LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

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LOVE TAIL前回までは!!


ロメオ「父ちゃんを助けてよ!!」


ナツ「マカオを返せっ!!!」


マカオ「借りが出来ちまったな」


エルザ「ナツ、グレイ、ホノカ、ウミ、コトリ、五人の力を貸してほしい」


ナツ「付き合ってもいいが、条件がある。帰ってきたら俺と勝負しろ!!」


エルザ「受けてたつ」


ルーシィ・マキ「何でそうなるの~」


ガルナ島編
第23話 ナツVSエルザ


マグノリアにあるルーシィとマキが住む家。

 

 

そこでルーシィは、母親に向けて手紙を書いていた。

 

 

鉄の森による、ギルドマスターの定例会を狙ったテロ事件は、一躍大ニュースとなり国中に知れ渡ったの。

 

 

あんな大事件の中心に自分がいたなんて未だに信じられないけど、あたしはいつもと同じ日常を送ってます。

 

 

たまにあの時の事を思い出して、ドキドキしてるけどね。

 

 

風の噂じゃ、あのカゲって人や鉄の森のメンバーは殆どが捕まっちゃったみたい。

 

 

ま....当たり前か。

 

 

1つ怖いのは、エリゴールだけは捕まってないらしいの。

 

 

妖精の尻尾に復讐とかしに来たらどうしよう!?

 

 

でも大丈夫よね、妖精の尻尾にはナツ・ウミ・ホノカ・グレイ・コトリ・エルザの最強チーム+(ハッピーとリン)とあたしとマキがいるからね♡

 

 

このギルドは最高よ、だからママも心配しないでね、あたしは元気にやってます。

 

 

P.S パパには秘密にしてね。

 

 

書き終えた手紙に封蝋印を押し、作業を終える。

 

 

「ふぅー」

 

「手紙書き終えたの?」

 

「バッチし!!」

 

 

一段落したのを確認し、マキが声を掛ける。

 

 

「ハラハラドキドキの大冒険もいいけど、やっぱりじぶん家はおちつくなァ」

 

「これで家賃7万Jは確かに安いなぁ」

 

 

しかし、そのルーシィの呟きに答えたのはマキではなかった。

 

 

「いいトコ見つかったね、ルーシィちゃん」

 

 

いつの間に入ったのか、ソファでくつろぐことりとパンツ一丁のグレイの姿があった。

 

 

『不法侵入————っ!!!!』

 

 

知らない内にグレイ達が入ってきた事に、ルーシィ達は驚く。

 

 

「しかも人ん家で服脱ぐなー!!!」

 

「ぐほぉ」

 

 

ルーシィの回し蹴りが、グレイに炸裂する。

 

 

「ちょっと待て!!誤解だ!!」

 

「そうだよ!!」

 

 

蹴られたグレイは、ルーシィに慌てて弁明してコトリも弁護する。

 

 

『脱いでから』

 

「来たんだ」

 

「来たんだよ」

 

「帰れ!!!」

 

 

弁明にもなってない言い訳も聞かず、ルーシィは出入り口である扉を指差す。

 

 

「例のアレ(・・)今日だぞ」

 

「そうだよ、忘れてるんじゃないかと思って来たんだよぉ」

 

『アレ?』

 

 

グレイの言うアレが何を言ってるのか分からず、ルーシィ達は首をかしげる。

 

 

「やっぱり忘れてんじゃねーか」

 

「出発前にナツ君が言ってたでしょ?」

 

「ナツとエルザが戦うんだ!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ギルドの前でナツとエルザが対峙し、それを囲う様にギルドメンバー達が集まっている。

 

 

「行けーナツ!!」

 

「ナツー!!」

 

「ちょ....ちょっと!!!本気なの⁉2人共!!」

 

「あれって冗談じゃなかったの!!?」

 

 

群衆を掻き分けて、前に出てくるルーシィとマキ。

 

 

「ルーシィ、ようやく来たのですね」

 

「遅かったね、マキちゃん」

 

 

そこで、ウミ達がルーシィ達が来た事に気づく。

 

 

「本気も本気、本気でやらねば漢では無い!!!」

 

「エルザは女の子よ」

 

「怪物のメスさ」

 

 

ミラとエルフマンのやり取りに、マカオが口を挟む。

 

 

「だって....最強チームの2人が激突したら....」

 

「最強チーム?何だそりゃ」

 

「あんたとナツとエルザじゃない!!!」

 

