ぎゃああああっ!!!」

 

「きゃああああっ!!!」

 

 

ナツは血だらけの拳を押さえて、地面を転がる。

 

 

ホノカは灼爛殲鬼のお陰で怪我はないが、衝撃で腕が痺れていた。

 

 

「な?外に出ようとすれとこれだ」

 

 

グレイはのたうち回るナツを見ながら、冷静に説明する。

 

 

「あわわ...」

 

 

そんな様子を、マキは口を押える。

 

 

「カゲ..頼む....力を貸してくれ....」

 

「くそぉおおっ!!!」

 

 

ナツは諦める事無く、もう一度突っ込む。

 

 

「こんなモン!!!つきやぶってやるぁっ!!!」

 

 

しかし、バチィィィと激しい電撃の音と共に、ナツは弾かれ吹っ飛ばされてしまう。

 

 

『ナツ!!』

 

「ナツ君!!」

 

 

心配するウミ達が、ナツに駆け寄る。

 

 

「バカヤロウ....力じゃどうにもなんねぇんだよ」

 

「急がなきゃマズいよっ!!!アンタの魔法で凍らせたり出来ないの?」

 

 

グレイに問いかけるマキだったが、目を離したすきにまたナツが魔風壁へと近づく。

 

 

「できたらとっくにやってるよ」

 

 

ぶっきらぼうに答えるグレイ。

 

 

「ぬぁあああっ!!!」

 

 

体当たりして、突き破ろうとするナツ。

 

 

「ナツ君!!?」

 

「ナツ!!!やめてください!!!バラバラになってしまいます!!!」

 

 

ホノカとウミが止めようとするが、ナツは一向に止まろうとしなかった。

 

 

「やめなさいって!!!」

 

 

見ていられなかったのか、ルーシィが羽交い絞めにしてナツを魔風壁から遠ざける。

 

 

「くそっ!!!どうすればいいんだ!!!」

 

 

どうする事も出来ず、うなだれるエルザ。

 

 

「くそ......ん?」

 

 

そこで、ナツがじーっとルーシィの顔を見つめる。

 

 

「な...何よ!!」

 

 

至近距離で見つめられたルーシィは、顔を赤くする。

 

 

「あ————っ!!」

 

 

突如、ナツが大声を上げて驚くルーシィ。

 

 

「そうだ星霊!!!」

 

「え?」

 

「エバルーの屋敷で星霊界を通って、場所移動できただろ」

 

 

ナツはエバルーの屋敷で、ロビーから下水道まで星霊界を通って移動した時の方法を提案する。

 

 

「いや....普通は人間が入ると死んじゃうんだけどね..息が出来なくて。それに(ゲート)は星霊魔導士が要る場所でしか開けないのよ」

 

「は?」

 

 

ルーシィが説明するが、ナツは意味が解らず疑問符を浮かべる。

 

 

そんなナツに、ルーシィはもっと分かりやすく説明する。

 

 

「つまり星霊界を通ってここを出たいとしたら、最低でも駅の外に星霊魔導士が1人いなきゃ不可能なのよ」

 

「ややこしいな、いいから早くやれよ」

 

「できないって言ってるでしょ!!!」

 

 

全く理解してないナツに、ルーシィは更に説明を続ける。

 

 

「もう一つ言えば、人間が星霊界に入る事自体が重大な契約違反!!!あの時はエバルーの鍵だからよかったけどね」

 

「うん......意味分かんねぇ」

 

「エバルーの...........鍵......」

 

 

そこで今まで話を聞いていたハッピーが、エバルーの鍵という言葉に引っ掛かりを感じる。

 

 

「あ—————————————っ!!!!」

 

 

先程のナツよりも大きな声で叫ぶハッピーに、その場にいた全員が驚く。

 

 

「ルーシィ!!思い出したよっ!!!」

 

「な..何が?」

 

「来る時言ってた事だよぉ!!!」

 

 

そこでルーシィは、ハッピーの言おうとしている事が分かった。

 

 

「あぁ...私が変とか変とかってあれ?」

 

 

するとハッピーは、背中の風呂敷を地面に降ろし、ごそごそと漁り始めた。

 

 

「これ」

 

 

そう言ってハッピーが取り出したのは、エバルーが持っていたはずのバルゴの鍵だった。

 

 

「それは..バルゴの鍵!!?」

 

 

驚いたルーシィは、ハッピーの口をムギュウウウウと掴んだ。

 

 

「ダメじゃないっ!!!勝手に持ってきちゃ———!!!」

 

「違うよ、バルゴ本人がルーシィへって」

 

「ええ!!?」

 

