LOVE TAIL   作:ナツ・ドラグニル

24 / 25
LOVE TAIL 前回までは


ミラ「S級クエストは、マスターに資格を与えられた魔導士のみが受けられるの」


ルーシィ「ナツも私も無理って訳か...って!!私達の部屋!!」


ミラ「マスター!!2階の依頼書が一枚無くなっています!!」


マカロフ「ブフォッ!!?」


マキ「ってS級クエスト!?」


ホノカ「行こうよ!!マキちゃん!ルーシィちゃん!」





第24話 呪われた島

「なんだぁ~?依頼書が無くなったって?」

 

「2階に貼ってあったつったら、S級の依頼だろ?」

 

「何処の馬鹿よ、そんなの持ってたのは」

 

 

依頼書が無くなった事に、ギルド内がざわざわと騒がしくなる。

 

 

「猫だ、羽根の生えた猫がちぎっていくの見たぜ」

 

「ハッピーが!!?」

 

 

ラクサスの語った猫の正体に気づいたミラは、驚きで大声を上げる。

 

 

「つー事はナツやルーシィ達も一緒か!!?」

 

「何考えてんだあいつ等!!!」

 

「S級クエストに勝手に行っちまうなんて!!?」

 

「バカだと思ってたけど、ここまでとはね....」

 

 

ナツ達の所業に、ギルドメンバーは全員呆れる。

 

 

「これは重大なルール違反だ、じじい!!奴等は帰り次第破門....だよな」

 

 

ラクサスは更に、S級クエストに向かったナツ達を馬鹿にする。

 

 

「つーか、あの程度の実力でS級に挑むたァ....帰っちゃこねぇだろうがな。ははっ」

 

 

馬鹿にするラクサスに、ミラは怒り心頭で近づく。

 

 

「ラクサス!!知ってて何で止めなかったの⁉」

 

「俺には泥棒猫が紙切れくわえて逃げてった風にしか見えなかったんだよ、まさかあれがハッピーで、ナツ達がS級に行っちまったなんて思いもよらなかったなァ。お?アンタのそんな顔久しぶりだなぁ」

 

 

明らかに分かっていたであろうラクサスに、ミラは物凄い形相で睨みつける。

 

 

「マズイのう.........消えた依頼書は?」

 

「呪われた島、ガルナです」

 

 

マカロフの質問に、ミラはラクサスを睨みながら答えた。

 

 

「何と悪魔の島か!!!!」

 

『ガルナ島!!?』

 

「そんな無茶な!!?」

 

『やっぱりあいつら馬鹿だ!!』

 

 

マカロフが、2階にいるラクサスに声を掛ける。

 

 

「ラクサス!!連れ戻してこい!!!」

 

「冗談....俺はこれから仕事なんだ。てめぇのケツをふけねぇ魔導士は、このギルドにはいねぇ。だろ?」

 

「今ここにいる中で、オマエ以外誰がナツ達を力づくで連れ戻せる!!?」

 

「じいさん......」

 

 

しかし、そこで今まで黙って聞いていたグレイが立ち上がる。

 

 

「そりゃあ聞き捨てならねぇなァ」

 

「そうだよ、ナツ君を連れ戻すくらいなら私達でも出来るよ」

 

 

グレイに続き、コトリも立ち上がった。

 

 

「恐らくガルナ島に向かう為に、あいつらはハルジオンに行くはずだ」

 

「そこで説得して連れ戻せば、何も問題ないよ」

 

「だからよじいさん、ハルジオンで連れ戻せれば...あいつらの破門はなしにしてくれ」

 

「グレイ...」

 

 

いつもナツと喧嘩ばっかりしてるグレイが、ナツの為にそこまでしようとしている事にマカロフは驚く。

 

 

「行くぞコトリ」

 

「うん!!」

 

 

ナツ達を追いかけようとグレイ達が、ギルドを出ようとしたその時だった。

 

 

バアン!!!

 

 

大きな音を立て、突如ギルドの扉が勢いよく開いた。

 

 

『はぁ...はぁ...』

 

 

ギルドに入ってきたのは、全力疾走してきたのか息が荒いウミとマキの姿があった。

 

 

「ウミ!!?」

 

「マキちゃん!!?何で!!?」

 

 

ナツ達に着いてったと思ったウミ達が居る事に、またしてもギルド内が騒然とする。

 

 

「マスター大変です!!!ナツ達がS級クエストに行ったかもしれません!!!」

 

「あぁ、知っておる。今まさにグレイ達がナツを追いかける所じゃ」

 

「じゃあやっぱり!!」

 

 

ナツ達が本当にS級に行ったんだと分かり、言葉を失うウミ。

 

 

「てか、何でお前ら一緒じゃないだよ」

 

「うん、てっきりウミちゃん達も一緒に行ってるもんだと」

 

 

皆を代表して、グレイとコトリが質問する。

 

 

「私は話すら聞いていません」

 

「昨日ナツ達が来てS級の話は聞いたけど、私は断ってすぐ寝たけど」

 

「それで朝からルーシィの姿が見えないと、マキが私の所に来たんです」

 

「なるほどのぅ」

 

 

マキ達の説明で、状況を理解したマカロフ。

 

 

「それにしても、何でルーシィは着いていったのかしら?全然乗り気じゃなかったのに...」

 

 

そこでマキは、ルーシィがナツ達に着いていった理由を考える。

 

 

「あ!」

 

 

そこで、何かを思い出したのかミラが声を上げる。

 

 

「そういえば、ガルナ島の報酬に金の鍵が追加報酬で入っていたわ!!」

 

 

 

 

クエストを管理しているミラが、報酬の事を思い出す。

 

 

「なるほどね、その報酬欲しさに着いてったって訳ね」

 

 

ルーシィが着いてった理由に、マキはため息をついて呆れる。

 

 

「それより今すべきは、ナツ達を追いかける事です。直ぐに追いつき、問い詰めないといけません...」

 

 

何処か哀しげ表情を見せるウミ。

 

 

「何で...何で......」

 

「ウミ...」

 

 

無理もない、ナツとは相棒とまで言われていた為、そのナツがルールを破ったのだ。

 

 

「何で私ではなく!!!ルーシィ達を連れてったのかを!!!!」

 

『いやそっちかい!!!!!』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

港町ハルジオン。

 

 

「うわーなつかしいっ!!!ここって、あたし達とナツ達が出会った町よねー」

 