「それとホノカとウミとコトリ、私達を含めたチームの事よ」

 

「はぁ?」

 

 

ルーシィとマキの言葉に、グレイは鼻で笑った。

 

 

「くだんねぇ!!誰がそんな事言ったんだよ」

 

 

それまで笑顔を絶やす事のないミラだったが、グレイの言葉がショックだったのか手で顔を覆い泣き出してしまう。

 

 

「あ....ミラちゃんだったんだ......」

 

「グレイ君がミラちゃん泣かしたっ!!」

 

「グレイ君最低」

 

 

ミラが泣き出してしまった事にグレイが慌てて、それをホノカとコトリが批判する。

 

 

「確かにナツやグレイの漢気は認めるが....〝最強〟と言われると黙っておけねえな。妖精の尻尾には、まだまだ強者が大勢いるんだ。俺とか!!」

 

 

エルフマンは良い笑顔で、自分の事を指す。

 

 

「最強の女は、エルザで間違いないと思うけどね」

 

「最強の()となると、ミストガンやラクサスもいるしな」

 

あのオヤジ(・・・・・)も、外す訳にはいかねぇな」

 

 

ルーシィ達の話に、チームシャドウギアであるレビィ、ジェット、ドロイも加わる。

 

 

「私はただ、ナツ達が一番相性が良いと思ったのよ」

 

「あれ~?仲が悪いから心配って言ってませんでした?」

 

「いつもエルザがいないところで、2人が喧嘩するからって...」

 

 

前に行っていた事と違う事に、ルーシィとマキは呆れる。

 

 

「なんにせよ、面白い戦いにはなりそうだな」

 

「そうか?オレの予想じゃエルザの圧勝だが」

 

 

エルフマンは良い勝負をすると思ってるが、グレイはナツが瞬殺されると予想する。

 

 

「こうして、おまえとぶつけ合うのは何年ぶりかな.........」

 

「あの時はガキだった!!!今は違うぞ!!!今日こそおまえに勝つ!!!」

 

「私も本気でいかせてもらうぞ、久しぶりに自分の力を試したい」

 

 

エルザはそう言うと、鎧を換装させる。

 

 

「すべてをぶつけて来い!!!」

 

 

その鎧は翼がある赤い鎧で、エルザの髪型もツインテールとなっている。

 

 

炎帝の鎧!!!耐火能力の鎧だ!!!」

 

「これじゃ、ナツの炎が半減されちまう!!!」

 

「エルザ!!!そりゃあ本気すぎだぜ!!!」

 

 

周りの声を聴いたハッピーは、背負っている風呂敷からお札を取り出した。

 

 

「やっぱりエルザにかけていい?」

 

「何て愛のないネコなの!!!」

 

 

炎帝の鎧に換装した事で、ナツに勝ち目ないと悟って賭けの対象をナツからエルザに乗り換えるハッピー。

 

 

その事に、怒鳴るマキ。

 

 

「あたしこーゆーのダメ!!どっちも負けてほしくないもん!!」

 

「意外と純情なんだね」

 

 

ルーシィの発言に、コトリが苦笑いをする。

 

 

「ナツ君大丈夫かな?」

 

 

ナツが劣勢になった事に、ホノカが心配する。

 

 

「大丈夫ですよ、ホノカ。ナツはこの程度では諦めません」

 

 

ウミは、ナツを信じて成り行きを見守っていた。

 

 

「炎帝の鎧かぁ....そうこなくっちゃ、これで心おきなく全力が出せるぞ!!!」

 

 

ウミの言う通り、ナツは諦めていなかった。

 

 

「始めいっ!!!」

 

「マスター......」

 

 

マカロフが合図するが、マスターまでも乗り気な事にマキは呆れる。

 

 

「だりゃっ!!!!」

 

 

拳に炎を纏わせて殴るナツだが、それをバックステップで避けるエルザ。

 

 

お返しとばかりに剣を横薙ぎするが、伏せた事でその攻撃を避ける。

 

 

「おらぁっ!!」

 

 

直ぐ様蹴りを放つが、エルザには片手で防がれてしまう。

 

 

エルザがもう一度横薙ぎするが、それをナツは後転することで避ける。

 

 

逆立ちした状態でいるナツを、支えている腕を蹴る事で支えを失くすことで態勢を崩す。

 

 

態勢を崩された事で、ナツは口からブレスを吐く。

 

 

しかし、そのブレスはエルザの横を通り過ぎ、野次馬達に当たる。

 

 

「あちち」

 

「こらナツ!!てめぇ!!!」

 

 

ナツの攻撃に、文句をいう。

 

 

「すごい!!!」

 

 

ナツとエルザの戦いに、ルーシィが驚く。

 

 

「な?いい勝負してるだろ?」

 

「どこが」

 

 

エルフマンの言葉に、認めなくなかったのかグレイはそっけなく答える。

 

 

ナツとエルザの攻撃が交差しようとした、その時。

 

 

 

 

 

パァン!!

