ナツ「何でてめぇと一緒なんだよ!!」
グレイ「じゃあ来んなよ!!」
エルザ「2人の力を貸してほしい」
グレイ「鉄の森?」
エルザ「奴らの企みを食い止めるんだ」
ルーシィ「ナツ――!!」
ナツ「うわぁぁぁぁ!!!」
ルーシィ「呪いの笛、ララバイ!!」
エルザ「マスターが危ない!!」
ルーシィ「これがララバイの正体!?」
ウミ「セイクリッド・クリエイトウォーター!!」
コトリ「カースド・クリスタルプリズン!!」
ホノカ「エクスプロージョン!!」
ルーシィ「やりすぎよぉ!!!」
1人のカウボーイ風の男が、地面に付いた足跡を調べる。
「この跡...間違いないな...もうこの道を通って2日は経ってる」
「とっくにマグノリアに着いてて良い頃よね、何かあったのかしら?」
「うん...」
同じくカウガール風の女の言葉に、男は考える。
「取り敢えず、報告に戻るか」
「追わないの?」
男の言葉に、女は驚く。
2人はダチョウのような魔法生物に乗り、元来た道を戻る。
この女『ビスカ・ムーラン』、この男『アルザック・コネビ』。
2人共、妖精の尻尾の魔導士だ。
ギルドに戻ってきた2人は、ミラに報告する。
「そう...困ったわね。評議会からの通達が来てるのに」
「私は追うつもりだったんだけど」
「いや、駄目だよ。クローバー大峡谷のあの先、熟練のハンターギルドの狩人ですら一度迷うと2度と出られない」
「大自然の迷宮か...何であんなところへ」
「何か理由があるのね、マスターが一緒だから大事ないと思うんだけど」
☆★☆★☆★
「あー!!もう!!ちょっとハッピー!!あんたまた迷ったでしょ!!?」
「そうよ!!歩いても歩いてもマグノリアの街に着かないじゃないの!!!」
「この方向音痴ネコ!!!」
ここは、太古の地震によって無数の断層が走る通称『蜘蛛の巣谷』。
先の話の通り、ここに迷い込んで帰ってこなかった者が数多くいるという。
「またって失礼しちゃうな、この間は迷わなかったよ。今回が初めてなんだ」
ルーシィとマキの言葉に、ハッピーは抗議する。
「初めてでもなんでも、迷ったのには違いないじゃない!!」
迷ったことに、ルーシィが突っ込みを入れる。
「はぁー腹減ったなぁ」
「ゆうな、余計腹減るだろうが」
「減ったもんはしょうがないだろ!!」
「減った減った言うんじゃねぇ」
いつも通り、ナツとグレイが言い争いを始める。
「確かに、減ったのぉ~」
『だから!!』
マカロフの一言に、ナツとグレイは揃って声を上げる。
「よせ」
そんな2人を、エルザが止める。
グ~~~~~!!!
しかし、そこでエルザのお腹が大きな音を立てる。
「今グーって鳴ったよね、グーって」
「鳴ってない、空耳だ」
ホノカの指摘に、エルザは頑なに認めなかった。
「す、凄い言い訳だね」
エルザの言い訳に、コトリは呆れる。
「わぁぁぁぁ!!!」
「あぁぁぁぁ!!!」
その時、ハッピーとリンが何かを見つけて目を輝かせる。
「何騒いでんだよ」
「どうしたのですか?リン」
騒ぐ相棒たちに、問いかけるナツとウミ。
「ナツ!!あれ見て!!」
「あれを見るにゃ!!ウミちゃん!!」
ハッピー達が指差す方を見ると、そこにはがけ下を羽の生えた魚が飛んでいた。
「幻の珍味、羽根魚だ!!」
「あれ滅茶苦茶美味しんだにゃ!!」
空腹な状態で好物の魚が目の前にある事に、ハッピー達は興奮状態になっていた。
「幻の珍味」
「羽根魚...」
「旨そうだな」
ハッピーとリンの肩に手を置き、涙を流すマカロフ。
「でかしたハッピー、リン。よぉく見つけたのぉ」
グー、グゥゥと、お腹を鳴らすマカロフ。
「みんなお腹空き過ぎです」
そう言うマキのお腹からも、グーっと音が鳴る。
「そういうマキちゃんもね」
「あい...」
マキのお腹の音を、コトリが指摘する。
「よーし釣るぞー!!」
「頑張るにゃー!!」
ナツ達は釣竿を持ち、横一列に並んで釣りを始める。
「くそぉ...こいつら釣れそうで釣れないな」
「釣りは忍耐が必要なんです、釣れるまでの辛抱です」
悪態突くナツに、ウミが窘める。
「おいら頑張るぞー!!」
「負けないにゃー!!」
その中でも、ハッピーとリンが一番気合入っていた。
「何か余り美味しそうに見えないんだけど...」
「黙って釣れ、この際食えれば良い」
「おぉ!!そんなに腹減り!!」
ルーシィの呟きにエルザが指摘し、思ったよりエルザがお腹空いている事にマキは驚く。
「羽根魚食べたいぞー!!美味しいぞー!!」
「幻の珍味だにゃー!!」
しばらくして......