「なつかしい....ってそんな昔の事でもねえだろ」

 

「ルーシィちゃん、おばーちゃんみたい」

 

『ぷっ』

 

 

ホノカの言葉に笑うハッピーとリンに、ルーシィはキッと睨んだ。

 

 

「じゃあまずはガルナ島へ行く船を探すわよ」

 

「船だと!!?」

 

 

乗り物が弱いナツは、船という言葉に食いついた。

 

 

「無理無理!!泳いで行くに決まってんだろ」

 

「そっちの方が無理だから」

 

 

ナツの提案に、ルーシィは呆れながら断る。

 

 

「そういえばナツ、あんたウミには声かけなかったの?」

 

 

相棒と言っても過言ではないウミを連れてない事に、今更ながら質問するルーシィ。

 

 

「何言ってんだよ、エルザほどじゃないがあいつも規則には厳しいんだ」

 

「うん、小言を言われて終わりだよ」

 

 

そう言うナツ達とは別に、ルーシィは連れてこない方が面倒くさいのでは、と考える。

 

 

ナツ達は港に停泊している船乗り達に、片っ端から声を掛ける。

 

 

「ガルナ島?冗談じゃねぇ、近寄りたくもねーよ」

 

「かんべんしてくれ、名前も聞きたくねぇ」

 

「この辺の船乗りは、あの島の話はしねぇ」

 

「呪いだ..何だって縁起が悪ィったらありゃしねぇ」

 

 

しかし、声を掛けた船乗り全員に断られてしまう。

 

 

「何しに行くか知らねえが、あそこに行きたがる船乗りはいねぇよ。海賊だって避けて通る」

 

 

頼みの綱である最後の船乗りからも、そう言われてしまった。

 

 

「そんなぁ~~~~」

 

「決定だな、泳いで行くぞ」

 

『あい』

 

「ファイトだよ!!」

 

 

しかし、今の話を聞いていた船乗りが声を掛ける。

 

 

「泳ぐ?それこそ自殺行為だ。巨大ザメが怖くねえなら別だがな」

 

「オウ!!怖かねえや!!!黒コゲにしてやるよ」

 

「海じゃ火は使えないでしょ」

 

「私の〈灼爛殲鬼〉なら問題ないよ!!!」

 

 

ナツとホノカのやり取りに呆れたルーシィは、この後どうするか頭を巡らせる。

 

 

「は―――.....どうしよぉ」

 

「だから泳ぐっての」

 

 

ぐっぐっと準備運動して、泳ぐ気満々なナツ。

 

 

「ナ―――ツゥ―――」

 

 

地獄の底から漏れるような声にルーシィ達は驚き、呼ばれた本人はビクッと体を震わせる。

 

 

「ウミ!!?何でここに!!?」

 

「何でじゃありません!!私達はチームです!!なぜ私を置いていくんですか!?」

 

「突っ込む所そこじゃねぇだろよ」

 

「あはは...」

 

 

ウミの後ろから、呆れた様子のグレイとコトリも姿を現す。

 

 

「グレイにコトリも何でここに!?」

 

「連れ戻してこいっていうじーさんの命令だよ」

 

「え―――!!?もうバレちゃったのっ!!?」

 

 

まさかこんなにも早くバレるとは思っていなかったのか、ホノカは驚愕し大声を上げる。

 

 

「今ならまだ破門をまぬがれるかもしれないから、一緒に帰ろう?ホノカちゃん」

 

 

子供に言い聞かせるように、ホノカを説得するコトリ。

 

 

「破門!!!」

 

「分かったらさっさと帰るわよ」

 

 

破門という言葉に驚くルーシィと、そのルーシィの手を取り連れて帰ろうとするマキ。

 

 

「やなこった!!!俺はS級クエストやるんだ!!!」

 

「オメーらの実力じゃ無理な仕事だから、S級って言うんだよ!!!」

 

 

いつものように、言い争いを始めるナツとグレイ。

 

 

「この事がエルザに知られたらオメェ....あわわ...」

 

『エルザ(ちゃん)に知られたらァ..!!!』

 

 

グレイの言葉に、ナツ達は戦慄する。

 

 

「グレイ~~~助けて~~~」

 

「リン達ナツ君達に無理矢理.....」

 

「裏切り者ォ!!!」

 

 

ハッピーとリンが、グレイの後ろに隠れナツ達を売りだした。

 

 

「オレはエルザを見返してやるんだ!!!こんな所で引き下がれねえ!!!」

 

「マスター直命だ!!ひきずってでも連れ戻してやらァッ!!!」

 

 

2人の喧嘩はいつもの殴り合いではなく、魔法を使う喧嘩にまで発展した。

 

 

「ケガしても文句言うなよ!!!」

 

「やんのかコラァ!!!!」

 

「ちょ....ちょっと2人共!!!」

 

「魔法は流石にやり過ぎよ!!!」

 

 

ナツ達を止めようとするルーシィとマキだったが、船乗りが2人が魔法を使った事に驚く。

 

 

「魔法!?あんたら....魔導士だったのか....?」

 

『!!!』

 

「ま..まさか島の呪いを解く為に..」

 

「オウ!!!」

 

「もちろん!!!」

 

「い....一応....自身無くなってきたけど」

 

「行かせねーよ!!!」

 

 

船乗りの言葉に、ナツとホノカは元気よく答え、ルーシィだけが自信なさげに答える。

 

 

ナツ達の返答に、船乗りは何故か身体を震わせる。

 

 

「乗りなさい」

 

「マジで!!」

 

「おおっ」

 

「やったー!!」

 

「何!?」

 

「え?」

 

「どういう事ですか?」

 

 

先程まで行く事を躊躇っていた船乗りが、突然ナツ達を乗せる気になった事に全員が驚く。

 

 

そこで、ナツの目がキラーンと光り、にやぁっと怪しい笑みを浮かべる。

 

 

「おりゃ」

 

「ふんごっ」

 

 

次の瞬間、ナツがグレイの顔面を思いっきり蹴って気絶させた。

 

 

「しゃあねぇや、この船で行ってやる」

 

 

そう言って、気絶したグレイを担ぐナツ。

 

 

「グレイ君も連れて行くの?」

 

「コイツがギルドに戻ったら、次はエルザが来る」

 

「ひいいっ!!!」

 

 

ホノカの問いに答えたナツの言葉に、ルーシィがそれを想像して悲鳴をあげる。

 