 

 

 

 

 

突如として、柏手を打つ音が響いて2人は動きを止める。

 

 

「そこまでだ」

 

 

ギルドメンバーの間をすり抜け、1匹のカエルが現れた。

 

 

「全員その場を動くな、私は評議員の使者である」

 

「評議員!!?」

 

「使者だって!!?」

 

「何でこんな所に!!?」

 

 

評議員の使者が現れた事に、驚くシャドウギア。

 

 

「あのビジュアルについてはスルーなのね....」

 

 

使者がカエルな事に、誰も指摘しない事を気にするマキ。

 

 

「先日の鉄の森テロ事件において、器物損壊罪、他11件の罪の容疑で......エルザ・スカーレットを逮捕する」

 

「え?」

 

「何だとぉおぉっ!!!?」

 

 

使者の言葉に、エルザは言葉を失い、ナツが絶叫する。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

エルザが使者によって連行された後のギルドでは、殆ど物が机に突っ伏している。

 

 

いつもの騒がしいギルドとは打って変わって、静まり返っていた。

 

 

「出せっ!!!俺をここから出せぇっ!!!」

 

 

しかし、そんな中でもいつもと同じように騒がしい人物がいた。

 

 

「ナツ....うるさいわよ」

 

 

ミラが注意したのは、逆さまになったコップの中にいる赤いトカゲだった。

 

 

「出せ—————っ!!!」

 

「出したら暴れるでしょ?」

 

「暴れねぇよ!!!つーか元に戻せよっ!!!」

 

 

コップに閉じ込められているのは、トカゲの姿に変えられたナツだった。

 

 

「そしたらナツは『助けに行く!!』って言うでしょ?」

 

「言わねぇよ!!!誰がエルザなんかっ!!!」

 

 

ナツとミラの話に、グレイが口を挟む。

 

 

「今回ばかりは相手が評議員じゃ、手の打ちようがねぇ....」

 

 

グレイは、ナツに諦める様に言い聞かせる。

 

 

「出せ————っ!!!俺は一言言ってやるんだ———っ!!!評議員だがなんだか知らねぇが、間違ってんのはあっちだろ!!!」

 

「白くても、評議員が黒って言えば黒になるんだよ」

 

「コトリの言う通りだ、ウチらの言い分なんか聞くモンか」

 

 

しかし、納得いっていないのはナツだけでは無かった。

 

 

「でも...ナツ君の言う通りだよ、今まで数々やってきた事が何で今回にかぎって」

 

「えぇ....理解に苦しみます」

 

 

ホノカの発言に、ウミも賛同する。

 

 

「絶対....絶対何か裏があるんだわ」

 

 

今回の裁判に、思惑があると疑うルーシィ。

 

 

「それにしても、まさかウミが率先してナツを閉じ込めるなんてな」

 

「確かにな、ウミはナツには甘いからな」

 

 

グレイに、エルフマンも同調する。

 

 

「ふふふ、そうですね」

 

 

意味深なウミの笑みに、グレイ達は首を傾げる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ここは、評議院のフィオーレ支部。

 

 

エルザはここで裁かれるというのだが......さて。

 

 

使者に連れられ、廊下を歩くエルザだが誰かが待ち構えている事に気づいた。

 

 

そこにいたのは青髪に、右目に入れ墨を入れた青年だった。

 

 

「ジークレイン」

 

「久しぶりだな....エルザ」

 

 

その男の出現に、エルザは身構え、使者は膝まづく。

 

 

「そう身構えるな、これは思念体だ。俺の〝体〟はERAにある」

 

 

その言葉と共に、ジークレインの体がブッとぶれる。

 

 

「あの扉の向こうにいるじじいどもも全員思念体さ、こんな小せェ案件でわざわざ出向くわけないだろう」

 

 

そこでようやく、エルザは今回の裁判の意図に気づいた。

 

 

「そうか....これは貴様の仕業だったのか、くだらん茶番だ」

 