『飽きてきました』
釣竿を地面に置き、そう言うハッピーとリン。
『意思弱っ!!!』
ハッピー達が直ぐに飽きた事に、ルーシィとマキが突っ込みを入れる。
「だって全然釣れないんだもん」
「つまらないにゃ」
「お腹空いてるんでしょ?」
「だったら頑張らないと」
「そうよ、諦めないで」
詰まらなそうに俯くハッピー達に、優しい言葉を掛けるルーシィとマキ。
そして、顔を上げるハッピーとリン。
「ルーシィの意地悪ぅ!!!」
「マキちゃんが酷い事言うにゃー!!!」
涙を流しながら、2人の元から走り去るハッピーとリン。
「えぇぇぇぇぇ!!?」
「励ましたんですけどぉ!!?」
ハッピー達の思わぬ言葉に、2人共口をあんぐりと開けて驚愕する。
しばらくして、9人と2匹もいながら釣れた羽根魚はたったの2匹だった。
「難しいのね」
「結局2匹だけでしたね」
釣った2匹の羽根魚は、ナツの炎によって一瞬で焼き魚へと変わった。
「ハッピーとリンが食えよ」
「でも...おいら達だけじゃ...」
「そうだにゃ...」
遠慮する2匹の背中を、グレイとマカロフが押す。
「そんなのちょびっとづつ分けて食ったら、余計腹が減るわ」
「遠慮するな、食え!!食え!!」
「そう!!」
「じゃあ頂きまーす!!」
頭から羽根魚をかぶりつく2匹の後ろで、ナツ達は物惜しそうに見つめる。
「こんな魚を美味しそうに食べられるなんて、あんた等本当に幸せね」
ルーシィがそう言った、次の瞬間。
『不味っ!!』
ハッピーとリンは、同じタイミングで顔をしかめる。
『不味いんかい!!』
思わず、突っ込みがかぶってしまうルーシィとマキ。
「それにしても...」
「腹が...」
「減ったのぉ...」
鳴るお腹を押さえながら、歩き続けるナツ達。
しばらく歩いていたナツ達の目の前に、1つの村が見えてきた。
「村だ!!」
「家だ!!」
「だったら多分!!」
「食いもんだー!!」
ご飯にありつけると、ナツ達は走り出す。
村に着いたナツ達だったが、村には人の気配がない事に困惑する。
「誰もいないぞ」
「何か静かな村ね」
誰もいない事に、訝しむグレイとルーシィ。
「昼寝でもしてんじゃねぇのか?」
「おーい!!誰かいませんかー!!」
ナツは軽く考え、ホノカが呼びかける。
「お腹減り減りです~!!」
「誰かご飯くださいにゃー!!」
「そこの腹減りネコ共、露骨過ぎだから!!」
欲望に忠実な呼び声に、ルーシィが突っ込みを入れる。
「本当に昼寝か?」
「さもなきゃ、村中酔っぱらって寝てるかのぅ」
「それは、妖精の尻尾ですから」
「ははぁ!!そうともいうのぅ」
そんな話をしている間も、人が出てくる気配は無かった。
「ええい、面倒くせい!!力ずくでも何か食ってやる!!」
「おおい!!そりゃちょっとした強盗だろ」
「そうだよ!!そんな事したらいけないよ!!」
「って、お前らもそのつもりだろうが!!」
走り出したナツに、グレイとホノカが止めに入るが、顔は笑っておりナツに同乗するき満々だった。
「おーい、誰かいないか!?」
「何か食べさせてください!!お願いします!!」
ナツとホノカが一つの一軒家の扉を叩き、返事を待つが一向に出てくる気配は無かった。
ナツが扉を叩いていると、鍵が掛かっていなかったのかそのまま扉が開いた。
ナツ達が中を覗くと、テーブルの上に幾つものパンとバター、そしてスープが置かれていた。
「やっぱ誰もいないな」
「とにかく食いもんだ」
そう言って、ナツはテーブルの上に置いてあるパンを1つ手に取り、匂いを嗅いだ。
「よっしゃまだ食える!!」
「本当!!?」
ナツの安全確認を途端、ホノカもパンを1つ手に取った。
『いっただきまー』
「待ってください」
食べようとするナツ達を、ウミが待ったを掛ける。