 

「そういう訳だから、お前らも一緒に来い!!」

 

 

グレイを連れて行くついでに、ナツはウミ達に声を掛ける。

 

 

「しょうがないですね」

 

「あんたは最初から行く気満々だったでしょうが」

 

「あはは...」

 

 

腰に手を当て仕方ないとばかりに着いていこうとするウミに、呆れるマキが指摘する。

 

 

そして、それを苦笑しながら見ているコトリ。

 

 

「S級の島へ出発だ!!!」

 

 

全員が乗り込んだ事を確認すると、意気揚々とナツが大声を上げる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「おぷ」

 

「うっぷ...」

 

 

船の外に身を乗り出すように乗るナツとウミは、今にも吐きそうなほど乗り物酔いになっていた。

 

 

「今更何だけどさ....ちょっと怖くなってきた」

 

「本当に今更...」

 

「てめ....人を巻き込んどいて何言ってやがる」

 

 

怖がるルーシィに、マキが呆れ、拘束されて身動きが取れなくなっているグレイが怒る。

 

 

「つーかオッサン!!何で急に船を出したんだ。いい迷惑だ」

 

 

それまで口を閉ざし、船を漕ぐ事に専念していた船乗りが口を開いた。

 

 

「俺の名はボボ....かつてはあの島、ガルナ島の住人だった....」

 

「え?」

 

 

船乗りが告げた思いもよらない話に、ルーシィは驚く。

 

 

「逃げ出したんだ、あの忌まわしき呪いの島を」

 

「ねぇ、その呪いって?」

 

 

ハッピーの質問に、俯き黙ってしまう船乗り。

 

 

しかし、意を決したのか再度語り始める。

 

 

「禍は君達の身にもふりかかる、あの島へ行くとはそういう事だ。本当に君達にこの呪いが解けるのかね?」

 

 

そう言って船乗りは、明らかに人間の腕ではないものに変貌してしまった自身の左腕をホノカ達に見せる。

 

 

「悪魔の呪いを」

 

 

月明り照らす呪われた島、ガルナ島。

 

 

「オジサン..その腕....」

 

「呪いって..まさか....その....」

 

 

呪いのせいで変わってしまった腕を見たコトリ達は、言葉を失った。

 

 

そこで船乗りは、ガルナ島が見えてきた事に気づいた。

 

 

「見えてきた、ガルナ島だ」

 

 

見えてきたガルナ島の天辺が、光を放っている事にマキは気づいた。

 

 

「何あれ、山の頂上が光ってる」

 

 

ナツ達の向かうその島の頂上の光は、不気味な儀式が行われていた事による現象とは、その時はまだ知らなかった。

 

 

「ねえ....オジさん」

 

 

光について質問しようとしたルーシィだったが、振り向いた先に先導していた筈の船乗りの姿は無かった。

 

 

「あれ!?オジさんは⁉」

 

「え!?」

 

「落ちたか!?」

 

 

グレイの言葉を聞いて、ウミに潜って船の下を確認するリン。

 

 

「いないよ」

 

「うそ?どうなってんの?」

 

 

先程までいた筈の船乗りが姿を消したことに、ルーシィは動揺する。

 

 

「気が付いたらいなくなってたよ」

 

 

その時、ゴゴゴゴゴっと大きな音を、まず最初にウミが拾った。

 

 

「な..何の音ですか?」

 

「お、おい!!」

 

 

グレイの切羽詰まった声を聴いて、全員が振り返ると巨大な大波が迫っていた。

 

 

「きゃあああ!!!」

 

「大波!!!」

 

「のまれるぞ!!!」

 

「ハッピー!!!リン!!!船を持ち上げて飛ぶのよ!!!」

 

「無理だよぉ!!!」

 

「無茶だにゃ!!!」

 

「おぷ」

 

「ウミ!!全部飲んでよ!!」

 

「無理です...」

 

「つーかコレほどけ!!!死ぬ!!!」

 

 

皆がパニックになる中、1人だけ冷静な者がいた。

 

 

「大丈夫だよ皆、私に任せて!!」

 

 

迫りくる津波に恐れる事無く、コトリは立ち上がった。

 

 

『コトリッ!!!』

 

「コトリちゃんっ!!!」

 

 

この危機的状況に、活路を見出した事に全員が歓喜する。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし.........

 

 

 

 

 

 

 

津波のせいで、ガクッとボートが揺れる。

 

 

「あっ!!!」

 

 

立っていたのが災いしたのか、コトリだけがバランスを崩して転倒してしまう。

 

 

ガツン!!!

 

 

ボートの縁に、コトリは思いっきり頭を強打する。

 

 

「きゅう...」

 

 

そしてそのまま、コトリは気絶してしまう。

 

 

「えぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「格好悪っ!!!」

 

 

思いもよらない事態に、思わず本音が出てしまうルーシィとマキ。

 

 

そして成す術もなく、ナツ達は大波に飲まれた。

 

 

『きゃあああああ』

 

「くそっ!!!てめえらのせいで」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ガルナ島。

 

 

強い日差しを受け、ルーシィが目を覚ます。

 

 

「ここは....」

 

 

そこでようやく、ルーシィは大波に飲まれた事を思い出す。

 

 

「みんな無事!!?」

 

 

起き上がったルーシィが見たのは、見渡す限りの生い茂るジャングル。

 

 

打ち上げられたであろう砂浜には、壊れた船と散乱する荷物。

 

 

「あらら...」

 

 

そして、砂浜に倒れるナツ達の無事な姿と逆さまになって砂に頭から刺さっている、ハッピーとリンの姿があった。

 

 

「うっ...」

 

「んん...」

 

 

そこでようやく、ナツ達も目を覚ます。

 

 

「おおっ!!!着いたのか!!?ガルナ島!!!」

 

「どうやら昨日の大波で、海辺に押し寄せられたみたいね」

 

 

がばっと起き上がるナツと、近くに落ちていた自分の荷物を拾いながら起き上がるマキ。

 

 

「大波に飲まれたのに、良く生きてたね私達」

 

「気絶していて、あまり水を飲まなかったお陰でしょう」

 

「運が良かったね」

 

 

コトリの疑問にウミが答え、ホノカは助かった事に安堵する。

 

 

「それにしても何だったんだろ?あの腕....悪魔の呪いって言ってたけど....」

 

「それに消えたオジさんもね....」

 