「心外だな....俺は妖精の尻尾を弁護したんだぞ。だが、じじいどもは責任問題が自分達に及ぶのを恐れ、全ての責任をおしつける対象をつくらざるをえなかった。スケープゴートってやつさ」

 

「黙れ」

 

 

エルザはジークレインの事を、鋭く睨んだ。

 

 

「まあ..いいが裁判前にオマエに会いに来たのは他でもない..」

 

 

ジークレインはエルザの顎を持ち上げて、顔を近づける。

 

 

「〝あの事〟はじじいどもには言うな。お互いの為にな」

 

 

使者には聞こえないであろう声量で、ボソッと呟く。

 

 

「では..扉の向こうで待っている。評議員の1人としてな」

 

 

そう言い残して、ジークレインは姿を消した。

 

 

「あ..あんた...すごい人と知り合いなんだな....」

 

 

ジークレインを恐れているのか、使者は震えながらエルザに質問する。

 

 

「〝悪〟だ」

 

「え?」

 

 

エルザの言葉に、使者は呆然とする。

 

 

 

 

 

法廷に移動したエルザは、証言台の前へと立たされる。

 

 

「これより魔道裁判を開廷する、被告人エルザ・スカーレットよ....証言台へ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「やっぱり放っておけないっ!!!証言をしに行きましょ!!!」

 

「マキ」

 

 

我慢できなくなったのか、マキが立ち上がる。

 

 

「まぁ...待て」

 

 

しかし、それをマカロフが止める。

 

 

「何言ってんの!!!これは不当逮捕よ!!!判決が出てからじゃ間に合わない!!!」

 

「今からではどんだけ急いでも、判決には間に合わん」

 

「でも!!!」

 

 

尚も食い下がるマキ。

 

 

「出せー!!!俺を出せー!!!」

 

 

そして、尚も騒ぎ続けるナツ。

 

 

「本当に出してもよいのか?」

 

 

マカロフの質問に、ナツは騒ぐのを止めて体を震わせる。

 

 

『ん?』

 

 

マカロフの意味深な言葉に、全員が首を傾げる。

 

 

「どうしたのですかナツ、急に元気がなくなりましたよ」

 

 

何かを知っているのか、ウミだけは平然としていた。

 

 

「かっ」

 

「ぎゃっ」

 

 

マカロフがナツに魔法で吹き飛ばす。

 

 

魔法が解けて煙の中からナツ......ではなくマカオが出てくる。

 

 

「マカオ!!?」

 

「え————っ!!!!」

 

『何でぇ———っ!!!?』

 

 

ナツだと思っていたギルドのメンバーは、驚愕の声を上げる。

 

 

「す....すまねぇ......ナツには借りがあってよォ。ナツに見せかける為に自分でトカゲに変身したんだ」

 

 

その話を聞いたマキは、ある事に気づいた。

 

 

「もしかしてウミ、最初からナツじゃないって気づいてたの⁉」

 

「当たり前です、私は滅竜魔導士なので鼻は良いので、直ぐにナツじゃないって気づきましたよ」

 

「じゃあ本物のナツは⁉」

 

「まさかエルザちゃんを追って..!!!」

 

「ああ..たぶん」

 

 

ルーシィとコトリの質問に、マカオは答える。

 

 

「シャレになんねぇぞ!!!アイツなら評議員すら殴りそうだ!!!」

 

 

ナツがエルザを追いかけたと聞いて、慌てだすエルフマン。

 

 

「全員黙っておれ、静かに結果を待てばよい」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「被告人エルザ・スカーレットよ。先日の鉄の森によるテロ事件において、主はオシバナ駅一部損壊、リュシカ峡谷鉄橋破壊、クローバーの洋館全壊....これら破壊行為の容疑にかけられている。目撃証言によると....犯人は《b》鎧を着た女魔導士であり....」

 

 

ドゴォン!!!!