「なんだよ!!」
「様子が可笑しいです」
「うん、スープに湯気が立ってるし、さっきまでご飯を食べてたみたい」
ウミの言葉に、コトリが同意する。
「この家の連中、何処に消えたんだ?」
グレイも怪しく思い、辺りを見渡す。
「知るかよ、取り敢えず食おうぜハッピー、ホノカ」
「うん」
「あい」
自分には関係ないとばかりに、パンを食べようとする。
『あー...』
「待て!!」
『は、はい!!』
今度はエルザが止め、その気迫にナツ達は直ぐに食べるのをやめた。
「先に村の様子を調べる必要がある、今まで我慢してたんだもう少し我慢」
しろと言いかけた所で、エルザのお腹がグ~と派手に鳴った。
一回だけでなく、グー、ぐ~と何回も鳴っていた。
「エルザ、お腹鳴りすぎ...」
「説得力ゼロね」
エルザの腹減り具合に、ルーシィとマキは呆れる。
「ナツ達はキノコかなんか探してこい、村の食べ物には触るな。私とマスターは、その間村の中を調べる」
指示するエルザだが、尚も腹は鳴り続ける。
「あ~あ、分かったよ。行くぞハッピー」
「私達も行きましょう」
ナツ達は、キノコが生えているであろう森を目指す。
「何故にキノコ?」
ルーシィは他にも木の実とか採れる物があるにも関わらず、キノコを指定した意味が解らなかった。
☆★☆★☆★
森に入ったナツ達は、早速キノコを見つける。
しかし、どれも明らかに毒キノコだと分かる物ばかりだった。
その事に、頭を抱えるルーシィ、マキ、ウミの三人。
「せっかく旨そうな食い物があったのによ~」
「そうだよ、キノコ何かじゃお腹膨れないよ!!」
そこで、ナツ達もキノコを見つける。
「あっ」
「キノコだ」
「あった!!美味しそう!!」
「何故にキノコ!?」
毒があるかもしれないのに、なぜキノコを選んだのかまだ納得していないルーシィ。
「オイラ知ってるよ」
「何?」
「ナツとホノカがワライダケ見たいな毒キノコ食べちゃうんだ、お約束なんだ!!」
「ハッピー...洒落にならない事言わないでください...」
ハッピーの言葉に、ウミはまたも頭を抱える。
「何言ってんだハッピー」
「そうだよ失礼しちゃうな~」
『流石にそんなベタな事』
「しねぇよ」
「しないよ」
そう言って振り返る2人の口には、大量の毒キノコが銜えられていた。
「ナツ!!?何を食べてるんですか!!?」
「早くペッしなさい!!」
慌てて止めに入る、ウミとマキ。
☆★☆★☆★
村を調べていたマカロフは、ある1つの一軒家の中に居た。
そのマカロフの前には、旨そうな鍋があった。
マカロフは一緒に置いてあった卵を器の中に割って入れ、よくかき混ぜていた。
しかし、後ろに圧を飛ばすエルザの存在に気づき、手を止めた。
「マスター...」
「いやちゃう!!調べようとしただけじゃ!!」
☆★☆★☆★
「たかがキノコでも、こんだけ食えば腹は膨れそうだな」
「そうだね!!」
ウミ達が止めたにも関わらず、食べ続けたナツ達の腕には大量のキノコが抱えられていた。
「これはフリなんだにゃ」
そう言って、リンもハッピーと一緒にフリと書かれた看板を手に持つ。
「良いから早く取れ」
「あ、あはは...」
グレイも同じようにキノコを食べている事に、コトリも苦笑いを浮かべる。
『うっ!!うぅぅぅぅ!!!』
同じタイミングで、ナツとホノカが苦しみだし、真っ青な顔で喉を押さえる。
「ナツ!!?」
「ホノカ!!?」
「大丈夫ですか!!?」
突然の事に、驚く3人。
「ほら!!」
「来たにゃ!!」
すると、ナツとホノカの頭からそこそこ大きいピンク色とオレンジのキノコが生える。
『ビックリした!!』
『こっちもビックリ!!』
ナツの頭に突如キノコが生えた事に、ルーシィ達は驚く。
