LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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LOVE TAIL 前回までは


エリゴール「安心しろ、じじい共もすぐにそっちに送ってやる。呪歌の音色でな」


ナツ「何が....呪歌ララバイだ」


ホノカ「おじいちゃんの首が欲しいなら、正々堂々戦え!!!」


ナツ「戦う勇気がねぇなら、手ェ出すんじゃねぇ!!!!」


ハッピー「無理、ナツ達じゃ勝てないよ」


エリゴール「これほどの超熱魔法..!!!!こいつまさか!!!?」


『紅蓮業火焔!!!!!』


第20話 強く生きる為に

「ナツ———!!!」

 

「ホノカ———!!!」

 

 

線路の上を、エルザが運転する魔道四輪が走り、そこから2人の名を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「お!遅かったじゃねぇか」

 

「もう終わっちゃったよ」

 

「あい」

 

 

3人の足元に、ボロボロになり気絶したエリゴールが倒れていた。

 

 

「さすがだな」

 

「ふふ」

 

 

称賛するエルザと、ナツなら勝つと信じていたので笑みを浮かべるウミ。

 

 

「ケッ」

 

ナツがエリゴールを倒したのが気に食わなかったのか、悪態をつくグレイ。

 

 

「そ....そんな!!!エリゴールさんが負けたのか!!?」

 

 

エリゴールが負けた事に、驚くカゲヤマ。

 

 

「エルザ大丈夫?」

 

「あ..ああ気にするな」

 

 

降りる際に、エルザに肩を貸すマキ。

 

 

「こんなの相手に苦戦しやがって、妖精の尻尾の格が下がるぜ」

 

「苦戦?どこがだ!?」

 

「そうだよ!!圧勝だったよ!!ねぇ?ハッピー」

 

「微妙なトコです」

 

 

そこでグレイが、ナツの格好に突っ込みを入れる。

 

 

「つかよ、おまえ..裸にマフラーって変態みてーだぞ」

 

「お前が言うか...」

 

 

ナツの記憶が確かなら、分かれる前のグレイは服をちゃんと着ていた。

 

 

しかし、今のグレイはいつ脱いだのか上半身裸だった。

 

 

「ルーシィ、服貸してくれ」

 

「何であたしなの!!?」

 

「じゃあ、マキ...」

 

「貸すわけないでしょ!!てか、じゃあって何よ、じゃあって!!!」

 

「ふふふ」

 

 

そのやり取りを見て、笑うコトリ。

 

 

「何はともあれ見事だ、ナツ、ホノカ。これでマスター達は守られた」

 

 

事件が解決した事に、全員が笑みを浮かぶ。

 

 

「ついでです...定例会の会場へ行き、笛の処分についてマスターに指示を仰ぎましょう」

 

「クローバーはすぐそこにゃ!!」

 

 

ウミの提案に、リンが賛同する。

 

 

しかし...

 

 

ドゴオォォ!!!

 

 

大きな音を立て、いきなり魔道四輪が急発進する。

 

 

「カゲ!!」

 

「危ねーなァ、動かすならそう言えよ!!」

 

 

驚くエルザと、危うく轢かれそうになったグレイは文句を叫ぶ。

 

 

「油断したな、ハエ共」

 

 

しかし、帰ってきたのはナツ達を罵倒する言葉だった。

 

 

「笛は..ララバイはここだ———!!!ざまあみろ———!!!」

 

 

そう叫ぶカゲヤマの手には、いつの間にかララバイが握られていた。

 

 

「はっははははは!!!」

 

 

カゲヤマの笑い声が響き、取り残されたナツ達は呆然とする。

 

 

「あんのヤロォォォ!!!!」

 

「何なのよ!!!助けてあげたのに———!!!」

 

「追うぞ!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

クローバーの町、定例会会場。

 

 

「はぁはっはぁ」

 

 

急いで飛ばしたせいか、少し息が荒いカゲヤマが定例会会場の裏側に姿を現す。

 

 

——よし....定例会はまだ終わってないみたいだな

 

 

窓からマスター達のものであろう影が見えるので、まだ終わってないと判断するカゲヤマ。

 

 

——この距離なら、十分にララバイの音色が届く。ふふふ....ついにこの時が来たんだ.....