 

このガルナ島まで船を出してくれたボボに対して、考察するルーシィとマキ。

 

 

「気にすんなっ!!!探検行こーぜ!!探検!!!」

 

『あいさー』

 

 

ナツの言葉に、乗り気なハッピーとリン。

 

 

「依頼内容からして、最も気にすべき事じゃないかしら!!?」

 

 

ナツの能天気な発言に、驚くルーシィ。

 

 

今にも探検に行こうとするナツ達を落ち着かせ、ウミ達は今後の方針を決める為に話し合いを始める。

 

 

「この島には村が一つあるみたいね」

 

「そこの村長さんが今回の依頼主よ」

 

「だったら、まずはそこを目指そう」

 

「待ちな」

 

 

村に向かおうとするナツ達を、起き上がったグレイが待ったを掛ける。

 

 

「何だよ!!!船も壊れちまったし、ここまできたらもう連れ戻せねーぞ!!!」

 

「いや、俺も行く」

 

 

思いもよらないグレイの言葉に、その場にいた全員がポカーンと呆然とする。

 

 

「やっぱりおまえ等だけ先に2階行くのもシャクだし、破門になったらそれはそれでつまらん」

 

「そうだね、仕事をしっかりやってのければおじいちゃんも文句言えないからね」

 

 

グレイとコトリの話を聞いた全員が、笑みを浮かべる。

 

 

「行こうぜ」

 

『おおっ』

 

 

☆★☆★☆★

 

 

起きたのが昼過ぎだったにも関わらず、村の入り口を探すのに何時間も掛かってしまった為に等に日が沈んでしまっていた。

 

 

見上げる程の高い柵に、入り口であろう場所にはKEEP OUTと書かれた看板があった。

 

 

「着いたわ良いがなんだこりゃ」

 

「立ち入り禁止......って一体どんな村だよ」

 

 

村を覆うほどの頑丈な囲いと、なぜかある立ち入り禁止という看板にグレイとナツは呆れる。

 

 

「すみませ――ん!!!開けてください」

 

 

全員を代表して、ルーシィが大声を上げて呼びかける。

 

 

「まいったな、壊すか」

 

「駄目ですよ!!!」

 

 

ナツの過激な発言に、ウミが怒る。

 

 

「何者だ」

 

「!」

 

 

囲いの上から、ナツ達に呼びかける声がした。

 

 

「魔導士ギルド妖精の尻尾の者です....」

 

「あの....依頼を見て来たんですけど....」

 

「妖精の尻尾?依頼が受理されたとの報告は聞いてないぞ!!」

 

 

依頼を受けに来たと説明するルーシィとマキだったが、、見張りの者に受け入れられなかった。

 

 

「いや..あの..」

 

「何かの手違いで遅れてんだろ、村に入れねぇなら帰るけど」

 

 

言い淀むルーシィだったが、そこですかさずグレイがフォローを入れる。

 

 

「オレは帰らんぞ」

 

「黙ってろ」

 

 

意図を理解していないナツが反論し、グレイはボソッと注意する。

 

 

「全員紋章を見せろ」

 

 

見張りの者の指示に従い、全員が紋章を見せる。

 

 

「本物のようだぞ」

 

「う~む..」

 

 

片割れの言葉に、少し考えこむ見張り。

 

 

「その金髪の女の服を脱がせ」

 

 

思いもよらない指示に、もう一人の見張りはドン引きする。

 

 

「何で!!?関係ないでしょ!!!コラ!!!脱がすな!!!」

 

 

全く関係ない事を指示する見張りと、指示通り服を脱がそうとするナツとグレイに、ルーシィは怒る。

 

 

「うむ....すまん調子こいた」

 

 

ふざけて言ったにも関わらず、本気で捉えられてしまった為に純粋に謝罪する見張り。

 

 

「入りなさい....村長を呼んで来よう」

 

 

ズズズ...と大きい音を立て、門が開かれる。

 

 

「怪獣の口の中に入っていくみたいにゃ」

 

「嫌な事を言わないでください」

 

 

場所が場所だけに、縁起でもない事を言うリンを注意するウミ。

 

 

「よくぞ来てくださった、魔導士の方々....私がこの村の村長のモカです」

 

 

村に入ったナツ達を出迎えたのは、頭巾や口布、そしてローブを身に纏って目元以外を隠した村人だった。

 

 

「さっそくですが、これを見て頂きたい。皆の者!!布を取りなさい!!」

 

 

村長の言葉を合図に、全員が身体を覆っていた布を取った。

 

 

布を取った村人全員が、ボボと同じように身体の一部、腕や脚が人間のモノではなかった。

 

 

中には体の一部が変形してはいなかったものの、額から角が生えていた。

 

 

「船のおじさんと同じだな...」

 

「うん...」

 

「やはり...」

 

「ゴク...」

 

 

予想通りの状況に、息を呑むルーシィ達。

 

 

「スゲェモミアゲ!!!」

 

「ほんとだ!!大きい!!」

 

 

一部、 的外れな所に注目していた。

 

「いや....見てほしいのはこっちじゃ....」

 

 

自身の変形した腕を上下に持ち上げ、強調する村長。

 

 

「驚かれましたかな?この島にいる者全て........犬や鳥まで例外なく、このような呪いにかかっております」

 

「言葉を返すようだが、何を根拠に『呪い』だと?」

 

「グレイ君の言う通り、はやり病とは考えなかったのですか?」

 

 

呪いという言葉に、グレイとコトリが反論する。

 

 

「何十人という医者に診てもらいましたが、このような病気はないとの事です。それに....こんな姿になってしまったのは、〝月の魔力〟が関係しておるのです」

 

「月の魔力?」

 

 

聞いた事のない言葉に、ルーシィは首を傾げる。

 

 

「元々、この島は古代からの月の光を蓄積し、島全体が月のように輝く美しい島でした」

 

 

村長は空を見上げながら、話を続ける。

 

 

「しかし、何年か前に突然月の光が紫色に変わり始めたのです」

 

「紫!?」

 

「そんな月見た事ないです」

 

「うん」

 

 

月が紫色になるという現象に、ナツ達は信じる事が出来なかった。

 

 

「外から来た者は皆そう言うのです....。だが..現にこの島の月は紫色になった........そして紫の月が現れてから、ワシ等の姿が変り出した」

 

 

その時、今まで雲に覆われて見えていなかった月が姿を現した。

 