 

 

罪状を読み上げている途中で、突如として入り口が爆発する。

 

 

「何事!?」

 

 

煙が晴れるとそこには、エルザと同じ鎧と赤髪の鬘を被ったナツがいた。

 

 

「俺が鎧の魔導士だ——っ!!!捕まえられるものなら捕まえてみやがれぇぇっ!!!!」

 

「!!」

 

 

ナツの奇行に、その場にいた全員が口をあんぐりと開けて驚き、エルザも目を見開いて驚く。

 

 

「俺がエルザだァ!!!コラァァ!!!!何の罪だか言ってみやがれ————っ!!!!」

 

 

驚く評議員達と、恥ずかしそうにため息を吐くエルザ。

 

 

そして、その様子を面白そうに見つめるジークレイン。

 

 

「それぁギルドマスターの命よりも重てぇ罪なんだろうなァ!!!!」

 

 

にっと笑うナツ、その周りには暴れたせいで壊れた残骸が転がっていた。

 

 

「ふ..二人を牢へ」

 

「も..申し訳ありません」

 

 

裁判長の言葉に、頭を下げて謝るエルザ。

 

 

「エルザ!!こんな奴に謝る事なんかねぇ!!!あ..いや......俺がエルザだ!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

牢屋に入れられたナツ達、そこでエルザが今回の裁判について説明する。

 

 

「お前にはあきれて言葉もない、これはただの〝儀式〟だったんだ」

 

「儀式!!?」

 

 

エルザの説明に、ナツは正座しながら首を傾げる。

 

 

「形だけの逮捕だ。魔法界全体の秩序を守る為評議会としても、取り締まる姿勢を見せておかねばならないのだ」

 

「なんだよそりゃ..意味分かんねー」

 

 

説明されても尚、理解できないナツ。

 

 

「つまり、有罪にはされるが〝罰〟は受けない。今日中にでも帰れたんだお前が暴れなければ」

 

「え—————っ!!!」

 

 

衝撃の事実に、ナツは大声を上げて驚愕する。

 

 

「まったく......」

 

「う....スマネェ......」

 

 

自分の身勝手な行為で、エルザに迷惑を掛けてしまった事にナツはしょげる。

 

 

「だが、嬉しかったぞ」

 

 

嬉しそうに微笑むエルザに、バツが悪そうにナツは顔を逸らす。

 

 

そして、その2人の様子を遠くから眺める姿があった。

 

 

「なるほど......妖精の尻尾にいたのか....ナツ・ドラグニル」

 

 

怪しそうに、ジークレインが笑った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

翌日、牢屋から解放されたナツとエルザは、ギルドに戻っていた。

 

 

「やっぱりシャバの空気はうめえ!!!!最高にうめえっ!!!!」

 

 

狭い牢屋から出れて事に、ナツははしゃいでいた。

 

 

「自由って素晴らしいっ!!!フリ―――ダァ――――ム!!!」

 

「うおっ!!やかましい!!」

 

「おとなしく食ってろ!!」

 

 

騒がしいナツを注意する、ジェットとドロイ。

 

 

「こういう所が可愛いらしいのよね」

 

「そうですね」

 

 

その様子を、微笑ましく見守るミラとウミ。

 

 

「けっきょく〝形式だけ〟の逮捕だったなんてね....心配して損しちゃった」

 

 

その時、グレイは何かに気づいたのか掌の上に拳をポンッと叩いた。

 

 

「そうか!!カエルの使いだけに、すぐに〝帰る〟」

 

「なるほど、カエルと帰るをかけた訳だね」

 

 

グレイとコトリのやり取りに、エルフマンは身体を震わせる。

 

 

「さ..さすが氷の魔導士、ハンパなくさみィ!!!」

 

 

そこでエルフマンが、騒いでいるナツに質問する。

 

 

「....で、エルザとの漢の勝負はどうなったんだよナツ」

 

「漢!?」

 

 

エルフマンの漢という単語に、驚くマキ。

 

 

「そうだ!!!忘れてたっ!!!」

 

 

ナツは食事をしているエルザに、近づいた。

 

 

「エールザー!!!この前の続きだーっ!!!」

 

「よせ....疲れてるんだ」

 

 

しかしそんなエルザにお構いなしに、ナツは拳に炎を灯して突っ込む。

 

 

「行くぞ――――っ!!!」

 

「やれやれ」

 

「がっ!!?」

 

 

仕方なく立ち上がったエルザは、思いっきりナツにボディブローを喰らわす。

 

 

「あ...あぁぁ...」

 

 

ナツはそのまま、地面にくたっと倒れる。

 

 

「仕方ない、始めようか」

 

「終――了――!!!」

 

「ぎゃっはははっ!!!だせーぞナツ!!!」

 

「やっぱりエルザは強ェ!!!」

 

「おい、この間の賭け有効なのか?」

 

「あ~あ....またお店壊しちゃってぇ」

 

 

ナツが秒殺された事に、ある者はエルフマンと一緒に笑い、ある者は前回の賭けの心配をし、ある者はお店の心配をする。

 