 

 

その時、カゲヤマの肩が誰かによってポンと叩かれる。

 

 

いきなりの事でビクッと、肩をはねるカゲヤマ。

 

 

そろお...と振り向くカゲヤマだったが、相手の人差し指がカゲヤマの頬にむぎゅうと刺さる。

 

 

「ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

「なっ」

 

 

驚くカゲヤマが見たのは、大笑いするマスター・マカロフの姿だった。

 

 

「ゲホッ!!ゲホッ!!!」

 

「.........」

 

 

笑いすぎたせいでむせてしまったマカロフに、呆れるカゲヤマ。

 

 

「いかんいかん、こんな事してる場合じゃなかった。急いであ奴等の行き先を調べねば......町が消えかねん!!」

 

 

ぶるぶると震え、何かに恐怖する。

 

 

「おまえさんもはよぉ帰れ、病院に」

 

 

——待てよ......こいつ..妖精の尻尾のマカロフじゃねぇか!!つくづく妖精に縁がある一日だな

 

 

「あ....あの....」

 

「ん?」

 

 

立ち去ろうとするマカロフを、引き留めるカゲヤマ。

 

 

「一曲..聴いていきませんか?病院は楽器が禁止されてるもので....」

 

「むう?」

 

 

ララバイを取り出して一曲吹こうとするカゲヤマに、訝しむマカロフ。

 

 

「誰かに聴いてほしいんです」

 

「気持ち悪い笛じゃのう」

 

「見た目はともかく、良い音が出るんですよ」

 

 

少し考えた後、マカロフは口を開いた。

 

 

「急いどるんじゃ、一曲だけじゃぞ」

 

「えぇ」

 

 

マカロフの言葉に、カゲヤマは内心で笑った。

 

 

——勝った!!!

 

 

「よぉく聞いててくださいね」

 

 

カゲヤマはララバイを吹くために、吹き口に口を近づける。

 

 

——正規のギルドはどこもくだらねぇな!!

 

——能力が低いくせに、イキがるんじゃねえっての!!

 

——これはオレ達を暗い闇へと閉じ込め....生活を奪いやがった魔法界への復讐なのだ!!!

 

 

その時、カゲヤマはレイユールとカラッカ、それにエリゴールの言葉を思い出す。

 

 

今まさに、ララバイを吹こうとしたその時...

 

 

——そんな事したって、権利は戻ってこないよっ!!!

 

 

コトリの言葉を思い出し、躊躇するカゲヤマ。

 

 

——もう少し前を向いて生きろよ、お前ら全員さ

 

 

グレイの言葉を思い出し、ドクンドクンと激しく脈打つ心臓の音が聞こえる。

 

 

——カゲ!!!おまえの力が必要なんだ!!!

 

——同じギルドの仲間じゃねえのかよ!!!

 

 

だらだらと大量の汗を掻き、吹き口から口を離してしまうカゲヤマ。

 

 

 

 

 

「いた!!!」

 

「じっちゃん!!!」

 

「おじいちゃん!!!」

 

『マスター!!!』

 

 

ちょうどその頃、カゲヤマを追って来たナツ達が到着していた。

 

 

「しっ」

 

 

しかし、1人の男?がナツ達の行く手を遮る。

 

 

『どわぁぁぁぁっ!!!?』

 

 

突如現れたオカマの大男に、驚くナツ達。

 

 

「今良いトコなんだから見てなさい♡」

 

 

すると、マスター・ボブはナツとグレイに近づく。

 

 

「てか、あんたたちかわいいわね。チョータイプ!!」

 

『ヒイ!!?』

 

 

いきなりの事でお互いに身を寄せ合い、悲鳴を上げるナツとグレイ。

 

 

「な..何この人!?」

 

「マスター・ボブ!?」

 

 

ルーシィの質問に、エルザが答える。

 

 

「あらエルザちゃん、大きくなったわね」

 

「この人が、あの青い天馬(ブルーペガサス)のマスター!!?」

 

 

大男の正体に、マキは大声を上げて驚く。

 

 

「どうした?早くせんか」

 

 

急かすマカロフだったが、カゲヤマは一向に動こうとしなかった。

 

 

「いけない!!!」

 

 

今にも吹きそうなカゲヤマを、エルザが止めに入ろうとする。

 

 

「だから黙ってなって、面白ぇトコなんだからよ」

 

四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の!!?」

 

「マスター・ゴールドマイン」

 

 

エルザを止めに入った男性を知っていたマキとウミは、その名前を叫ぶ。

 

 

「さあ」

 

「....!!!」

 

 

更に催促されたカゲヤマは、等々吹き口に口をつけた。

 

 

——吹けば....吹けばいいだけだ。すれで全てが変わる!!!