 

「あっ!!月が出てきた!!」

 

 

ハッピーが空を指差した方をナツ達が見上げると、そこには紫色に輝く月が出ていた。

 

 

「本当だ..」

 

「紫の月....」

 

「気味悪ィなコイツは....」

 

 

村長の言う通り紫色の月が出ている事に全員が驚き、グレイに至っては顔をしかめている。

 

 

「呪いです...これが月の魔力の呪いなのです」

 

 

その時だった、村長の眼がカッと見開かれた次の瞬間、急に苦しみだした。

 

 

「おおおおお...」

 

「え?」

 

 

村長だけでなく、他の村人までもが喉を押さえたり、頭を抱えたりして苦しみだした。

 

 

「うっうう~~~~~!!!」

 

「ぐああ~~~~~~!!!」

 

「な..何!!?」

 

「やだ....どうしちゃったの!!?」

 

 

突然の出来事に、驚くルーシィとマキ。

 

 

驚くルーシィ達を他所に、苦しみだした村人たちはその姿を変えた。

 

 

今まで腕や脚だけだった呪いが、全身まで変化を及ぼした。

 

 

「こいつは...」

 

「どういう事⁉」

 

「なんてこった...」

 

 

突然の変化に、ナツ達は言葉を失う。

 

 

先程まで体の一部が可笑しかっただけに留まっていたのが、村人全員が人間ではなくなったのだから。

 

 

その姿はまるで、悪魔そのものだった。

 

 

「驚かして申し訳ない........紫の月が出ている間....ワシ等はこのような醜い悪魔の姿へと変わってしまう。これを呪いと言わず....何と言えばよいのでしょうか?」

 

「ひっく..ひっく..」

 

「大丈夫..大丈夫よ」

 

 

泣いている子供を一人の女性が慰める。

 

 

「うう..」

 

「う....」

 

 

子供だけではない、余程辛かったのか大人の男性達までもが泣き出してしまった。

 

 

その光景を見て、今度こそナツ達は言葉を返す事が出来なかった。

 

 

「朝になれば皆..元の姿に戻ります..しかし....中には元に戻れず心まで失ってしまう者が出て来たのです」

 

「そんな..」

 

「心を失い、魔物と化してしまった者は殺す事に決めたのです」

 

「元に戻るかもしれねぇのにか!!?」

 

 

殺すと聞いて、ナツが言い返す。

 

 

「放っておけば、皆がその魔物に殺される....幽閉しても牢など壊してしまうのです」

 

 

すると、村長は一枚の写真を取り出した。

 

 

「だから....ワシも息子を殺しました。心まで悪魔になってしまった息子を....」

 

 

村長が取り出した写真には、ナツ達を連れてきた船乗りのおじさん、ボボが写っていた。

 

 

「....!!!」

 

「その人..ええ!!?」

 

 

自分達を連れてきた人が既に死んでいると聞いて、動揺するナツ達。

 

 

「でも....私達昨日....」

 

「しっ」

 

 

ボボについて喋ろうとするマキを、コトリが止める。

 

 

「これでようやく、おじさんが急に消えた理由が分かったね」

 

「あぁ....そりゃあ....うかばれねぇわな」

 

 

コトリとグレイの話を聞いた全員の頭に、幽霊という言葉がよぎった。

 

 

「さぞ高名な魔導士方とお見受けします。どうか、この島を救ってください....」

 

 

村長は、涙ながらに頭を下げる。

 

 

「このままでは全員....心が奪われ......悪魔に......」

 

「そんな事にはならねぇっ!!!」

 

「そうだよ!!!私達が何とかする!!!」

 

 

懇願する村長に、ナツとホノカが力強く宣言する。

 

 

「私達の呪いを解く方法は一つ..月を破壊してください」

 

『え!!!?』

 

 

思いもよらなかった依頼内容に、全員が驚愕の声を上げる。

 

 

「紫の月の魔力で私達はこのような姿に変わってしまう。そして、心まで奪われてしまうのです。呪いを解く方法はたった一つ、月を破壊するしかないのです」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

用意してもらった家屋の中で、ナツ達は荷物の整理をしていた。

 

 

「見れば見るほど不気味な月だね」

 

「気味が悪いにゃ」

 

 

窓を開けて月を眺めるハッピーとリンを、マキが注意する。

 

 

「ちょっと2人共、早く窓閉めなさいよ。村長さんの話聞いてなかったの?」

 

『何だっけ?』

 

 

「村長さんが言っていたではありませんか、月の光を浴びすぎると私達まで悪魔になってしまうと」

 

 

揃って忘れているハッピー達に、ウミが説明する。

 

 

「それにしてもまいったな」

 

「さすがに月を壊せってのはな..」

 

「何発殴れば壊れるか見当もつかねぇ」

 

「そうだね、私の砲(メギド)でも何発撃てばいいか...」

 

「壊す気かよ!!!」

 

 

ナツとホノカの的外れの発言に、グレイが突っ込む。

 

 

「何を考えているのですか」

 

「幾ら何でも無理だよ、月を壊すなんて」

 

「そうね....どんな魔導士でもそれはできないと思う」

 

 

流石のウミ達も、ナツ達に呆れる。

 

 

「でも、月を壊せってのが依頼だぞ」

 

「そうだよ!!依頼を受けといて、できないってのは妖精の尻尾の名がすたるよ」

 

 

尚も食い下がるナツとホノカに、グレイが声を荒げる。

 

 

「できねえモンはできねえんだよ!!」

 

「第一、 どうやって月まで行く気なの?」

 

「ハッピー」

 

「もしくはリンちゃん」

 

 

コトリの質問に、ナツ達は即答する。

 

 

「うぇ!!?」

 

「さすがに無理にゃ」

 

 

驚くハッピーと、冷静に否定するリン。

 

 

「『月を壊せ』っていうのは、きっと被害者の観点から出てくる発想じゃないかしら」

 

「そうですね、もっと色々調べていけばきっと何か他に呪いを解く方法はある筈です」

 

 

そう考察するルーシィとウミだったが、グレイが着ていたシャツが飛んでくる。

 

 

「難破して一日歩き続けて、流石に疲れたぜ」

 

「なぜ脱ぐ?」

 

 

シャツだけでなく、靴下まで脱いでいつのまにかパンツ一丁になるまで服を脱ぐグレイ。

 

 

そんなグレイに、マキは呆れる。

 