 

くすっと笑うミラだったが、マカロフの様子が可笑しい事に気づいた。

 

 

「どうしました?マスター」

 

「いや..眠い..」

 

「え?」

 

「奴じゃ」

 

 

マカロフがそう言った途端、ミラは突然睡魔に襲われる。

 

 

ミラはそのまま倒れ、眠ってしまう。

 

 

眠ったのは、ミラだけでは無かった。

 

 

「これは!!」

 

「くっ」

 

「眠っ」

 

 

次々と、ギルドの者達が眠りについてしまう。

 

 

そして、眠っているメンバーの間を歩く一人の男がいた。

 

 

全身をローブで身を包み、顔を布で覆って隠し目元しか分からなかった。

 

 

「ミストガン」

 

 

唯一眠っていなかったマカロフが、その正体に気づいた。

 

 

ミストガンはリクエストボードから討伐クエストの依頼書を一枚手に取り、マカロフの前にやってくる。

 

 

「行ってくる」

 

「これっ!!眠りの魔法を解かんかっ!!!」

 

 

「伍、四、参、弐」

 

 

踵を返し、ギルドから出ていくミストガン。

 

 

「壱」

 

 

完全にミストガンの姿が消えた次の瞬間、ギルドの殆どの者が目を覚ました。

 

 

「ぐ――ぐ――」

 

「す――す――」

 

 

しかし、唯一ナツとホノカだけは眠ったままだった。

 

 

「こ....この感じはミストガンか!!?」

 

「あんにゃろォ!!!」

 

「相変わらずスゲェ強力な眠りの魔法だ!!!」

 

 

目をこすりながら、ミストガンの事を話すジェットとドロイとマカオ。

 

 

『ミストガン?』

 

「妖精の尻尾、最強の男候補の1人だよ」

 

 

ルーシィとマキの疑問にエルフマンが答えた。

 

 

「どういう訳か、誰にも姿を見られたくないらしい」

 

「だから、仕事を取るときはいつもこうやって全員を眠らせちゃうの」

 

「なにそれっ!!!」

 

「あやしすぎ!!」

 

 

グレイとコトリの説明に、ルーシィとマキは声を上げて驚く。

 

 

「ですから、マスター以外誰もミストガンの顔を知らないんです」

 

「いんや....俺は知ってっぞ」

 

 

ウミの言葉に説明に答える声が、誰もいないはずの2階から聞こえてくる。

 

 

そこには、逆立った金髪で右目に傷がある大柄な男がいた。

 

 

紫色のシャツに、厚手のロングコートを羽織っていた。

 

 

「ラクサス!!!」

 

「いたのか!!!」

 

「めずらしいなっ!!!」

 

 

その男の存在に、ギルド内が騒がしくなる。

 

 

その騒ぎで、ナツが目を覚ます。

 

 

「もう一人の最強候補だ」

 

『!!』

 

 

グレイの説明に、ルーシィ達は言葉を失う。

 

 

「ミストガンはシャイなんだ、あんまり詮索してやるな」

 

 

ラクサスの存在に気づいたナツは、声を張り上げる。

 

 

「ラクサス――!!!俺と勝負しろ――っ!!!」

 

「さっきエルザにやられたばっかじゃねぇか」

 

 

吠えるナツに、グレイが呆れながら止めに入る。

 

 

「そうそう、エルザごときに勝てねぇようじゃ、俺には勝てねぇよ」

 

「それはどういう意味だ」

 

 

ラクサスの言葉はエルザの逆鱗に触れ、物凄いプレッシャーを放つ。

 

 

「おい.....おちつけよエルザ」

 

 

エルザを恐れ、グレイが落ち着かせようとする。

 

 

「俺が最強って事さ」

 

「降りて来い!!!コノヤロウ!!!」

 

「お前が上がってこい」

 

「上等だ!!!」

 

 

ラクサスの挑発に乗り、ナツは2階に上がろうとする。

 

 

しかし、マカロフが左手を大きくし、階段を登ろうとするナツを潰した。

 

 

「ぎゃっ」

 

 

突如ナツが潰された事に、ミラは口を手で覆い、目を見開く。

 

 

そしてそれは、ルーシィ達も同じだった。

 

 

「2階に上がってはならん、まだな」

 

「ははっ!!怒られてやんの」

 

「ふぬぅ...」

 

 