「ワライダケじゃないのか...」
「がっかりだにゃ...」
「落ち込むとこなの?」
予想していたオチではない事に、ハッピー達は落ち込み、その事にマキが突っ込む。
「なーに騒いでんだよ」
グレイがコトリを連れて戻ってくるが、そのグレイの頭にも青い大きなキノコが生えていた。
「2人共、頭、頭」
『あ?』
ルーシィが指摘すると、ナツとグレイはお互いの頭を見る。
『あ————!!!』
大声を上げ、お互いの頭を指差す。
「あはははは、何だてめぇそのキノコ!!」
「てめぇこそふざけたキノコ乗っけやがって!!」
「な~んで自分の心配はしな~い」
自分の心配はせず、相手を馬鹿にするナツ達にルーシィは呆れる。
「って...」
そこで、いつものやり取りが始まった。
「オイ垂れ目、今笑いやがったな?」
「てめぇも阿保面でにやけてただろうがよ」
いつものように、取っ組み合いの喧嘩が始まった。
「頭にキノコ乗せて喧嘩しなーい!!」
「それくらいでやめてください、間抜けすぎますよ」
呆れながら止めようとするウミに、自分の背よりも大きいキノコをリンが持ってくる。
「ウミちゃん!!特大の見つけたにゃ!!!」
「え?うわ本当ですね!!」
その大きさに、ウミは驚く。
「でも...それちょっと怪しくない?」
リンが持ってきた特大キノコを、コトリが怪しむ。
「どれどれ?おぉーデケェ!!!」
「これ一個で2日は持ちそうだな」
「あんた達は頭のキノコ何とかしたら?」
呆れながらルーシィがそう言うと、何の躊躇なくハッピーとリンがキノコにパクっとかぶりついた。
「ちょっとリン!!?駄目じゃないですか!!」
「そうよハッピー!!毒かもしれないのよ!!早くぺっしなさい!!ぺっ!!」
『でも、美味しいよ』
するとさっきの既視感か、急にハッピーとリンが喉を押さえだした。
すると、ハッピー達の頭からもキノコが生えた。
『ギャー!!!』
ハッピー達の頭からもキノコが生えた事に、ルーシィ、マキ、ウミの三人が悲鳴を上げる。
「結局、どれ食ってもこうなるんじゃないか?」
「村の連中、どうやって食ってたんだ?」
「もしかしたら、皆こうなんじゃないの?」
「村の名前はキノコ村だったりしてね、あは...あはははははは...」
「あははは.....」
「あは...あはははは」
ハッピー達を励まそうとするナツとグレイに続いて、ホノカとコトリも話に乗っかる。
『二度目は寒い
そう言って、ハッピー達は泣きながら皆の前から走り去ろうとする。
『そういう問題じゃないでしょう』
的の外れた事を言うハッピー達に、ルーシィ達は指摘する。
そこでマキは、ある事に気づいた。
「ちょっと待って!!あんたのキノコ成長してない!!?」
マキの言う通り、ナツの頭のキノコが更に増えており、その1つが一回り成長していた。
「って!!ホノカのキノコも成長してますよ!!?」
ホノカのキノコも、更に一回り大きくなっていた。
「ずるいよ!!ナツ達ばっかり美味しい所!!!」
☆★☆★☆★
「どうでしたか?」
「やはり誰もおらん、この村は廃村じゃ」
「というよりは、つい最近まで人が暮らしていた形跡が...」
そこでエルザは、足元にある不自然な溝に気づいた。
「この線はなんだ?」
溝を辿ってみると、一直線に伸びていた。
「たんなる石の隙間ではありませんね、明らかに意図的に彫られている」
エルザ達は溝を辿ると、その溝は他にも存在していた。
「ここには別の線が...」
「うーむ...」
その時、突如として獣のうめき声が聞こえてきた。
「何だ?」
エルザはいつでも動けるように、身構えた。
☆★☆★☆★
そのうめき声は、ナツ達にも聞こえた。
「な、何!?」
驚くルーシィだったが、立て続けに驚くことが起こった。
「あっ!!?」