 

 

「何も変わらんよ」

 

 

そのマカロフの言葉に、カゲヤマは目を見開く。

 

 

「弱い人間は、いつまでたっても弱いまま。しかし、弱さの全てが悪ではない」

 

 

マカロフの言葉を、止めに入ろうとしていたナツ達も黙って聞いていた。

 

 

「もともと人間なんて弱い生き物じゃ、1人じゃ不安だからギルドがある、仲間がいる」

 

 

今度こそカゲヤマは、言葉を失ってしまう。

 

 

「強く生きる為に、寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶつかるし、遠回りもするかもしれん」

 

 

そしてそれを、会場の中から外の様子に気づき、見ているマスター達もいた。

 

 

「しかし、明日を信じて踏み出せばおのずと力は湧いてくる。強く生きようと笑っていける、そんな笛に頼らずともな」

 

 

カゲヤマは理解する、何も分かっていないと思っていたのは自分の方だったと。

 

 

——さすがだ....すべてお見通しだったか....

 

 

そして、カゲヤマの手からララバイが零れ落ち、地面に転がる。

 

 

カゲヤマは膝から崩れ落ち、そのまま頭を下げる。

 

 

「参りました」

 

 

自身の敗北を認め、降参するカゲヤマ。

 

 

『マスター!!!』

 

「じっちゃん!!!」

 

「おじいちゃん!!!」

 

「じーさん!!!」

 

 

マカロフの言葉に感動し、駆け寄るナツ達。

 

 

「ぬぉおぉっ!!?なぜお主等がここに!!?」

 

 

定例会会場にナツ達がいる事に、驚くマカロフ。

 

 

「流石です!!!今の言葉、目頭が熱くなりました!!!」

 

「硬っ!!!」

 

 

感動してマカロフを抱き寄せるエルザだったが、鎧を着てる為にマカロフは顔を思いっきり強打する。

 

 

「一件落着だな」

 

「そうだね」

 

 

事件が解決した事に、喜びあうグレイとコトリ。

 

 

「じっちゃんスゲェなァ」

 

「そう思うならペチペチせんでくれい」

 

 

マカロフの言葉が響いたのか、ナツはマカロフを褒める。

 

 

しかし、その間も頭をペチペチと叩くことにマカロフは突っ込む。

 

 

『かかか...どいつもこいつも根性のねぇ魔導士どもだ』

 

 

突如、ララバイが喋りだし、怪しい煙が口から大量に出てくる。

 

 

「何かでたにゃ!!?」

 

 

いきなりの事で、驚くリン。

 

 

『もうガマンできん、ワシが自ら喰らってやろう』

 

「笛がしゃべったわよっ!!ハッピー!!!」

 

「あの煙....形になっていく!!!」

 

 

笛が喋りだした事に、驚くルーシィ。

 

 

そしてハッピーの言う通り、煙が徐々に何かを形作っていく。

 

 

そして、ララバイから出た煙が結集することで木の巨人が姿を現した。

 

 

『貴様等の魂をな....』

 

「な!!!」

 

『怪物————!!!』

 

 

突如として巨人が現れた事に、驚くナツ達。

 




グレイ「とんでもねぇのが出てきたな」


コトリ「まさかララバイからあんなのが出てくるなんて...」


グレイ「.........」


コトリ「グレイ君、大丈夫?」


グレイ「なんでもねぇ、ちょっと昔を思い出しただけだ」


コトリ「そっか...」


グレイ「あんな奴、俺が倒してやる」


コトリ「それは違うよグレイ君、俺じゃなくて『俺達』でしょ?」


次回!!『最強チーム』


グレイ「ふっ、そうだったな。俺達妖精の尻尾に喧嘩売ったら、どうなるか教えてやるぜ」
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