潰されたナツを馬鹿にするラクサスと、必死に抜け出そうとするナツ。

 

 

「ラクサスもよさんか」

 

 

マカロフから注意を受けるラクサスだが、全然気にもとめていなかった。

 

 

「妖精の尻尾最強の座は誰にも渡さねぇよ、エルザにもミストガンにもあのオヤジにもな。俺が..最強だ!!!」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

夜となり、殆どの者が帰ったギルドの中で、マキがミラに質問する。

 

 

「さっきマスターが言ってたでしょ?2階には上がっちゃいけないって、どうゆう意味ですか?」

 

「まだルーシィ達には早い話だけどね」

 

 

そう言って、ミラは2階について説明を始める。

 

 

「2階の依頼板(リクエストボード)には、1階とは比べものにならないくらい難しい仕事が貼ってあるの。S級の冒険(クエスト)よ」

 

『S級!!?』

 

「一瞬の判断ミスが死を招くような危険な仕事よ、その分報酬もいいけどね」

 

「うわ..」

 

 

ミラの説明に、マキは引いた。

 

 

「S級の仕事はマスターに認められた魔導士しか受けられないの、資格があるのはエルザ、ラクサス、ミストガンも含めてまだ5人しかいないのよ」

 

「おぉ...」

 

「それだけしか...」

 

 

ナツを筆頭に、強い魔導士はいっぱいいるにも関わらず、それだけの人数しかいない事にルーシィ達はS級の危険さを実感する。

 

 

「S級なんて目指すものじゃないわよ、本当に命がいくつあっても足りない仕事ばかりなんだから♡」

 

「みたいですね」

 

 

ミラの言葉に、マキは苦笑いするしかなかった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「ミストガンもラクサスも、聞いた事ある名前だったわね」

 

「やっぱ妖精の尻尾ってすごいギルドよね、だいたい妖精の尻尾の力関係も分かってきたし.........」

 

 

ルーシィの頭の中では、ナツやホノカやウミと同じ順位に並び、他のエルフマンやマカオ達はその下のその他に含まれていた。

 

 

「明日から仕事がんばろー!!」

 

 

気合を入れて、家の扉を開けるルーシィ。

 

 

『おかえり』

 

『おかー』

 

 

部屋に入ったルーシィ達が見たのは、ベッドの上で一緒に腹筋するナツとホノカ。

 

 

そしてバーベル上げをしている、ハッピーとリンの姿があった。

 

 

「きゃああああああっ」

 

「汗臭―い!!!」

 

「ふんごっ」

 

 

悲鳴を上げるマキと、ナツのお腹にドロップキックを食らわせるルーシィ。

 

 

「筋トレなんて自分家でやりなさいよ!!!」

 

「何言ってんだ、俺達チームだろ」

 

 

蹴られたお腹を押さえながら、ナツはルーシィにピンク色の鉄アレイを渡す。

 

 

「ホラ、お前の分」

 

「これはマキちゃんのだよ!!」

 

 

ホノカも赤い鉄アレイを、マキに渡す。

 

 

「ルーシィ、ピンク好きでしょ」

 

「マキちゃんも赤色好きそうだったから、赤色にしたにゃ」

 

『それ以前に鉄アレイに興味ないですからっ!!!!』

 

 

ハッピーとリンの発言に、揃って突っ込みを入れるルーシィとマキ。

 

 

「エルザやラクサスを倒すには、もっと力をつけねぇとな」

 

『あいさー』

 

 

すると今度は、床で腕立て伏せを始めるナツ達。

 

 

「あたし関係ないし..帰ってよ!!」

 

「てか、ウミは何処行ったのよ!!」

 

 

マキはここにウミがいない事に嘆く。

 

 

「今日は修行でオールだよ!!」

 

『誰か助けてぇぇっ!!!』

 

 

ホノカの言葉に、ルーシィ達は等々泣き出した。

 

 

「オレ、決めたんだ」

 

『?』

 

「S級クエスト行くぞ!!!!ルーシィ、マキ」

 

 

すると、ハッピーが大きくSとスタンプが押された依頼書を2人に見せる。

 

 

「どーしたのよそれ!!」

 

「ちょっとどういう事!!?2階には上がっちゃいけないはずでしょ!!?」

 

 

ルーシィとマキの質問に、ハッピーが何でもない様に答える。

 

 

「勝手に取ってきたんだ、オイラが」

 

『ドロボー猫――!!!』

 

 

2人の反応を見て、ハッピーはニヒッと笑う。

 