突如として、ナツ達の頭のキノコが光りだした。
そしてそのまま、3人の頭からキノコがポロっと取れた。
「うわ!!?」
「キノコが消えたにゃ!!」
キノコが取れた事に驚くハッピー達だが、ハッピー達の頭にはまだキノコが残っていた。
「ハッピー、リン、あんた達だけついてるわよ」
『えぇぇぇぇ!!?』
ルーシィの指摘に、ハッピー達は驚く。
「エルザ!!じっちゃん!!」
エルザ達の身を心配し、ナツ達は駆け出した。
「美味しいけど、これはこれでいやだよ!!」
「何でリン達だけ取れないんだにゃ!!?」
☆★☆★☆★
エルザ達が警戒する中、急に溝が赤く光りだした。
「エルザ!!」
警戒するエルザ達に、ナツ達が合流する。
すると、溝だけでなく地面までも光りだした。
「気を付けろ、ハッピー」
「あい」
「何が起こるか分かりません、私から離れてはいけませんよリン」
「分かったにゃ」
赤く光りだしたのは地面だけでなく、辺りの建物までもが光りだした。
「ヴェ!!?」
そして、ぐにゃぐにゃと建物が歪みだした事にマキが驚きの声を上げる。
「な、なんだこりゃ!!?」
「どういう事!!?」
突然の出来事に、動揺するナツとルーシィ。
「オイラ、家が動くのなんて初めて見たよ」
「なんでそこがツボ?」
ルーシィ達がそんな気の抜けた会話をしてる間、マカロフは脈を打つように盛り上がる地面を見ていた。
「これは...」
そこで、グレイが手に冷気を纏って動き出す。
「やるぜ、じいさん」
「待て!!!」
しかし、それをマカロフが止める。
「な、なんでだよ!?」
止められるとは思わなかったグレイは、マカロフを責める様に叫ぶ。
「高い所に登るんじゃ、確かめたい事がある」
「みんな来い、離れるなよ!!」
マカロフの先導の元、崖の上に移動したナツ達が見たのは、先程までの建物が怪物へと変わった姿だった。
「うひゃぁぁぁぁ!!」
「訳分かんないぞこれ!!」
驚くナツ達を他所に、エルザだけはこの現象の原因に気づいていた。
「マスター、あれは魔方陣では?」
『え?』
「あぁ、お前が見つけたあの幾つもの線は魔方陣の一部じゃ。そしてこの魔方陣は、かつて禁止された封印魔法『アライブ』を発動させる為のものじゃ」
「アライブ?」
聞き覚えの無い魔法に、マキはその魔法を復唱する。
「あれを見い、一目瞭然...本来生命の無いものを生物化して動かす魔法じゃ」
マカロフの説明で、なぜ建物が怪物に変わったか理解し質問するウミ。
「では...この村の人達は、その禁断の魔法を発動させて逆にバケモノ達の餌食になったのですか?」
「恐らくな」
「でも...どうしてそんな危ない事を?」
ルーシィの質問に答えたのは、説明をしたマカロフではなくエルザだった。
「ここは、闇ギルドの村だ」
「何!?」
自分達が立ち寄った村が闇ギルドのものである事実に、ナツは驚愕の声を上げる。
「先程、ある家の納屋を調べていたら、魔法に使用する道具を幾つも見つけた」
「その道具に、ギルドのマークが?」
今まで黙っていたコトリが、そう質問する。
「あぁ、いずれも真面な魔法の物では無かった」
「闇ギルドの事じゃ、良からぬ企みをしてそのせいで自滅したのじゃろう。じゃが!!!」
突如、マカロフが大声を上げた事に全員が驚く。
「これぞ不幸中の幸い」
「じっちゃん、何だよそれ!?」
「何か策でもあるんですか!?」
全員が、マカロフの次の言葉を待つ。
「やつらは生き物じゃと言ったはずじゃ、大抵の生き物は食える!!」
『えー!!』
マカロフの言葉に、ルーシィとマキは声を上げて驚く。
「へっ!!」
「へへっ!!」
「キモイ笑顔で何脱いでんのよ!!?」
いつの間にか服を脱いで、戦う気満々のグレイにルーシィが突っ込みを入れる。