 

「よし!!だったら明日は島を探検だ!!!今日は寝るぞ!!!」

 

「あいさー」

 

 

ナツとハッピーは床に敷かれている布団へと飛び込んだ。

 

 

「そうですね、もう遅いですし...」

 

「今日はもう寝るにゃー」

 

 

そう言って、ウミとリンはナツ達の右隣の布団へ入った。

 

 

「私ももう限界...お休みー」

 

 

ホノカは、ナツの左隣の布団へと潜り込んだ。

 

 

「考えるのは明日だ......」

 

「みんなお休みなさい...」

 

 

グレイは一番左の布団にぱたっと倒れ、その左隣にコトリが入る。

 

 

「そうね、あたしも眠いし..」

 

「寝ましょう」

 

 

ルーシィはホノカの右隣、マキはルーシィとコトリの間で寝始める。

 

 

すーすーと規則正しい寝息に混じり、ナツのぐがああぐごおおという寝息が部屋に響く。

 

 

「.........って!!!何で獣と変態があたし達と同じ部屋なのよ!!?」

 

「今更!!?」

 

 

ナツとグレイが一緒の部屋で寝ている事に突っ込むルーシィと、遅すぎる突っ込みに更に突っ込むマキ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

翌朝、まだ日が昇ったばかりの早朝にナツ達は村の中を歩いていた。

 

 

「早ェよ」

 

「まだめっちゃ朝じゃねえか」

 

「誰のせいで眠れなかったと思ってるのよ!!出発よ!!出発!!!」

 

 

まだ眠り足りなかったのか、フラフラと歩くナツ達。

 

 

「猫共!!起きろ!!」

 

『あい』

 

 

木箱の上で寝るハッピーとリンに、ルーシィは怒鳴る。

 

 

「だからと言って私達まで起こす事ないでしょ」

 

「マキの言う通りです。私とコトリはともかく、朝に弱いホノカは起きてるのかすら怪しいんですから」

 

「ホノカちゃん起きてよ~」

 

「うう...もう食べられない...」

 

 

悪態をつくマキの隣で、ウミはコトリと一緒にホノカに肩を貸しながら歩いていた。

 

 

「早いですね、辺りが悪魔だらけじゃ眠れませんでしたか?」

 

 

門の前までくると、見張りがナツ達に気づいた。

 

 

「そうじゃないの気にしないで」

 

「月を壊す前に島を少し調査してえ、開けてくれるか?」

 

「何!?やっぱ壊すのか!!?」

 

 

グレイの月を壊すという言葉に、ナツが食いついた。

 

 

「どうぞ」

 

 

見張りは門を開けた後、ナツ達に警告する。

 

 

「しかし気を付けてくださいね..森の中にある.........」

 

 

しかし、ナツ達はもう既に見張りの声が届かない所まで進んでいた。

 

 

「あ.....もう行っちゃったよ」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「何だよォ!!!昨日あれだけ月を壊すのは無理とか言ってたのによォ!!!」

 

「無理だよ、村の人の手前壊すって言ったんだよ」

 

 

村人との会話で、昨日と言っている事と違っていた為に言い争いを始めてしまうナツとグレイ。

 

 

「本当に月を壊さずに済む方法なんか」

 

「見つけなきゃしょうがないですよ」

 

 

ホノカとウミは、月を壊さずに済む方法について話し合う。

 

 

「それに実際、月を壊せるとしても壊さねぇ...月見が出来なくなるだろーが」

 

「そっか!!期間限定の妖精の尻尾特製月見ステーキもなくなっちまうのか!!!」

 

「オイラ、月見塩魚なくなると困るよ!!」

 

「それはリンも嫌だニャ」

 

 

2人の言葉を聞いていたグレイの言葉に、ナツ達が反応する。

 

 

「そういう問題じゃないでしょ」

 

「『そうよ、アンタたち何がいるのか分からないんだから大声出さないでくれる?』......と申しております」

 

 

ナツ達のやり取りにマキと、ホロロギウムの中にいるルーシィが呆れる。

 

 

「自分で歩けよ」

 

「おまえ精霊の使い方それ......あってるの?」

 

 

ルーシィが自分で歩かずに、ホロロギウムの中に籠っている事に、逆にナツ達が呆れる。

 

 

「『だ...だって相手は〝呪い〟なのよ、実体がないものって怖いじゃない!!』......と申しております」

 

「さすがS級クエスト!!!燃えてきたぞ!!!」

 

「呪いなんか凍らせてやる、ビビる事ァねぇ」

 

「ファイトだよ!!」

 

「『ホンットアンタらバカね..』と申しております」

 

「ねぇオイラも入りたい」

 

 

そんなやり取りをしていると、ジャングルの方からガサガサと草木を掻き分ける音とドシン!!ドシン!!という重い足音がした。

 

 

「ん?」

 

「何だ?」

 

 

ナツ達も異変に気付き、辺りを見渡す。

 

 

「チュー」

 

『!!!』

 

 

すると、ナツ達の後ろに巨大なねずみが現れる。

 

 

「ネズミ!!!」

 

『デカ―――っ!!!』

 

 

巨大なネズミに、驚くナツ達。

 

 

「『あんたたち早くやっつけて!!!』と申しております。『あい』と申しております」

 

「んにゃろォ!!!」

 

「何か吐き出す気だぞ!!」

 

 

ナツとウミが咆哮を撃つ時と同じように、ネズミは口をぷくぅと膨らませる。

 

 

「俺のアイスメイク〝盾〟で......」

 

「ぷはァ~~~っ!!!」

 

 

盾で防ごうとしたグレイだったが、ネズミは口からガスを吐き出した。

 

 

「んがっ」

 

「もげっ」

 

『うっ...』

 

「『ちょっと!!!みんなどうしたの!!?』....と申し...んがっ」

 

 

ホロロギウムの中で叫ぶルーシィだったが、ホロロギウムもナツ達と同じような声を上げると後ろにばたんと倒れてしまう。

 

 

「きゃ―――――!!!」

 

 

ぽんっ!!と音を立ててホロロギウムが消え、外に出たルーシィ達はナツ達が動けなくなった理由が分かった。

 

 

『臭――――い!!!』

 

 

鼻を押さえ、叫ぶルーシィ達。

 

 

ネズミが吐き出したガスは、物凄く臭う悪臭だった。

 

 