 

「取り敢えず初めてだからな、2階で一番安い仕事にしたんだ」

 

「それでも700万Jだよ!!」

 

「駄目よ!!!あたしたちにはS級に行く資格はないのよ」

 

 

マキが注意するが、ナツは嬉しそうに笑った。

 

 

「これが成功したら、じっちゃんも認めてくれるだろ」

 

「本当にもう、いつもいつも滅茶苦茶なんだからなァ」

 

「まったくよ、自分のギルドのルールくらい守りなさいよね」

 

 

2人は呆れたように、どかっと椅子に座った。

 

 

「そしたらいつまでたっても2階に行けねぇんだよ」

 

「とにかくあたしはいかない」

 

「私もよ、4人でどうぞ」

 

 

そこでリンが、今回のクエストについての説明をする。

 

 

「〝島を救ってほしい〟って仕事だよ」

 

「行ってみよーよ」

 

『島?』

 

 

興味本位で聞く、ルーシィ達。

 

 

2人の頭には、一瞬リゾートの出来る島が思い浮かぶ。

 

 

『呪われた島、ガルナ島』

 

「呪....!!!絶対に行かないっ!!!」

 

「魚半分あげてもついて来ない?」

 

『全然嬉しくないし!!!』

 

 

ルーシィ達の反応を見て、ナツ達は面白くなかったのか帰る準備を始める。

 

 

「ちぇーっ!!」

 

「じゃあ帰ろ」

 

『あい』

 

「少しは頭を冷やしなさいよねっ!!!」

 

 

マキの小言も無視し、ナツ達は帰っていく。

 

 

窓から。

 

 

「てゆーかドアから出てって」

 

 

扉からではなく、窓から出ていくことに突っ込むルーシィ。

 

 

「はぁ...私はもう寝るわよ」

 

「あぁ...うん...おやすみ」

 

 

マキが自分のベッドに入ったのを確認したルーシィは、ふぅ...とため息をこぼす。

 

 

「あぁぁれ―――っ!!?紙置きっぱなし!!?」

 

 

そこで床に依頼書が落ちている事に気づき、大声を上げる。

 

 

「ちょっとォ!!!あたし達が盗んだみたいじゃない!!!どおしよォォ!!!」

 

 

疑われると思ったルーシィは、頭を抱える。

 

 

「......お?」

 

 

そこでルーシィは、依頼書の報酬に追加報酬として金の鍵もついている事を。

 

 

「ウッソォ!!?王道十二門の鍵がもらえるの!!?」

 

 

しばらく固まっていたルーシィだが、にっこぉと笑みを浮かべナツ達を追う。

 

 

「ナツ――!!!ハッピー!!!ホノカー!!!リン――!!!待ってぇぇん♡」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「たいへ―――ん!!!!」

 

 

朝のギルド内で、ミラの叫び声が響いた。

 

 

「マスター!!!2階の依頼書が1枚無くなっています!!!」

 

 

2階から急いで降りてきたミラがそう告げるが、マカロフは落ち着いてお茶を飲んでいた。

 

 

ズズッとお茶を口に含んだ瞬間、事の次第を理解してマカロフはブフォっとお茶を吹いた。

 




誰もいない真夜中のギルド。


薄暗い2階のリクエストボードで4つの動く影があった。


ハッピー「ナツ、どれにする?」


ナツ「う~ん、そうだな~」


ホノカ「初めてだし、一番簡単そうな奴にしようよ」


リン「あい、じゃあガルナ島の奴は?この追加報酬何てルーシィちゃんが欲しがりそうだにゃ」


ナツ「おっ!!良いんじゃないか!!これに決めちまおうぜ」


ハッピー・リン「あい」


次回!!呪われた島!!


ナツ「よーし!!そうと決まれば出発までルーシィ達の家で筋トレでもするか!!」


ホノカ「だったらどっちが多く筋トレできるか勝負だよ!!ナツ君!!」


ハッピー「いっそ清々しいまでにやりたい放題だね...」






どうも!!ナツ・ドラグニルです!!


長らくお待たせしました。


前までは10日、20日に投稿していましたが、今までは漫画の話数で話を区切っていましたが、これからはアニメの話数で話を区切る為、漫画の3話分の話になりました。


なので、これからは他の小説と同じように毎月1日に順次投稿させて頂きます。



それでは次回、第24話もしくは激獣拳使いの幼馴染第5話でお会いしましょう
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