「あぁ?」
キモイと言われ、ガンを飛ばすグレイだったが今までで一番大きい腹の音が鳴った。
「しゃあ!!食うか!!」
「わーい!!ご飯の時間だ!!」
「この際、味がどうのなんて言ってられないな!!」
皆がやる気になっている中、エルザが真っ先に動いた。
「え———!!エルザそんなに腹空きぃ!!?」
誰よりも先にエルザが動いたことに、マキが驚愕する。
「遅れを取るわけには行きません!!」
「私達も行こう!!」
「うん!!」
エルザに続いて、ウミ達も動いた。
「ちょっと!!」
「噓でしょ!!?」
「儂の分も頼んだぞ!!」
怪物の前に対峙する、ナツとホノカ。
「おいてめぇら、俺達を誰だか知ってるか?」
「妖精の尻尾の1、2を争う炎の料理人だよ!!」
「火竜の鉄拳!!」
ナツの炎を纏った拳が、怪物に直撃する。
「まずは火をよーく通して~」
炎で怪物達を、焼いていくホノカ。
「はぁ!!」
すると、ホノカが崖を崩すと怪物たちを下敷きにさせる。
「蓋をして蒸す、しばし待つ」
☆★☆★☆★
「いきなりデザートてのも何だが」
「まぁ、しょうがないよ」
怪物が、目の前にいるグレイとコトリ目掛けて襲い掛かる。
「アイスメイク!!フィッシュネット」
「はぁ!!」
グレイとコトリの氷結傀儡による広範囲の攻撃で、怪物たちが氷漬けになった。
「シャーベット完成」
「いただきます」
☆★☆★☆★
ナツ達が戦って居る中、ハッピーとリンが血まみれの椅子と戦っていた。
ハッピーは釘が刺さった棍棒を片手に、リンは自身の爪で攻撃する。
その様子を、ハラハラした様子のウミが見守っていた。
「羽根魚と椅子とどっちが不味いか微妙だけど」
「えい、えいにゃー!!」
椅子が足で蹴りを放つが、それをハッピーが棍棒で受け止め、その隙をリンが攻撃する。
「私も加勢すべきでしょうか?でも...ハッピーもリンも頑張ってますし、水を差すのは...」
2人を見守るウミは、はじめてのおつかいに向かう子供を心配する親みたいだった。
しかし、3人の攻防はしばらく均衡していたが、椅子が高く跳躍しハッピー達に跳び蹴りを放つ。
「うわぁ!!」
「きゃあ!!」
椅子のキックをジャンプする事で避けたハッピー達だったが、その際に2匹は椅子の上に飛び乗ってしまった。
「うぇぇぇぇ!!」
「えぇぇぇぇ!!」
「ハッピー!?リン!!?」
ハッピー達が連れ去られた事に、驚くウミ。
☆★☆★☆★
怪物と対峙するエルザに、ルーシィとマキが近づく。
『エルザ!!』
「下がっていろ、調理の時間だ」
「調理って...」
「換装!!」
驚くルーシィを他所に、エルザは換装して鎧を変える。
コック帽にエプロン、そしてエプロンのしたに水着という特殊な格好へと換装したエルザ。
その手には、二振りの巨大な包丁が握られていた。
エルザが瞬く間に怪物達を切りつけた瞬間、大量のスティックへと変わった。
「げっ!!?」
「ヴェっ!!?」
一瞬で怪物をスティックに変えた事に、2人は驚く。
「一本の長さが約5cm、幅は4mm各で刻むのがコツだ」
「そんなこだわりまで...」
「ていうか、エルザその格好...」
☆★☆★☆★
崖の上で、ナツ達の戦いを見ながらマカロフは待っていた。
「お腹空いたのぉ~...まだかのぉ~」
ナツは蒸し終わった怪物をホノカと一緒に、ちぎって食べようとする。
『いっただきまーす』
「うわっ!!」
「待ってください!!」
しかしそこに、椅子に乗ったハッピー達が通り過ぎ、その後ろをウミが追いかける。
「何やってんだろう、ハッピー達」
「いくらなんでも椅子は食えねぇだろ」
エルザ達の方でも、怪物を食べようとしていた。
「ルーシィ、マキ、先に食べてみろ」
『嫌です!!』
腕でバツを作り、全力で拒絶する2人。