余りの臭さに悶えるナツ達の様子を、きゃっきゃっきゃっと笑う巨大なネズミ。

 

 

「くさ―――っ!!!何だこの臭いはぁ~~~~!!!」

 

『.........』

 

 

鼻を押さえ、膝をつくグレイ達。

 

 

「ナツ君!!?」

 

「ウミちゃん!!大丈夫!!?」

 

 

倒れるナツとウミを心配する、ホノカとコトリ。

 

 

「ナツ!!!情けねぇぞ!!!へばってんじゃね!!!」

 

「ナツ達は鼻がいいからね」

 

 

ナツ達を見下ろすネズミは、キランッと目を光らせた。

 

 

「逃げろ―――っ!!!」

 

『ひいいいっ!!!』

 

 

逃げるナツ達を、走って追いかける巨大なネズミ。

 

 

「ちっ」

 

 

グレイは舌打ちをすると、地面に両手を付けた。

 

 

「アイスメイク〝床(フロア)〟!!」

 

 

グレイが魔法を発動すると、グレイを起点として地面が凍り付いた。

 

 

凍った地面に足を取られ、つるんと足を滑らせる巨大ネズミ。

 

 

「ナイス!!!グレイ君!!!」

 

 

起点を利かしたグレイに、グッとサムズアップするコトリ。

 

 

「最初からそれやれよ!!」

 

「文句言うな!!!」

 

 

対してナツは文句を言って、グレイと言い争いを始めてしまう。

 

 

「あ!」

 

 

そこで、マキが建物を発見した。

 

 

「見て!!何か建物がある!!」

 

「本当だ!!今の内にあの中に...」

 

 

ルーシィも建物の存在に気づき、ナツ達に声を掛ける。

 

 

しかし......。

 

 

『そうだ!!今の内にボコるんだ!!!』

 

 

動けなくなった巨大ネズミを、再起不能になるまで殴るナツとグレイ。

 

 

「あんたたち......」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

月の神殿。

 

 

「うわー広いね....」

 

「ボロボロじゃねえか」

 

「いつの時代のモンだこりゃ」

 

「床を突き破ってまで、植物が生えてますね」

 

 

そこでナツが、壁に何かが描かれている事に気づいた。

 

 

「見ろよ、何か月みてえな紋章があるぞ」

 

「村長の話では、この島は元々月の島って呼ばれていたって言っていましたね」

 

 

ナツとウミの話を聞いていたルーシィが、考察を始める。

 

 

「月の島に月の呪い..月の紋章、この遺跡はなんか怪しいわね」

 

「ルーシィ見て—」

 

「アンタは犬か!!!」

 

 

しかし、そんなルーシィを邪魔するように、ハッピーが見つけてきた骨を見せ、突っ込まれる。

 

 

「それにしてもボロいな....これ地面とか大丈夫なのか?」

 

 

そして何を思ったのか、地面をガン!!ガン!!と蹴りつける。

 

 

「ナツ!!やめてください!!そんな事をしたら床が...」

 

 

ウミが注意するのと同時に、ベコンと音を立てて床が抜けた。

 

 

「バカ――――!!!」

 

「バカナツ!!!何しやがる!!?」

 

 

床を破壊したナツに対して、怒鳴るルーシィとグレイ。

 

 

「なんて根性のねぇ床なんだァァ!!!」

 

「床に根性も何もないよ―――!!!」

 

 

ナツのズレた発言に、突っ込むホノカ。

 

 

「ハッピー何とかならないの⁉」

 

 

落下しながら、ハッピーの方を見るマキ。

 

 

「......」

 

「食べられるモンじゃないから―――!!!それ―――!!!」

 

 

しかしハッピーは、先程の骨を喉に詰まらせてそれどころでは無かった。

 

 

「リン!!何とかしてください!!」

 

「リンだけじゃ無理にゃ―――!!!」

 

 

どーん!!!と島全体に響くような音が、神殿の中に響いた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

積みあがった瓦礫の中から、ぷはっと顔を出すナツ。

 

 

「オイ....みんな大丈夫か?」

 

「大丈夫じゃない!!あんたのせいで!!!」

 

「てめぇ!!!何でいっつも後先考えねぇで行動しやがる!!!」

 

 

ナツの言葉に、ルーシィとグレイが怒鳴り散らす。

 

 

「ハッピーがやばい!!!別の原因で」

 

「............」

 

 

ハッピーはハッピーで、喉に骨を詰まらせ呼吸困難になっていた。

 

 

「ねぇ....ここ....何処なの?」

 

「あが..ふが..」

 

 

ハッピーの口の中に手を突っ込み、骨を取ろうとしながらマキは問いかける。

 

 

「さっきの遺跡の地下みたいだね」

 

「秘密の洞窟だ――っ!!!」

 

 

立ち上がったコトリが上を見上げながらそう推測し、ホノカは発見した新しい道にはしゃぎだした。

 

 

「ホノカは元気ですね....。リン、皆を抱えて飛べますか?」

 

「無理だニャ」

 

 

ウミとリンがやり取りをしている裏で、骨が取れた事に喜ぶマキとハッピー。

 

 

「せっかくだからちょっと探検しよーぜ」

 

 

わくわくしながら、奥に進んでいくナツ。

 

 

「オイ!!!これ以上暴れまわるんじゃねぇ」

 

 

グレイの言葉を無視して突き進むナツだったが、曲がり角の直前でいきなり立ち止まった。

 

「お?」

 

『ん?』

 

「?」

 

「どうした?」

 

 

ナツが急に立ち止まった事に、全員が首を傾げる。

 

 

「な....何だ?あれ....」

 

 

ナツに追いついたウミ達は、ナツが見上げる物を見て目を見張った。

 

 

「な....!!!!」

 

「え....!!!?」

 

「あ....あ....」

 

「こ...これは....」

 

 

ナツ達の前に現れたのは、かつて戦ったララバイの怪物と同じサイズの化け物が凍り付いていた。

 

 

「でけぇ怪物が凍り付いている!!!!」

 

 

驚くナツ達だったが、その中でも一番動揺していたのはグレイとコトリの2人だった。

 

 

『デリオラ..!!!?』

 

『え?』

 

 

氷漬けになっている怪物の名前を叫んだグレイとコトリに、全員が驚く。

 

 

「バカな!!!デリオラが何でここに!!?あり得ねぇ!!!こんな所にある訳がねえんだ!!!」

 