 

驚くルーシィに、グレイは悪態をつく。

 

 

「たくっ...こんな時にくだんない話してんじゃねぇよ」

 

「バルゴ....?」

 

「エバルーの所にいたメイドゴリラよ。忘れたの?」

 

 

バルゴを忘れているホノカに、説明するマキ。

 

 

「何の話だ?」

 

「さぁ...」

 

 

バルゴの事を知らないエルザとコトリは、何の話か分からなかった。

 

 

「エバルーが逮捕されたから、契約が解除になったんだって。それで今度はルーシィと契約したいってオイラん家訪ねてきたんだ」

 

「あれが....来たのね..」

 

 

事の顛末を聞いたルーシィは、あのメイドゴリラが訪ねてきたことに恐怖する。

 

 

「嬉しい申し出だけど、今はそれどころじゃないでしょ!?脱出方法を考えないと!!」

 

「でも...」

 

 

食い下がろうとするハッピーの顔を、ルーシィはムギュウっと横に引っ張った。

 

 

「うるさいっ!!!ネコは黙ってにゃーにゃー言ってなさい!!!」

 

 

その様子を見たグレイは、ルーシィに恐怖する。

 

 

「こいつも時々怖いな...」

 

「意外と強いんだぜ」

 

 

顔を引っ張られたハッピーは、涙を浮かべながら床に手を付いた。

 

 

「だって...バルゴは地面に潜れるし..魔風壁の下を通って出られるかなって思ったんだ」

 

「何!!?」

 

「本当!!?」

 

「マジかよ!!?」

 

『えっと?』

 

『あっ!!そっか!!』

 

「その手がありました!!!」

 

 

ルーシィは、ハッピーを抱き上げて、アハハ、エヘヘと笑い出す。

 

 

「やるじゃないハッピー!!!もう!!!何でそれを早く言わないのよぉ!!!」

 

「ルーシィがつねったから」

 

 

ルーシィがそう言うと、ハッピーは恨みを持った口調と態度でルーシィに訴えた。

 

 

その言葉に、ルーシィは涙を流して土下座をし始めた。

 

 

「ごめんごめん!!あとで何かお詫びするから!!しますから!!させて頂きます!!だから鍵を貸して~」

 

「あい!!あとでお詫び宜しくね!!」

 

 

その様子を見ていたナツとグレイは、ルーシィの掌の返しように引いていた。

 

 

皆が見守る中、ルーシィはバルゴの鍵を前に突き出した。

 

 

「我....星霊界との道をつなぐ者。汝.....その呼びかけに応え、(ゲート)をくぐれ!!」

 

 

バルゴの鍵を使って、星霊界との(ゲート)を開ける。

 

 

「開け!!!処女宮の扉!!!バルゴ!!!」

 

 

(ゲート)を潜り、出てきたのはゴリラのような筋骨隆々な太った女。

 

 

「お呼びでしょうか?ご主人様」

 

 

......ではなく、線の細い美少女だった。

 

 

「............誰?」

 

 

自分が知っているバルゴとは、まったくの別人が出てきたことにルーシィは驚く。

 

 

「よぉマルコ、激やせしたなおめぇ」

 

「バルゴです。あの時はご迷惑をおかけしました」

 

 

普通に話をしているナツとバルゴに、マキが突っ込みを入れる。

 

 

「いやいやいやいや!!!やせたっていうか別人でしょ!!!」

 

「別人?」

 

 

あった事のないグレイは、首をかしげる。

 

 

「あ..あなたその格好..」

 

 

驚くウミが、バルゴに質問する。

 

 

「私は、御主人さまの忠実なる星霊。御主人様の望む姿にて、仕事をさせていただきます」

 

「前の方が迫力あって強そうだったよ」

 

「そうですか、では...」

 

 

すると、バルゴの身体が光りだした。

 

 

「元の姿に」

 

 

ホノカの余計な一言で、バルゴはメイドゴリラの姿に変わる。

 

 

その姿を見たグレイは、うぁぁぁぁぁぁっと悲鳴を上げる。

 

 

「余計な事言わなくていいの!!瘦せた方でいいから!!」

 

 

するとバルゴの身体が再度光り、先程の美少女へと戻った。

 

 

「承知しました」

 

 

元の姿に戻った事に、ルーシィ達はホッと溜息をつく。

 

 

「とにかく時間がないのっ!!!契約は後回しでいい!?」

 

「かしこまりました、御主人様」

 

「てか、御主人様はやめてよ」

 

 

そう言われたバルゴは、ルーシィが腰に付けている鞭へと視線がいく。

 

 