「しかたないな...」
「それ違うでしょ!?どうして私に先に食べさせようとする!?」
「うにゃ———!!?」
「ハッピー!!リン!!」
文句を言うルーシィ達の後ろを、ハッピー達が通り過ぎる。
「な、何やってるんだろ...」
「自分で何とかするだろう、ウミも一緒みたいだし大丈夫だろう。では...」
エルザは躊躇なく、スティックを食べた。
「ど、どんな味?」
「美味しいの?」
ルーシィ達が質問すると、エルザは何も言わず2人に自分が食べていたスティックを差し出す。
「うっ...じゃあ...」
受け取ったスティックを、ルーシィは2つに分けて片方をマキに渡す。
グレイとコトリも、怪物を食べようとしていた。
「さてと...」
「食べてみようか」
そしてナツ、ホノカ、ルーシィ、マキ、グレイ、コトリは同時に怪物を食べる。
『まぁっずっい—————!!!!』
全員がその不味さに、絶叫を上げる。
「なんだあれ!!じっちゃん!!あんなの食えないぞ!!」
「不味いにも程があるぞ!!」
あまりの不味さに、ナツとグレイはマカロフに文句を言う。
「あぁ、食べられたもんじゃないな」
『私達に食べさせてから言わないでください!!』
エルザの非道な行いに、ルーシィ達は声をそろえて抗議する。
『うわぁぁぁぁぁ!!』
ドッガァァァァアアアアン
ナツ達の後ろに、ハッピー達が突っ込んだ。
「あん?」
ナツが振り向くと、そこには倒れているハッピー達の姿があった。
「ナツ大丈夫ですか?」
「おぉ!!お前もお守ご苦労さん」
そこでようやく、ウミもナツ達に合流した。
『あ!?』
そして次の瞬間、ハッピー達の頭からキノコが取れた。
その事に、2人は声を揃える。
「お前ら、キノコ採れたぞ」
2人のキノコが取れた事に、グレイは喜ぶ。
「そんな事より、どうして誰も止めてくれなかったんだよ!!」
「そうだにゃ!!ウミちゃんも見てただけだったし!!」
誰も助けてくれなかった事に、ハッピー達は喚きだした。
「酷いよナツ!!どうして!!?」
「はぁ?」
「遊んでたんじゃないのか?」
ナツとグレイの言葉に、ハッピー達は口をあんぐりと開けて固まった。
「しかしまいったな、こう不味くては幾ら空腹でも...」
「もともとバケモノ食おうって言うんだからな」
「あーくそ、食えねぇって分かったら本気で腹減ってきた」
ナツ達がそう言いあっていたその時、まだ残っていた怪物の一体がハッピーを襲う。
「うわぁぁぁぁぁっ!!?」
「危ない!!」
ハッピーを襲おうとしている怪物を、ウミが倒した。
「ウミ!!」
助かった事に喜ぶハッピーだったが、怪物はその一体だけでなくナツ達の周りを囲むように他にも現れた。
「不味い奴らめ」
「腹が立つ」
グレイとエルザがイラつく中、ナツとウミが動いた。
「纏めて吹っ飛ばしてやる!!」
「行きますよ!!ナツ!!」
ナツは両腕に炎を、ウミは水を纏う。
「火竜の!!」
「水竜の!!」
『翼撃!!』
「アイスウォール!!」
「〈灼爛殲鬼〉——【抱】」
ナツ達に続いて、グレイとホノカが動く。
「あたしも!!」
ルーシィは、タウロスの鍵を手に取った。
「開け!!金牛宮の扉!!タウロス!!」
扉を潜り、タウロスが現れる。
「相変わらず、ナイスバディですな!!」
目をハートに変え、鼻息を荒くしてルーシィを見つめるタウロス。
「はい、後宜しく」
呆れながら、タウロスに指示するルーシィ。
「では、久々に!!モォォォレェェェツ!!」
タウロスが斧を地面に叩きつけると、衝撃波が地面を走って怪物をバラバラにする。
しかし、ナツ達が幾ら倒しても怪物が減る事は無かった。
「きりがねぇぜ」
すると今度は、地響きが鳴る。
「今度は何?」
突然の地響きに、ルーシィが警戒する。