 

今まで見た事がないほど、取り乱すグレイにナツが質問する。

 

 

「知ってんのか?こいつを」

 

「あれは..!!!あれはっ!!!」

 

「グレイ君!!落ち着いて!!大丈夫だから!!!」

 

 

動揺するグレイを、コトリが背中を摩って落ちかせようとする。

 

 

「ねぇ何なのこいつは⁉」

 

 

状況がつかめないマキが、コトリに質問する。

 

 

「デリオラ......厄災の悪魔だよ」

 

「厄災の悪魔....?」

 

「あの時の姿のままだ...一体誰がこんなことを.....」

 

 

グレイほどではない程の、コトリも動揺を見せる。

 

 

その時、カッカッカッという足音をルーシィが拾った。

 

 

「しっ、誰か来たわ!!」

 

「ひとまず隠れるわよ!!」

 

「何で?」

 

「いいから!!」

 

 

ナツ達が隠れると、太い眉毛が特徴の青い髪が逆立った男と、犬のような見た目の上裸の男が現れた。

 

 

「人の声がしたのこの辺り」

 

「おお~ん」

 

『!!!』

 

 

現れたのがこの島の人間ではない事に、驚くナツ達。

 

 

「昼....眠い..」

 

「おおーん」

 

「トビー、オマエ月の雫(ムーンドリップ)浴びてね?耳とかあるし」

 

「浴びてねえよっ!!!飾りだよ!!!わかれよ!!!」

 

 

くわっと目を見開き、キレ始めるトビーと呼ばれた男。

 

 

「からかっただけだバカ」

 

「おおーん」

 

「月の雫(ムーンドリップ)?呪いの事かしら」

 

 

2人の話に出て来た月の雫について、推測するルーシィ。

 

 

その時、もう1人別の人間が現れた。

 

 

「ユウカさん、トビーさん、悲しい事ですわ」

 

「シェリー」

 

「おおーん」

 

 

現れたのは、ゴスロリ衣装に身を包んだピンク色の髪をツインテールにした女の子だった。

 

 

「アンジュリカが何者かの手によって、いたぶられました....」

 

「あれはネズミだろっ!!!デラックスな名前つけるなっ!!!」

 

「ネズミじゃありません....アンジェリカは闇の中を駆ける狩人なのです、そして愛」

 

 

物凄く痛い事をいっているシェリーという女性に、ルーシィとマキはドン引きする。

 

 

「強烈にイタイ奴が出て来たわね」

 

「そうね、最後の一言は特に...」

 

「あいつらこの島のモンじゃねぇ....」

 

「えぇ、ニオイが違います」

 

 

滅竜魔導士ならではの鼻の良さで、違いに気づいたナツとウミ。

 

 

「うん..それに呪われてる感じがないよ」

 

「あの耳の人はよくわからないにゃ...」

 

「侵入者....か」

 

 

ユウカと呼ばれた男の言葉に、ドキッとするナツ達。

 

 

「もうすぐお月様の光が集まるというのに....何て悲しい事でしょう.....零帝(れいてい)様と魔王様のお耳に入る前に駆逐いたしましょう。そう..お月様が姿を現す前に.........」

 

「だな」

 

「おおーん」

 

「デリオラを見られたからには生かしては帰せません。侵入者に永遠の眠り..つまり〝愛〟を」

 

「〝死〟だろ?」

 

 

トビーが呆れる中、後ろからガラッという何かが崩れる音がした。

 

 

「何でしょう?」

 

「向こうだ」

 

 

音がした方に走り出す、ユウカ達。

 

 

「ご苦労様です、リン」

 

「あい」

 

 

石を投げて気を引いたリンに、感謝するウミ。

 

 

「何だよ、とっつかまえて色々聞きだせばよかったんだ」

 

「まだよ、もう少し様子を見ましょ」

 

 

思っていたより状況が悪い事に、頭を抱えるホノカとリン。

 

 

「なんかややこしい事になってきたね」

 

「何なんだろうね、あいつ等」

 

 

落ち着きを取り戻したグレイだったが、今度は不機嫌さを隠そうとしなかった。

 

 

「くそ....あいつ等、デリオラを何の為にこんな所に持って来やがった」

 

「目的も気になるけど、どうやってデリオラの封印の場所を見つけたんだろ......」

 

「封印の場所?」

 

「こいつは北の大陸の氷山に封印されていたんだ。10年前....イスバン地方を荒らしまわった不死身の悪魔。オレとコトリに魔法を教えてくれた師匠ウルが命をかけて封じた悪魔だ」

 

 

思いもよらない話に、コトリ以外の全員が息を呑んだ。

 

 

「この島の呪いとどう関係してるのか分からねえが...これはこんな所にあっちゃならねぇモノだ」

 

 

グレイの体から、物凄い冷気が溢れ出す。

 

 

「零帝(れいてい)..魔王..何者だ..ウルの名を汚す気ならただじゃおかねえぞ!!!!」

 




ハッピー「ナツとホノカは、ムーンドリップって知ってる?」


ナツ「ん?」


ホノカ「何それ?」


ハッピー「良く分かんないけど、月の雫って書くんだって」


ナツ「まさか食いもんか!?」


ホノカ「美味しいの⁉」


ハッピー「あい!きっと飴玉だよ!月の搾り汁を集めて作るんだ」


ナツ「うっほほ!!美味そうだな!」


ホノカ「どんな味がするんだろうね!」


次回!月の雫(ムーンドリップ)


ナツ「でもよ、月ってどうやって搾るんだ?」


ハッピー「それは次回のお楽しみ!」


ホノカ「そっかぁ!楽しみだなムーンドロップ!!」






どうもナツ・ドラグニルです!!


投稿が遅くなり、申し訳ございません!!


ぶっちゃけ、モンハンやってて投稿するのを忘れてました。


3月1日に投稿しようとして忘れ、4月1日に投稿しようとして忘れてました。


来月からは忘れないように致します。


さて、ようやくガルナ島に向けて出発するナツ達。


そのガルナ島でかつての師が封印したデリオラを見て、動揺するグレイとコトリ。


そして零帝だけでなく、魔王と呼ばれる敵の出現。


ちなみに魔王は、ラブライブに登場するキャラクターです。


usのメンバーでありません。


詳細は、次回のお楽しみです!


それでは次回、第25話もしくはベストマッチな加速能力者第19話でお会いしましょう‼

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。