「では『女王様』と」

 

「却下!!!」

 

「では『姫』と..」

 

「そんなトコかしらね」

 

 

姫と呼ばれ、満更でもないルーシィ。

 

 

「そんなトコなのか」

 

「つーか急げよ」

 

 

ルーシィ達のやり取りに、ナツとグレイが突っ込みを入れる。

 

 

「では!!!いきます!!!」

 

 

バルゴの足元に魔方陣が現れると、そこから地面に穴を掘っていくバルゴ。

 

 

「おお!!!潜った!!!」

 

「いいぞっ!!!ルーシィ」

 

「硬っ!!」

 

 

道が切り開けた事に、喜ぶグレイとエルザ。

 

 

エルザはルーシィを胸に抱き寄せるが、鎧のせいで顔をぶつけた。

 

 

「おし!!!あの穴を通っていくぞ!!!」

 

 

グレイが穴に入ろうとするが、ナツがカゲヤマを担いでいるのに気づいた。

 

 

「何してんだ、ナツ!!」

 

 

敵を運ぼうとしているナツに、グレイが怒鳴った。

 

 

「オレと戦った後に死なれちゃ、後味悪ィんだよ」

 

 

敵にも関わらず助けようとするナツの行動に、エルザやウミ達は笑みを浮かべる。

 

 

そしてバルゴの作った穴を通り、ようやく皆が魔風壁の外に出た。

 

 

「出れたぞ——!!!」

 

 

外に出たエルザ達だったが、魔風壁の影響で物凄い突風が発生していた。

 

 

「先を急ごう!!!」

 

「うわっ」

 

「凄い風!!」

 

 

ルーシィとマキは、風のせいで巻き上がりそうなスカートを押さえながら出てくる。

 

 

「姫!!下着が見えそうです!!」

 

 

バルゴがルーシィの下着が見えないよう抑えるが、自身のスカートがぶあっとめくりあがっていた。

 

 

「自分の隠せば」

 

 

そしてその後ろにいたグレイは、顔を赤くしてその状況をガン見していた。

 

 

「フンっ!!!」

 

「あだっ!!?」

 

 

そんなグレイの後頭部を、コトリが殴った。

 

 

「グレイ君...何をそんなにまじまじと見てるのかな?」

 

 

笑顔にも関わらず、物凄い覇気を纏ってデリカシーのないグレイに、コトリは説教を始める。

 

 

「無理だ....い..今からじゃ追いつけるハズがねぇ....オ....オレ達の勝ちだ..な」

 

 

カゲヤマの言葉に黙る一同だったが、そこでエルザがある事に気づいた。

 

 

「ん?ナツとホノカはどうした!?」

 

 

エルザの言葉で、他の者達もナツとホノカが居ない事に気づいた。

 

 

「あれ?」

 

「ハッピーもいねぇぞ」

 

 

辺りを見渡すが、3人の姿は何処にもなかった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

大渓谷の上を飛ぶエリゴールの目に、1つの町『クローバー』が見えてきた。

 

 

「あの町だ、見えてきた」

 

 

町が見えた事に笑みを浮かべるエリゴールの後ろから、うおおおおおっと、はあああああっっという掛け声が聞こえる。

 

 

「これが....ハッピーの....」

 

「私の....」

 

 

声に気づいたエリゴールが後ろを振り返ると、そこには物凄いスピードで迫ってくるナツとホノカの姿があった。

 

 

『MAXスピードだぁ!!!!』

 

 

ハッピーのスピードを利用したナツの蹴りと、ホノカの灼爛殲鬼での攻撃が命中し、エリゴールは線路の上に墜落する。

 

 

「もう..飛べない......です..」

 

 

線路の上に着地したナツの上に、魔力が切れたハッピーが落ちてくる。

 

 

「ありがとうなっ!!!おかげで追いついたぞ!!!」

 

 

落ちてくるハッピーをキャッチし、労うナツ。

 

 

その横に、ホノカも並び立つ。

 

 

「キ....キサマラ..貴様等は妖精の尻尾の....なぜこんな所に......」

 

「あなたを倒す為だよ!!!!」

 

「そよ風野郎!!!!」

 




ウミ「まったく、あの二人は勝手なことをして...」


リン「でも、幾ら飛ばしてもすぐに追いつくのは無理なんじゃないかな?」


ウミ「いや、ハッピーとホノカが全力で飛ばせばあるいは...」


リン「じゃあ、リン達も急ぐにゃ!!」


次回、『炎と焔と風』


ウミ「早くナツ達を追いかけて、双竜の力を見せつけましょう!!」


リン「あい!!」
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