すると、幾つもの魔方陣が現れ、怪しく輝きだした。
「魔方陣!?」
「なんだこれ!?」
「わあー綺麗!!」
「そうじゃないでしょ!!」
「あんたのツボって、さっきからどうなってるのよ!!」
突如現れた魔方陣に驚くナツとグレイと、的外れな事を言うハッピーにルーシィとマキが突っ込む。
更に魔方陣の輝きが増すと、その魔方陣に怪物達が吸い込まれていく。
そして、ナツ達が足場にしている岩に罅が入った。
「逃げろ!!」
誰よりもいち早く気づいたエルザが叫ぶが、一歩遅くナツ達は魔方陣へと落下する。
『うわぁぁぁぁぁぁっ!!!』
『きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!』
☆★☆★☆★
「あー、腹減った...マジで...」
「オイラも歩けないよ」
「リンもにゃー」
嘆くナツの横で、歩けないと言っておきながら空を飛ぶハッピー達の姿があった。
「だから自慢げに羽根を使うな!!羽根を!!」
わざとらしくナツ達の前を飛ぶ2匹に、文句を言うグレイ。
「マスター」
「んあ?」
「先程の説明では、納得できません」
そう言って、エルザは先程の闇ギルド達とのやり取りを思い出す。
『お前ら、何やってたんだよ』
ナツの質問に、闇ギルドの者が答える。
『魔方陣を作ったら、化け物が現れて...皆、テイクオーバーされちまって...』
『ではお前達は、あの化け物の中に』
『うげ!!あたしちょっと食べちゃった!!?』
自分が食べた化け物の中に人がいた事実に、ルーシィは顔を青くする。
『余所者のあんた達が村に入ってきて、魔方陣が刺激されて動いたんだ』
『もうあの魔方陣が動くことは無い!!』
マカロフがそう言い切った事に、闇ギルドの者達は驚く。
『なんでなの?おじいちゃん』
意味が解らず、質問するホノカ。
『細かい事はどうでも宜しい!!とにかく、テイクオーバ―が解けただけでもありがたいと思う事じゃ!!これにこり、2度と妙な真似をせんと誓うなら評議会への報告は無しにしてやる。どうじゃ!!』
『あんなおっかねぇ目に合うのは、もうごめんだ。すみません』
『2度としません』
マカロフの言葉に、闇ギルドの者達は素直に頭を下げて謝った。
「化け物がやられた事で魔方陣のスイッチが入り、全てを消去しようとした」
先程の事を思い出しながら、エルザは再度マカロフに問いかける。
「でもマスターは、あの一瞬に私達を助け、闇ギルド達のテイクオーバーを解き、そして魔方陣そのものを消滅させた。そうですね?」
「はあてのぉ~」
エルザの質問に、マカロフははぐらかす。
「それにしても...」
『腹減った~!!!』
ナツ達の叫びが重なった、ぐ~と鳴るお腹の音と共に。
ルーシィ「えぇっ!!?ナツとエルザって本当に戦うんですか!?」
ミラ「そうよ、ナツって昔から負けず嫌いだから」
マキ「止めなくていいんですか?」
ミラ「良いのよ、いつもの事だし。それより、ルーシィ達はどっちが勝つと思う?」
ルーシィ「そりゃ...エルザ...あーでもナツにも負けてほしくないし」
マキ「難しい所よね」
次回!!『ナツVSエルザ』
ミラ「ルーシィもマキも、エルザと戦って最強の女魔導士を狙ってみれば?」
『無理です!!』
ルーシィ「あ、でもハッピーには勝てるかも」
はい、如何だったでしょうか?
何とか投稿に間に合って良かった...
今さっき書き終わった所だったので...
今回は、単行本の原作にはないアニメオリジナルの話でした。
アニメだけの話だったおかげか、今回は文字数が長くなりました。
前回でも言いましたが、アニメで話を区切る為に今後はこの文章量で行きます。
それでは次回第23話、もしくは激獣拳使いの幼馴染第4話でお会いしましょう!!